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tokyo junjo converse
鳩村衣杏さんの初期作品の文庫版。
(別PNで活動されていたとは初耳!)
この上巻は、表紙の高校生二人が恋人になるまでの話。
下巻は、同カプの大学生編と、受けの兄のスピンオフという二話構成。
クールな優等生・巧馬 (受け)は
貧血で倒れかけたところを
不良と噂されるクラスメイト・主税(攻め)に助けられる。
それからというもの彼から目が離せず…。
巧馬の、初恋に翻弄される様がとてもリアル。
唐突に主税に告白してしまう無計画さも、
主税の大学進学を喜べない身勝手さも、
主税になりふり構わず縋る女々しさも、
おそらくそれまでの彼とは全く違う。
よくも悪くも自分のことで精一杯の彼のキャラは好みが別れそう。
個人的には、わがままで情けない言動にイラッとすることもあれど
十代なんてそんなもんか?と思うと
嫌いにはなれませんでした。
主税は、付き合っていた彼女を不良たちから守り戦ったことで不良のレッテルを貼られ、彼女にまで怯えられ捨てられてしまったたという、悲しい過去の持ち主。
しかし、そんな過去を知っても変わらず好意を示してくる巧馬には徐々に心を開いていきます。
無口で硬派で大人びて見えるのに
内では色々悩んで傷ついている彼にも
十代特有の青さ、繊細さ、愛しさを感じました。
巧馬にとって、最初は遠くから眺めるだけだった
主税のコンバース。
それがいつの間にか並んで歩くようになり、高校を卒業する頃には、一緒にコンバースを買いに行くような関係にまで発展する。
巧馬の恋の象徴のようにたびたび登場するコンバースが、二人の関係の変化をよく表していました。
※絡みはありません。
今の鳩村作品ほどには洗練されておらず、青臭い印象を受けますが、
整った文体と、キャラクターの等身大感は当時から健在。
学生なら学生の、社会人なら社会人の
年相応の悩みや日常の描写に
優れた作家さんだと思います。
下巻へ続きます。