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shukumei no konin
なんだかんだと文句を言いながらも、
義月worldの中毒性に嵌って、過去作を読み漁ってます。
先にunlimitedで読んで、再読したくて電子版を購入。
流れが分かっていても、読み返すと面白いのは、
悪役が気持ちよく失敗して去っていくから。
このレーベルは、誤字が修正されずにそのまま商品化されているような気がする、
BL業界の「小説部門が売りあげ不振」の影響による校正不良なのかな?
・・これも結末部に?な繰り返し部分があった。
宿命の家同士の、形式上の婚姻で栄華を維持してきた不思議な家系。
幼い頃に両親をうしなったゆうは、
家の事情を知らずに養い親の血がつながらない祖母に育てられてきた。
養い親が、突然死して、高校中退、自力で自活してきたゆう。
突然の見合いと、形式上の結婚・・と怒涛の環境変化に流されて順応していく主人公の打たれ強さに感動。
好きな作家さま&花嫁ものという好きな題材なので読む前から期待感上昇です。
ストーリーよしイラストよしで萌え×2です
エドヒガンザクラをバックにしたかカバー絵もすてきなんですが、ページを開いた扉絵が肌色ばかりでドッキリです。後ろから抱きかかえられたゆうが色っぽくて…
でも読み始めてコメディーでもないのに笑いのツボに入ってしまいました。
ホテルの給仕服が古めかしくて『まるで鼓笛隊!』ってとこで想像して笑えました。
機会仕掛けで動くみたいなものを思い浮かべてしまって。
攻めを初めて見た時にわけのわからない衝撃を受け、砂丘に立ちその砂に飲み込まれそうな印象を受けたという描写でそんな映像をバックにパーティ会場に立ちすくむ姿が目に浮かびました。
主人公の笠置ゆうは幼いころに両親を亡くしその後血縁関係のない祖母に育てられたが、祖母の死後は高校を中退し苦労して一人で生きてきました。
もう一人に主人公は、歴史上影の権力者として力を持つほどの名家 鷹司家の後継者の第一候補です。
鷹司家が強すぎる力を持った時、笠置の血筋のものだけが崩壊を止め回復させる力があるという。
そんな血族と古の言い伝えによって翻弄させる二人の物語です。
一般庶民で苦労人のゆうにとっては他人事で面倒なことに関わりたくないというのが本音。
しかし、一目会って衝撃を受けた男性に茶会で再会した時にはお互いただの言い伝えとは思えなくなったわけです。
そこでとりあえず鷹司家のお屋敷に居候しながら秘書業務の研修を受けることになるわけです。
けれど、柾啓の政略結婚相手の婚約者や学生時代に身分違いから分かれた元恋人といった障害が次々現れ、策略からゆうが孤立してゆく姿に心が痛みました。
悪いことはゆうのせいだと一族の中でも囁かれ始めた時にはもう柾啓の迂闊さやおバカさ加減に後ろから頭を叩いてやりたくなりました。
勉強家で強い精神力を持ってゆうはきっと公私ともに柾啓の良き伴侶になることでしょう。
そして鷹司の一族は近代稀に見るほどに力を与えてくれる笠置の存在に感謝し、末長く幸せで愛情深いパートナーとして暮らしていけたらいいなと思います。
義月さんの不憫受けには一種の中毒性があって、周期的に読みたくなる。
本作は表紙の雰囲気とか、花嫁ものという設定からして、もっと弱くて脆い流され受けを想像して読んだけど、予想外に受けのゆうは気丈で前向きだった。ただ不憫度でいえばそれほどでもなく。対する攻めの傲慢度もいまいち。まず初めに宿命とか、因縁で結ばれた関係なのはわかるけど、それを除けばなぜこの二人が惹かれあうのかが最後まで腑に落ちなかった。
通常義月作品ではお仕事ものとか警察ものだととても緻密に世界が構築されてて、登場人物たちもキリキリよく働いてるんだけど、どうもオカルト色というか、超常現象みたいなのが絡む話だと、一気に手抜き臭が漂ってきちゃう気がする。私と相性が悪いだけなのかもしれないけど。
あて馬らしき女子が複数登場するのも印象を散漫にしてるかな。
せっかくの花嫁ものなのだから、白無垢に狐の面を着けて儀式に臨む辺りをヤマ場にもっと受けの葛藤とか攻めとの感情のぶつかりあいとか描いてほしかった。
それと内容とは別に、ラストの絡みのシーンで約1ページ近く、同じ文章がダブっている箇所があり激しく萎えました。これは作家さんというより編集側の不手際と思われます。新レーベルだそうですが、商業誌でこれはあまりにもお粗末では・・・
というわけで今回は辛口にならざるを得ませんでしたが、基本は好きな作家さんなので次も欠かさず読みます。これまでの不憫受けのマイベストは「新人捜査官の受難」の静音くんです。(「甘い絶望の」一葉は別格)彼を超える人魚姫受けの極北を読みたいです。