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sen no yoru to jin no kagi
きらきらとした宝石箱のような素敵な物語。
ファンタジーではなく現代ものです。
アラビアンな雰囲気は感じられますが、いわゆるアラブものではありません。
アラブものが苦手という方にも、好きだという方にもぜひ読んでいただきたい、可愛らしくて優しい癒されるお話でした。
タイトルが本当に秀逸。センスが素敵。
舞台はシャムスジャミールという、公用語がフランス語の架空の国。
迷路のような白壁の路地、美しいモザイクタイル、人々が祈りを捧げるモスク、ミントティーとムスクの香り。
そこで暮らす人々の文化の違い。
仁の目を通して語られる異国情緒溢れる描写の数々に、まるで一緒に旅をしているようでわくわくする。
以下、あらすじと感想です。
主人公の仁(じん)は、やがて目が失明してしまう可能性のある進行性の病を抱えています。
深い絶望の中、何気なく幼い頃に叔母が読み聞かせてくれた大好きな絵本をめくりながら、ふと今は亡き叔母の姿が頭をよぎり…
「後悔することがないように、生きてね」と語っていた叔母は、絵本の舞台・シャムスジャミールで結婚をし、子にも恵まれていながら離縁され国を追い出されてしまった過去を持っていました。
彼女が生前「息子の昇にはもう会えないと思うから、仁がかわりに持っていて」と残した真鍮の鍵と、息子に宛てた手紙の存在を思い出します。
光を失ってしまう前に、やり残した事を後悔する前にせめて叔母の想いを従兄弟の昇に届けたいと、憧れの地・シャムスジャミールへ向かう事に。
消息不明の昇を探そうと現地でさまよう中、現地人に絡まれていた所を助けてくれたのは、絵本に出て来た王子様のような青年で…と、続きます。
今回は完全に攻めのユクセルに持っていかれました。
ぶっきらぼうで言葉少な、感情が読めず、冷たさすら感じる態度だったはずのユクセル。
見ていて危なっかしい仁にほだされて心を開いてからというもの、どんどん甘く優しく慈しむ姿がすーごく良かった。
後ろから抱きしめてうなじへのキス。
仁から寝物語をねだられ、母が作った物語を穏やかに語ったり、砂に囲まれた宮殿を薔薇でいっぱいにすると約束をしたり。
とにかく穏やかで甘いときめきの嵐。
そんな中で、想いが通じ合ってからの別離が切ない。
ユクセルに重荷を背負わせてしまうのではないかと、離れる前に病について言うべきか言わざるべきか悩む仁の葛藤。
全てを知りながら何も言わずに送り出し、帰国してしまう仁の荷物へそっと鍵とカードを忍ばせていた飛行機のシーンにきゅんとする。
後ろ髪をひかれながらも日本へ帰国し、再び彼と暮らすために本格的に目の治療も始め、努力をする仁の前向きさと頑張りが良い。
そして彼の元へ毎年春に決まって届く、さらさらの赤砂と薔薇だけが入った差出人の無い手紙がロマンティック。
その後の2人がどうなったのかは、ぜひ本編で見届けてみて下さい。
正直、王道的と言いますか、序盤で話の展開は読めてしまいますし、細かな疑問点も残るのです。
ですが、何故かとても魅力的で胸がときめいてしまう。
まるでおとぎ話のような、優しく心地良い空気が流れる、非常に夢のあるお話でした。
私も鍵の魔法にかけられたようです。
特典ペーパーのユクセル視点のお話がこれまた非常に良かったので、ぜひ入手していただきたい。
小椋ムク先生の挿絵も素晴らしかったです。
民族衣装のユクセルが色っぽい。
タイトルが「千の夜とジンの鍵」でファンタジーでなんかロマンチックで好きです。
小椋ムク先生のイラストも好きです。
二人が寝ている表紙絵ってあんまりないんじゃないかなーって思うけど自分が知らないだけかも?
タイトルとかはファンタジーっぽくてアラブ物って聞くと王子さまとか出てくると思うけど、これは従兄弟の設定だから新しいかなって思います。
ソファーで寝たはずの仁がなぜユクセルと同じベッドで寝ていたのかとても気になるところ。
ユクセルは理由を聞く仁に無理に思い出さない方が良いと言われて、それがユクセルに触られた時に感じてしまいその欲望が自分の知らないうちにユクセルを求めたんじゃないかと不安になります。
仁は二十歳だけど初恋もまだの奥手だそうです。
だけど、本当は泥棒に襲われた時のフラッシュバックでうなされていて、ユクセルが仁を落ち着かせる為に一緒のベッドで眠ったのでした。
原因不明で視力がどんどん落ち将来は失明するという病にもかかってます。
手術で治る可能性もあるようですが、その恐怖もあるのかなと思います。
妖精を信じてる仁にユクセルが「目の前に妖魔のジンがいる」みたいな事を言ってからかうんですが、このシーンが微笑ましいしちょっと笑えるしなんか可愛くて好きです。
目の病気の事をユクセルが知ったらユクセルの足かせになるから、その事は黙っていてユクセルとはもう会わないと告げる仁。
ユクセルは全て知った上で仁を待つと言ってくれて。
仁は日本に帰国。目の手術を受けて視力は良くなるけど完全に完治したわけじゃないけど、もう一度ユクセルの元に向かいます。
感動的な話でした。
失明の恐れがある受けが、叔母の形見である鍵を消息不明の従兄に渡すため、北アフリカの小国へ渡ってそこで攻めと出会う……
舞台は、作家さん曰くトルコとモロッコを混ぜたような雰囲気をイメージして描かれた架空の国とのことで、アラビアンな世界観が素敵で楽しめました。
アラビアンといってもオイルマネーで潤ってる俺様アラブ攻めが登場する世界ではなく、ペルシアとかそっちのロマンティックな感じ。
ユクセルは最初はツンツン取りつく島もない感じだっただけに、恋人になってからの甘さがキますね。
恋人にだけ見せるデレ&甘々の顔ってやつが萌える。
気になった点は、攻めのジンの日本語。
「日本語がお上手ですね」とか言ったらかえって失礼になるというか、達者というよりも完全にネイティブスピーカーそのものなところ。
日本人母とは5歳までしか一緒にいなかったし、その後は異国かつ日本語を学ぶことに理解がなさそうな親族に囲まれていたのに、どうやって日本語話者レベルの日本語を身につけたんだろう?というところが気になりました。
(些細なところが気になってすみません…。)
真実を話せず日本に帰る受けが飛行機の中で目にした手紙にきゅん!となり、砂漠の砂とバラの花のみを送ってくる手紙にきゃあ!となって、ロマンティックな演出に萌えました。
ちなみになんでこの本を買ったのかが記憶なし。
(長らく電子書店のカートに入れたまま放置だったのを、そういえばこれずっとカートにあるなぁ……と思って2ヶ月くらい前に買った記憶だけある)
初読み作家さんだし、攻め受けの属性で自分がめちゃツボ!みたいなのもないし、なぜこれが目に止まって読んでみようかな?と思ったのかなぁ。
わからないけど、でも楽しめたので買って良かったです。
ムク先生の表紙目当てで購入したものの熟成させていたものを発掘。トルコとモロッコをベースとした仮想の国シャムスジャミールを舞台にした、カプ二人がお互い一歩成長する、優しいお話と思います。トルコやモロッコの雰囲気や砂漠のお話もあるので、両国がお好きな方にはよいのでは。書き下ろし280Pほど+先生のあとがきです。
冒頭は、受けさんが病院で診断を受けているシーン。進行性の病気でやがて失明する可能性があるとの診断を受け、自宅で今後の事にぼんやり思いを馳せつつ、取り出したのは幼い頃伯母にもらった「アラビアンナイト」の絵本。子供のころはこの国に憧れて、大人になったら行くと思っていたことと、伯母の最後の言葉を思い出し、えいやっとシャムスジャミールへ・・・・ とお話が始まります。思い立ったが吉日、行動すれば報われる と思ったお話です。
攻め受け以外の登場人物は
受けの伯母(シャムスジャミールに嫁いでいたが離縁され帰国、病死)、アリー(ユクセルの幼馴染)、ユクセルの祖母、母、妹等です。
挿絵情報:ムク先生の描かれるユクセルが本当に素敵~ターバン姿の図が1枚モノクロであるのですが、最初の冷淡な雰囲気と相まって超素敵です!最後には四阿で真昼間からバックスタイルでむつみあう二人の図があり、これもまた好きーまだ明るいから壁ある所にしておけば と言いたいのはやまやまなんですが。
*********以下はとても内容に触れる感想
一旦、心がつながったかと思いきや、目の病気のこともあり、日本に帰国を決める受けさん。ここから再会するまでの頑張りが、いたく納得。見えなくなるかもしれない というハンデはとても重いと思うので、うん、そうだよな ととても思ったのです。
うっかりそのまま一緒にいて名医に出会って・・というような内容で無くて、とても良かったでした。
二人で迎えた幸せな朝のお話は、番外編ペーパーにあり、それも「ああ、若い男子!」ととても好感を持てました♡