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ずっと、お前に抱かれたかった
hatsukoi no ikitsuku tokoro
ロボ耳太郎くんオススメ作品。ロボ耳太郎くんとは、2018年に誕生したちるちるAIソムリエの初号機名です。
オススメ条件に「攻め視点」を挙げたんだけれど、あくまで本編であって、SS後日談じゃないのよね…。ちゃんと条件は満たしてくれてはいるけども、、(現在のAIソムリエはかなり精度が高くなっていますので笑)
ストーリーはタイトルどおり。受けの一人称に少し違和感がありました。キャラ的にツンデレなのか拗らせなのか、正直あまり好感は持てなかったけれど、本作は攻めの方に軍配が上がりましたね。
読んでから時間が経つと結構尾を引いていることに気づく、珍しいタイプの作品です。不思議な温度で再開する初恋は、ああ、あの時二人は確かに思い合っていたんだな…と、読了後思い返すかたちで噛み締められるような。その思い返す時間の中に現れる二人のありようが妙に官能的で、不覚にも時間差萌えしてしまったスルメ系。
二人が別れた後も攻めは女性と付き合ったけれど、本当に好きだったのは初恋の受けだったなんて…ベタだろうが感傷的だろうが、BL的に素敵すぎるオチじゃないですか。
受けは自分の恋心を当時の温度のまま再開させるので、時間が経っている分妄想力がすごいことになっています。だけど、彼の拗らせ具合は凍結された当時の思いが瞬間的に解凍されたものだから、ぎこちなくて当然だよねって思わせてくれる。その状態の彼をしっかりと受けとめてくれた攻めの包容力が、なんといっても素晴らしい…。
現在は非BL原作(ノベライズ?)で活動されているみたいですが、もうBLは書かれないのでしょうか。
登場人物の心の動きを丁寧に書いた作品だと思いました。
現実の恋愛はこんな風に進んだと思ったら立ち止まったり、嫉妬して後戻りしたりとモダモダするんだと思います。
こちらの作品は大きな出来事も当て馬も登場しません。どちらかと言うと本人たちの問題だけなんです。
しかもどちらも不器用だからなのか、作者様の文章の特徴なのか、面白いのですが読んでて疲れてしまいます。
表現もちょっとわかりづらい所があって、何度も戻っては読み直して、きっとこういう心情を表現したかったんだろうと想像しました。
デビュー作ということなので、伝えることに四苦八苦している感じでした。
でもそれが作者様の個性であり、作品に対して真摯に取り組む姿勢が見えて好感が持てました。
ただ受けの諒に関しては好き嫌いが分かれると思います。
お話がリアリティ溢れるのは良いのですが、希望はあっても夢が絶対的に足りないんです。
1番最後の隆史視点のお話を読む事でやっと諒が好きになれました。
時間のある時にゆっくり読むのに適した作品だと思います。
私はBLはファンタジーで嫌な事を忘れたい時に読んで幸せになれるものだと思っているので、その点では中立寄りの萌です。
隆史視点のお話が無かったら中立になったと思います。
文体で好きな作家を選びがちでBL小説にはどっぷり嵌れないことが多いのですが、この方の文体は質感がリアルでとても好みでした。
際立った起承転結があるというよりは、ちょっとした心理的なすれ違いがじっくり描写されている感じです。
心理描写に力が入っていて、かつ受けの性格がめんどくさい方なので、あまり読みやすい話ではないですが、このあたりは個人の好みだと思います。
全体的に大人しめで強烈に萌えることはなかったのですが、日常感がフェチなので個人的には結構好きな作品でした。
乙女な受けは結構好きな方ですが、受けがあまりにも面倒な思考をするので
『こ…この受けめんどくせー!!!!』と胸の中で叫びました
でもこの面倒臭さ、リアルです
なにしろ25歳で童貞、高校時代の事故のようなキスしか経験がないので
経験のない童貞の思考なんだと思うとすごい納得
攻めの好意を卑屈に捉えたり
向こうの経験豊富さを過剰に気にしたり
(ちょっと攻めを貶めるような思考もありました)
ちょっとしたカップルの戯れを大袈裟に捉えたり
すごいリアルな感じです
しかも受けはいかにもな引っ込み思案の根暗草食系ではなく
営業でそれなりに性欲もあって人付き合いも苦手じゃない方です
その彼が実は童貞で初恋を引き摺ってて、ってそりゃこじらせるよと
攻めとの関係の発展の仕方とか
二人の気持ちの探り合いとか
受けが後ろだけじゃイケなかったりとか
そういう所もフィクションぽくなかったです
濡れ場はフィクションを楽しんでるというより、
その辺りのカップルの情事を覗いてる感じでちょっとドキドキしました
フィクションぽいフィクションが好きなので萌え萌えには至りませんでしたが
ハマる人にはかなりハマる作品ではないかと
じれったい、もだもだ恋愛がお好きな人は是非
小椋ムク先生につられて買った本、これで何冊目だろう…?
八条ことこ先生は初読みです…ってデビュー作でした。
高校時代の初恋での失敗をひきずって、童貞のままのリーマン伏見諒。
思ったら即行動タイプの爽やか熱血漢で、大学と仕事を掛け持ち中の二階隆史。
この二人の8年ぶりの電車内での再会から、物語は始まります。
グループ内で仲の良かった二人は、ある出来事で気まずい別れ方をして以来、久しぶりにバッタリ会うのですが。
不思議なほど自然な流れで恋人同士になります。
しかし、もと親しい友人と恋人になった時の距離感がわからない諒。
童貞で恋人がいた事もないため、そもそも「恋人同士」ってどんな感じになるのかが、なかなか掴めないという。
まどろっこしくって、面倒くさい思考回路で、と〜っても面白い展開です♪
久しぶりに会った友人から恋人になって、すんなり恋人モードになれるもんかなぁ?と思う事がしばしばあったので。
「友人から恋人へ」の過程が丁寧に書かれていて、すごく新鮮でした。
ただしエロはかなりあっさり目です。
やたら性的なシーンが出てくる割りには、心理描写がメインなので。
でも、それがまた新鮮で面白かったです!
いい年してから童貞を捨てる勇気って、すごく難しそう。
諒の中の葛藤は、なかなかリアルで可愛気がないところが可愛いというか。
恋人同士として、少しずつ、少しずつ近づく二人の関係が丁寧で。
ああそうだ、恋人同士ってはじめはぎこちなくて探り合いな感じだよなぁ。
なんて遠い昔を思い出したりして。
身体もね。
はじめからそんなに強烈に気持ちよくならないのがリアルというか。
回数を重ねていって、少しずつ反応が良くなって。
少しずつ感じるようになるのがすごく良かったです。
ガ~~~ッと萌える感じの作品ではないですが。
じわ~っと浸透してくる感じ。
不思議な魅力の作品でした。
初恋相手との再開もの。
童貞こじらせ系で、もだもだする感じがじれったいというかまどろっこしいというかいつまでも同じところぐるぐるまわってる話しでした。妄想激しくこじらせすぎだろ⁉︎ってとこも多々あり(笑)
デビュー作ということもあり、文章にテンポや勢いはなくひたすら心理描写が多いかんじでイマイチのりきれない感じもありましたが、それが初恋というテーマに合ってて雰囲気出てました。
甘酸っぱい、というかしょっぱいかんじ?
最後にもうちょっと甘い展開があるとメリハリがついてもっと良かったかなと思いました。
あと攻めもうちょっと頑張れ!
小椋ムクさんのイラストも雰囲気にぴったりの切なくてドキドキする初恋の苦しさも
甘さも、心が震えるほど好きな相手への気持ちが作品から溢れてくるように感じます。
初恋って実らないって言葉がこの作品を読んでいると、こんな風に相手に打ち明ける
ことも出来ずに淡く後悔と心を残しながらも終わってしまうのかもと思い馳せました。
好き過ぎて相手に話しかけられただけで舞い上がってしまう。
本当はもっと近くで話したい、話しかけたいけれど心臓がドキドキして体の温度が
急上昇して普通にしようと思っても出来ないジレンマ、初恋ってこんな感じだったかもと
余りにも遠い日の出来事だから思い出せないのですが、この作品を読むと何やら記憶の
奥底に眠っていたものを呼び起こされる気まで致しましたね。
この作品が商業紙デビュー作品だということでしたが、作品に登場するキャラの
心情が文字からあふれ出て来そうです。
表題になっている作品とは別に2編収録されていて、初めに二人が大人になって
再会して、高校生の時に一時停止してそのままになってしまった初恋時間が
一気に再生されるように、戸惑い揺れ動き、それでも溢れた思いを止めることが出来ず
好きだと告げて好きだと返された言葉を受け止めきれずに臆病な心がすれ違いを生む。
プロローグ的な出だしの「初恋の延長線」と表題が受け視点で描かれていて、
ラストに収録されている「春の寄り道」は攻め視点で甘く穏やかに描かれる恋人たち。
恋をすると臆病になってしまう心が共感できてしまうストーリーで素敵でした。