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sweet revenge
切なさと痛さが最高潮!な感じの2巻でした。
南仏で甘い蜜月を過ごしたアルジーとバート。
心が触れ合い、二人の距離も近くなったかも?と甘いときめきを覚えるバートに、
英国に戻った途端いきなり別れ話を切り出すアルジー!
お前は鬼か!(怒)と。本に向かって叫びそうになりました。
アルジーは壊れているというか、病んでいます。
そんな彼を支えて「愛したい」と願うバートですが。
アルジーの抱えている心の闇や、彼を縛る色々なものについて
知って行けば行くほど、自分の愛を告げることが出来なくなります。
客観的に見れば二人とも、惹かれあっていることは分かるのです。
それなのに幸せになれない。お互いの手を取ることの出来ない辛さ。
アルジーは全てをリセットして、バートと一緒に歩いていけばいいのにと思うものの、
簡単にリセットできないアルジーの事情が重過ぎて。
そして物語の舞台は19世紀の英国。同性愛は法律で禁じられています。
世間も周囲も何もかもが、二人の恋を邪魔しているような厳しい状況下で、
少しずつ少しずつ壊れていくバートの姿は涙を誘います。
バートの幸せを祈らずにはいられません。
探偵事務所の駆け出し探偵とそのオーナーという関係のバートとアルジー。1巻は本格ミステリー仕立てで面白かったですが、今回は恋愛要素が強く、前回よりもさらにドロドロしています。
まさに愛憎劇と言ってもいいかも。
出てくる登場人物たちを愛と憎しみが吹き荒れている重たい設定です。
アルジーは家にバートとの関係がばれ、バートに手切れ金を渡して探偵事務所を閉め出て行きます。
なんて勝手な…というかずっと勝手だったんですが、もうアルジーが本っ当に酷い。酷くて酷くて、バートは傷ついてボロボロになって半分病気になるのですが、それもアルジーを愛しているが故。
でも結局傷つくことをバートは受け入れるという、「結ばれてハッピーエンド」という選択は2人にはないのですね。
そんな未来くるのかしら…というドロドロの関係です。
バートに出来ることはアルジーと平穏に幸せに暮らすでなく、アルジーと別れて一からやりなおすでなく、アルジーと一緒にいることを傷つくことと一緒に受け入れること。
アルジーがバートを愛しているとわかりやすい書かれ方をしているからまだ平気ですが、これでホントに感情さえわかりにくいなら単なる鬼畜で冷酷な人間です。
離れることでしかバートを護れない、傷つけることが最後にはバートのためになると思っている人間です。
2人が結ばれるのにネックになっているのはアルジーの娘のクリスティナの存在なのですが、彼女もひどいキャラではあるけど過去が過去なだけにいたたまれない面もある。
誰が悪いとかでなく、全員の言い分があり、そのためにこの2人が結ばれるのには障害がありすぎるのです。
でも一番の生涯は自分の幸せのためにバートを手に入れようとしないアルジー本人。
自分の幸せがどうでもいい人間に恋の成就はあり得ないですよね。
後半「遠い未来の偽り」はアルジー視点です。
アルジーの頭の中は読んでみたかったのですが、思ったよりもものすごい勘違い(?)をしておりちょっと驚きました。
アルジーはバートがアルジーを愛しているのは「錯覚」だと思ってるんですね…。
この人はある意味とてもわかりやすく、とても難解な人です。
バートを愛しているのに自分は幸せになりたくないと思っていて、バートが自分に向ける愛情は哀れみや同情からくる錯覚だと思っていて、なんていうか、もうこんなシリアスで繊細なお話でなけてばいい加減にしろと頭をはたいてやりたい…ちゃんと周りを見ろと言ってやりたい。
愛しているのに「愛しているような想い」という言葉を使っているのがなんともいえないと感じました。
次で本当にちゃんと結ばれるのでしょうか。