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classical love
大学の同級生。
2000年刊行の作品なので、当時の大学生像ってこんなんだったのかな〜と。90年代の名残があります。一丁前に10代からお酒やタバコ、クスリが当たり前みたいな文化は隔世の感があったり、なかったり、、
そんな時代のお話という前提で。
女手一つで宮部を育ててくれた母親は、ラブホテルを経営しています。宮部が幼い頃から仕事仕事で母親らしいことをしてもらえず中学生の頃はグレていたけれど、大学に入った頃には親の事情も理解できるようになっていました。
母親のラブホで学生証を落としていった学生・加瀬は宮部と同じ大学の男子学生で、男女問わずの遊び人と噂されるイケメン。学生証を本人に返すように母親から押し付けられた宮部は、意趣返しを思いつきます。というのも、元カノが自分を振ってそいつに走ったから…!
という始まりなんですが、これ、なにげに男が男に抱かれることに抵抗する心理を掘り下げてくれているお話なんですよね。攻めに対して確かに男としての色気を感じているのだけれど、キスもカキっこも抵抗を感じている受けなんです。
宮部は、遊び人だった加瀬が自分を優しく気遣う度に、女性扱いされているみたいだと嫌がります。とにかく、女性になってしまいそうでどうしても受け入れられない。ゆえにエチも最後まではさせない笑
そこは作者様の作品なので、あっけらかんと元気で男前な受け仕様がうまいこと最後までコトに及べるように誘導してくださいます。男だからって、強がらなくてもいい。誰かに甘えてもいい。宮部が加瀬に頼るしかないと思えるエピソードや、元カノの煽りなんかを通して。
タイトルは、出会いのことなのかな?ハンカチを落として…っていうパロだったというくだりもあるけれど、とても皮肉なメッセージも感じます。
普通の大学生同士の恋愛だし、舞台設定も捻っているわけではないのに、先が読めない面白さがあります。最後は、加瀬の生家がまんまリッチで、やっぱりボンボンだったっていうオチ。しかも、かなりリベラルな家風で、二人の未来は明るそう…。この頃のBL、好きだなァ。
読後感の爽やかさは裏切られないので、他の作品も次から次へと全部読みたくなってしまいます。ハマる人はハマる、とても魅力的な作家様だなーと思っています。
タイトル通りで始まる恋のお話ですね、受け様はラブホテルを経営する母親から
落とし物を受け取るが、それは同じ大学のイケメンの有名人で受け様にとっては
恋敵と言っても差し支えが無い因縁の相手だったりします。
元恋人に好きな人がいるとフラれ、その相手が攻め様だったのです。
その攻め様が、母親が経営していて、自分もたまに手伝うホテルに忘れ物をしていて、
始めは少し嫌がらせ的な思いもあった受け様ですが、攻め様は意外にも良い奴で、
こだわりなんか忘れる程、一緒にいて、楽しめる友人として付き合うようになる。
この攻め様はの一途な感じは、好きな人を振り向かせたい、きっかけが欲しいなんて
わざと受け様のホテルに学生手帳を忘れてきたりしちゃうくらいなのです。
通信機器の無かった時代の、ハンカチを落して拾った相手に声を掛けるみたいな
クラシカルな出会いを作らなければならなかった攻め様の切なさが伝わります。
友人から次第にそれ以上の関係を求めるようになる攻め様と、戸惑う受け様。
それでも、きっと二人は出会うべきだったのだろうと思わせる作品でした。