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maza to gen
非BLで「月魚」みたいな匂わせも何も無いのですが、登録されているのでレビューしておこうと思います。
幼なじみで同い年の政・有田国政と源・堀源次郎のお話です。
2人合わせて146歳。
73歳のジジイ達が、喧嘩したり時にはお互いを思いあったりします。
長い年月を共に過ごしてきた2人だけあり、口にしなくても顔をみたら何かあったなと気づいたり、片方のピンチに駆けつけたりするところが萌えと言えば萌えでしたかね。
憎らしく思ったり、軽口をたたいたりしますが、お互いに無くてはならない存在なのです。
政の奥さんは数年前に家を出て、別居状態なのですが妻にも娘にも愛想を尽かされて冷たくされる描写は悲しくなってしまいました。ある理由で妻に毎日ハガキを書く事になります。
ハガキの内容が面白くて。妻の態度も少し軟化するのが良かったです。きっと毎日届くそれが楽しみになっていたと思います。
源の弟子、徹平と彼女のマミの若者カップルのやり取りに呆れたり、羨ましく思ったり、アレコレに巻き込まれるのもとても楽しく読めました。
このままドラマになっても面白いだろうな、と思いますが私の中の政と源は円陣闇丸さんのイラストで固定しておきたいかな。
章毎の扉絵や巻末のイラストがとても素敵です。
一般小説としては神を付けたいと思います。
ちるちるなので、萌2くらいで。
以前銀行に勤めて家族を顧みず遮二無二働いて、結果妻に出て行かれ娘にも愛想を尽かされている国政73歳と、その幼馴染みである、豪放磊落なつまみ簪職人の男やもめ源二郎73歳の日常を綴ったお話。
完全なる非BLです。でも読んだのでレビュー書きます。
描かれているのは二人の日常で、国政がぎっくり腰になったり、出て行った妻を迎えに行って拒否られたり、源二郎の亡妻とのなれそめ話だったり、源二郎の弟子・徹平が美容師のマミさんと双方の家族に反対されながらも結婚式を挙げたり、という内容です。全6話。
著者が三浦しをんさんなので、軽妙洒脱な文章ですいすい読め、頭の中に容易に映像が浮かび、ぷっと吹き出してしまったり身につまされたりして、楽しかったです。
源二郎が朗らかで自由人で空気を読まない人に見えて、野生の勘並みにかなり聡いので、国政が何も言わないのに心を読んだり、危機に駆けつけたりするのが良かった。
生まれた時からの付き合いだそうなので、ある意味隠すところも何も無く、友情という言葉もふさわしくないほど一緒に居ることが自然な二人の関係が、幼馴染みBLの究極の姿なのか、などと思ったりもしました。(本書は非BLです)
高齢になっても、少年の時と同じような感覚でつるんでいるんだろうなと思いました。きっとどちらかが死ぬまで続く付き合いなのだろうなと。
二人の性格が真逆なことも、国政視点で綴られる拗らせっぷり(でも世代的にこういう人は多そう)も面白いです。
特筆すべきは、全6話の初出がすべて、雑誌Cobaltに掲載されていたということです。1話と2話は別冊Cobaltですが、3話~6話は本誌で、どうやら毎号掲載だったようです。
Cobaltといえば80年代創刊の老舗の少女小説雑誌(現在は休刊)。そこに、小説とはいえぎっくり腰とか熟年別居とか、73歳幼馴染み男性の日常が載っていたと考えると、きわめて愉快です。