好きです、斑目さん。……出会えて、本当に、よかった……

愛とは与えるものだから

ai towa ataerukoto dakara

愛とは与えるものだから
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神36
  • 萌×29
  • 萌1
  • 中立0
  • しゅみじゃない3

--

レビュー数
13
得点
219
評価数
49
平均
4.5 / 5
神率
73.5%
著者
中原一也 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
奈良千春 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
シリーズ
愛してないと云ってくれ
発売日
価格
¥619(税抜)  
ISBN
9784576131849

あらすじ

好きです、斑目さん。……出会えて、本当に、よかった……
斑目が街を出て行くかもしれない。それを一番望んでいたはずの坂下。
だが、誰よりも側にいて欲しいのも斑目で――。シリーズ完結編!

いつもの賑やかな坂下診療所。しかし、斑目が離島の診療所へ医師として誘われていることを聞いてしまった坂下は溜息ばかり。今こそ自分が背中を押さなければ。そうわかっているのに、斑目に側にいて欲しいという想いが坂下を迷わせる。そんな中、生活保護の不正受給問題の事件により街の労働者への誤解が広まり、診療所も多大な被害を受ける。心身ともに傷ついた坂下は、斑目に縋る気持を抑えきれず――。

表題作愛とは与えるものだから

元伝説の外科医で現在日雇い
ドヤ街で診療所を続ける熱血美人医師

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数13

切なさも満足度も、大!

「愛してないと云ってくれ」シリーズ、堂々の完結。

坂下と斑目の葛藤と心情の変化が、とてもとても丁寧に綴られた1冊でした。
読んでいて、すごく切なくて苦しかったのですが、とにかく読み応えがありました。
そして、明るいエンディングにはとても満足!!
いつまでもこのシリーズを、我が家の本棚に並べておきたいと思います。


今回の最初のカラーの口絵は、いつものようにエッチシーンではなくて、
本の展開が読めちゃうような、坂下の笑顔が印象的な絵でした。
どういう展開になるかドキドキしながら読みたい方は、
カラー口絵は見ないように気を付けた方がいいかもしれないです。

わたしはこの本を開いて、
一番最初にその口絵が目に飛び込んできてしまって、
ああ~やっぱりこういう展開なんだよね…と読む前から切なさ倍増でした~
読み終ると、
その口絵の坂下の笑顔の理由が分かって納得…な部分もあるのですが、
できれば読む前には見たくなかったな、それだけがちょっと残念だったところでした。


もちろん今回も明るいくだらない部分もありました。
夕飯中、おにぎりを握るという話題から、
別のもの(ナニ)を握ってくれ、握りません、の押し問答をしたり、
俺のMt.富士も、先生の文化遺産に登録してくれ、とかねw

ですが今回は最初から、
斑目が街から卒業するのを誰より自分が後押ししなくちゃいけないのに、
離れたくない…言い出せない…と、
坂下はとにかく悩みまくりなので、明るい部分もかえって切なく感じました。
「夢の絆」が起こした事件が発展して、
坂下の状況は畳み掛けるようにどんどんと悪くなるし…
そんな中でするセックスは、
坂下が感じるほどに、斑目を激しく求めるほどに、胸が締め付けられるようでした。


でもこの本を読んで、改めてこのCPはすごく理想的だなぁとも感じました。
1人でも沢山悩むのだけれど、ちゃんと正直な想いを相手にぶつけて受け止められて、
支えられていると感じつつ進んでいくところとか。
相手のことを理解しているからこその思いやりも、とても素敵だった。
依存するのではなく、
支えられつつもしっかり前を向いて立って行く大切さも、描かれていたと思います。
そして、
相手を恋人として愛し求めていることをしっかり描きつつも、
(切ないエロも、満たされエロも、とても満足でしたよ♡)
人としても尊敬し感謝しているからこそ、
共に生きたいと互いに切実に願っている様子が、とてもよかった。
その強い願いが別れを難しくさせたのだけれど、でも、そこが激しく心に響きました。

重なり合う自分の人生と相手の人生、両方を見据えての決断。
共に同じ夢を追うという、明るい未来が提示され、
その展開にわたしは、体の中が一気にあたたかなもので満たされるのを感じました。
(詳しくは本を読んで!!)

完結本に相応しく、双葉(髪が短くなった♪)だけでなく、坂下の祖母のフサや、
シリーズ2巻では斑目を取り返そうとしていた北原龍も登場して、
そんなところも楽しめました。


沢山の人がふたりの物語で感動してくれることを、心から願います。

11

お別れしたくない

大好きなシリーズの完結編、この魅力的なキャラたちが活躍する作品が
終を迎えるのかと思うと感慨深いと言うより寂しすぎると思ってしまう。
双葉が街を卒業した時も寂しいと思っていたけれど、班目の卒業はかなりクル。

最後の最後でも、坂下の苦難は続くし、こんな坂下を一人になんて出来ないと
一読者ながら心配していたのですが、やはり街にはなくてはならない坂下、
落ち込み裏切られ傷つけられて凹んでしまうし、気弱になってしまうこともあり、
痛々しさを感じてしまう内容もありましたが、それでも結局は診療所を捨てることも
少しでも患者のために出来ることをすると気持ちが再び坂下を浮上させる。

意固地なまでに一人で散々頑張ってきた坂下が、プライドを投げ打って家族に
頭を下げる姿に、坂下もまた人として医師として成長していたのだと感じます。
そしてまたそんな坂下に影響され、医師として再び歩き始めることになる班目。
彼の成長は坂下無しには語られなかったことだと再実感。
傍にいて、守るつもりが実は精神的に守られ、生きる希望をもらっていた。
そんな風にも感じる内容でした。

班目は街から卒業してしまうけれど、それは近い未来に坂下の元へ再び戻るために
一時の別れ、二人が再びこの街の診療所で共に働く未来が見えるラストでステキでした。
出来ることなら、これは1部完結で次回は医師二人になった後の診療所の姿を
再び見てみたいと切に願わずにいられないくらいもっとこの作品を味わいたい。
いつか再び坂下や班目たちに会えると信じたいところです。

11

二人の未来に幸あれ!

シリーズ完結しました!!
現在のBLなるものに足を突っ込んだ時、初めて ”オヤジ萌え” を自分に教えてくれた作品。
今でも一番萌える ”オヤジ攻め” の理想の存在である斑目です。
下ネタ発言で坂下をからかい、でも、いっぱいの愛情で影になり日向になり坂下を支え
坂下の医師としてのあり方から自らも過去をぬぐい去り、そしてとうとう迎えるドヤ街からの卒業の選択。

わかっていました。
いつかはこういう卒業を迎える日が来ることが。
双葉も卒業して、坂下や斑目と一緒にいたからこそ前向きに自分の未来を掴むことができたのと同じように、坂下と斑目にも必ず転機が訪れることは。
だけどこれが最後かと思うとやはりとても感慨深くて。
読み始めの最初からラストの最後まで、胸が熱くて何故だか涙が止まりませんでした!


前回の事件となった生活保護搾取問題は事件的には一旦決着したものでしたが、後に残ったのは坂下やドヤ街連中へのマスコミによるいわれのないバッシングと嫌がらせ。
斑目を離島の医師へスカウトに来た久住老医師の話を聞いてしまったことによる、坂下の斑目への葛藤。
窮地に陥った坂下が悩んで苦しむ姿と心が丁寧にそれら出来事とともに、セックス描写にも反映されて、切実に胸に迫ってきます。


斑目の事も、背中を押して見送るのが最善と思いつつも側にいてほしいと葛藤するその時のエッチ描写はまるで、快楽に逃げるかのような切迫感が。
どうしようもなくなりとうとう本音を吐露した時のエッチには、切迫感もありながら切実な真の心からの繋がりが。
どちらともにとても濃厚ですが、心が伴い心理描写も混ぜながらなので心に迫るエッチです。
いつものお約束で、今回はおにぎりだの明太子だのMt.富士だのジャアインアトバーだの揶揄するイチモツだったりおちゃらけるユニークなシーンもありますが、それはシリアスな作中のオアシスのようです。
診療所を溜まり場にする常連達のガヤさえも。

今回ばかりは坂下も弱音を吐いて、もう辞めたいと本気で思うなか、斑目の言葉がとても心に響きました。
辛いけど、失いかけてわかったまだ診療所を続けたい気持ち。
揺らぐ気持ちの自分を攻める坂下に、弱さがあるから辛い人に優しくしてやれて、弱さを持っているから弱いヤツを理解してやれる。
自分の弱さを認めることを悪い事じゃないと肯定してあげる言葉は、誰よりも斑目から坂下が欲しかった言葉だと思えました。
最初の頃、坂下の進路を猛反対していた両親や兄ですが、素直に頭を下げて援助を願う坂下をどうして切り捨てられるでしょうか?
今までの坂下の真摯な態度があったからこそ、力になってくれる。
その力の大きい小さいはあるけれど、ドヤ街の連中だってそうだったのですから。

今は一時の別れがあるけれど永久ではない。
坂下の夢を己の夢としてくれた斑目が、二人でその願いを叶える為に前向きに踏み出す一歩なのです。
この二人の在り方がとても素敵でした!

奈良さんのイラストも1巻を思うとすごく変化しましたが、口絵カラーの色遣い。
少しくすんだぼんやりとした色が1巻の当初を思い起こさせます。
この口絵を最後にもう一度見返すと、また更に感動が押し寄せてきます。

本当によかった。
シリーズ最終巻、このシリーズを評して「神」を捧げたいです!!

9

未来のために

ついに完結です。

前半、班目たちのいつもの下ネタに笑いつつも
(俺のエキゾチ~ック・ジャペーン!が特にツボw)
もうこんなやり取りも見納めなんだな~と、坂下と一緒に切ない気持ちになりました。


班目と坂下の葛藤と、決断。
それは、20年後、30年後も一緒にいるつもりだからこそ
相手に悔いが残らないようにしてあげたい、という深い愛情あっての選択です。

別れの日の前夜、甘く濃く抱き合う二人。
行為の一つ一つに、互いへの溢れんばかりの愛が感じられ
とても胸に迫ってくるセックスシーンでした。

前に進むのは、班目だけではありません。
メディアのバッシングと診療所の経営難に悩む坂下も、
人情頼りの今までのやり方に限界を感じている。
一度は診療所を辞めようとまで思いつめるも、
班目や、今まで関わってきた多くの人々に支えられ、
まだ頑張ってみようと決意を新たにします。
坂下が今までやってきたことは無駄ではなかったのだと、
これまで積み重ねられてきた人と人との繋がりを感じました。

そんな坂下に、班目が語る夢。
これまでも度々語られてきた、地域医療の経営難問題に対して
彼らはこういう答えを出したんだなと胸が一杯です。
班目の言うとおり、楽な方法ではないし
実現する頃には二人ともジジィになっているかもしれませんが、
何年かかっても実現させてほしい。そう強く思いました。


読後、口絵カラーを見返すと(本編の、あるシーンが描かれたもの)
本当に「卒業」なんだな~と切なく、それでいて温かな気持ちに包まれます。

会えない間、電話でセックスする二人や
いつか班目が帰ってきて、一緒に診療所を切り盛りする二人の姿も見てみたい。

そんな遠い未来に思いを馳せた後は、また1巻から彼らの歴史を辿りたくなる
これからも何度も読み返すであろうシリーズです。

8

二人の未来を応援したい

「愛してないと云ってくれ」シリーズ6冊目にて完結編。

相変わらずの楽しい下ネタもあったけれど、笑いよりも
切なくも優しくしっとりとした、最後に相応しい面白さの一冊だった。


前巻での事件を受けて、マスコミからパッシングされ
経済的にも精神的にも苦境に立たされる坂下の診療所。
さらには立ち聞きしてしまった久住と斑目の話に苦悩する坂下。
斑目の為を思うならば、ここから卒業して貰わなければと分かりながら
自分の側にいて欲しいと願う坂下……

坂下の葛藤がじっくりと書かれ、読み応えがある。
実家に帰る下りには思わずジーンとした。

お互いの存在があるからこそ、苦しい道を歩いていける
光ある未来を信じて向かっていける、
そんな二人の在り方に拍手を贈らずにはいられない。


二人の選んだ道は、大筋では予想通りであったけれど
そこに到るまでの過程が、丁寧に描かれていてとても心に響き
最後のHは、お互いにどれほど相手を大切に思っているか?が伝わる
愛に満ちた濃いもので、読んでいて愛おしかった。

幸せそうな双葉、フサばあちゃん、憎たらしかった龍も出て来きて
最後に相応しく読者を喜ばせてくれる。

いつかもっと おじさんになった あるいは おじいさんになった彼らが
相変わらずの調子で丁々発止とやりとりしながら活躍する姿に
出会えるのを楽しみにしたい。


奈良さんの挿絵は一作目からずいぶん変化して、それには賛否両論あろうが
優しくノスタルジックな今作の色調は、とても美しい。
読み終わってからもう一度口絵をゆっくり見ると、じわっと感慨深いです。


8

かりそめの永遠の楽園から「いってらっしゃい!」

『愛とは溢れるものだから』ではないかと思います。

口絵でヤラれました、着地点が判明しちゃいましたよ…まぁ、わかっちゃいましたけれどね(笑)

最終巻となる今作は斑目の卒業を巡る坂下の恋情を軸に前巻から続く生活保護の不正受給とドヤ街の労働者への偏見による事件が微妙に絡んだ筋となっています。
坂下自身を含んだ彼の周囲は静かに、しかし大きく揺さぶられます。

これまで周囲の人の為に街に起きた事件の裏を探ってきた坂下でしたが今回は自らが標的に。
週刊誌には、あたかも貧困層を陥れたような歪んだ視点で書かれ診療所への投石や噂の余波を恐れた医療機器リース会社の契約解除…徐々に追いつめられる坂下の心境がピリピリと伝わります。

張りつめた空気が漂う中、必死に踏ん張ってきた坂下が身も心も疲弊し弱音を吐く姿に何だかホッとして気持ちがほぐれました。
シリーズが進むにつれ、街のみんなに鍛えられ図太くなった彼ですが、私にはどこか頑なな『良い子』イメージが拭えなかったんです。

これまで自分がつぶされずに頑張れたのは独りじゃなかったからだということに気づき、その支えの中心だった斑目がいなくなることを良しとしながらも心細さとの板挟みで悶々とする姿が綿々と綴られていました。

下品で卑猥な言動すら坂下を愛する気持ちが溢れている斑目は折れそうな坂下を理不尽な暴力から護るために動きます。
斑目loveな美貌のドM医師:北原龍という懐かしい顔を懐柔し紹介させた弁護士:常磐津の活躍で診療所は閉鎖の難を逃れます。
※脇役スキーのアンテナが勃ちました!

坂下も実家へ顔を出し家族と和解。
あらためて自分の居場所と認識した診療所で坂下は斑目の背中を押します。
居心地のいい坂下の隣は手放したくない。
けれどそれではこれからも坂下と共に歩むことができなくなると気づいた斑目も同意します。
互いが本当の意味で独り立ちする瞬間。

どこか頼りなげな坂下を擁護する立場だった斑目が彼を『対等な相棒』と認めた証が旅立ちなんですよね。

斑目の過去を知って一緒に乗り越えようとする坂下に過去から目を逸らしていた斑目も向き合う覚悟ができた成長物語が迎えた見事な大団円でした!

表紙も素敵…双葉が子連れ里帰りしてワイワイとお花見に向かう面子が柔らかいトーンで描かれています。

「いってらっしゃい」
それはまたいつの日か「お帰りなさい!」を言う日までの愛が溢れる約束です!


7

納得の大団円。

こんなに切実に真直ぐに生きる事を真摯に描いた会心の作品です。坂下(受)と斑目(攻)がお互いに影響を受けて、共に成長を遂げる姿に胸熱です。blって騎士(ナイト)や王子様みたいな(攻)に健気で一途で劣悪な環境で頑張ってる(受)と言うようなテンプレも良いですが、敢えて厳しい環境に身を置き弱きを助ける為に果敢に立ち向かう(受)に過去の栄光を捨て去った助平オヤジ(攻)も規格外ですがとても魅力的です。坂下先生も斑目さんも1人の医師として人として弱いところありますが、そこがとても人間臭くて愛おしいんです。日雇い労働者の街で労働者と共に生きていくのは、何も傷を舐め合う為ではなく人としての生きる事への厳しさ辛さ悲しみの中に確かに喜びが存在していてその日常がとても大切なんだと訴えてきました。こんなにblとは真逆の世界観で社会問題を上手く取り入れるなんて、天晴れです。しかも毎回、濃厚エロに笑いがあって重たい内容なのに構える事なく読むことが出来てました。ちゃんと2人がお互いを大事なパートナーとなるまでの過程が自然でとても素敵でした。斑目さんが街の診療所に医師として帰ってきて2人で夢を叶える姿が見たい! 素晴らしい作品でした。










4

このシリーズ大好きでした!

このシリーズは、一巻から購入!今作は読みながら四度も滂沱の涙です!!喜怒哀楽、色々な涙流させていただきました(T.T)斑目が惚れたのが解ります!芯にぶれないモノがある坂下、善い人(日本社会ピラミッド底辺のマザーテレサとお呼びしたい…。)
日常エロ?!斑目のオヤジさかげんには、おやおやと思いながらも、これが無いと「愛してないと云ってくれ」シリーズじゃないよね~♪BLパターンにはまらない変幻自在なエロ台詞に毎回各巻ごとにやられております♡
最近、色々大好きなシリーズが、大楕円を迎え嬉しいよりも寂しさのつのる昨今です。

3

温かい人間ドラマの大団円!

「愛してないと云ってくれ」シリーズの最終巻です。
初期からほっこりさせられる人間ドラマがありましたが
中盤以降は登場人物に情が湧いたせいもあり、
皆が歩み出す人生の岐路一つ一つに
胸を熱くさせられました。

いわゆる万人受けする王道BLとは完成に畑違い(笑)
のような作品ですが、味のあるオヤジはやはり絶品です。
主役格の斑目さんもただの汚いオヤジじゃありません、
酸いも甘いも知り尽くした大人の男です!

まだまだヒヨッ子医師の坂下先生をおちょくりながらも
半歩後ろからいつもガッツリ守り続ける斑目さんの
お陰で、いつも本当に読後感が良い作品でした。

一作目だけだとピンと来ないかもしれませんが、
巻を重ねるにつれ、熱い人間ドラマに少しずつ感情移入
していき、最後は皆と離れがたくなること必至です。

また斑目さんと坂下先生のお話…読みたいです!!

2

出会えて、よかった…シリーズ第6作、斑目x坂下編完結!

ドヤ街で、日雇い労働者と医師が恋をする。いよいよ完結です。
内容は前作「愛に終わりはないけれど」の続きで、貧困ビジネス叩きから生活保護そのものを叩く風潮、そして坂下が生活保護を斡旋している悪徳医師だと誹謗中傷されて、診療所の存続の危機、という展開に。
診療所がそんな状態で、斑目は離島に行ってしまうのか。
行かないで、いつまでも側にいて。
言葉にするとなんとも弱々しく、ただ斑目に寄りかかっているだけに見える坂下だけれど、決してそうではありません。
それは酸いも甘いも噛み分けた懐の深い斑目の方もまた。
どこにも行かねえよ、ちゃんと側にいてやる…
でも、お互いがここまで欲しあっていて、その事で2人がどの道を進んでいくべきなのかをお互いが悟るのです。
この辺りの「情」のほとばしる筆致は中原一也先生の独壇場だなぁ…
最近中原先生は動物系のお話を多く書かれていますが、山本周五郎みたいな時代物書いて欲しいなぁ。
「情」に泣きたいお年頃です…
2人で選んだそれぞれの道も見事。
BLでは珍しく、遠距離を選ぶ、という展開にオトナを見ました。2人は目先の恋よりも、もっと先の2人で生きていく人生を見据えて選択をする。
グッとくるなぁ。
2人の未来に「神」を送ります。

1

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