幼馴染み~荊の部屋~

osananajimi

幼馴染み~荊の部屋~
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神18
  • 萌×221
  • 萌13
  • 中立2
  • しゅみじゃない7

--

レビュー数
9
得点
215
評価数
61
平均
3.7 / 5
神率
29.5%
著者
沙野風結子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
乃一ミクロ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
価格
¥855(税抜)  
ISBN
9784344830011

あらすじ

あいつの心に爪痕だけでも残ればいい――

肌冷えする梅雨のある日、母の葬儀を終えた石井舟の元に、
華やかな雰囲気を纏った長身の男・能登敦朗が訪ねてくる。
二人は十年ぶりに再会する、幼馴染みだった。
十年前、地味で控え目な高校生だった舟は、自分とは対極の
溌剌とした輝きを持つ敦朗に、焦がれるような想いを抱いていた。
しかし、親友ですらない、ただの幼馴染みであり続けることに耐えかね、
大学受験を控えたある日、舟は敦朗と決別することを選んだ。
突然の来訪に戸惑い、何も変われていない自分への苛立ちを覚える
舟の脳裏に、彼と重ねた、苦しくも甘美な日々の記憶が鮮明に蘇り――。

表題作幼馴染み~荊の部屋~

幼馴染みでコンサルティングマネージャー
医療機器専門商社の経理、小学五年生~29歳

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数9

攻めを責めるのが楽しい

沙野風結子さん作品で
ファンタジーでもヤクザでもない
普通の現代ものって珍しい気がしました。
すっごくよかったです!

ほの暗い小学生時代からのお話もよかったし、
それを踏まえて大人になってからのお話もよかった。
大人になってからのお話は
お仕事BLっぽいテイストなので、一粒で二度美味しい感じ。

濡れ場も美しくて官能的でよかったです。
何と言っても乳首を責められて喘ぐ攻めが最高。
BL界、もっと感じてる攻めを
積極的に描いてもいいと思うんですよね!

7

ツンデレ執着攻めサイコー!

めちゃめちゃ萌えた、幼馴染みもののお話です。沙野先生のお話の中でキュンキュンさせてくれたレア作品。

医療機器商社で働いている石井舟の母親が亡くなり、近所の幼馴染みだった能登敦朗が焼香のために舟の自宅を訪れた。高校を卒業してから十年振りの再会にもかかわらず、瞬時にかつて親密だったであろう肉欲を予感させるような謎めいた冒頭シーンから、一気に二人の関係に引き込まれていきます。

二人が出会ったのは小学五年生。能登が舟の学校に転校してきたのがきっかけで、能登が舟の秘密を嗅ぎつけて一方的に彼を支配する形で、二人は秘めた昏い関係を高校生まで続けていくことになります。

能登の家は同族経営の製薬会社。裕福な育ちで友人関係も遊びも派手な能登は、学校では地味な舟とは関わらないのに、なぜか舟の自宅の部屋に度々通って来る。しかも中学も高校も同じ学校に進学し、学校とプライベートな舟の部屋でギャップを見せる能登の振る舞いに戸惑う舟。高校生になって自分の気持ちに気づき苦しくなった舟は、大学進学を機に能登から逃れる準備をしていた…

能登の内に秘めた舟への情動がエロスです!自分の気持ちを言葉にできない/しない未熟さや、相手との距離感を無視するような野蛮さに幼馴染み同士ゆえの甘えがチラつきます。一方的にガンガン舟を攻めまくる能登を拒めない舟の恋心にも、なんとなく自分が能登に執着されていると確信している自惚れが覗くのですよ。なのでムリヤリ好きな作者さんのお話でも安心なのですね笑

二人の過去編にとどまらず、再会後もストーリーは展開していきます。終盤、ドンデン返しが待ち伏せていたりもして、大人編でも引き続き攻めのツンデレ具合を堪能させてもらいました。ついでに能登(兄)と檜山で裏妄想…

中学生の時、二人だけで行った初詣の後に能登の部屋で過ごした一夜とか、高校生になってすぐの、夏休み最後の日の不意打ちキスシーンとかもー、素晴らしいです♡

4

名前のない関係

「幼馴染み」なんて甘酸っぱい言葉が似合わない歪な関係。
小学五年から29歳までの関係を追った作品ですが、
自分は彼の「友達」ではなく「愛人」だと
苦悩しながら過ごす青春の何と暗く閉鎖的なことか。


主人公の舟は、母の葬儀で幼馴染みの能登と十年ぶりに再会。
能登との出会いは小学五年のとき。
学校では話しかけてこないのに、家には頻繁に訪ねてくる能登。
女の子と付き合い、舟より気の合う友人もでき楽しそうなのに
二人きりになると舟の身体に触れてくる。
能登に想いを寄せる舟は、
セックスだけの関係にいつか終わりがくることを恐れ
離れることで能登の心に爪痕を残そうとして…。


昔の舟(受)は、精神を病んだ母親に暴力を振るわれ
刃物を持ち歩くことで自我を保っているような子供でした。
能登と出会ったことで確かに救われた面もあるけれど
能登に恋をし、女子やほかの友人に嫉妬することで
自分には母親と同じ粘着質な面があると知ってしまう。
恋人にもなれない、同じ男として対等に付き合うことも
できない舟の苦しみが伝わってきて切ないです。
何事にも無気力な舟がたった一つ執着できるものが能登なのですが、
その恋で苦しむ舟を見ていると、能登に出会わないまま
死んだように生きていた方が幸せだったのではとさえ思うほど
息苦しさが半端ないです。

舟を飼い殺しにしている能登(攻)。
一見酷い奴なのですが、何か事情があるらしいことは
端々の言動から想像され憎めない。
全てが明らかになってからは、
舟を守りつつ距離をおかざるをえなかった能登の心労が察せられ
幸せになれて良かったと心から思えました。

また、雄々しいのに意外とドMというギャップも面白い。
舟に乳首を吸わせたり、セックス中派手に喘いだりw
家での立場の弱さなども含め、どこか儚げな色香を感じました。
(実際にヤってないとはいえ友人の檜山に狙われてるし、
 舟にも檜山×能登を妄想されてるし…w)


昔は知恵も力も足りず、他者の策謀に振り回された二人が
インターバルを経て大人の男に成長し、幸せを掴み取る物語。
(冒頭、母親の死から物語が始まっているのも象徴的です)
過去のエピソードが鬱屈としていただけに、
ラストの舟の男らしい対応や、二人のラブラブな姿は
霧が晴れたような爽快感がありました。

ただ、能登がそこまで舟に執着する理由は何なのか。
ちょっと舟に対して言葉が足りなすぎではないか。
行間から察することはできるけど、
もう少し能登の心中について説明が欲しかった気も。
コミコミ特典ペーパーは能登視点らしいですが、
できればペーパーで補完するのではなく
本編で分かるように描いてくれれば言うことなしだったかなーと思いました。

13

いびつなのに甘い関係

幼馴染み同士でご近所さんなのに、10年ぶりの再会ものなのです。
それも出会いは小学4年生で、小学生の出会いにしてはかなりシリアス。
受けになる舟の家族は実父の不貞で既に崩壊し、母親はそのせいで
少し精神的に病んでいて異常な行動をすることになり舟にとっては
安らげる居場所がどこにもない状態なんです。

粘着質で執着具合が重い舟の母親と気が向いた時にだけ帰ってくる
無責任な父親とのことで、舟は父親に願って買ってもらった家内安全の
お守り袋にカッターナイフの刃を忍ばせ自分の指先に当てて微笑む、
自傷行為の初期段階で、その時に出会うのが転校生の敦朗なのです。
心の拠り所にしていたお守りを敦朗に奪われ、刃の存在を知られ脅される。

脅されると言っても敦朗が舟の家に行くとかなんですが、母親のことがあり、
友だとすらいない舟にとっては敦朗が来ることだけで嫌なことなのです。
小学生のその出会いからつかず離れずの距離で、同じ時間を過ごす。
それでも普通の友人関係とも違い、学校でも距離があるまま、
次第に思春期になり、直ぐにラブになる流れでもなく、二人の成長過程を
舟視点で描いているので、かなりネクラでネガティブなのです。

嫌だ嫌いだと思っていた相手に執着心を抱く、しかし実母のことがあり、
同じようになるのではと恐れる気持ちがかなり根深い。
舟視点だから敦朗がかなり傲慢で横暴に見えて、さらに舟のネガティブに
拍車をかけるような敦朗の友人との接点が後半でそうだったのかと思わせる。
さらに敦朗の兄の存在がかなりヤバかったですね。
この兄の方がかなり病んでいる気がしますが、知能犯でもありました。

大学入学時に舟の必死な行動で一旦離れたが10年ぶりに二人が再会するが
二人共互いに執着し合う、実はかなり甘い相愛カップルだったと読み終えて
実感することになるのですが、敦朗の視点で描かれたらモロにベタ惚れぶりが
即バレバレになる内容だろうと思えるのです。
かなりシリアスで重苦しい作風に見せかけて実は溺愛型のラブだったと
以外に萌えるお話で面白かったです。

10

終盤までもやもや

「萌え」という感覚ではないものの、話としては面白かった。
ほぼ終盤まで攻めの心情がいまいち明確に表現されていないので、
その間ずっとモヤモヤ、イラっが続きました。
受けに対する言動だけでなく、私生活、交友関係全般において。
歯痒いという表現すら当て嵌まらない。靄がかかった様に
攻めの思考は明確に表現されません。

受けは攻めの言動に悩み苦しみます。
攻めが恋人を作り、別れてしまえばまた自分のところへ通ってくれる。
けれど、自分は攻めの親友にも、恋人にもなれない。
恋人と呼べるような定期的にセックスをする間柄になれたところで、
3ヵ月程度しか恋人関係を継続できない攻めの事なので、自分もその程度で
飽きられ、棄てられる事を恐れてしまう。
攻めに完全に落ちてしまっている自分を悟られない様に振る舞う一方で
夜ごと悪夢に押し潰されそうな精神状態から逃れる為に、受けは攻めから
離れる事を決意し、攻めを騙す様な形で、攻めとは別の大学へと進みます。
攻めから逃れたい気持ちと、親友にも恋人にもなれない相手の心に
爪痕だけでも残したいという思いで。

離れて10年後、母親の葬儀を終えた受けの元へ攻めが訪れます。
大人になり、強くなった二人が再開し、昔は噛み合わなかった(ように見えた)
二人の気持ちは次第に噛み合い始めます。双方の努力によって。

攻めが経験した幼少期の出来事から、「追い詰め過ぎず」という点は
受けを守る為の最優先事項だったでしょうし、距離をとりながら傍に
居るということ自体が、攻めにとっても怖い事だった、という事実が明確に
語られるまでは、攻めの高校時代の言動に対して納得出来ない部分が多く、
読み手にとってはかなりのストレスになるかと感じました。
それでも、ベースを知る事が出来れば腑に落ちない点がいくつかあるとしても、
不思議と納得出来てしまう様な気がしました。
(※コミコミスタジオ特典ペーパーの攻め視点の内容はある意味必読の様な
気がします)

とても読み応えがありました。
つい、受けへの同情心から攻めの事を小憎たらしく感じましたが
それでもチクビが弱いとか感度よくて声が出るとか可愛いなおい。
最後は受けが超幸せそうでよかったね。プラチナペアリングとか同棲とか
社員に向けての「俺の嫁」宣言とか攻めなにかとほんと可愛いな。
乃一先生のイラストも好きだし、また読み返したい一冊が出来ました。感謝。

7

本質的に恋はひとりで落ちるもの

電子書籍で読了。挿絵なし。

がっつりネタバレします。


上記あらすじにあるように、高校生の舟は能登に焦がれていました。でも、私が面白かったのは、小学時代に転校して来てからあっという間にクラスの中心になった能登が、母親から虐待されていて、学校でも出来るだけ目立たないようにしている自分にかまうのかが解らずに「放っておいて欲しい」という気持ちと「見捨てられたくない」という気持ちの間で舟が揺れている部分でした。ここがあるが故に、舟が自分の気持ちに気づいた時の衝撃が、私にも大きく響いたんだと思います。
まあ、あくまでBLというお約束がありますので、読者である私には能登の気持ちが解っている訳なんですが。でも、舟には解らないだろうと思える展開が続く。温度が低くて知的な沙野さんの文章は、読者を煽りません。なのにグッと来ちゃうのは、このお話が舟からの視点だけで作られているからでしょう。

そうだよね、実人生でも相手が何を考えているかなんて解らないですものね。
それでもある日、自分がその人に恋していることに気づく。
ここのドラマが劇的でした。

「エロのチャレンジャー」沙野さんが、このお話でやってくださっているのは「喘ぐ攻め」。
うひゃうひゃ。
これ、私的にはすごくツボりました。

2

いびつな関係

出会ったのは小学四年生。自分を傷つけたところ、攻に見られて、お守り袋に入ったカッターの芯を取られた。それを取り戻すためにびくびくしながら仕方なく中学と高校も一緒にいる。受にとって攻の存在が落ち着く場所。攻に捨てられたくないから自分から離れて北海道大学に進学した。10年後、受の母の葬儀に再開した。

ストーリーは受の視点で進む。攻の視点を読めるのはコミコミスタジオさんのSS。攻は受の小学校に転校する前に同級生が自殺未遂をした。助けられないことを悔やんでいた。だから、受を追い詰めすぎないように気を付けながら、傍にいる。

攻のキャラが面白かった。乳首をいじられるのが大好き、ドM,セックスするとき喘ぐ。ついつい笑ってしまう。リバがないから残念です。

1

過去編は良かった

過去編は★4、現代編は★2、中間をとって評価は「萌」です。

雨音が聞こえてきそうなしっとりとした雰囲気の中で二人の過去の確執を予感させる導入部から、二人が幼馴染としては少し歪な関係ながらもすぐ傍で過ごしてきた七年間の月日が淡々と描かれていて、惹き込まれました。舟視点で物語が進むため能登の心情は言動からしか窺い知れないのですが、それがまた切なく、不器用な舟がもどかしいほどでした。

それが現代に話が戻った途端に焦点がぼやけてしまったようで残念でした。回収されていない伏線があるようなモヤモヤ感とでも言うのか…。結局、思春期の七年間も会えなかった十年間も、能登が何を考えて何をしていたのかとか、そもそも舟のことが好きだったのかどうかとか、明確になっていないんですよね。特に最後のエピソードなんかすごく駆け足でビックリしました。あれ、必要だったのかな…。

3

ブロマンスものなら納得なのですが…

タイトルから想像した内容とは大きく違っていました。
幼馴染みものの王道で、攻めの敦郎が常にクラスで中心の人気ものの陽タイプ、受けの舟が大人しい陰タイプですが、沙野先生なので、一味違う幼馴染みものでした。

最後にアッと驚く秘密が明かされ、小・中・高時代、何故敦郎が舟にああいう態度を取った理由も分かります。改めて小・中・高時代を振り返ってみても、その点どうもしっくりいかなくて。。ブロマンスものなら納得ですが、BLなのでLOVEが重要です。いつの時点で、敦郎が舟にLOVEな感情を抱き出したのか、惹かれた理由も分からず、BLとしては消化不良に感じました。

また地頭は当然良いといえ、高校時代あれだけやりたい放題やっていた敦郎が、難なく某最難関大学に現役合格という設定にも馴染めませんでした。明かされた秘密の件に関しても、自分が敦郎なら、かなりのダメージを受けるし、もっと怒るよなーと思ってしまった。秘密に関わる当事者にも、当然葛藤とかもあったんでしょうが、読者としては文面から推察するしかないので、そこももっと強調されていれば、感情に訴えるものがあったかなーと感じました。

全体に最初から最後まで水彩画のような淡いタッチで淡々と描かれていて、特に盛り上がりを魅せるシーンの演出というのもなく。それでも退屈することなく、最後まで読めたので、一味違う幼馴染みものを求める人には良い刺激になる思います。もう一回読み直すと違う味わいがあるのかもしれない。
自分の理解力が足りないのか、個人的には色々伝わりにくく感じた作品でした。

2

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