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hanakanmuri no seiyaku
中華風ファンタジーで、幼馴染みで主従で(ちょっと下克上も)、その上姫君です。いろんな要素を詰め込んだ、なんとも盛り沢山で華やかなストーリーです。
他に言いようがないくらいの『超!王道』ですので、意外性や波乱万丈を期待される方には向かないかもしれません。
出逢いは10歳と15歳。
先帝の皇子として生まれ、権力争いの結果逃げ延び、有力者である養父に引き取られて『姫』として育った璃炎(りえん・受)と、皇統に連なる貴族の息子として生まれ、兄が反乱軍に荷担したため、奴僕の身分に落とされ、璃炎の養父に助けられて璃炎の傍に仕える耿惺(こうせい・攻)。
2人は主従として8年を共に過ごすうちに、お互いに信頼を深めて行きます。
そして耿惺は、力のある将軍を利用して璃炎を帝位につけようと企む養父に、条件付きで奴僕から武官に取り立てられ、都の離宮に入る璃炎の警護役を任されます。
ところが、自分のある秘密を知った璃炎は『ずっと一緒にいたい』と願い、本人にもそう告げた耿惺を無事逃がすため、心にもない台詞で彼を突き放します。
耿惺は、自分にぶつけられた酷い言葉が璃炎の本心ではないとわかりながらも、事情を打ち明けてくれないことに失望して璃炎を無理矢理・・・
その後、耿惺は出奔して1年が経ちます。
璃炎は養父に、将軍の后として輿入れさせられようとしていましたが、反乱軍に追われて都を捨てた将軍に連れられて逃げる途中で・・・
大元は『王道そのもの』かもしれませんが、それでも先が気になるストーリーで面白かった。非常に私好みでした。大好きです。
ここ数か月で読んだ中ではいちばん好きかもしれないと思うほど。
キャラクターはどちらも健気で一途です。
その分、表向きはすれ違っていてもあまあまな雰囲気が漂っていて、私はそれがよかったんですが、逆にそこが物足りないという見方もあるかもしれませんね。
う~ん、ラストが結構安易というかあっさり気味だったのがちょっと残念かな。とにかく、終盤の展開があまりにも慌ただしいというか端折り過ぎな気がしました。
なにしろ、あらすじにもある『耿惺が(無理矢理のあと)去る』のがもう3/4のあたりですよ?あと1/4でどーすんだ!?と。←しかも『どうなるか』もなんとなくあらすじでわかってるし・・・
確かに面白かったし好きだと思うからこそ、もう少し配分を考えて欲しかったなと感じました。
個人的に『無理矢理』が(ついでに『下克上』も)すごく苦手なので、あらすじでどうしようかかなり迷ったんですが、結果としては買って・読んでよかったと思っています。
無理矢理とは言うものの、お互いに心は相手にあるのがわかっていたのでたいして気になりませんでした。すごく暴力的ってわけでもないし。
秋山さんのベタ甘王道系統の『ファンタジー』や『花嫁もの』は安心して読めて基本好きなんですが、時々予想外の方向に行かれる作品があるので少しでも不安要素があると警戒してしまう。
ただ、帯の『いつか奪いに来る(要約)』は耿惺が璃炎を無理矢理に抱いたあとの台詞なんですが、↑でも触れたように、本文の約3/4時点だよ?これを帯に載せるのはどうなんだろうと思ってしまいました。
さらにラスト1/4に入ってからなのに、あらすじに『立場逆転』って書いてあるんですが・・・
まあ、ハッキリ言って『ネタバレがどうこう』という題材ではないかもしれないけど、やっぱりちょっと微妙です。←こういう『内容ほとんど書いてあるじゃん!』ってあらすじ、たまにあるよね・・・
でも、トータルではホントにすごく好きなんです。だからこそ惜しいと感じてしまったんですよ。
あとは、みずかねさんのイラストがとても綺麗で素敵でした。
みずかねさん、決して苦手でもキライでもないんですが、作品によっては『う~ん・・・』というのも結構あるんです(もちろん個人的好みにおいて)。
でも、こちらはホントによかったです。イメージもぴったりでした。
甘い中華風ロマンス、帝の地位を巡っての争いを背景に描いた身分差ラブ。
もっとも、身分差も実は逆だったのねと言う流れもありましたが、
運命に翻弄されたような二人が出会い、共にいることで信頼と愛が芽生える話。
権力争いで前帝の忘れ形見である崔璃炎は身の危険を感じて宮中から母と逃げる最中
母が殺され、璃炎と乳母は宮中でも力のある養父に引き取られ男だということを
秘密にしながら姫として育てられる。
帝の権力争いに男だと知れて巻き込まれないための策なのは中華ものには
ありがちな展開です。
攻めになる崔耿惺も崔璃炎と苗字が同じですが、耿惺はもっと昔の帝の血を引いていて
元々は傍系貴族なのですが、世が荒れ始め、実兄が今の帝に反旗を翻し謀反を
企てたとして、親族もろとも身分を剥奪されて奴僕に落とされる。
それを璃炎の養父が助け、璃炎の傍仕えにしたことで二人は出会います。
男でありながら姫として育てられ、始めはその秘密を知らなかった耿惺は
璃炎に秘密を打ち明けられるが、不憫な境遇が余計に璃炎を守ると誓うくらい変わらない
始めは兄弟のように、年上の耿惺が一足先に璃炎への恋心を自覚していく。
璃炎は無自覚ながらも耿惺さえいれば何もいらないと思うくらい心を許している。
そんな二人は成長と共に権力争いに巻き込まれ、璃炎を利用しようと養父や将軍が
暗躍するなかで、耿惺も養父に捨て駒にされ、命を奪われてしまうような危機に、
璃炎は一生傍に居て欲しい相手を助けるためにひどい言葉と態度で自分の傍から
追い出すことになるのです。
耿惺は自分の力のなさに無力感を感じながらも必ず璃炎を守るために迎えにくると
そんな言葉を残し、姿を消す。
力をつけた戻ってきた耿惺にある事情から素直に嬉しいと待っていたと言えない璃炎。
それでも、どんなに拒絶され嫌う言動を言われても耿惺の気持ちも行動も変わらない。
すれ違いや誤解があるけれど、それ以上に本人に拒絶されても璃炎を守ると
誓った耿惺の変わらぬ心が男前で健気です。
そんな相手にいつまでも意地をはれる訳もなく、思いが溢れる。
甘くて一途な中華ラブでした。
最近よく秋山みち花さんの本を読んでます。王道のシンデレラストーリーが得意な作家さんだと思われます。
今回は西洋ではなく中華風の甘いラブストーリーです。
あらすじは他の方が書いてくださっているので、感想だけ。
本心を必死に隠しながら愛する人を救おうとする璃炎が愛おしいです。
周りに振り回されながらも子供の頃より一途にお互いを想い続けた二人に感銘をうけました。
みずかねりょうさんの絵が美しく、うっとりします。
意外性のある物語ではないですが、私はとても楽しめました。
細かな設定は気にせず、おとぎ話の様な物語が好みの方にはオススメです。
みずかねりょうさんの絵の美しさ惹かれて手にとりました。
璃炎は帝の弟として生まれるが政変のゴタゴタから身を守るため女として育った深窓のお姫様です。
姫を守る従者 耿惺は謀反に失敗した家の息子として家族を守るため奴僕に身を落とした青年です。
謀反人の息子、冤罪から逃亡、やがて民衆のために立ち上がった将軍として暴君を退け皇帝になった耿惺ですが、実は璃炎を手に入れ得たいがためだけに最高の地位についた一途な男でした。
璃炎は謀反人として追われる耿惺を逃すために心にもない言葉で傷つけます。
嫌われても耿惺を生かしたかった璃炎の健気さに泣けました。