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あんたが俺だけに我が儘を言うってのは、いい気分だ。
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作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
ウノハナさんの描く、魔法使いのロテール(受け)が
表紙から素敵すぎてハートをガッチリ掴まれました!!
流れるような黒髪と華奢な体躯に、魔法使いの衣装がとってもお似合いです。
魔術を生業とし、友人もなく、笑顔も見せず、
淡々と日々を過ごしているロテール。
寡黙でクールな彼ですが、誠実で、弟思いな一面を持っています。
そして人との接触がないせいか、世間知らずで色々ズレているのが可愛いんです♪
自分の抱く気持ちにも鈍感で「これは、○○って気持ちなのだろうか」と
いちいち首を傾げて、真剣に悩んじゃうところが笑いを誘います。
こういう生真面目系の天然って、なんとか笑顔にしたくなっちゃいますよね。
最初から、ホルガー(攻め)ガンバレ!と全力で応援してしまいました☆
客と店主として二人は出会います。
毎日、ホルガーの店で、前日の固いパンを買うロテールと、
何とかもっと美味しいものを食べさせたい、と思うホルガー。
なかなか心を開かないロテールを、怯えさせないよう怖がらせないよう、大きな体でこまやかな配慮を重ねるホルガーが微笑ましかったです。
その努力が実を結び、やがてお酒を酌み交す仲になります。
酔っ払っちゃうロテールはとっても色っぽくて、ここは必見です!
ロテールは魔法使いなので、壮絶な過去もあり、危険な仕事も引き受けます。
それが心配で仕方なく、ハラハラしちゃってるホルガー。
友人以上ではあるものの恋人ではない、もどかしい雰囲気が良かったです。
ある時、ホルガーが疫病に倒れ、生死をさまようことになります。
その特効薬としてロテールは、自分の大切な存在であった故人(有角人)のかたみの角を迷いなく差出し、ホルガーだけではなく、村人全員の命を救います。
それまで仙人のように欲のなかったロテールが、生まれて初めて、死にかけたホルガーを助けたい、ボルガーに愛されたい、と、切迫した希望を抱くところは胸が熱くなりました。
真面目なロテールは、H方面はお堅いのでは?というのも杞憂でした。
ベッドではとても素直で可愛くて、世間知らずちゃん最高!でしたね(笑)
このギャップはとっても嬉しかったです(*´ω`)
有角人の角を入手した経緯の回想部分も、
幼いロテールの心にどんなに深い傷を残したのだろうと考えると胸が痛み、なおさらホルガーに出会えて良かったな~と心から思えました。
さりげなく気遣い合い、支え合う、こういう距離感が二人にはお似合いです。
食の喜び、人を愛する喜び、そして愛する人に愛される喜びを知ったロテールですが、その後も態度が変わらず、最後まで口調もツンツンしたままなのが痛快でした(笑)
そんなブレないロテールさん、心の中は幸せが満ちているのが伝わってきますよ♪
とっても素敵なお話でした!
イラスト効果も含めて神で!(*^^)v
前作【されどご主人様】の中に出てきた無機質、美形の兄弟子。…何故かパン屋さんに背負子でお持ち帰りされてるのが、ヒジョ~に気になってました。
あの前後にこんなほっこりしたお話しがあったんですね。身体健全、人情味あふれるホルガーと理路整然、情感ゼロっぽいローテル、温度差ありまくりのズレた会話が面白いです♪二人とも立派な大人のはずなのに、心を寄せ身を寄せるまでのもじもじ感もたまりません!…ほんわか泣けてくるんです(・_・、)
それにしても、椹野先生のお話しは、どれも読んでるうちにお腹すいてきます。美味しいもの食べた~い!豪華ディナーとか、スイーツ系ではなくて、お家ご飯!!ホルガーさん、うちにも来て欲しいですぅ~!!!
あと、椹野先生入力する時に、漢字変換でお困りの方、椹は(さわら)で検索すると出て来ますよ~♪
前作「されどご主人様」のスピンオフ作品。
町のパン屋のホルガーは、毎晩硬くなった安いパンをあえて買っていく魔法使いローテルに腹を立て、
半ば強引に夕食に招待するーというはじまりです。
前作とのつながりは、けっこうあるので、前作を読んでいた方がより楽しめます。
ただ、主人公は違いますし、直接的には関係がないので、こちらを読んで気に入ったら、されどご主人様を読んでもいいのかなーという気もします。
物語は、攻のホルダー視点で語られます。
なかなか、攻視点で進んでいく話というのも珍しく、かといって入り込みにくいこともなく、受のローテルの無機質な魅力や、悲しい過去が存分に描かれていて、一気に読めました。
彼はパン屋なので、せっせとパンをかまどで作るのですが、それがまた美味しそうで…深夜に読んではいけない種類の本ですね(笑)
ローテルは、人間味を一切失ってしまった、ロボットのような魔法使いで、
食べ物を「食べられるか、食べられないか」としか判断しないような人です。
その彼が、ホルダーと夕食を共にするようになり、数々の荒波を乗り越え、
感情を取り戻していくラストは、ついうるっときてしまいました。
またウノハナ先生のイラストが素晴らしい。ファンタジーの背景もきちんと書き込んで下さるのはありがたい。とくに扉絵の、不思議で切ない空気感といったら…!ぜひごらんください。
既刊「されどご主人様」のスピンオフで、前作の魔法使いカレルの兄弟子の話。
前作でもカレルの身に何かあったのではと昔カレルと師匠と暮らした町に赴き、
暴れる竜の封印に失敗して瀕死の怪我を負った兄弟子として出ていましたし、
その時にロテールを迎えに来たパン屋のホルガーが今回は攻め役なのですが、
実は前作でロテールを迎えに来た時には既に相愛の恋人同士だと思っていたので、
今回の作品で、あの時はまだそんな関係では無かったのねとビックリです。
前作の二人の印象が凄く今回の話で良い方に変化していた感じもするんです。
ロテールは冷淡でキツイ性格に見えたしホルガーは寡黙な山男の雰囲気だと思っていたけど
全然そんな感じじゃ無かったですね。
ロテールは冷淡でもクールでもなんでもなくて、単に育った背景や魔法使いの
弟子としての生活で感情の喜怒哀楽の表し方や喜怒哀楽そのものを感じる心が
未発達のまま世捨て人のような日々を送ることで当たり前になった感じです。
パン屋のホルガーは普通の職人気質のパン屋さんだけど、毎日前日の売れ残りの
パンを安く買っていくロテールのことが気になり、魔法使いだと知った後に
ちょっとした意地悪を仕掛けるが、それを淡々の受け流してしまうロテールに
思っていたペースを乱され、いつの間にかロテールに毎日手料理を振る舞う事になる。
陰気で無口で得体が知れないと思っていた相手と過ごすうちに、
ロテールが食に対する欲求も無く、単に生きて行くための糧として食べ、
仕事で忙しくなれば何日も食べないで倒れる姿を見てしまってからは、
初めの好奇心は消え失せ、何故か心配で目が離せない存在になっていきます。
でもこの二人、意外にも鈍いのはお互い様と言う感じもするのです。
ロテールは感情がそもそも育っていないし、ホルガーは何故ロテールが気になるのか
店に来なければ心配してしまうのか、遠く離れた場所から迎えに来て欲しいと言われ、
大事な商売をほったらかしてまで、ロテールの元へ向かってしまうのか、
本人に言われるまで気がつかないのもかなり鈍感さんです。
ロテールは都度論理的思考や考察で、自分の気持ちを探りますが、それも感情的な
面を理解するまでは程遠い。
一足先にホルガーがロテールへの気持ちを自覚し、怪我をしたロテールの面倒を
甲斐甲斐しく見ながら、徐々に恋に~と思っていたら、町で疫病が発生し、
ホルガーが命の危機に、それがロテールの心を人間らしくさせるきっかけになります。
前作よりも心惹かれる内容で、ほのぼのしているのに実は奥が深いと感じるお話でした。
『されどご主人様』のスピン、兄弟子のロテールと、その本の中で彼を迎えにきていたパン屋さんのお話。
前作が出た11年の時、イラストがウノハナさんってそんなに気にとめてなかったのですが(ちょっぴり画風がいつもの雰囲気と違ったので)今回はまさにウノハナさんのイラストー♪という雰囲気のパン屋さん(しかもメガネ)。
そして漫画ではお目に書かれない黒髪長髪の線の細い魔法使いのイラスト。
このイラストが実に、物語の萌えを増幅する働きをしていて眼福なのですヨ!
お話は、前作が魔法や竜やファンタジー要素が満載であったのに比べこちらは大人編とでもいいますか、互いに人間ですので人間らしい気持ちの機微や動きが中心で、とても誠実に進行していく様に萌え萌えしてしまうのです。
何と言ってもロテールのキャラクター。
それは過去に由来するものでありますが、このレビューのタイトルに書いた通りの、それを学ぶ人なのです!!
口減らしの為に魔法使いに売られ、子供らしい生活もしてこず愛情も与えられず感じず、ただ生きていくために必要最低限な生活しかしてこなかったロテール。
食べ物のおいしさも知らず、ただ腹がくちればよい。だから前日の売れ残りのパンを白湯で流し込むという!
とつとつと仕事をこなし、感情を揺り動かされる事のなかったその生活は、その感情の意味を知らずに生きてきたから。
過去、有角人との触れ合いがあり、そこに特別なモノを本当は見出したはずだったのに、そこに芽生えてしまった贖罪の心。
それもあって、感情の成長をしてこなかったの人なのです。
それが、パン屋のホルガーのちょっとしたロテールへの関心によって、どんどんと引き出されていくのです。
その様が枯れた泉が潤っていくような・・・
そこの出来事がまた人間くさくて、ロテールが無自覚なのがいいのです♪
ホルガーは自分のパン屋という仕事に誇りを持って働いている人。
きっと彼の焼くパンは彼の性格そのままに誠実で素朴な味わいのパンなんだろうな~と予想しますv
毎晩、昨日の売れ残りのパンを買いに来る謎の男。彼が魔法使いと知ってまた、顔がとても綺麗なのだと知り、彼に興味を抱きます。
たまたま売れ残りパンがなくなってしまった時に、ロテールを知る為に仕掛けをします。
そこで知った彼の食生活と食に対するこだわりのなさ。
ホルガーは言い訳に自分はおせっかいなのだと言っていましたが、実際面倒見の良い人なのでしょう。
ロテールが放っておけなくなるのです。
仕事に没頭して倒れた時、二日酔いで倒れた時、二度もロテールの介抱をしてどんどんと彼に構わずにいられなくなる、まるでお母さんかお父さんのような(笑)
しかも欲情にとまどったり。
そして、前作の『されどマスター』にかぶさる竜退治の話に繋がり、ホルガーが傷付いたローテルを迎えに行くのですね♪
クライマックスは街に入ってきた伝染性の疫病の展開です。
人々の為に尽くす二人、そしてホルガーが感染して命の危機に陥った時、ロテールは初めて自覚する大事な感情に気が付くのです!
本当に二人が近づく様がとても自然です。
ホルガーもローテルも素敵なキャラクターです。
これで、もう一度前作を重ねて読むとより面白さが増すのかもしれないです。
作者さんの描くホルガーの作る料理。何だか食べたくなってきましたw
異世界系大嫌いだけど横文字登場人物がメイン二人しか出てこないから読めた。だいぶ軽い話。思った通りに話が進んでいく。電書セールじゃなかったら⭐︎3くらい。何も残らないんだもの
「されどご主人様」スピンオフ。前作の主人公であるカレルの兄弟子・ロテールが主役を務めます。
親から引き継いだパン屋を経営しているホルガ―は職人気質のパン職人。自身の仕事に誇りを持ち、お客様に美味しいパンを提供しようと努力しています。しかしホルガ―の客の中に一度もまともな味のパンを食べたことがない人がいました。毎晩店を訪れて、前の日のパンを買っていく青年です。常連客の話から、その青年の正体が魔法使いのロテールと知ったホルガ―は悪戯をしかけますが、成り行きから夕飯を奢ることに。食事の席で話をしていくうちにロテールは生きていくのに最低限食べられればいいと、食の味には拘泥していないことが判明します。ロテールにとって食事は生存のための糧にすぎず、楽しむ行為ではなかったのです。そのような考え方の根底には貧困ゆえに魔法使いに売られた体験がありました。生まれたときから町暮らしのホルガ―にとっては衝撃的な事実でした。
その夜以来、ホルガ―はロテールを放っておけなくなります。ある日魔法使いの仕事に夢中になって食事を取らず倒れてしまったロテールを介抱したホルガ―。面倒見のいい彼は毎晩一緒に夕飯を食べようとホルガーに持ちかけます。毎日夕食を共にすることで二人の距離は近付き、ホルガ―は徐々にロテールに惹かれていくのですが…。
「食」が物語のキーワード。椹野作品では登場人物が美味しそうに食事を取る場面が多いですが(そのものずばり料理店を舞台にした「にゃんこ亭のレシピ」シリーズもあります)、ただ美味しくいただくだけではありません。「食」は「生」と直結しています。「食」によって「生」を充足させるということはその裏返しである「死」も考えさせます。椹野作品では「死」が身近な題材として扱われている作品(「奇談」・「鬼籍通覧」・「ネクロマンサー・ポルカ」等々)が往々にしてありますが、そのような作品群でも食事の場面が描かれています。「食」を楽しむことは「生」を楽しむことであり、同時にいずれ訪れる「死」を意識させます。そこで描かれる「死」は過剰に恐れたり忌むものではありません。
本作のロテールは食事の喜びを知らなかった。その理由は幼少期の極貧が関係していますが、手に職あってお金を稼いでいる現在ならば食事を楽しむ金銭的余裕も気持ちの余裕もあります。それでも「食」の本当の意味を知ろうとしていませんでした。そのような在り方では生きることの本当の楽しみも分かりません。ロテールは他者との温かい交流もなく、心通わせられる相手もいませんでした。ロテールにとっての「食」が生命を維持させるための行為であったのと同様に、ロテールの「生」はただ心臓を動かして呼吸しているだけの生命活動にすぎなかったのです。しかしパン屋のホルガ―との出会いによって、ロテールは「生」の本当の喜びを知っていきます。
物語の中盤ではロテールが竜退治で怪我を負ったり(詳細は前作に描かれています)、後半では疫病が流行ったりと「生」と「死」がより意識させられる物語でした。
なお余談ですが、本作の舞台は街。前作では村が舞台だったので、同じ世界観でしたが、だいぶ雰囲気が異なりました。作中でホルガ―がロテールとカレルがいる村を訪れたとき「まるで別世界に迷い込んだような気分」になったり「おとぎ話みたい」と評するように、魔法が息づく国でも村と街の差はやはりあるのです。