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tousui no ristorante
シリーズ文庫化再販の続編は前作が毒舌女王様でツンデレな竹彦と
情熱的なスペイン出身の天才料理人との出会い編で、続編が恋人同士になり
蜜月だったはずが、天才料理人トリスタンの宿命のライバルが現れ、
料理と竹彦を奪われるのではないかというような展開の続編になります。
いつもの水上作品だとやんちゃな受けが素敵な攻めに甘々展開ですが、
珍しい感じで受けの竹彦が意地っ張りのツンデレさんで、素直になれないタイプ。
まして二人とも各々有名な大人の恋の展開ですから、やっぱり希少かも。
続編はそれでもなんやかんやと言いながらも甘い恋人同士の二人に亀裂が入る。
その原因は過去にトリスタンが挫折を唯一感じた相手が日本へ現れライバル店の
シェフになったことから始まります。
ライバルと言っても仲が悪い訳でないから余計に切ない感じもあります。
そして、思考や好みが似ている為にやはり竹彦にライバルも惹かれる。
それをトリスタンが過去のこだわりと現在進行形での互いの料理の悩みがあるから
竹彦がライバルの料理を評論家として純粋に褒めるのが辛く嫉妬し、
その激情のままに竹彦をムリヤリ気味に抱いて怒らせすれ違う内容です。
男としてのプライドがあるから、竹彦に悩みを打ち明けられなかった事で
三角関係に突入してしまう寸前まですれ違う。
それでも、やっぱり情熱の国の男トリスタン、愛する者を再び取り戻し、
自分の大事なものを守るために男らしく勝負の道へ進むのです。
最後はライバルまでもがトリスタンの店に入ることになるのですから
どれだけ豪華なレストランになるのだろうと思える内容です。
そして、文庫化再販での書下ろしは、本編中に不遇のパティシエ青年だった真藤くんが
やはりトリスタンの店に入りデザート担当になって活躍するようになりますが、
トリスタンのライバルに密かに憧れていたはずが、いつの間にか竹彦ラブに
なってしまう展開で、思う向きの違うイケメン二人に求愛される真藤くんが
それをぶった切って、トリスタンに宣戦布告?!みたいなショートでした。
竹彦がトリスタンの言動が好ましくないと思った時駄犬扱いし『ベランダに繋いでおく」とか「電信柱に繋ぐぞ」としかるセリフが好き
トリスタンは、そんなことを言われてもうれしくて尻尾を振ってしまうんだろうなと思うとほのぼのします。
近くにできた新しいレストランのシェフが、トリスタンの修業時代の先輩ザネッティだったが、味や構成がトリスタンと同じで被ってしまい潰しあう危険を回避するために、味の対決をします。
負けたほうがこれまでの味を捨て一からやりなおすという条件で。
シェフとしての総てを賭け竹彦への愛を証明するためにも天才シェフの力の見せ所でした。
対決のその後が想定外で面白かった。
竹彦がトリスタンとちょっとしたことで行き違い、トリスタンお手製の料理が食べられなくなっても体調を崩してはいけないとせっせと作るトリスタンと、処分に困って部下にあげてしまう竹彦がちょぴり切ないでした。
そんなとき、ザネッティに偶然出会い食事を作ってもらい食べる竹彦に、あーそんな状況でそんなことしちゃだめじゃん、と言ってあげたくなりました。
続編からのもう一人の登場人物は無名のパティシエ。
ザネッティにあこがれていながら無能なパティシエの下で居場所を見つけられない青年が、その能力に気が付いた竹彦&トリスタンに引き抜かれてよかったです。そのあとの短編ではもてもてなのにお菓子作りのことしか考えていない天然くんだったとわかりました。