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読んで安心定番の受け攻め交互視点で描かれるお馴染みの流れ、
過去のノベルズ作品の文庫化に文庫化を記念して書下ろしをプラスした懐かしい作品。
水上作品の受けにしては少な目の女王様で毒舌のクール美人が受けになります。
その分、攻めがスペイン人でさすが情熱の国の人と言う感じで口説きもストレート、
ワンコ並に一途な思いを抱いている強気な男になります。
受けになる竹彦はトラウマ持ちで、料理研究家で毒舌であり、まずいものが出てくると
料理の途中に席を起ってしまうと言う冷淡な対応で有名なのですが、
実はそれには誰にも言っていない過去の出来事が原因と言う話です。
そんな竹彦が大学時代の先輩がスペインで見つけた美味しい店を案内されて、
店の見た目だけで、味は期待できないと思っていたし、先輩に紹介されたシェフの
トリスタンは不躾な言葉で、竹彦が胸に秘めていた先輩への仄かな思いが
ばれてしまうのではないかと思える発言をされた事で料理を食べる前から
言い合いをしてしまい、竹彦が味を認めたらトリスタンに欲しいものをやると宣言。
しかし、期待をしていなかった料理はどれも美味しく、竹彦は天才だと感じ
自分が日本でプロデュースする事になっているシェフにスカウトするが断られ
名誉とお金が欲しいだろうと言う竹彦の言葉にお前が欲しいと人前でキスされる。
もちろん竹彦は怒り、そこで二度と会わないと誓うが、トリスタンは竹彦に
本気で一目ぼれしていて、竹彦を手に入れる為に日本を活躍の場に選ぶ。
竹彦の所へ押し掛け料理人として出向き竹彦の食事を作りながら口説くのですが、
それと同じくらい竹彦が何かから頑なに身を守ろうとしている事に気がつく。
竹彦のトラウマの原因の義父とトリスタンは竹彦を守る為に戦って竹彦を救い
恋人として手に入れるストーリーです。
そして、過去に読んだけれどと言う人に、甘々な書下ろしが1本収録されてます。
ショートですが、竹彦と元婚約者との新たな関係に嫉妬するトリスタンと
ツンデレの竹彦とのラブラブな後日談です。
水上先生の作品はセレブな甘さがあって安心して甘さに浸れるので嬉しいですね。
身体から始まる関係はよくある話ですが、口から始まる関係というのも新鮮です。
美味しいものが食べたくなる本でした。
それも豪華な敷居が高そうなレストランで。
次々と出てくる斬新な料理が想像を絶する形態だったり、タイトルが詩的なので読みながらいろいろ料理のことを思い描いてしまいました。
でも官能的な味ってどんな料理なのでしょうか、ぜひ味わってみたいものです。
自信家でプライドの高い天才シェフ・トリスタンがひとめ惚れした料理評論家・竹彦に対してだけは、ヘタレた下僕になってしまうところがよかったです。
竹彦の婚約者だった女性が騒動を起こしたり執着するタイプじゃなくて結構いい人だったので拍子抜けしましたがしつこくからんでこなくてよかったです。
自分が作った食事だけを食べることを強要し軟禁生活を送らせた義父との関係はちょっと怖いものがりますが、そんなトラウマから救ってくれたトリスタンに惹かれるのも当然かもしれません。もっとも味のほうは一目ならぬ一口惚れでしたからね。
竹彦プロデュースのトリスタンのレストランがオープンするところで終わるのですが
その後のお話は続編『陶酔のリストランテ ―美食の悦楽2』で楽しめるので
セット読みたい作品です。
絶版となっている新書版の佐々さんのイラストも素敵だったのですが、陸裕さんのふんわりキラキラした絵もきれいです。