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キ・ミ・ガ・ス・キ・ダ・カ・ラ。
funwari flower
タイトルのフラワーの前についているふんわり、ふんわりな花ってなんだろうと
思って読みはじめたらバルーンのお花だったのです。
バルーンアーティストとフラワーアーティストがリニューアルオープンするホテルで
10年ぶりの再会をして、恋人になるまでの内容なのですが、全体的にほのぼの感があり、
でも、悪役がしっかりいて、トラブルに巻き込まれながらも最後は素敵で可愛らしい
結婚式での仕事を二人で仕上げてのハッピーもので後味ほんわかすっきりな作品。
ふんわりした雰囲気の作品に爬虫類のような悪役が緊張感を所々で与える。
悪い噂なんて軽い、しっかり犯罪者な悪者ホテル支配人が不気味でした。
そして、主役の二人、再会ものだけど10年前に1度会っただけの存在な二人、
でもそれが攻めになるフラワーデザイナーの苅谷の運命を決定づけた瞬間でもあり、
10年もの間忘れる事が出来なかった出来事なのです。
それが仕事の依頼の件で訪れたホテルで出会い、10年前の面影をそのまま残した
受けになるバルーンアーティストの尚人に再開した事で、10年ぶりに見た尚人に対して
懐かしさと言うより恋心を抱いてしまうような流れ。
対する尚人は10年前の出来事を同じように覚えているけれど、その相手が狩谷だとは
気がつかないけれど、初めから見た目も素敵な狩谷に懐いて気を許す展開です。
そんな二人の互いの仕事や背景など過去を交えた回想もありながら、
思いを重ね合うようになるまでをそれこそふんわりテイストで描いている作品で
イラストともマッチしていてとても良かったです。
フラワーアーティストとバルーンアーティストの出会い。
扱うものは違えど、人々を癒し愉しませるモノを作り出すというアーティストな部分は共通項。
このお話の良いところは、こうした仕事のお話を軸にそれぞれの想いがあり、その気持の成長していく過程で仕事に絡んだ突飛でない日常的なトラブルがそれを促進する要素となり主人公のキャラクターもあり親近感を覚えること。
また仕事に誠実で、各々がまず自分で努力をしていくという、すぐ助け舟を出したり干渉したりせずに、相手を尊重している部分がまた違う馴染みやすいお仕事がっつり系の様子を見せて入りやすく、キャラクターが魅力的に見えることかもしれません。
華道の家元の家に生まれながら、その道について悩んでいる時にバルーンのイベントで出会った少年。
彼が作ってくれたバルーンの花が彼の心の迷いを払拭して自分の歩むべき道を決断させてくれたことで、フラワーアーティストとして名を馳せ、現在この地方都市でフラワーショップを開いた苅谷。
小さい頃からバルーンアーティストとして活躍する両親を見て、自分も同じ道を進むのだと決め家族四人でバルーンショップをやっていくのが夢だったのに、両親の離婚と自分程思い入れのない兄が結婚して家を出た事で、一人で店を切り盛りしながらアーテイlスト活動をしている尚人。
この二人が主人公。
メインは尚人に起きる出来事と彼視点で進行し、苅谷の気持ちや出来事も彼視点で挿入されてながら同時進行していきます。
その境目が空白の行なので、転換部のわかりづらさが少しありますが、両方があることで気持ちの推移はわかりやすいです。
主軸となるきっかけは結婚式場のリニューアルに伴い新しく来た支配人の原田が苅谷の大学の同期で、苅谷を呼んだこと。
支配人が変わっても使ってもらいたいと尚人が営業をかけることで、二人は再会します。(とはいっても、苅谷は後になって気が付き、尚人は全くわかりません)
この尚人、まっすぐで明るくて、ちょっと歳より幼い感じもするけれどバルーンに対する情熱は誰にも負けないそれ一筋の人。
一人で店もやって作業もやってと大変だと思うのですが、彼を支えてるのが年下の幼馴染の女の子。
この子が実にしっかりした子で、NLだったら尚人とくっつくに間違いない存在なんですが、彼女は尚人の兄が好きだったということで、尚人にとっては対象外になってます。
忙しいのと、彼が人当たりがよくてきつくなれないのが原因してか、苅谷との一番の接近の元となったのが、バイト主婦の万引き事件。
これ、万引きっていうより横領とかになるよね?
読んでいてムチャ腹立つ主婦でしたよ!!!
その時に一人で頑張っている尚人に弱音を吐かせてくれたのが苅谷。
このシーン、自分の家族4人でっていうバルーンへの夢や、両親の離婚のショック、兄がいなくなってしまったことの寂しさ、そんな色々を全部一人で抱え込んで弱音を吐いてこなかった尚人の心情が伝わって、ジ~ンとしました。
公私もなくバルーンの為だけに生活しているような彼を裏切るような主婦の行為は、ほんとう切ないです。
そして、冒頭から蛇みたいに超嫌な奴オーラを出しまくって尚人に難癖をつけたり苦しめたりする支配人の原田。
彼もよくある傲慢で、上辺だけの自分の事しか考えてない人を見下した最低男!
苅谷とは友達でも何でもないのに、自分が自慢したいばかりに彼を呼んで言いたい放題。
苅谷はそれがわかっているからあしらいも得たものだし、原田も苅谷の名声を利用したいから彼には余りムチャはしない。
だけど、尚人には無理難題のセクハラまで!?
苅谷は原田がそういう奴だとは知っていたけど、ここで出しゃばって尚人を助けなかったのが、実はよかったと思うのです。
最後のピンチはさすがに助けに向かいましたが、それでも尚人は自力で脱出するし、この底力がいいのですよね♪
とにかく、まっすぐでちょっぴり切ないけど主人公達が前向きにいる様がよかったのです。
題材は面白いけど、文章と展開が自分にはちょっと合わなかったです;
一番気になったのは文章。
三人称体で、登場人物の心の声が「」で表現されています。
この手法で攻と受が交互に心中を語ります。
モノローグを「」や()で表すやり方が悪いとは思いませんが、本書は「」使いすぎ。
流れがブツブツ切れてリズムが悪いです(泣)
例を挙げると…
(142ページ)
「苅谷さんは、どうしてこんなに親切にしてくれるんだろう」
見るに見かねてかもしれない。
「俺が危なっかしいからかなぁ。そうだろうなぁ」
声をかけてしまった以上、なんとかしてやりたいと考えているのかもしれない。
「本当にいい人だよ。かっこいいし、優しいし(中略)」
兄も何かあれば連絡してこいと言ってくれる。
「刈谷さん、兄ちゃんみたい」
何これ独り言?神との対話?
「」で強調するほどの内容か?
んなことは地の文で言えーーー!
…実際はこれほどイライラしてないですがw
わざわざ「」で括る必要性ある~?という点で馴染めない文章でした(汗)
で、「」で統一するのかと思いきや、176-180頁の独白は地の文のみだし。
ここシリアスですよ~と強調するため?
「」なしでも書けるなら、全部そうしてくれた方が読みやすかったかな~
話の内容は、
子供の頃運命の出会いをしたバルーンアーティストとフラワーデザイナーが、結婚式場装飾の仕事を通じて再会するという話。
お仕事BLとしては面白いです。
特に、世界的に希少なヘリウムガスをめぐる受と支配人の意見の対立は、近年のTDRのニュースなどを思い出し興味深かった。
でも、萌えはなかったかな…。
一度会っただけで最初から両思いな二人に感情移入できない。
男同士なのにハードル低すぎないか?と思ってしまう。
あと、性犯罪者まがいの支配人を糾弾せず、
ただ二人イチャイチャ~なクライマックスもいただけない。
二人と関係ない他人が声を上げたことで支配人が退場するという都合の良いラストが好きになれませんでした。
題材は好きなので「趣味じゃない」とまではいきませんが…中立で_(._.)_