イエスタデイをかぞえて

yesterday wo kazoete

イエスタデイをかぞえて
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神99
  • 萌×227
  • 萌25
  • 中立6
  • しゅみじゃない10

--

レビュー数
23
得点
684
評価数
167
平均
4.2 / 5
神率
59.3%
著者
綾ちはる 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
黒沢要 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
価格
¥657(税抜)  
ISBN
9784778115074

あらすじ

『三島冬至様、お迎えに上がりました』突然目の前に現れた二人組の死神にそう告げられ、大学生の冬至は自分が死んだことを知る。最後に一つだけ願いを叶えてくれるという死神の言葉に冬至が選んだのは、死ぬまでの人生のやり直しだった。自分が居なくなった後の、恋人・椿 武彦の苦しみを想像すると辛い。恋人にならない様、出会った頃の記憶を頼りに再び人生を送る冬至だったが、己の取る行動が尽く裏目に出てしまい――。

表題作イエスタデイをかぞえて

経済学部の王子様
文学部の大学生

その他の収録作品

  • イエスタデイをひろって

レビュー投稿数23

アンハッピーからスタート

アンハッピーから始まる奇跡のファンタジーラブって感じでしょうか。
ショコラ新人賞受賞作品なのですがこれは期待以上に面白かった。
賞を取ったからと言って全てが面白いと感じるものでは無いけれど、
ファンタジー好きの私にはかなりツボを突いた作品で感動までしてしまった。

大学の同期で恋人同士の三島と椿、物語は三島の事故死から始めると言う悲劇的なもの。
恋人との関係で、今まで生きてきた中で1番幸せで、いつ死んでもいいと思えるくらい
幸せの中にいた三島がまさかの急死。
そんな三島の前に二人の死神が現れ、三島の最後の願いを叶えてくれると言う言葉に
三島が願ったのが、恋人と知り合う前の1年前からやり直したいと言う願い。
それは、自分がいなくなった後に残された椿の事を思い、恋人にならない道を
1年前からやり直すと言う三島の恋人を想う精一杯の気持ちなんです。

やり直すことになった時間、でも運命は皮肉なもので同じような展開に
なるように仕組まれているような流れですね。
それを必死で気持ちを押し殺し、恋人だった相手を辛辣に避け、自身が傷つく。
愛しているから、悲しませたくないから、初めから接点の無い関係になろうと
必死でタイムリミットをやり直す三島。

読み進めていくと切ないまでの恋心が胸に染み入るのです。
それに読んでいて自分の勘違いも後半で気がつきました、三島はてっきり攻めだと
思って読んでいたら、受けでびっくりしちゃいました(笑)
勝手な勘違いなのですが、三島のやんちゃな感じや椿に対しての言動での勘違い。
それも個人的には面白かった訳なのです。
表題が三島視点での話で、同時収録されている話が椿視点での話。
1冊で2度美味しい読み応えたっぷりの作品です。

ただ、椿視点の後半は何度も涙に邪魔されて読めなくなってしまうと言う
かなり大変な状態になりました、不覚にもボロ泣きしてしまうのです。
三島視点よりも椿視点の方が、椿の三島が思っていた以上の想いが凝縮していて、
相手の死が全然信じられない現象と言うのは、読んでいても苦しいものでした。
こんな作品を書いてくれる作家さんに出会えたのが嬉しくなる作品でもありました。
あの死神も愛ゆえの存在ですね。

16

痛い話かと思いきや

BLアワード2014の小説部門にもランキングされていて気にはなっていたのですが、痛い話かなあと手に取ることはなかったのです。でもちるちるさんのBLニュースでCDになるとの記事を拝見。興味をそそられ読んでみました。

内容はすでに書いてくださっているので感想を。

初っ端から人の死という重い出だしで始まるので、最後まで読み切れるかと危惧したのですが、ストーリー展開が非常にお上手であっという間に引き込まれてしまいました。

死んだときに一つだけ願いを聞いてくれるという、その発想も良かったし、「恋人を残していくのが心残りだから『恋人にならないように』出会ってからの1年間をやり直したい」という展開もユニークで面白いと思いました。

恋人を悲しませたくないと願う受けの冬至。
どんなに冷たくされても相手を思い続ける攻めの武彦。
二人の抱える恋心に思わずウルっとしました。

ストーリーとしては、この二人がどうなるのかは予想がついてしまうのですが、過去の回想と今の二人を、それぞれの視点で書かれているので話に入りやすく、また感情移入しやすい。
二人を取り囲むキャラたちも非常に魅力的でした。長谷川くんや由香子はもちろん、やなヤツキャラの広岡も「あ~、こういう奴っているよね」と思える。冬至にしろ武彦にしろ、お互い恋心を抱くようになるまでの過程も無理がない。これがデビュー作と聞いてびっくり。とても完成度が高い作品でした。

ただ一つ。死神についてです。この二人が冬至たちを救った死神なら、始めに冬至の元に来た死神は誰なの?願いが叶ったってことは二人は消滅しちゃうの?とかちょっとグルグル考えてしまった。あまり深く考えたらいけないのかもしれないけど。

読後はほっこりと温かい気持ちになるお話でした。

10

泣けましたー

ちるちるさんで高評価なうえ私の大好きな路線だったので、すぐ本屋へ買いにいきました。

内容は皆さんが書かれているので、私は読んで涙してしまうくらいジーンときたこと、買っ
て良かったと思った事を伝えたくてレビューを書きました。
これから頑張って欲しい作家さんだと思いました。
できればもうちょっと続きも読みたいなー☆

6

嫌いになれるわけがない

恋人が死ぬ・・ということが決まってるストーリーだつたので
本は手元にあったものの、なかなか読めずにいました。
「これ読んだらぜったい泣くでしょ」と思いながら・・
案の定、私の場合嗚咽ではなく、かなり号泣に近かったです。

冬至目線、椿目線で書かれていることにより
どちらの気持ちにも感情移入できるのです。
最初は冬至。
自分が死ぬとわかって、あんなに愛していた椿を突き放し
自分と関わらないように仕向ける・・・
一度経験したことが蘇り、二人で過ごした時間を思い出しながら。
辛くて悲しくて何度もくじけそうになりながらも
愛する椿のために、心を鬼にして。
自分では鬼のつもりが、椿にはそう映ってなかったんですね。
だって嫌いになれるはずがないんですから。

椿目線は、主に冬至が亡くなってからのことが書かれています。
誰よりも愛していて、誰よりも大切で、
これからもずっと一緒にいるはずだった人がある日突然いなくなってしまう。
どんなに願っても、もう戻ってくることはない・・・
人間て本当に大切な人を突然亡くしその事実を受け入れることができないと
涙も出なくて、思考が停止してしまったように
そこで時間が止まってしまうものなんですね。
椿も冬至の死を頭では理解しているようで、心では理解していない。
そこにもう冬至はいない・・とわかっていても
椿の心がそれを認めてはいない。
長谷川から冬至の最後の言葉を伝えられたとき、冬至はもういない
もう触れることも言葉を交わすこともできないと気づき
初めて涙を流すっことができた椿に読んでるこっちも号泣。
今まで言葉に出さなかったけど、お互いにちゃんとわかっていた
「好きだ」こんな短い言葉がこんなにも衝撃的だったとは・・・
今までわかっているているようでわかっていなかった
ふわふわとさまよっていたかのようなはっきりしない感情から
冬至がもうそこにいないという
現実の世界に一気に突き落とされるような感覚。

そして、印象に残ったのは冬至の部屋を片付けていたお母さんと
椿との会話の中の『携帯電話』の話。
椿からのメールに冬至が保護をかけていた・・
たったそれだけで、泣けました。
男の子が恋人(男)からのメールに保護ですよ。
グッとくるじゃないですか・・
理解あるお母さん、そのメールでピンと来たんですね。
そして椿が持っていた合鍵で2人の関係に気付いたうえで
椿にお礼を言ってくれたお母さん、素敵でした。

そして、長谷川くんはじめたくさんの脇キャラもそれぞれ光っていて
お話を盛り上げてくれていました。
とにかくハッピーエンドで安心しました。
私、こんなに泣いたのに・・・
大学卒業後の2人もなかなかラブラブですが
番外編ペーパーのもっとその後の2人は更に熱くて・・・

切なくも甘く優しいお話でした。
ただ死神の件は、私のような単純な人間にはちょっと理解しにくかったです。


6

泣いた~

多分泣いてしまうだろうと思い、お買い上げしたもののなかなか手を出せずにいました。
なんとなく泣きたい気分だったので読んでみるか!って気持ちに。
読んでみて… 後半のイエスタデイをひろって(攻め様視点)で、途中で本が読めなくなるくらい号泣。
や~、こんなに泣いた本は久しぶりです(;^_^A
受け様の男前っぷりには本当に本当にカッコ良くて。
本のカバーイラストを見るとただただ優しそうな印象ですが、実際はヤンキーなので言葉遣いも態度もなかなか荒々しいです。
死に纏わるお話なので、ハピエンなのか、ビターエンドなのか、バッドエンドなのか読んで確かめて欲しいです。(たくさんレビューがついているので…どんなエンドなのかはバレバレなのですが…)

私には死に纏わる部分がものすごく心に響いたし、
読後、二人の優しい愛と二人の友愛に「あ~読んで良かったなー」って温かい気持ちになりました。

6

自分が死ぬとわかった時

もしも、自分が死ぬとわかった時守りたい物は何ですか?
それは、愛する人の心。

素直じゃなかった自分、ひたすら優しかった恋人。自分が死んでしまったら、この優しい恋人の心はどれほど傷ついてしまうのか…
彼の心を守る為もしも人生がやり直せるなら、恋人にはならない!

恋人にならない様に冷たく接する三島、それでもひたむきに想いをよせて来る椿。

切なくて切なくて、涙が止まりませんでした。
今まで読んだ中で断トツの1番です!!
最後はhappy endなので是非たくさんの人に読んでもらいたいです!

4

私の原点です

私がBL小説で初めて手にした小説です。実はファンタジーはあまり好まないのですがこれははまりました。なんども読み返して泣きました。この小説のおかげでBLの世界にいざなわれました。

3

良かったー

久しぶりに小説読んで泣きました(T-T)
切ないけど苦しいばかりじゃなくて
皆が報われて終わってホッとしました。
作者さんの今後が楽しみです!

2

明日、恋人が死んでしまうとしたら

思わず泣いてしまいました!
前半は、ありがちなタイムループものという印象でしたが
後半がスゴイ。
あえて時系列をバラバラにし、個々のエピソードを補完することで
時を経ても変わらない大きな愛がすごく伝わってきます☆


付き合って半年の恋人・武彦との待ち合わせ場所に向かう途中、
トラックに跳ねられ死亡した大学三年生の冬至。
ひとつだけ願いを叶えてくれるという死神に、武彦と出会う一年前から
やり直させてくれと頼む。
武彦と恋人にならなければ、
自分の死が、これから就活や卒論もある武彦を苦しめることもないだろうと。

死神の力で、記憶を保ったまま1年前(二年生の10月)からやり直す冬至。
生前と同じように、たまたま同じ授業で出会う学部の違う二人。
美形で成績優秀、品行方正で「経済学部の王子様」と呼ばれる武彦が、
一見チャラチャラした外見・態度の、正反対のタイプの冬至を
とても気に入り、仲良くなろうとする。
いつも優しい武彦に冷たくすることに苦しみながら、
それでもそれぞれの友人を交えての友達付き合いが続く。
そして、冬至が死んでしまう10月が訪れ…。


ぶっきらぼうだが、本当はとても優しい冬至。
自分の死が、武彦や友人、老いた親を悲しませることに苦しみながら日々を過ごす。
生前も今も、武彦にはそんな冬至の優しさが分かるから、
どんなに冷たくされても諦めない。
後半の武彦視点の話で分かるのですが、武彦は1年前よりずっと以前に冬至に助けられたことがあり、冬至への恋心は、武彦の生い立ちからするととても必然的に思えました。
全てを知ったあと、命をかけて死神から冬至を守る。
お互いが自分より相手を思いやる愛を見せたことで起こる奇跡は、
死神の気まぐれのようで、実は必然でもあり、ホントに「愛の力」によるものです。


ファンタジーやSFとして読むと、ご都合主義な面もあります。
しかし、死と再生という切り口で二人の半生、恋を咀嚼することで
多くの人や出来事に支えられ出来ている人生の重みというものが伝わり、
深みあるラブストーリーに仕上がっています。

それぞれの家族や、ラブラドールのマリア、
そして、二人の関係に戸惑いつつも応援してくれる大学の友人たち。
それぞれのエピソードが大変印象的で、特に二人を見守る友人たちのスタンスが好きでした。こういう友達は一生モノだと思います。


社会人になっても、皺くちゃになっても、死んでしまっても、
いつまでも仲良く手をつないで一緒にいる二人の未来を、
作品の中でさりげなく見せてくれる。
読後はあたたかく幸せな気持ちになれる素敵な作品でした☆

15

文章から受ける雰囲気は榎田先生

恋人との待ち合わせに急ぐ主人公が急死、そこから始まる切なくてもどかしい話でした。

生き返って、死ぬまでの人生をやり直せる。
主人公の冬至が、死の使者から選んだのは、椿と恋人になる前の1年前からのやり直しでした。
また死ぬことは決まっているから、残された椿の悲しみを慮って、再スタートは恋人にならないように頑張るのです。

生き返った冬至は、椿に近付かないようにするんだけど、冬至以外の人達にも生前と同じ1年だから上手くいかない。
運命とばかりに、恋人になるよう仕向けられているみたいです。
冬至には自分の最期の日までの記憶があるから、椿のこれからの言動が分っていて、自分が椿にどう感動してどう恋になったか、また再確認させられる訳で。
それで、恋心も辛さも何倍にもなる。
冬至の持って行き場のない思いに心がぎゅっとなります(泣)゛

もう1話、椿視点の話が入っています。
椿が冬至と恋人となるずっと前から、もっと奥底、執着し愛し下賜付く存在としていたことが読み取れました。
やはり切ない話ですが、椿を思っての冬至の思惑は、椿になんら影響しなかったんじゃないか?と、椿の思いの強さが印象深かったです。

最近、こういう痛さが特化された作品に出会えていなかったので、新鮮であってなつかしいなと思いました。
2人の恋以外にも、2人をつなぐ日常や優しい仲間のエピソードも多く加えられ、そして文章の雰囲気から、榎田先生の「魚住くん」を読んだ時のようなインパクトでした。
自分の中の最上の褒め言葉なんですが、どうでしょう?

ただですね、
死の使者の老人2人の存在と、今現在の冬至と椿との関わりが疑問で、輪廻じゃなくなるから、パラレルワールドの冬至と椿?
永い繋がりが言いたかったのかも知れませんが、自分には今一不可解な存在でした。
もう1つ、また自分だけかも?なんですが、
ガラケー、クエストなどの語句は、文章が軽くなる・きれいではない感じがしました。
他に置き換えられる言葉があるので、そちらを使って欲しかったです。
切なさにふるふるしていても、それらが目に入ると冷めてしまうので残念でした。

でも、最近の新人賞の中の1番だったのは確かじゃないでしょうか。
次の作品が気になりますv

14

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