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ファインダーに彼の横顔が映り、ボタンを押す指に力が入る。耳慣れたそれは――恋に落ちた音だった。
shutter
初めて読んだ作家さんですが、、、
全体のバランスというか、萌どころがたくさんあって良かったです。
病院で受けの檀をそっと見ていた攻めの青磁。実はゲイで同僚らしき医者との痴話喧嘩?の現場に出くわしてしまう。
檀の方は付き合っていた大園に結婚すると告げられ、別れ話で拗れ中。縁を切るつもりで引っ越ししたら隣が青磁の部屋だったという偶然、必然。
そこからは、青磁は檀と恋人になるべく努力し、檀の方も惹かれていく。王道ちゃ王道なんですが。そんな時に大園が檀に忘れられないとまた復縁を迫り、そこへ青磁が割って入るんですが青磁は倒れてしまいます。彼の白血病が再発してしまったから。
ここで大園は車で逃げるかと思いきや、病院まで車を走らせると言う。
医者だから、とも言えるんですが、大園もいい奴じゃんかー。てっきり逃げると思ってたよ(笑)
お兄ちゃんも実はいい奴だし、お父さんも話のちゃんと出来る真っ当な人。青磁の主治医もステキな役回りだし。
檀の青磁に対する気持ちの動きと、悩みが良い方に転がっていくのが読んでいて気持ちよかったのと、10歳以上年上の檀が可愛くてキュンキュンしました。みずかねりょうさんのイラストが、全員男前だし♪
読後感の良い、悪い奴が出てこないお話、こういうのも良いなって思いました。
丸ごと1冊代表作です。
意味深な題名と美麗な表紙に惹かれて購入しました。
天根(受け)は、7年付き合った相手・大園が結婚するからと別れたものの、大園は今までどおりにしたいと家まで押しかけます。それを隣に住む青磁(攻め)が割って入り、恋人のふりをすることになったので、ストーカー男を撃退しながら偽りの恋人に悩む話かと思えば。
全体の半分も行かないところで、急展開。青磁が白血病と分かり、天根が青磁の家の確執解消に乗り出す話になりました。ビックリ。
シャッターという題名と表紙から、ちょっと怖かったりヤンデレっぽい内容かと思ったら、全く違いました。でもガッカリはしませんでしたよ。
何がテーマというより、二人の間に起きた事柄を、互いがそれぞれを想いつつ奔走するという、川のような印象が残りました。
ストーカーになるかと疑った大園が、青磁を病院に運んぶ良心のある医師で、ほっとしました。悪い人はいません。みんな、それぞれの思いで動いている。良い作品だなぁと思いました。
あと、コミカルまでは行きませんが、ヌードの約束をしっかり言質をとったからと実行する青磁と、諦めつつある天根の甘いエンドに大満足でした。
浅見茉莉さんは何冊か読みましたがいつも惜しいところで好みから外れてしまう私にとっては残念な作家さんです。
設定は面白そうであらすじも気に入りそうな感じなのですが、あれっと思う急展開や納得できない流れが気になり入り込めず萌えの☆を減らします。
カメラを通した哀しそうな顔にひと目惚れした年上医師にまとわりつく狼の目をしたわんこカメラマン。
眼科医 天根檀が、「愛しているから二人のために出世して力を得たいために結婚を決めたのだから別れる気はない」と言い切る恋人に愛想を尽かし別れ話をしているところを目撃してしまったのがカメラマン青磁です。
青磁のこの時の感情は、以前から見かけていたきれいな先生が別れ話の後切なそうな目で恋人だった人の後姿を見送っていたから思わずシャッターを切ってしまったのですが、前々から気になったいた人にこの時ズッキューンって感じだったんじゃないでしょうかね。
その後、檀は元カレの来訪から逃れるためにこっそり転居したマンションの隣人が偶然にも青磁で彼には初対面です。引っ越しのあいさつに行ったとき、眼力の強い好みのタイプでひと目惚れですね。
そして、引っ越し先を探り当てて追いかけて復縁を迫る元カレに青磁が今カレのふりをして追っ払ったことから仲良くなるわけです。
病院で青磁を見かけていたというのですから患者か家族か外部スタッフかと思いましたが通院患者でそれも重大な病気でした。
親族からの移植が必要なのに拒否する実の兄が頑固過ぎてどんな理由があるのかと思いましたが…。
その兄は実母がしょうもない実父と別れて再婚した義父に感謝と尊敬とあこがれの気持ちがあったのに、結婚後も付き合いが切れず浮気していた挙句妊娠したことを知りました。
その子供が青磁なんですけど。義父への罪悪感に加わえて母親の浮気の結果生まれた弟の存在が許せなくてずっと冷遇してきたというのです。そのうえ命を救えるのに無視するという方法で切り捨てるとはあまりにも非道です。弟は何も悪くないのに。
病気ネタや家族間の問題など重くてちょっと手が出にく方面の話かと読み始めに気力が要りましたが、都合よくみんないい結果にさらっといってしまうのではなく、それぞれの心情や口にできない思いが丁寧に描写されていくので最後には納得のいく解決の道が導き出されてよかったと思えました。
初めに青磁が撮った檀の写真と最後に青磁も気に入った檀の写真ではずいぶん表情が変化しているのでしょうね。
いつまでもそんないい顔をさせてあげてほしいものです。
病気ものの歳の差カップル、ベタ展開でありがちな展開ではあるのですが、
不覚にもウルウルさせられる健気で切ない流れに萌え萌えしちゃいました。
それに読み始めの前半部分に感じていた攻めである青磁なんて、かなりびっくり。
出会い、それも青磁側からの一方的な出会いが病院だから推察すればそうかもと
思えるのですが、作品の人物紹介で青磁の年齢を見なければ未成年には
とても感じなかったですね。
年齢を1番感じさせたのが後半、青磁が和解した家族とのやり取りめいたシーン。
受けになる眼科医の檀が年齢相応よりも幾分子供っぽいから余計に二人の年の差が
感じられなくて、前半部分は青磁に守られてばかりいたりするから余計です。
この主役二人の関係性はとても素敵な感じだったのですが、青磁の家族問題が
今一理不尽過ぎて引いてしまう所でした。
生まれた子供にはまるっきり関係ないお話&怒りの向け先が違う青磁の兄。
そして青磁を助けたい一心での檀のカミングアウト同様の懇願。
檀の後半の青磁への対応は、時期尚早な気がして、一人で頑張って耐えているときに
会わないようにするのはもう少し後でしょう、などとツッコみ入れながら、
檀を眼科病棟で待っていた青磁を見て、ほらほら危ないじゃないのなんて
近所のオバサンのような反応をしながら読んでしまいました。
カメラを通して見た時の相手の表情に庇護欲的な自分ならこんな顔をさせないと
思った時には恋に落ちていた、オビにもそんな言葉がかかれているのですが、
ラストで同じくレンズを通して見た相手の顔はきっと幸せに満ちているのだろうと
思わせてくれる甘い雰囲気で楽しませて頂きました。
一途に相手を想うワンコの入った歳に似合わず男前で健気な年下攻めと、彼を愛することの不安を抱えながら一緒に生きたいと彼の為に陰で尽くした素直になれない年上受けの歳の差モノ。
作中に、急性骨髄性白血病とか難病が登場して、ううっ、、、ちょっとズルイと思いながらよく病気の事もわからないので、こういうものなのだろうと思ってみました。
多分、好きな人を救うためにまだ恋人になったわけじゃないのに、必死で尽力する意味がすでにかけがえのない存在になっていることをあらわしていました。
そして、その相手が抱える家族間の問題も解決するというハッピーエンドへの円満な終わり方。
過去にも他作家さんで難病を抱えてという設定のものがありましたが、それに比べるとこちらは余り劇的展開や設定はない分、病気モノなのに比較的穏やかだったと思います。
冒頭の入りは、攻めになる青磁が恋に落ちる瞬間の描写。
その時すでにその対象・眼科医の天根に、切ない顔をさせたくないと思った時点での青磁にとっての恋の始まりでした。
これがあるので、その後の青磁の行動や言葉のあれこれが、彼視点の描写がなくてもストンと入ってきます。
天根は付き合っていた脳外科医の恋人・大園が院長の娘との婚約が決まってもまだ関係を続けたいと言うのに引導を渡しますが、諦めない彼は天根の引っ越し先にまで押しかけてくるのです。
それを恋人の振りをして救ってくれたのが隣人でカメラマン志望の青磁。
疑われないように完璧に恋人のふりをするべきという彼の提案にのせられて、親しく付き合うようになった時、キスをし、そして欲情を覚えます。
「好き」とは言えないが、互いが欲しいという一致をみて身体の関係に発展するのですが、彼の年齢を19歳だと知った時、年の差を考えて臆病になってしまう天根。
少し距離をおいていたそんな時、青磁が突然倒れます。
白血病が再発したのでした。
青磁の気持ちと一途さはもういうもがなです。
問題は天根。
別に大園と別れたから恋愛に臆病にとか、決してそう言うわけではなく単純にゲイでもない青磁の年齢を知った事での彼の未来を考えての臆病さなだけです。
もう彼と過ごした数々の時間が青磁を好きに至らしめるのに充分だったと思います。
青磁の病気を治すには、骨髄移植が必要になるのですが、適合する確率が高いドナーは兄弟なのだと、
しかし、その兄は耳をかそうとせずに青磁を助けてくれない。
その為に天根が奔走するのです。
そこにあった兄弟間の確執は、お兄ちゃん弟を愛するが故の、父親を愛するがゆえの裏返しの感情で、ほんとうはとてもいい人だったのですよね。
話は5分で済むからお茶はださなくていい、って言ったわりに、結構丁寧に事情説明していてビックリしちゃいましたw(笑うところじゃないって!)
そこで天根はうっかり二人の関係をカミングアウトする事になっちゃうのですが、
子を愛する親の気持ち、弟を愛する兄の気持ちは、彼等を排除しなくてよかったです♪
すごく前向きで、いい風にうごく展開だったので、難病設定とはいえ不安を伴うことはありませんでした。
自分的に萌えは?っていわれると、主人公達クセがなさすぎて、ほんとうはちょっと歪んでいた自虐的になっていたお兄ちゃんがおいしいキャラだとは思ったのですが、彼は家を継がなくちゃいけないし、お父さん大好きだから~。。。
ちょっとそれが残念と思いつつ、ごくごく普通にまっとうな評価で。
ラスト、ちゃっかりプライベートといって天根の写真撮ってる青磁が年齢相応でかわいかったですv