優・等・生

yuutousei

優・等・生
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神7
  • 萌×22
  • 萌5
  • 中立3
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
8
得点
61
評価数
18
平均
3.6 / 5
神率
38.9%
著者
五百香ノエル 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
六芦かえで 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
価格
¥657(税抜)  
ISBN
9784778114954

あらすじ

明るく快活で誰からも愛される国木田良。だが彼は同じ美術部の先輩・新田匳に対する秘かな恋心と、ルームメイト・結城のエリート意識からくる八つ当たりに悩んでいた。一方匳も、良の笑顔の裏にある脆さや寂しさを感じ取り、強く惹かれてゆく。ある日ついに結城の所業にたまりかねた良が騒動を起こし、それをきっかけにふたりは互いの気持ちを確かめ合う。しかし相愛の日々にも、結城の存在が再び暗く影を落とし始め…。

表題作優・等・生

美術部先輩の高校二年生 新田匳
高校一年生 国木田良

その他の収録作品

  • ホントのお願い
  • あとがき

レビュー投稿数8

なかなか心に残る作品

 タイトルが「優等生」でなく「優・等・生」がミソです。読み進めるにつれ、登場人物の誰が優等生なのか…悩む作品でした(笑)プロローグで大まかな顛末が出てきますが、そこに至るまでの過程が想像ができない展開でした。なかなか読後感があり、最後まで読んで涙が溢れました。

表紙から見るとsweetな学園LOVEものに見えますが、五百香先生らしく、普通では終わらない話でした。大好きな先輩と恋が成就して幸せなはずの主人公の良に暗い陰をおとす元寮の同室の結城という存在。読み進めるにつれ??の部分が多くなり、やがて読者も二人の関係性を誤解をしていた事に気づきます。
このくらいの年の子にはアリなのか、当事者間でしか理解できない世界があって。二人の共通項は人知れず闇を抱えている部分と汚れのない世界(光)を求める潔癖性。共感しつつも同族嫌悪もあり、かなり複雑な関係性。それは恋人ですら踏み込めない領域で、、。

 同調性に引きずられる怖さと結城という存在が妙にリアル感があり不気味で恐ろしかったです。良の好きな先輩の匳は過去の女性関係が生々しくて余りBL萌えは無かったです。そこに重きは置かれていないと思います。

一見明るく見える人でも闇を抱えている事もあり、人の内面は計り知れなく、人と深く関わる事の難しさを感じます。寮生活ってランダムに同室者が決められるので、同室ガチャってあるんだなーと思いました。
現代人は只でさえストレスフルな社会生活に晒されているし、狭い密室内での人間関係が余計に難しそう。

 初期の頃の作品なので、荒削りの部分のある作品でしたが、心に残るストーリーでした。磁石の同じ極同士は引き離される方がいいんだね。。
そう実感する話でした。

0

初期作品のようです

あとがきにあるように、初期に書かれた作品のようで、最初は少しもってまわったような書き方が気になります。

男子校の寮が舞台。先輩が好きだけどいいだせず、乙女チックな良が主人公。イケメンでモテモテの先輩は女子と付き合ったりしている。が、良の気持ちに気付き、あまり本気でなかった他校のマドンナと別れ、くっつくまでの話。

最初良の同室だった結城は、プレッシャーのため精神を病んでおり、良のストーカーと化している。このブラックな感じは作者さんの個性。

かわいい、と思う先輩の気持ちに寄り添えれば面白いのだと思いますが、良がやや乙女過ぎてあまり萌えられなかった。

0

惜しい。

思春期特有の「誰もわかってくれない」を盛大に拗らせてしまった感じの作品でした。
正直なところ趣味じゃない作品です。ですが、「萌」評価にしました…
それは、攻めでもなく受けでもない、受けのルームメイトである結城があまりにも不気味で怪異なキャラが緻密に表現されていたから。結城のような頭のネジが10本がぐらい外れてしまったような第三者キャラが出てくると地味に刺さるのです。あと、受けの良のブチ切れシーンなどもすごく良かったです。
コバコ(攻)の愛情がもう少し分かりやすければ神評価となっていたかもしれません。

暴力シーンがあるので、苦手な方は要注意作品です。

0

萌えないけど心に残る話

電子書籍版を購入。
表題作の「優・等・生」とその後の二人を描いた「ホントの願い」、番外編ペーパーの「優等生のお買い物」が収録されています。
挿し絵あり、あとがきあり。

「神」評価です。

ぐっと、胸にきました。

でも、BLとはちょっと違うかな。
よくあるBLの萌えは、この作品からは感じることは出来ませんでした。
なんというか、青春小説を読んだ後のような読後感。

とにかく、青い。
青すぎる!

今となっては、なんでそんな小さなことに悩まされていたのか、首をかしげるような、そんな遠い昔の感覚がくすぐられます。

思春期特有のぐるぐると堂々巡りで、閉塞感あふれる雰囲気。
それが、とてつもなく良かった。

皆さん、レビューされていますが、受けと攻めのラブな話じゃないのです。
受けの良と、ルームメイトの結城の成長物語なのです。
まるで、攻めが当て馬……。
あ、そうか、だから萌えなかったんだ。

でも、とっても心に残る素敵なお話でした。

2

攻めが霞むインパクト

96年に発行された作品の文庫版です。
まさかそんな前の物だとは思わず、ただたんに寮もの大好きなために手にとったものだったので、ひじょうに驚きました。
読んでる間も、違和感なかったですし。


受けは、明るく誰からも好かれる美術部員の良。
先輩(コバコ)へ報われない片想いを続けます。
寮生活をしており、ルームメイトは同級生の結城。

攻めは美術部の先輩、コバコ(スマホで漢字が見つからず)。
良にひかれてはいるものの、校外の女子とつきあったりと交友関係は派手。


結城が部屋で良に対して、言葉と体の暴力を毎日毎日繰り返します。
それに対して良は誰かに相談するでなく、自分ひとりで抱え込み、それがいつしか良自身も壊していくという感じのお話。
表紙の可愛らしさとは、まったく真逆の作品です。

『結城の暴力→良、傷つく→コバコ、優しく抱擁』といったセオリー通りではありません。
良もこういうシュチュエーションでよくいるメソメソ傷ついて泣いちゃうような女々しさがなく、コバコもただの甘やかしというキャラでない為でしょうか。

結城の所業に対して、とうとう切れた良はそれはかなりのものでした。
手がつけられません。
この子も壊れ始めてるなという感じです。
コバコと良が通じ合った後も、結城からの執拗なストーキング行為(盗聴など)は続き、それらへの対応を見ても良がおかしいなと感じられます。
なんと言いますか、良とコバコのラブストーリーという色はかなり薄く、結城と良の壊れた精神色が濃く、読み進めるのがかなり苦痛でした。

話の序章部分が良の入院シーンから始まるのは、ひじょうに先を気になる仕様でうまいです。
五百香さんの作品はまだこちらしか読んでいませんが、昔の作品なのにこれかあと、驚きました。
他の作品を読むのが楽しみです。

4

思春期の闇

96年の作品の改定文庫版なのですね。
五百香ノエルさんの描く独特な痛みを持つ主人公達は決して嫌いじゃありません。
一見突飛そうなんですが、実は自分にはすごく近しいものを覚えてその傷を抉るような共感を覚えるような姿に、どことなくむしろリアルを感じてしまうのです。
今回のこの作品に登場する主人公も、同室だった結城も、主人公が好きになる先輩も、現実を突きつけるような、綺麗事だけですまされない感情や行動を見せていると思うからです。
そこに萌えを感じるか?と言われるとそうではなく萌えとは違う次元の、青春の影を見ました。

明るさと容姿もあり皆の人気モノらしく明るくふるまう主人公・良(よし)の抱える人に見せない闇の部分。
何のストレスか、それを良に八つ当たりで発散する寮の同室の結城。
彼等の関係が非常に興味を抱きます。
同性を好きになる性癖を隠し、先輩の匳(こばこ)への恋心も隠してる良。
結城の気持ちを察するに、きっと成績を期待されてるプレッシャーから自分より優秀な1番をとる良への嫉妬というのは明らかだと思うのですが、それが執着と自分でも認められない恋情になったのではないかと思われるのです。
結城にののしられても、暴力をふるわれても耐えて誰にも話さないで明るくふるまっている良は、自分の性癖に対する後ろめたさから、結城がそれを察して投げつけてくる言葉に自らを罰させているような、結城の姿も感情を発さない良の代弁であるようにとっている雰囲気を感じ取りました。
互いが抱えるものは違えど、何気に共通するものがあり、ひょっとしてこれは無意識の依存と同一化なんではないだろうか?と。

良が好きになる匳先輩も、学内では優秀のようですが今どきらしくやることやってるというか、完全な人間ではありませんでした。
初めての体験の相手のバスガイドのエピソード。
町の高校のアイドル女子高生との付き合い方。
性欲が勝つといったそうした付き合いを見せながら、良に対して間違いを犯しちゃいけないからとか男子はありえないという気持ちも若干あったのか、元彼女とよりを戻していたりもします。最終的には良を選ぶのではありますが、そこに強い愛を感じるかというと?ちょっと解りにくかったかも。

良に対して、純粋で真っ直ぐな愛情を向けて先輩が主人公を救うかと思いきや、良は結城に対して同一化してしまっているようなところを見せて手に負えないような感じがするのです。
密かに先輩と良の部屋に盗聴器を仕込んでその行為を聞いている結城は、自分が良と愛し合ってると思いこんでいたのでしょうか。
その盗聴器を見つけた良も、怒りは覚えるものの辞めさせないのは結城への・・・これって同情でしょうか?

結城の異常性が特に目につくのですが、ほんとうに怖いです。
だけど、こういうのわかる気がするのです。
良の排除すればいいのにしない態度もイライラを呼ぶのではありますが、これもまた(個人的同調が強いかな?)

古い作品の改定ということですが、自分にはそんなに古さを感じませんでした。
ただ今の流れからしたらちょっとはずれてるのかな?
よく木原音瀬作品が痛いといいますが、それとは違った痛さでこちらのほうがナイフを突き立てられてグリグリと刃先を回されるようなそんな痛さがあるような気がします。
評価は萌えですが、個人的趣味からは神棚作品になるのだろうと思います。

6

悩める青少年たち

随分懐かしい作品の文庫化ですね、10年一昔と言うけれどこの作品はそれ以上で
17年以上前の作品なのですが、古さを感じさせない学園ものになります。
この作品は五百香ノエルさんの代表作にもあげられる作品なのですが、
萌えをどこかで感じるような軽い作品からはかなり離れていると思います。

全寮制の高校を舞台にした作品で、主人公である良が入院している病院から物語は
始まるので、いったいどんな物語なのだろうかと興味をそそると思います。
そして、その入院している良の元を毎日訪れる恋人の匳(こばこ)。
俺サマな雰囲気で妙に大人みたいですが一応高校生で、属性的に大きく分ければ
クールデレでS気味な人といったところでしょうか。
この二人を中心としたラブと言いたいところですが、ここにもう一人重要な人物が
最大の脇役として出てきます。

良と同室のルームメイトの結城、この彼は思春期に起こりがちな精神的な弱さで
精神的な病に侵されていて、学校でも明るく元気で頭も良くて人気ものの良が
この結城と同室になったことから精神的暗部に一緒になって引きずりこまれる感じ。
確かに精神的に参っている人と同じ空間に長い間いると明るい人間ほど闇に傾倒する
ことが多いような気がします。

良にとってはそれが同性を好きにな性癖で、高校入学と同時に先輩の匳に密かな
恋心を抱き、それが同室の結城と共に過ごす事で自虐的な自己嫌悪に拍車がかかり
ネガティブ思考にどんどん捕らわれ、好きな匳が元カノとよりを戻したり
別れたと思ったらまた会っていてキスしているところを偶然みてしまったりと
元々周りに気を遣う繊細な優等生の良も精神的に脆くなったりするが、
休みで実家に帰り英気を養いこれで大丈夫かと思ったところで隠していたい己の
醜いと思っている姿を結城に見せられたことで逆上してしまったりと、
作品事体はシリアスな展開が強い作品になっています。

17年も前の作品だけど、この作品に描かれている年代やもう少し下の年代の
子供たちが、精神的に病んでいる率が実際に近年高くなっている事から見れば
かなり進んだ作品だったのだとあらためて思いますね。
この作品で萌えを探すのは難しいかも知れませんが、人は誰でも弱い面や隠したい面を
持っているし、いつ精神的に不安定になるか誰にも分からないと感じる内容。
過去に読んだことがあれば、再びこの再販されるまでの歳月を過ぎて
読んで見ると当時と違った感想や思いが必ず出てくるのではと思える作品で
好き嫌いはあるだろうと思える独特な作風ですが、これにハマると抜け出せない、
そんな作家さんの作品だと思いますね。

6

狂気の世界

96年に新書版として発行された『優・等・生』の文庫版(改訂・書下ろし有り)。

カタカナで書かれる奇声・嗚咽・呻き声がとても不気味でした。
(古くは夢野久作など、カタカナ多用は病んだ世界の演出にピッタリだと思うのです…)
恋愛より、いじめや登場人物の病み具合の描写に力が入っている印象。
書下ろしとペーパーまで読んで、ギリ萌えが見出せるかどうかという感じです。

女性への侮蔑的表現、ヒステリックな会話、嘔吐など
とにかく不快感を与えるシーンを露悪的に散りばめたような作品で、
ジャンルとしてはホラーのような?何かが臭ってきそうな醜悪さを感じました。
(メイン二人の絡みですら、何故かあまりキレイに思えない不思議…)


ストーリーとしては、
病んだ登場人物のバックグラウンドについて掘り下げが浅かったり
最後無理やりイイ話にしたような強引さがあったりと一貫したテーマが感じられず、
読後はシーン毎の気持ち悪さしか印象に残らなかったのが残念です。

主人公がルームメイトの執拗な暴力・ストーキングに耐え、打ち勝つ話かと思いきや
実は主人公も病んでいて、
同性を好きな繊細な優等生という共通点により
二人とも自分と相手を同一視してしまうという展開。
主人公の恋人(先輩)は心の支えにはなりますが、
ラスト決着をつけるのは主人公とルームメイトの二人っきり。
先輩は完全に蚊帳の外という感じで、影が薄いです。
この先輩も、ミソジニー的側面や、暴力的・高圧的な言動などがチラホラあり
主人公たちほどではないが結構ぶっ飛んでる印象。
主要登場人物で分別あるまともな人が殆ど出てこず、魅力がよく分からないため、
なぜ恋が芽生えたかもイマイチ不明で、何だかファンタジーな世界観でした。


90年代の作品なので、今の感覚であれこれツッコムよりは
なかなか最近では珍しい作風を楽しむのが正解なのかなと思います。
実際、冒頭書いたような狂気の表現は独特のものがあり、とても興味深く読みました。

4

この作品が収納されている本棚

レビューランキング

小説



人気シリーズ

  • 買う