恋に啼く彩り

koi ni naku irodori

恋に啼く彩り
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神3
  • 萌×22
  • 萌6
  • 中立1
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
5
得点
42
評価数
14
平均
3.2 / 5
神率
21.4%
著者
五百香ノエル 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
コウキ。 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
価格
¥619(税抜)  
ISBN
9784576141435

あらすじ

お前にだけは、穢れた真実(ほんとう)の自分を知られたくない――。

悲惨な過去をもつ仁可は、「普通」に生きるために必死だった。だが、隠してきた過去を一番知られたくなかった陽射に知られて……。

事故で両親を失った仁可は、遠戚をたらい回しにされて生きてきた。最終的に引き取られた峰書院家の当主である義父は仁可の体を散々弄んだが、
義兄によって仁可は学生生活を与えられた。そこで出会った王様のように君臨している少年、陽射。
仁可の欲しかったものを生まれもって全て手にしている陽射は、その日から仁可の心の棘になった。成人し自由を得ても仁可は生き抜くために男た
ちに身を委ねる。しかし、陽射は異様なほどの執着心で仁可がひた隠しにしてきた秘密を知って……。

表題作恋に啼く彩り

沓沢陽射,高校時代の友人
峰書院仁可,義父に性的虐待を受ける高校生~会社員

同時収録作品恋に啼く彩り

沓沢壮士、陽射の父で仁可の愛人
峰書院仁可,義父に性的虐待を受ける高校生~会社員

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数5

遠回りな 恋

事故で両親を失った仁可は、暴君の養父に性的虐待と暴力を受けていた。
扱いも 魔法の使えないハリーポッターと使用人に言われるほどだった。
成績の良かった仁可は、義兄夫婦によって学生生活を与えられた。
学生生活が、唯一の仁可の希望だった。

高校で出会った 陽射 にあこがれを持つが、自分の境遇を知られるのを恐れ、惹かれつつも彼と距離を置いていた。

虐待の事実を知りながら 暴君義父に逆らえない義兄は 進学に協力してくれるが、いつしか仁可に義父とおなじく性的の関係を求めていく

偶然、虐待の事実を知った 陽射の父は 仁可の保護に動こうとするが、陽射に知られるのを恐れた 仁可 に口止めされ。見守り続けていくうちに
愛人的関係に・・・仁可 が好意を抱く相手が自分の息子と知りながら。

仁可の不幸な過去は 「守ってあげたい」と思わずにはいられない。
ただ、守ることに手を貸した人物は みんな 彼に性愛を求めてしまう。

子供のころに愛情をもらえなかった子供が 大人になって 誰かの愛情の中で過ごしたいと思うとき、 体温を求めてしまうのかな
守りたい 愛したい 幸せにしたい
それぞれの 登場人物から声が聞こえてくる気がしました。
(義父とたらい回しにした親族は別として)

ずいぶん遠回りな恋。やっと到達した愛。ですね。


 

7

安心・安定のドロドロ

五百香ノエルさんの作品を読むのは
『優・等・生』以来。
相変わらず受けが痛めつけられる描写に容赦がなく
人間関係のドロドロも健在です。


受けの仁可は、幼少期に両親を亡くし
資産家の峰書院家に引き取られる。

養父に性的虐待の限りを尽くされ
体にいくつもの傷を作りながらも
優秀な成績を修め
私立の進学校→エリート社員に成長。

虐待の影響で男をくわえ込むことが
日常となってしまった仁可は
会社の同僚や親友の父と関係を持つが
本当に好きなのは親友の陽射ただ一人で…。


本作品の何に一番驚いたかというと
陽射(本命)と両想い→濡れ場へと発展するのが本当に最後の最後で、わずか数ページしかない点。
それまでは、学生時代の陽射との友情や
養父とのドロドロ、
仁可を支えてくれた陽射の父との
何年にもわたる愛人関係などの描写が大半で
かなり陰惨で爛れた雰囲気です。

ここまで本命との絡みが薄い小説は珍しいかと。
しかし、そのことが逆に
作品にリアリティを持たせているように思います。

陽射は、イケメンでお金持ちで
性格が良くて女の子にモテモテで…
仁可のような苦労を経験せずに育った
本当にまっすぐな人物。

男狂いで腹黒さもある仁可が
陽射にだけは手を出せなかったのは
陽射が仁可にとってある種の聖域だったからだと
思います。

そんな仁可の共犯者となるのが陽射の父親。
愛人というインモラルな関係ですが
彼は彼なりに仁可を愛しており
ラストを飾る彼から仁可への恋文が
何とも言えない切なさを残します。

*本命以外との濡れ場が多い
*受けが結構性悪
*攻めが受けの不幸の前にほぼ無力で
 ヒーローではない
など読む人を選ぶ要素が多いですが
個人的には
安易なハッピーエンドにしない展開と
昼ドラ的なドロドロ感が最近のBLにはない面白さで
萌とは違うところで心惹かれるものがありました。

【余談】
表紙イラストについて。
本の帯を外すと
なかなか際どい受けの下半身(肌色)がバーーンと
目に飛び込んてきてビビりました。
帯がなかったら絶対に店頭では買えない
大胆なデザインですねw

7

仁可の地獄めぐり

読んでて苦しくなるような受けの境遇。
実の両親は事故死、その後養い親を転々とし、そこここで虐待を受け。
最後に行き着いた名家・峰書院家に正式に養子として入ったが、その年老いた当主からSM的な性的虐待を受け続ける仁可(にか)。
そんな不憫な男の子が、自分とは真逆の輝かしい太陽のような友人・陽射(ひさし)に憧れながらも昏い地獄をめぐる。

冒頭は会社での仁可。
高校生のような見た目の仁可だが、実はものすごく有能でアタマも切れる。だが人付き合いはのらりくらりと浅くかわす。そして実は次期社長候補の愛人…
でもそれは会社の中の位置を上げるための愛人業ではない。仁可はセックスが好きなのだ。
傷つけられ、殴られ殺されかけ、そうして快楽を追い味わうことを躰に教え込まれた仁可。
当主が追われた後は、長男と関係し、同時に虐待を知ってしまったある男性とも。
それが陽射の父だった…
そんな仁可の背負った地獄と、生き伸びるための擬態を読み進めて、遂に真相を知った陽射と陽射の父の対峙、また陽射と仁可の対決。
エンディングに向けてものすごい熱量とスピード感です。
そして地獄を這ってきた仁可が遂に初恋の王子・陽射と結ばれる時がやってくる…
長い長い、そして誤解や思い込みで遠回りに費やされた2人の断絶が解ける時。
そんなカタルシスのある結末ですが。
作者様の勢いのある筆に流されて一気に読んでしまい、仁可よかったね〜なんていう感想を抱くわけだけど、よく考えるとよくわからない部分も所々…
大学に合格して峰書院の家を去る仁可。それは財産放棄が条件だが、なら大学時代はどう過ごした?陽射の父に養われた?
会社での上司との関係は二股?
ラストの大きなキーとなる仁可のオルゴール。それがなぜあの誕生会に陽射に渡せていたら仁可を助けられたということになるのか。それって大きい意味を持つところだと思うんだけど、なんかよくわからないのです。自分で悔しい。
そんなわからない部分もあるので、私的には「萌」となります。(でもすごく面白かった。)

4

いっぷう変わったお味。

 初めに言います。エロ多いです。分量的には標準よりかなり多めだと思います。ただその中身はかなり偏っていて、主人公が相手に抱いてる感情別に分けるとー
憎い:どうでもいい:情はある:大好きが7:2:0.9:0.1ってとこでしょうか。圧倒的に不本意な行為の方が多く、中でも最も手ひどく彼をいたぶった老人の粘着質な嗜虐癖については、微に入り細にうがち、繰り返し描写されていて醜悪をきわめます。くれぐれも苦手な方はご注意ください。

 主人公の仁可は幼くして両親を事故で喪い、親類をたらいまわしにされた挙げ句、地元の名家の養子に納まる。でもその当主こそ、くだんの醜悪な老人で、仁可の立場はその実、番犬以下の性の玩具だった。
 成長期に必要な栄養を得られなかった仁可の外見は、成人してなお少年にしか見えないほど華奢でたよりない。同様にその心は、あまりに稚いころから自らの肉を切り売りしてきたために、冷血と淫蕩の哲学で固く覆われてしまっている。現在30少し手前の彼はそこそこ名の知られた企業に勤め、仕事ぶりは優秀。もはや養家のくびきからも逃れて自由なはずなのに、開き直ったように複数のパトロンとの爛れた関係を続けている。安易な同情や感情移入もゆるさないほど、読み手にとっては難儀な主人公だといえます。

 そんな仁可の凍りついた心を、ただひとり揺さぶることができたのが高校時代の同級生陽射。その名のごとく、陽の当たる所しか歩んでこなかった学園の王様で「きれいな、非のうちどころない少年」。彼は初対面でずかずかと仁可の触れられたくない部分に踏み込んでくる。「ご両親、事故で亡くなったんだってな」「そうだよ、オレに残されたのは、壊れたオルゴールのシリンダーだけだ」そこまで言わせてなお引こうともしない。「それでもうちの学校で一番になったんだから、ご両親きっと天国で自慢してるぜ」
 それは、神に愛されたものの傲慢さだ。腹立たしいのにまぶしくて、目がそらせなくて、混乱した仁可は生まれて初めてその非力な拳を振るう。それがきっかけで逆に親しくなったふたり。陽射に無邪気に距離を詰められれば、うれしく誇らしい。でも汚れた自分がいっそうみじめにもなる。仁可の陽射に対する感情はさらに複雑さをはらんで何層にも降り積もる。

 2人の関係の大きな転機となった陽射の16歳の誕生日。華やかなパーティーで、きれいな少女と寄り添う陽射に、仁可はどうしてもプレゼントを渡すことができなかった。直前まで養父にいたぶられ続けた身と心はとうに限界だった。何ひとつ持たない仁可が、どしゃぶりのなか大切に胸に抱えてきたその中身は何だったのか。ずっと引っかかっていたそれは、最後の最後で明かされます。今度は逆に、陽射から仁可への贈り物として。あの誕生会から13年、陽射の身代わりのように仁可を護ってきた陽射の父壮士の想い。父と仁可の関係を知った陽射の葛藤と、なお断ち切れない仁可への気持ち。そして深く閉ざされた仁可の心の、誰にも触れさせなかったやわらかい部分。それらすべてがその最後のプレゼントには込められていて、不覚にも涙がこぼれました。9割方胸の悪くなるような物語の最後に射した一筋の光といえましょう。
 
 設定上、仁可のビジュアルが稚いのは仕方ないのですが、30前の社会人にして下手すると少年を通り越して小学生のように見えてしまうのはいかがなものかと思いました。
 
 
 

 

3

生きる術が遣る瀬無い…

親を亡くした子供が身につけた生きる術が何とも言えない作品。
ドロっとした内容なのですが、
文章の語り口が淡々としてるせいか遣る瀬無さが増す…(;ω;)


養父・義兄からの性的虐待、不倫関係にある部長、部下からの恋慕…と
回想・現在と合わせて、受けの様々な男性関係が出てきます。
それらは何の後ろ盾もない子供が学んだ生きる術。
痛みに耐える場面も、男の嗜好を見抜きあざとく淫らに誘うような場面もあります。
従順を装う歪さが痛々しかったです。

そんな環境の中でメインとなるのは、
下品な言い方をしてしまうと『父子丼』が絡む人間関係。
攻めと受けの間にあるもの。
攻父と受けの間にあるもの。
攻父と攻めの親子関係。
この辺りがどんな終着を迎えるのかドキドキしながら読みました。

受けの境遇に対し、本来なら攻めが・・・となる場面。
ほんの一瞬の歯車が狂った結果が攻父との出会いに繋がり。
タイミングの皮肉さを実感しました。

攻父と受けの関係は後ろ指差されるような行為なのですが。

それでもドン底にいた受けにとって救いの手であり、
攻父も弱々しく術を持たない受けを愛おしく思いー。
まやかしのような関係で、意味合いの異なる愛情だったけれど、
それでも2人だけが感じられる愛情があったと思いたい。

そしてすれ違ってしまった攻め。
無自覚に恋をしてたんですねぇ…(∩´///`∩)萌
終始 蚊帳の外に置かれていた攻めだったけれど、受けのために流した涙にジンワリ。

が、しかし。
攻めの場面が少ないせいか、攻めはイマイチ頼りない…。
あれ…?攻め受けが幸せになれる気がしないぞ…?
歴代ハイスペック彼女のような振る舞いを求めては喧嘩してそうな匂いがする( ̄▽ ̄;)
そういう意味では攻父の方が余程理解してるし、受けを大切に思ってるようにも見える。
攻めにあるのはようやく気づいた恋心と執着だけっぽいんだよなぁ.。oஇ ぬぬぬ。
もう少し攻めの独白が読みたかったです。

1

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