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henai symmetry
ガチ双子の禁忌モノで、意外にも直球勝負作品でした。
双子ゆえに元々二人は一つの存在、だから愛し合って当然なんだ、そこに理由はない。
ですので、後半リバーシブルで受け攻め逆転します。
同時に出たクロスノベルスの健気でハッピーな作品と反対側にある、ちょっとダークな作品で、今月は二種類を楽しむことが出来ました。
友人達を呼んであまりにドンチャン騒ぎをするので苦情が出て住んでるアパートを出なくてはならなくなった透の次の住処は、国立大に通う双子の弟・季の住むマンション。
それまで非常に仲の良かった二人だが、思春期を迎えたころから透が意識して外見や趣味やそんな色々を弟とは違えて生活し、自然と兄弟なのに疎遠になっていた二人。
ある日気がつくと手を拘束されて、透を愛しているという季に無理矢理身体を奪われ監禁されてしまう。
こんな事許されるはずがないと、激しく否定する透だが身体は抗えず、そして二人の関係を父親に知られてしまった時・・・!?
季が非常にヤンデレです!
最初再会した時淡々としてごくごく普通だったのに、クスリを盛って夜中透の身体を触っており、それは透には相手が複数に入れ換わり立ち替わりのエロ夢となって疲れを感じさせていたとか。
襲った時も、もう前から愛していて、透と離れていたこともありあきらめようとしていたのに、やってきた透は普通に接するは彼女を紹介しようとするは、合コンへ行くはでとうとう実力行使に出てしまったらしいのですが。
その理論が、双子だから当たり前、なんです~!
ナルシストともちがうのかな?裏を返せばナルシストなのかな?
透は季が壊れていると言ってましたが、まさに壊れてる人です。
その点透は常識というか倫理観のある人。
彼は自慰が苦手なのですが、それは子供の頃二人で自慰をするという行為に明けくれていたことに疑問を抱き、その禁忌感に堪え切れなくなって無意識にその頃の記憶を封印してしまったという理由が!
外見や趣味や諸々を李と変えたのもそれがあったからなのですね。
そんな彼ですから、やはり季に襲われて組み伏せられ身体を蹂躙されて当然悩むわけです。
しかし頭ではわかっているのに、行為中はそれが飛んでしまう。
何だか悪の道へ引きずりこむ悪魔である季が、透の良心を蝕んでいくようなそんな感じがします。
決定打が、父親に見つかった時。
この時本当は透は逃げる事ができたのですが・・・
この父親、懐が深いというか何と言うか、、、認められないけど事実は仕方がない。だけど母親だけには決して悟られるな、言うな、と言い置いていきます。
お父さんも共犯者になりました。
【相愛シンメトリー】は季視点で過去からこの現在までが綴られます。
季は壊れたふりをしていて、透が壊れてしまったと思っていると描かれてありましたが、
透は本編では季が壊れていると思っていたのですよね。
もうっ!自分的には季のほうが壊れていておかしいと思うw
透は優しいのですよ。
最初読んだ時に、この「当たり前」が何だかモヤモヤしておったのですが、読みかえすとこれもありなんだと、受け入れることができました。
その当たり前が前面に出ているせいか、季がヤンデレでもすごく痛い感は薄かったです。
しかし、閉そく感を感じる関係ですね。
ガチ兄弟・一卵性双生児・リバ有り、です。
病んでて救いのなさに少々後を引きました。
一卵性双生児、
金髪が兄、世間を気にし常識を優先するタイプ。
黒髪が弟、兄がいれば常識は必要ないと思うタイプ。
です。
兄視点で始まります。
子どもの頃は仲の良い兄弟でした。
2人で一緒にいると1つに溶け合うような感覚で常に一緒。
それも中学の頃に上がれば次第に変化し、大学生になった今は顔を合わせることもなく。
大学も住まいも別でそれぞれ一人暮らしをしています。
しかし、少々やんちゃしすぎて、しっかり者の弟と一緒に住むことにー。
ぎこちなく始まった同居は次第に昔のような心地よさを取り戻します。
屈託なくくっついてくる兄に弟はーーーと展開していきます。
実は兄には記憶障害があります。
子どもの頃に触りあいっこしてた秘密の時間。
けれど常識に苛まれ、兄は秘密の時間をすっぽり忘れてしまってて。
弟が兄へ異常さを見せるのは、全てなかったことにしてる恨みもあって。
”今度こそ絶対に逃がさない”という弟の執着。
絡め取られるように落ちていく兄。
世間体を気にし常識的な考え方をする兄には
愛情云々よりも過度ストレスが見受けられ滅入ります。
兄視点では弟の病みっぷりを前面にだしてましたが、
実は兄の精神が壊れていた…というのが怖かったです。
兄視点で綴られたモノローグは自分の意思で弟との生活を選んだように見えたので、弟視点になったときにゾワッと…。
弟の方は兄を別の人間として捉え、1人の人間として愛してるのに対し、
兄は弟を「もうひとりの自分」「1つが2つに分かれてしまっただけ」と考えることで精神を保ち。
兄が見てるのは弟であって弟じゃないんです(;ω;)
「相愛シンメトリー」では後日談が垣間見え、楽しそうに一緒にご飯を作ってました。
愛情はあるんでしょうけど、空虚な感じもします。
ずっと一緒にいられる形にはなったけれど幸せってなんでしょうね…。
良い部分をピックアップしてレビュー出来ていないですが、
こんな雰囲気のお話を読みたいと思ってたタイミングで読んだので満足でした!
Cielさんのイラストも良かったです(∩´∀`)∩
兄弟もので双子の禁忌、それも禁忌でも好きなら仕方内的なハッピーにもつれ込む
そんな内容とは違う、まさしく禁忌で精神面では破滅的な壊れた兄弟愛。
この作品を一応のハッピーと捕えるか、いずれまた起きるであろう悲劇と捕えるか、
読み手で変わってくるかもしれないと読みながら感じてしまう。
人間の精神構造は不思議で未知の世界、これ以上許容できない精神的負荷がかかると
防衛本能が発動するのか、人は無意識に記憶を改ざんしたり抹消したりしてしまう、
今回のこの作品の双子もそんな不可思議現象を引き起こしていました。
双子で、それもかなり互いへの共生的な執着が激しい兄弟、いつも一緒で
いつも互いに触れ合っている、そこで初めて訪れるのが性への目覚め。
そして、双子の弟が先に兄への執着じみた恋を自覚する。
送れて衝動がやって来た兄は性的な興奮が先だち、二人で性への快感に目覚めハマる。
しかし、それも思春期で色々な情報が入り込む中で先にこの行為の異常さに兄が気づき
それでも離れようとしない片割れの弟を拒む為に兄はその心を先に壊してしまう。
二人の今までの禁忌の日々を無いものとして奥底に閉じ込めてしまう。
そんな壊れてしまう程兄を追い詰めた事で、弟は兄への思いをそのままに兄のために
離れようとし、互いに普通の兄妹よりも距離を取り離れ2年。
再び一緒に暮らす事になり歯車がまた狂い始める。
精神的に兄の方が弱い感じで、禁忌に対しても強い拒絶感があるのですが、
今回は弟に凌辱されて、その後弟がバイト先のマスターの所へ逃げてしまい、
弟に対する執着や、二人以外の人間が自分たちの間に入ることに心が騒ぎ
結果的に弟を迎えに行ってしまい、弟は受け入れられたと思い行為自体も激しくなり
一見すると弟の方が兄を愛するあまり狂ってしまったように見えます。
しかし、それは弟がそう見せかけているだけで、結果的に壊れるのはやはり兄。
弟の兄へ対する思いと、兄が弟を思う気持ちにはかなり違いがあるように
読んでいると感じてしまう。
兄の思いは血を分けた可愛い双子の弟を思う兄弟愛と庇護欲を最終的には感じるけど、
弟の思いは欲情と恋情とかなり執着したドロドロした感じでしょうか。
ラストで見せる二人は、表面的には幸せに感じるが再び大きく壊れてしまっても
不思議ではない気がするなと個人的に感じましたね。
久しぶりの「しゅみじゃない」評価です。
浅見さんは実は結構好みの作家さん、Cielさんの絵もエロくて綺麗でいい……
のだけれど、これはダメでした。
途中から読み飛ばしてページをバサバサめくってしまいました。
双子の近親相姦、リバ、ヤンデレというのは、個人的には全く地雷じゃなく
むしろリバは好物だし、胎内から共にいた双子が溶け合って一つに戻りたい、
互いがいなければ生きていけないという、背徳感のある耽美な世界は好き。
好きなのだが……。
ファンタジーだけれど、それを如何にリアリティを持って読ませるか?
というのが肝なんだと思うけれど、
そこのところで、設定も安易で詰めが甘いし、キャラも魅力的じゃない。
バイト先の店長も、ステレオタイプな造形と役割だし、
パパも物わかりよく妙にあっさり。
双子達の執着や壊れ具合も、エピソードが不足だし分かるような分からないような……
要は「双子だから、同じ顔でずっと一緒だったから」で全てすまされている。
短編の「相愛シンメトリー」の性の目覚め編は、ちょっとキュンとしたものの
全体としてはこの評価に。
設定は面白いのに、言葉が空回りして
説得力なく終わってしまっているように感じられるのが残念でした。