光の雨 ―原罪―

光の雨 ―原罪―
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神30
  • 萌×213
  • 萌4
  • 中立5
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
9
得点
219
評価数
54
平均
4.2 / 5
神率
55.6%
著者
かわい有美子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
麻々原絵里依 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
光の雨 ―原罪―
発売日
価格
¥648(税抜)  
ISBN
9784344827929

あらすじ

七年ぶりに再会した検察官の伊能と検事の野々宮。亡き親友を想い自らを苛む伊能を救おうとする野々宮だが!?待望の新装版!

表題作光の雨 ―原罪―

大学の後輩で大阪地検検察官、30歳
過去にこだわる大阪地検検察官、31歳

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数9

一般小説のごとき

かなり前の三冊予定だった『いのせんと・わーるど』を二冊にして新たに出された物ですが、古臭い感じはまったくしませんしとにかく読ませます!
タイトルもこちらの方がしっくりきます。
かわいさんの硬い系作品がお好きな方は、『贖罪』との二冊同時購入がお勧めです。
まるで一般小説のようでした。
読むのは大変で再読はしばらく無理ですが、かわいさんのすごさを再認識した作品でした。

受けの伊能は七年前に事故で亡くした親友・渡瀬への想いをずっと抱えている、大阪地検の検事。
『落としの伊能』と呼ばれる程仕事は出来るが、渡瀬の死を自分の責任と感じ熱さを失っている。

攻めの野々宮も検事で、以前の赴任先でのトラブルで大阪地検へと移動してきた、亡くなった父親も元検事だった男。
渡瀬に学生時代可愛がられいたせいで、伊能とも知り合いだった。

渡瀬の死からずっと疎遠になっていたふたりが、野々宮の移動で再会する。
伊能は野々宮が目の前にいることで否応なく渡瀬を思い出してしまうし、野々宮は渡瀬に囚われた伊能を楽にしてやりたいと考える。

ネタバレなし設定なので詳しくは書きませんが、伊能の心が擦り切れてそれを野々宮が救うシーン。
ここが『原罪』のキモかな。

はじめ小さな事件かと考えられ終了されてしまった野々宮担当の事件が実は大きな絵の一部であったという展開や、それに関わってくる刑事や裏社会の男がとても良く読み応えがあります。
視点も複数人の中で変わるので、事件を理解しやすいです。

BLの直接描写は今の本の過激さと比べものにならないくらい薄いですが、感情の機微が細かく描かれるのでかえってこのくらいの方があいました。

9

読み応えある作品

電子書籍で購入。
挿絵なし、あとがきあり。

久しぶりに読み応えのある人間ドラマを読ませていただきました。

「神」評価です。

なんでしょう。
初出2000年ということなので20年前の作品。
古さなどは、気にならずに読み進めることができましたが、やはり、ここ数年のBLトレンドとは違いますね。
じっくりと読ませる作品です。

最近、軽く楽しめるものばかり読んでいましたが、私、こういった雰囲気が好きだったんだなとしみじみ思い出しました。

最後の顛末まで書いてもらいたい気がしましたが、あの終わり方でいいのかもしれません。

0

古さを感じさせない

10年も前の未完の作品だそうですが、今回は2冊で完結になるということで読んで見た。
大阪を舞台にしているので、10年も過ぎれば描写される景色は変わっているけれど
左程違和感なく読めてしまう、逆にどこかモノクローム的な雰囲気であっている。
旧作を読んでいないので本当に更状態で読み始めるが、個人的にはシリアスで深層に何かを
訴えかけるような作品はあえて避けていたのですが、最近はその傾向の作品が多く出版され
自然と読む回数も増えてきたので、今回は避けることなく読み始める。

互いに検事で大学時代のある一人の人物を介在しての先輩後輩の仲である二人。
7年ぶりに同じ大阪検察庁で働くことになっての再会。
舞台が検察なの様々な事件なども背景にあり、浮ついた恋愛小説な面は見当たらない。
受け様には長く親友として側にいた男を事故で失ってしまった過去がありその相手が
攻め様と仲が良かった事から大学時代に間接的に知り合う事に。

受け様にとって亡くなった親友は検事の道を志す道標のような存在で、
尚且つ胸に秘めた思いを抱く相手で1度だけ身体の関係もあったが、一緒に行くはずの
旅行で受け様がいかなかった時に一人で北海道へ行った親友は交通事故で亡くなる。
その日から受け様の心には空洞と虚無、そして拭いきれない後悔が心に巣食っている。

受け様と親友の事を間接的に知っていた攻め様は、再会した受け様が未だに7年前の
出来事を引きずっているように思えて、その苦しみを取り除いてやりたいと思うように
受け様は一人亡き親友に対して罪の意識を常に抱えていて、いつしかその思いで自身を
痛めつけ追い詰めていってしまっている。
そんな受け様を助けたいと思う攻め様、何年も受け様の心を蝕んできた罪が皮肉にも
攻め様と再会した事が引き金で噴出してしまう。

今後のこの二人の行く末と検事としての事件への捜査、かなり厚さのある作品で、
これが全編にあたるので、まだまだ先は長いのですが常に興味を覚えて先を読む進める
この1冊だとBL的にはどうだろうと思えるけれど、読み物としてはかなり面白い。
簡単には読めないけれど、腰を据えてじっくり読みたい作品だと思いましたね。

10

いよいよ完結を見据えて新装です!

未完のまま10年経ち、改題して発行された旧題『いのせんとわーるど』は、今回新装に当たって2巻構成で夏ごろ完結できるとか(作者あとがきより)
作者さんの『スキャンダル』が大変に好みで、その路線をいっているがっつり仕事の硬派なこの作品、未完だったということで待ったかいがありました!!
ただイラストが石原理さんから麻々原さんに変わっていて、少しそれが残念ですが新装ということで新たなイメージも悪くはないのかな?と。
純真無垢=イノセント 旧題が何を意味しようとしていたのか、最後まで見届けられる喜びを感じつつ、この1冊目を読みはじめました。

中学から同じ学校で大学も同じだった親友の渡瀬。
彼が好きで彼も自分を好きで、本当は両思いだったのに彼の気持ちを世間体や見栄など同性愛に対するネガティブな思考に囚われて素直に受け入れることができないまま、彼を一緒にいくはずだった旅行で亡くしてしまい、その罪悪感にさいなまれ、彼と一緒に歩むはずだった検察の仕事を虚無感を抱えたままこなし、日々過ごしている伊能。

大学で渡瀬と出会い、彼に可愛がられた伊能とも面識のある後輩の野々宮は、
持ち前の鋭い感と洞察力で、実力を認められる検事となったが、転勤先で彼の実力を嫉む上司とトラブルを起こし大阪地検へ移動になり、課は違えど同じ検事として渡瀬の葬儀以来の再会を伊能と果たした。

一人で苦しみを抱えあまつさえ衝動的に自殺しそうにさえなる伊能が、同じ検事であることと、渡瀬という共通の人間を通した思い出を共有する、二人の気持ちを理解する人間として野々宮によって癒され、
自分が否定する同性への性癖を許されることで、しがらみから解き放たれていく部分が、この話の恋愛部分。

しかし、メイン展開は野々宮の仕事の部分にあるような気がする。
仕事を介して見える野々宮の性格とひととなり。
その鋭さは転勤先でのトラブルでのように、時として敵をつくってしまうのだが、ここ大阪では彼は恋人という伊能を始め、味方を得ることになるのです。

その中でとても重要なポジションを占めそうなのがヤクザの原口。
脇役ながらとてもいい味を出しています。
彼が野々宮の今後に影をおとしたりはしないだろうか?何か障害が生まれたりしないだろうか?
そんな不安も感じながら、野々宮が感じた一つの違和感から発展した裏にある巨大な闇犯罪。

恋愛部分は薄目なのですが、それ以外にも男と男の仕事の上での繋がりという部分も、固い職業だけに、自分にとってすごく萌える要素なのです。
嗅覚の鋭い猟犬のような野々宮と、冷静に落ち着いた癒しの伊能という、絶妙な組み合わせが今後どのような発展と展開をみせるのか?
それもきになりますが、野々宮の「仕事」という部分が非常に気にかかります。
未完だった部分、果たしてどうやって完結にいたるのか?
そんな期待を持ち、夏までまつとしましょう~
とても楽しみです!

8

夏の完結編が楽しみです!

旧版『イノセント・ワールド』の2冊目『深海魚の眠り』を読み終えて、
「うわ~!3巻目、長い事未刊じゃないか~!読まなきゃ良かった!」と悶えた作品。
私が出会ってから思いがけない早さで、こうして新版が出て
どうも夏には完結編が読めそうな成り行きに
もう本当に感謝!&嬉しい!

従来の3巻立てから、今回は夏に予定されている下巻との2巻の予定で、
今回の1冊目は旧版の2巻めの途中まで。

内容に関しては旧版のレビューに書いたので割愛しますが、
検事という硬派な世界の中の、ある種古風でストイックな恋愛がたまらない。

この世界には旧版の石原理さんの挿絵が本当によく合っていたと思うので、
麻々原さんは割に好きな絵師さんではあるのですが、ちょっと残念ではあります。

6

検察官

かわい先生に飢えて、よく調べもせずに買ったら「下巻!」だったので、慌てて当本をkindleさんで購入(カラー口絵も挿絵もなかった(涙))。2000年ごろに書かれたお話を改稿・改題され「光の雨-贖罪ー」との2冊で完結というお話にされたとのこと。ごっついどっしりお仕事(検察官)話で甘さは微塵も感じませんがめちゃくちゃ良かったです。普段「好きだな」と思うBLの評価は「甘い、楽しい、癒される」を基準にしていて、それとはまったく違っているのですが、むちゃ好きだったので萌2にします。人様にもめっちゃ薦めます。平河寮シリーズ読んでる方だったら好きだと思います。本編+あとがき。

お話は、まっすぐ正義の味方的検察官の野々宮(黒ワンコ)が、伊能のいる大阪地検に転属されてくるところから。二人の共通の知人だった渡瀬は交通事故で7年前に亡くなっていて、それ以来ぶりの再会。あの頃と変わらずまっすぐな攻めさんを手助けしたり、食事をしたりと交流している間に、自分の中にあるどうしようもなかった想いが表面化してきて・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は(多い)
黒木(美人♀、攻めの立会事務官)、立石(大阪地検特捜部部長、しぶいーーーーー)、渡瀬(故人、攻め受け共通の知人)、榛原(黒木の夫、同僚の検察官)、原口(インテリヤクザ)、佐竹(同僚検事)、原口関係のヤさん複数 等々。多いですが混乱はないです。

+良かったところ

黒わんこ攻めさんの優秀な働きぶりに引き込まれます。保険金目当ての殺人事件が一つ出てくるのですが、「まさかそんな風になるとは」でした。その場にいるかのように読んでいるこちらがドキドキです。

恋愛方面の方は。受けさんがクソがつく真面目さんでして、冒頭は本当に重め。大丈夫かこの受けと思っていたら、7年持ちこたえていたのに昔の知り合いと再会したことによりぷっつん切れてしまったようで、本当に危ないところでした。
そこからの救われ度合い、心が軽くなっていく様子が、良かったです。前半重かっただけに余計にそう感じるのかもしれません。

心が軽くなって下巻へと続きます。

3

ストイックな男たちのドラマ!

意味深な表紙にそそられました。うっかり執着攻をイメージしてしまいましたが、たしかに、検事という仕事は事件に執着してなんぼ!だから間違ってなかったと思います。はい、検事のお仕事ものとしての読み応えがあって、旧作ならではのよさ、その時代にしか描けない作品の味わいというものも堪能させていただきました。平成11年設定なのでスマホはありません。いまよりちょっとゆるやかだったあの頃を思い出しながら楽しみました。

攻受は大学の後輩・先輩です。7年前に亡くなった親友(幼なじみ)にずっと心を囚われて生きている受さん、転勤によって再会した大学の後輩・攻さん(シェパード犬)によって徐々にその気持ちを癒されていきます。ストイックすぎる受さんの葛藤には、きっと乗り越えるんだろうな~と思いつつも切なさを禁じえません。実際、俺が俺らしく生きるのが一番となかなか言えなかった時代が長くあったと思います。だからこそ、そこから生まれる秘めやかな葛藤や苦しみというものに美しさを感じてしまいます。

やっぱり、かわい先生の描く男同士(とくに同じ職業意識を持つもの同士)の胸アツは、めちゃくちゃいいなと思いました。野々宮が伊能に特捜に異動になったことを報告する場面は特にじーんとしてしまいました。直接的ではないけれど、言外ににじみ出る雰囲気、相手の意図を汲んで多くを語らない彼らの様子に、くぅぅ~っと喉の奥で唸りました。

エロはあんまりありません。だからこそ、後輩・シェパード検事が先輩に求める”…もっと可愛がってください”には爆萌えしました。
といわけで、次巻いってきます。

0

個人的にも楽しく読めました

表紙のスーツ姿の2人に惹かれて購入しただけで作者様もまったく知らず、後編もあることも知らずに読みました。
BL小説は好きじゃないと思いながら最近何故か何冊も立て続けに読んでいます。
この作品はBLらしい濡れ場描写はほぼなくふつうに面白かったです。
後編早く購入したいですね。
学生時代からの先輩後輩の間柄の検事のお話。
先輩は亡くなった恋人が忘れられず苦悩し後輩はそんな彼を救いたい。
暴力団絡みの組織犯罪事件も同時進行しているのでメロドラマ感、湿っぽさが薄まっていてわたしとしてはとても読み易い。
あと、よく知っているローカル地域がふんだんに描写されていて楽しいです。
いつ頃の大阪なんだろう。
あ、そういえばスマホどころか携帯電話が登場してなかったような?!

0

事件捜査が中心でちょっと重めの話です

かわい有美子さんは『透過性恋愛装置』を読んで以来好きになったので、たまに古い作品も読んでみるのですが、文庫化などで新装で出版されたものは読んだことはありませんでした。
今作は3巻のうち2巻出版されたた後10年完結さてないままだったと旧版のレビューで知りました。
面白いと思った作品が途中のいいところでお預けになってしまったとは何とも残酷な焦らしプレイでしたね。

先日は『空色スピカ』を読んだばかりで余韻のあるうちだったので、違う人の作品のようでした。
それが10年以上も前の作風ということでしょうか。
実は少し前に購入したのですが、なんだか重くて小難しそうな感じがしてなかなか手に取れず積んでいました。
『空色スピカ』に背中を押してもらって読み始めましたが、思ったとおり時間がかかってしまいました。

亡き人に囚われたままの優等生検事とそれから解放してくれる年下の検事の再会から始まる恋愛でした。
と言っても恋愛ものというよりは事件捜査が中心で検事が活躍する事件ものとして読んだら楽しめると思いますがBL小説の萌はあまり感じられませんでした。

挿絵は好みじゃなかったです。
カバー絵は雰囲気があっていいと思ったのですが、中の挿絵がのっぺりとして表情がない顔とかやたらと小顔で手足が長いところとか。
旧作の石原理さんのカバー絵を読んだ後で見たら、イメージ通りだったので新装刊で石原さんでなくなったのは残念でした。

4

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