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koi no aji
建築学科卒の酒場店主×グラフィックデザイナー
ゆっくりとじんわりと染み込むように恋が芽生え育まれて行く作品でした。
二人とも人と深く関わることが苦手で、むしろ面倒とさえ感じていたのになぜか初対面から好印象で再会を楽しみに思うという時点である意味一目惚れだったのかもしれませんね。
丈太郎のつくる料理がとても美味しそうだし、自ら改装した蔵も快適そうです。
芳人が仕事が詰まって追い詰められた時、心配して手料理持参で丈太郎が訪ねて来た時、ホッとして抱きつく…なんていう場面を想像しましたが、あまりにもみっともない自分の姿にドアを開けられず追い返してしまうんですよね、シャワーも浴びていないとか焦って。でもすぐに後悔してしまうし、そんなところもわかるわかると思ったらすごく可愛く思えました。
首藤という芳人の先輩でもある業界人がすごく変な人です。
芳人にとって、尊敬し仕事で認められたいと思う人であり可愛がられているみたいですが
裏では人をゲームの駒のように遊びに使ったり結構非道なことをして傷つけるようなひとです。
今回は大学時代の後輩の丈太郎を芳人に近づけ仲良くなったころ横から奪うとどんな風になるか試す楽しい遊びだったようです。
だけど、出会いとその後停滞した二人に恋愛感情の背中を後押しする役を果たすなど
必要な存在だったのかもしれませんね。
それでも結構二人のことは気に入っているみたいなので、もう悪ふざけをしないで若い二人を見守って欲しいものです。
丈太郎の父親が経営している酒屋をやめ維持して行くのが難しい古民家共々改築するといいだしたとき、建築家としても歴史と味のある建物を壊すのは惜しいと、そのまま酒場メインの酒屋やとして自分に任せて欲しいと言うが、無謀なことだと聞く耳を持たない。そこで芳人が古民家保存の意義や酒場やカフェ経営の見通しなどをきっちりまとめ上げ父親を説得するプレゼン用の書類を作り上げ丈太郎の希望が叶うのです。
こんなふうにこれからも二人で助け合って仲良くやって行くんじゃないでしょうか。
神楽さんは結構好きなんですが、時々(個人的好みにおいて)とんでもなく外されるので、新作を買って読むたびにちょっと身構えてしまいます。
でもこちらは結構よかったです。ストーリーとしては、お仕事ものというほどでもなく、ラブ一辺倒でもなく、バランスがちょうどいい感じ。
キャラクターが2人とも、なんというか温度が低いんですが、正反対のようでいて実は結構似た者同士で、この2人のラブには好感が持てました。まあ、ラブとしては別に大した問題があるわけでもなく、言ってしまえば2人の(というか芳人の?)心の中の問題だけなんじゃないか、とは思いましたが。この作品のトーンなら、それくらいが合ってたんじゃないかな。
芳人は、実際にもこういうタイプっているんじゃないかと感じました。というより、こういう部分を持ってる人は多そうだ。
そして丈太郎は、ある意味『理想的』な男だとは思います。私の好みかというとまたちょっと違うんですが(決して苦手でも嫌いでもない)、逆にそれが都合よ過ぎにも感じましたね。でも、この2人のCPはいいと思うんですよ。
これといった事件や何かはないんですが、それは一向に構わないんです。淡々とした雰囲気で進むストーリー自体は好みなので。
ただ、所謂邪魔ものキャラクターなんだろう首藤が、なんとも中途半端で読みながら扱いに困りました。だからと言って、もっと悪役として活躍してほしいわけじゃないんですよ。
とにかくわけがわからないんです。いったい何を考えているのか、というより何がしたいのか。そして、作中このまま放置なんですか?メインの2人とはカタついたってことなの、コレで?私は、なんともすっきりしなくて気持ち悪いんですけど・・・
トータルとしては、ちょっと何かが足りない気はしました。でも悪くはないんです。どちらかと訊かれれば間違いなく好きだと答えますから。
優しい雰囲気・落ち着いたキャラクターで、するする安心して読めます。←『薄い』という意味ではありません。
食べて飲んでおしゃべりして、再び食べておしゃべりして恋になる。
そんな言葉がぴったりくるようなストーリーでした。
フリーランスデザイナーとして都内から郊外へ新居を一新した受け様が、
デザイナーとして尊敬している先輩に引っ越し祝いを兼ねての食事に誘われるが
先に着いてしまった待ち合わせの店で、好みの料理と、何故か初対面から気の合う
店の店主と知り合うが、遅れて来た先輩はその店主と知り合いで、学生時代の
後輩だと教えられ、でも何故かその先輩後輩二人の態度に微妙な違和感を感じる。
お話の後半部分でこの仕事が出来るオレ様天才系の先輩の茶々入れで付き合い始めた
二人が誤解と嫉妬からすれ違う展開になります。
見た目は正反対みたいな二人、でも実は奥深いところでかなり似てる、理想的な
価値観を持った二人なんです。
傍から見たら、自分中心で、誰かに仕事でもプライベートでも邪魔されるのが
苦手なタイプの二人は薄情系に見えるのですが、だからこそそんな気の合う二人が
自然と惹かれあい、恋する前に二人で出歩く事や食事をする事が楽しくて、
二人でいるのが凄く気楽で安らげて、そんな二人だから自然と付き合うようになる。
茶々入れの先輩が出てくるまでは、ほのぼのした穏やかな感じで進むお話。
餌付けみたいな雰囲気もありますが、素敵な作品でした。