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toichi no otoko
不思議です。
読み返すのは自分だけだから、自分だけ分かっていればよいと、その前提で書かれた日記(SNSでもブログでもなく)のような文章だなという印象です。
つまり、伝わりにくい。
かといって、まったく理解出来ないかと言うと、そうでもない。
少し気を入れて、自分の中で補完しながら読み進めれば問題ない。流し読みとか、気軽に読むことが出来ないだけで。だけどちょっと疲れる。
レビューを読むと、これで随分読みやすくなったようで。「これで?」と驚いてしまいました。
きっと、珍味のような魅力があって、はまると堪らないタイプの作家さんなのでしょう。
嵌ると全作品追いかけずにはいられない、そうでない方は一冊でさようなら、なのかしら。
読みにくいとされている一冊を読まないと判断がつかない気もしますが。
初読みなので、他の作品がどうかは分かりませんが、もともと芸術の知識が深いのか、調べた結果なのか。どちらにしても薀蓄タイプ。
うーん、判断迷う~。大好きとも言えないけど、興味ないとも言えません。
まあでも、ペルシャ絨毯の織り方の動画を検索はしましたね。
先にスピンオフ作品『虹の球根』を読んでしまっております。
そちらはこの作品よりも前の時間軸なので、どちらが先でもあまり問題ない感じでした。
というか『虹の球根』が先の方が、かなりニマニマ出来ると思います。
そして玄上さんを表するのに良く使われる文章の独特さというものは、今回ほとんどわたしは感じませんでした。
かなり読みやすいです。
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受けの悠は68年続く質屋『瑠璃や』の4代目店主、24歳。
可愛い顔をしながら辛辣で、人を見ればその身に着けた物の値段を目算するのが習慣。
攻めは悠に言わせるとマイナス1円の男、茅野26歳。
長身で見目も良く健康体でありながら行き倒れのような形で悠に拾われ、悠のところでバイトをすることに。
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悠はとにかく何でもかんでも値段に換算するので、そんな悠に拾われた茅野には初っ端からタオル代だの布団代だのの借財が。
無一文でしたので唯一値段がつきそうな祖母の形見という懐中時計を質にとられ、茅野は悠のところでその代金分働くこととなります。
茅野は最初、仕事についていない理由を『何で働くかわかんない』と言っていて、その理由はなんだかんだと話題から避けてしまっていました。
そんな具合でもったいぶっていたわりに早々にその意味も一度は話しますし(本当は別にもあったけど)、悠は悠で茅野に胡散臭さを感じていた割に彼自身を受け入れるのもはやい。
茅野はゲイで、悠の元で質分働くことが決まった翌日には悠に惹かれている行動があります。
首筋に唇を寄せたりね。
それ自体もはやいだろ!とツッコミを入れたい気持ちもなくはないですが、まあそれは良いかなあとも思うのです。
恋だったら時間関係ないですし、その理由も実はという話も後々書かれますし。
ただ悠の方は偏見はなくとも(それはスピンオフの方のカップルのおかげ)一応ノンケ。
挿入はしないと言っても擬似セックスを承諾するのに100ページくらいというは、いささか速すぎやしないかなあ。
先に恋心を自覚してからの方が、自然だったのではとも思うのですが。
読み進めれば悠がかなり身も心も人肌恋しかったというのがわかりますし、だからこそ距離を保つのがうまくまるでずっと一緒に住んでいたかのような自然な茅野に惹かれたというのも理解できてくるのですが、それはまあ読み進めたからでありまして…
ええ?今OKしちゃうの?という気分になったんですよね、その時は。
擬似セックス以降悠は茅野の体を受け入れないけれど、気持ちの中では『一緒に暮らすのも悪くない』とか茅野からの質草について調べてみたくなったりだとか心は走り出しちゃってるんだからまあ恋に落ちていたんでしょうが。
最終的に語られる茅野の秘密と悠の秘密は、茅野の方がちょっと大仰過ぎに感じました。
普通にアレを所有してる資産家辺りでも良かったような…
個人的には、茅野が良く悠の髪を撫でたり梳いたりするのが何かすごく良かった。
首筋に唇を寄せるのも。
玄上さんの書き方もあるのでしょうが、その場面が頭に思い浮かぶのがすごい。
事細かにみっちり書かれているわけではないのですが、もうすごく萌えました。
しかしもう少し年の差でも良かったー。
表紙で思いっきり期待してしまい、肩透かし食ってしまった…(苦笑
二つ差だとは思わなかったなあ。
タイトルはルチルさまの限定小冊子から。
可愛くて可愛くて、何度も読み返してしまう作品です。
思わぬ拾い物をしてしまった質屋の悠。
悠に価値をマイナス1円とされた拾い物の男、茅野。
この二人のお話ですが、まぁ悠が可愛いのなんの。。。
玄上さん独特の話の展開で、モブキャラが少なく、舞台も狭いですが、キャラクターの人間性がよくわかるお話だと思います。
穏やかで代わり映えしないけれど、優しい雰囲気が素敵です。
玄上さんのお話の中では比較的読みやすい方だと思うので、初めての方にはおすすめです。
個人的なことをいわしていただければ・・・。
サブキャラの悠の後見人、銀二と硅太郎のスピンオフがよみたいですw
受けも面倒くさい、攻めも面倒くさい、質屋のあれこれも面倒くさい、攻めの持ってたものに関するあれこれも面倒くさい!!
それなのに、私には神以外付けられませんでした……
由緒正しい質屋の店主悠(受け)が、行き倒れた謎の男茅野(攻め)を拾うところから始まります。
とにかくこの悠はなんでもかんでもお金に換算してしまう子で。
初対面の茅野が身につけているもの銀歯も含めて全てをお金に換算して、
貸し出したタオルやなんやを計算すると、茅野の価値はマイナス1円にw
大切そうに持っていた懐中時計の中身が気になるところですが、
大切なものだったら、と懐中時計を無理やり質草にしちゃったり、結構ずけずけした子ですw
対する茅野は、なんで働くのか分かんないと言って行き倒れるあたり、かなりの不思議ちゃんです。
臆病そうでいてヤクザを追い払ってくれたり、とにかく不思議で優しい。
押しが強いんだか弱いんだか、結構最後まで分からない。
展開的にはほんとうに静かで、ドンパチ好きな方には物足りないかもしれません。
前半は悠の言動がきっぱりさばさばしているせいでそこまで暗くはないのですが、
後半、悠を狙うヤクザがあるモノを持ってきたあたりから、物語は急展開していきます。
茅野の懐中時計の中身の正体にはじまり、茅野自身の正体、ヤクザが持ってきたものをどうしても買い取りたい理由、悠が頑なに質屋を守ろうとする理由、
そして、どんなに思いを寄せ合っていても茅野の手を取ろうとしない理由。
茅野はまぁ…芸術家の哲学を身にまとって中二病を盛大にこじらせた感じなのですが、
悠はちょっと複雑ですね……
悠の境遇と開かずの間(?)の関連が分かった時、とても切なくなりました。
恋愛部分ですが、二人が出会っておよそ10日。
すんごい早い展開だなぁなんて思ってたんですが、最後に種明かしがありました。
ほんと、茅野ってもうこれ以上ダメだって時に力を発揮するタイプだと思うww
なかなか斬新な設定ではないかと思います、昔ながらの質屋、トイチなんて怖くて
借りられないけれど、質屋ならありだと思えるから不思議、個人的には懐かしい感じで
実家の近くにもあった質屋を思い出してしまいましたね。
まぁ、今でも紺地の暖簾が掛かっていたりするのですが、このお話もそんな昔からある
老舗の質屋や舞台で、24才とまだ若い店主がネコのトイチと一人と一匹で営業してる。
派手さはないけれど、じっくり染み込んでくるようなお話でしたね。
仏滅か天中殺かと思うような最悪の日の最後に店の前で雨に濡れながら倒れてる
攻め様を、渋々助け、でも慈善事業はしていない老舗の質屋、助けた事に関する経費
クリーニング代やらタオル代やらポンポン計算して弱ってる攻め様に付きつける。
簡単に行き倒れを助けて流れで相愛になんて単純なパターンでないのもいいです。
読んでると、ここまで質屋の店主として金利に拘らなくてもいいのでは?なんて疑問も
浮かんでくるのですがそれは後半で意外な真相として明かされることになります。
かなりびっくり仰天で、切なくも哀れに感じてしまう。
そして行き倒れていた攻め様と言えば、こちらも何やら秘密めいているのか単に
甘ったれなのか意味不明な言動をしていて、受け様も半分理解しきれないのですが
やはり後半になると攻め様の正体が分かる事になります。
簡単には先が見えないストーリーで、先が気になる展開でちょっと、推理ものみたいに
感じてしまう感じもありましたね。
華やかではないし、淡々としているけれど、惹かれるお話でした。
まず最初に、↓でも言われてますが、『玄上さん、いったいどうしたの!?』というくらい文体が普通(既作品比)になりましたね。日常ものということもあり、読みながらも『玄上さん』だと意識することはなかったです。
さて内容ですが、結構面白かったんです。それは確か。でも、ここがものすごく好き!というのはなかったかな。
質屋(これだけでもう地味。でも『日常的』ではない)を舞台にした、基本的に地味で淡々としたストーリーです。小さな山や谷(?)はありますが。『起伏がなさ過ぎて物足りない』とは感じませんでした。
私はこの茅野(攻)のキャラクターは好きです。わけわからないというよりも、何かと考え過ぎで、ホントめんどくさいヤツだな~という感じなんですが、誠実で健気でヘタレと属性としてはすごく好みのタイプなんですよ。
私はこういう、いわば『情けない(でもそれだけじゃなければもっといい)』キャラクターがたまらなく好きなんです。
悠(受)は、好みかと訊かれれば違います。でもキライじゃないですね。もしかしたら、攻キャラクターのタイプによっては無理だったかもしれませんが、攻がアレだからまあ受はいいや、コレで、っていうのもなんですが、CPとしては好きでした。
所謂『お仕事もの』とは違うかもしれませんが、質屋の仕事に関するあれこれは、正直ちょっとしつこいな~と感じてしまいました。悠の心情と『質屋』関連の用語・考え方を絡めているのは悪くないんですが。
うん、結局は『・・・くどい』ってことなのかな。
あ、だからと言って『質屋に関わる説明その他』がいらないという意味ではなく、ちょっと多すぎて煩わしかったかなってだけです。設定・ストーリー展開の中でも、悠のキャラクターの根幹にも、質屋の存在は絶対不可欠なものですし、まさに『質屋の中で始まって終わる』と言っても過言ではないんですから。
ラスト、2人それぞれの種明かし(?)のあたりは、申し訳ないですがそれほど『うわぁ、そうだったのか!』というのはなかったです。終盤ぎりぎりということもあって、いかにも急ぎ足って感じだったし。
とにかく、冒頭から2人とも何らかの事情を抱えてるのは丸わかりでしたが、それがなんなのかは正直なところあまり気になりませんでした。
というより、悠の『事情』は、ほぼ作中で徐々に明かされていたようなもので、あとはそれこそ『答え合わせ(具体的な説明)』だけって感じでしたから。
茅野の方は、自分でも不思議なくらい気にならなかったなあ。キャラクター自体がなんとも不思議だから、もうそれだけでいい(『正体』は別に興味ない)と思ってしまったような感じでしょうか。
それよりも『トイチ』の方がネタとしてはよかったと思いましたね、私は。ネタというかオチというか。
いえ、作品としては『2人の事情』は気にして当然のポイントなんだと思いますよ。
でもそれを除けても、メインCPのキャラクターと全体に漂う雰囲気だけでも、読ませるものはありました。
玄上さんの日常もの(わんこシリーズ以外)は、正直微妙だな~と感じることが多いんですが、これはその中では好きな方です。
玄上先生、読み易くなったな~。
まず冒頭の、古めかしく頑固な体の老舗質店の風景が好き。
多分イラストじゃ表現するのが難しいことを、国語ダメ・橘に印象付ける文章力を尊敬します!
でもですね、内容は(特にキャラ)は読み辛かった~!
主人公達、なかなか橘に入ってきてくれなかったんです。
普通、BL小説の最初にはもう読み手と主人公キャラと一緒になって動いているのに、なかなかそうならなかった;
なんだか外側から覗いている感じなんですよね。
レビュータイトルに「囚われ姫」と入れたのは、この悠が自分で大きくした柵(しがらみ)からなかなか出てこないから。
悠には悠自身が思った「茅野といると楽しい」という素直な気持ちも棚に上げてしまえる程に『質店>悠』だったんです。
その柵を開く役の茅野なんだけど、これまた謎多きキャラでして。
読み手にも茅野にも最後の方になってちゃんと明かされる悠の過去に、やっとこさ胸のつかえが取れました。
ふぅ~^^;
自分と同じ様にもやもやした方、2回は読んで欲しいです。
そうすれば、2人のお喋りーHの値段やあれこれの算段ーが楽しめるでしょうし、
悠が知った「トイチ」の想いが、きっともっと切実に感じられると思います!
ところで、悠の師匠の2人の話、こっちの方が好みかも。
読みたいですね~^^
題名を見ながら、「闇金ウシジマくん」とか「ナニワ金融道」とか思い起こし、表紙を見比べながら、きっと何もかも金勘定で動く人物が人との出会いによって、人間らしくなる話なのかな~?という予想をしながら読んでまいりました。
確かに主人公は、そういう人です。
行き倒れの人を見つけても簡単に救おうとはしない。
タオルだの布団だの逐一金額を計算して、拾った男の収支はマイナス1円!?
かたや、拾われた男は主人公より2歳も年上なのに親から望まれる姿になれないことから”働く理由がわからない”と会社を辞め、あげく行き倒れたという、中二病をこじらせたような不器用な人。
この拾われた男:茅野にはたくさんの謎がある・・・一体何をやっている人?
主人公の悠も一人で質屋をやっているのだが、昨今の流行りの買取&リサイクルは行わず、地道に昔のままの預かり貸付のスタイルを頑なに守っているのはどうして?
その謎は後半にはいって、怒涛のような急展開の中で明かされては行くのですが、
彼等が惹かれあうのにも、茅野がゲイ設定だからこその理由がちゃんとあったりして、一応気遣いがされている。
悠については、マイナスで厄介者な彼が面倒な顧客のヤクザを撃退してくれたときから見た目が変わり、まあ、いいかな流れで、そしてこれもまた金勘定の流れで(多分照れ隠しではあるだろう)関係にもつれ込むという流れ。
話的には、結構地味で静かな展開です。
どちらかというと、質屋というその派手でない老舗の佇まいをそのまま広げたような雰囲気が満ちています。
悠の過去、質屋にこだわる姿勢、そしてスタイル(営業方針)に固執する理由、そんなものがあるにせよ、
いかんせん、登場人物が主人公、モブとして客、トラブル要因としてヤクザ、主人公が頼りにしている鑑定士の二人、そんな人たちだけで構成されている話なので、
しかも静かに展開するので、悠には仕事関係以外で友達はいないのか?とか、遊びにもいかないのか?とか
まるで枯れ果てて店にいついてしまっている怨霊(悪く言うと)というか引きこもりみたい、な風に見えてしまいました。
すごく狭い世界の視点です。
残念ながらキャラクター萌えはありません。
主人公二人のそれぞれの抱えるモノが魅せる話でしょうか。
年上なのに、ヘタレでワンコでちょっと浮世離れしているふうな攻め、純粋培養な男といってもいいのだろうかwww