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moumaku no kioku
本編はすでに出来上がったカップルのお話。不思議な能力を持つ受け・葵を中心としたサスペンス風BLといったらいいのか…。葵には年上の同性の恋人・田島がいて、田島は葵の兄の親友です。
塾講師をしている葵には、死んだ人間の網膜に焼きついた最後の光景を読み取る能力があります。刑事の兄・日向が葵の能力を事件解決に活かしていくわけですが、そのSF的な要素がなんとももったいなかったような。
日常系の身近なラブストーリーがお得意の作家様なので、主人公の異能をファンタジック&ドラマチックに脚色するのをよしとしなかったのか、単に苦手だったのかわかりませんが、、
個人的にはラブや事件解決ではなく、葵の家族と恋人の関係を浮き彫りにするのがお話のメインといった印象です。葵と田島の穏やかで優しい関係がじんわりと温かいし、ブラコン日向と田島のさばけた仲もいい感じ。葵と母親のぎこちなさについても、彼が自分に似ているからこそ葵の能力が受け入れがたい親の気持ちもわかります。
葵の身に起こった危険のおかげで、家族や恋人と間に新たな信頼関係が生まれ、絆が深まったといったところでしょうか。
本編後に収録の「キセキ」は、葵と田島の出会い編。高校生と中学生です。もー、作者様はこういう純情系ラブがうまいんです。こっちメインでガッツリ読みたかったくらいだけれど、物足りなさは全くありませんでした。
あーキュンキュンした。
あの二人がずーっと続いているのがなにより素敵です。
せのおあきさん好きなんです。優しい雰囲気のイラストが田島と葵にピッタリで和みました。
地味な話でした。
地味な話は嫌いではないんですが、これは私の好きな地味さではなかったです。
主役カップルはすでに10年前から出来上がってて、ラブラブで、とりたてた波風もたたない。微笑ましいのは微笑ましいんですが、恋愛のハラハラドキドキみたいなものは味わえないです。
主人公は「死者の網膜から死に際に見た光景を読み取ることができる」という特殊能力を有していて、刑事である兄に捜査協力している。
そっちからストーリーを膨らませてミステリーぽくしていくんですが、起きる事件がグダグダで不自然でたいして恐怖感もなくて、ミステリーとして考えても非常につまらなかったです。
特殊能力ゆえに主人公は「他人とはちがう自分」に悩んでるんですが、母親との小さな確執もあっさり解決。恋人に打ち上け話をすれば、恋人はそれを受け入れ、こちらもあっさり解決。
まあ、いい人だらけのいい話なんですが、「物語」として考えるとイマイチだと思いました。
続編は10年前にさかのぼって、恋人との出会い編。
こちらもドラマがないのでウーンって感じでした。
あと、あとがきで断言されてましたが、「死者が最後に見た記憶が網膜に残る」っていうのは、科学的根拠のない都市伝説ですよ。
もちろん証明されてないので無いとも言いませんが、少なくともあるとは言い切れない。
このネタ、古今東西のミステリ作家がトリックとしてよく使うので、勘違いされてる方が多いんですよね。