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帯『俺がおまえを癒してあげる(ハート)』
片手に茨が巻き付いた学園のプリンスこと柊[受]のもう片方の手を航平[攻]が握ってる表紙に↑の帯コピー。
てっきりアホコメディ学園物かなーと思ってたら違ってました。
この帯コピーは正直中身と合ってないと思うです、特に語尾のハートは違うぞ~~。
素行が悪く全寮制の学校へと入学する事になった航平が同室になった相手は一年年上で学園のプリンスと称される生徒会長の柊。
といっても王道のBL学園物そのものかっていうとそこまでは行かなくて生徒会はまあ普通に生徒会だし、プリンスっても生徒全員がキャーープリンス様が!!ってとこまではいかないので、コメディとシリアスの中間位のトーンかな。
航平が一番最初に見た柊はウサギのぬいぐるみを抱き子供みたいに身体を丸めて眠っていました。
とりつくしまもない皮肉と堅物な柊に、航平はウサギちゃんだのマザコンだのと最初こそは言い返し、全くそりが合わない2人なのですがある日、書庫室に一緒に閉じこめられてから柊の知らない表情の部分に航平は魅かれていきます。
航平視点で描かれてるんですが、彼は過去の素行が悪いといってもそこまで不良って程じゃなくてせいぜい少しタバコを吸って多少喧嘩慣れしてる位で、陸上部でいい汗かいたりと結構健全な性格な感じ。
真っ先に友人になった喜久川がひじょーにいいヤツでいい味出してます。
しっかしムカつくのが柊の昔からの知り合いで騎士の如くに彼を護ろうとする天野。
いや別に護る分にはいいんですけど、それには航平が邪魔らしくあの手この手で嫌がらせをしてきます。
しかも自分の手は汚さず他人にやらせるとこがムカつくーったらー、もう!むっきー!!
柊が無条件に天野を疑わないのを良い事にもうやり放題です。やなヤツー!!
マイクで堂々と愛の告白したり、回りもそれを面白がってたり友人も反対しなかったりとその辺はBL学園~~~って感じ。
シリアスとBL学園王道のいい部分を上手くミックスしてます。
あとがきによると喜久川主役の短編も書いたという事なので続編出るかなーって期待してたんですが、出たのは天野編という……。
嫌な脇でもメインになると良かったりするので気になってはいます。
やしきさんの絵柄の透明感はブレザー姿の少年絵が合いますなー。
寮モノです。
なんか良かったなー。
意外とっていうか、予想外に面白かったです。
寮という舞台設定でありがちなわちゃわちゃしたテンプレ話を予想したんですが、キャラの性格づけやエピソードの一つ一つが丁寧に描かれてて、読んでて心地よかったです。ベタベタに臭い台詞もなかったし。
主人公の攻めの性格が好きでした。
反抗期な行動をするんだけど、それが後半の大胆な行動へと繋がってるんだよね。
私の苦手な「衆人環視のなかでの大胆な告白」も萌えました。萌えのために無理やり挿入したシーンなら苦手なんだけど、あそこではソレしかないって思いました。
で、そんな大胆さを見せたくせに、面と向かってはなかなか具体的な行動に移れないという小心者なとこも好きでした。
しかし受けの殻、固かったなァ。女王だね。
脇キャラも個性的で魅力的でした。寮モノはこれが大事。
寮で同室の先輩後輩のお話です。
問題児で全寮制の高校に入れられた佐倉と、生徒会長で生徒からの支持が厚く「プリンス」と、呼ばれる伊東。
寮、しかも先輩後輩はとても好みなのですが、どうしても楽しめなくて評価が低くなってしまいました。
楽しめなかった理由は、佐倉がこの学校でイジメ、リンチにあうなど気の毒な展開がずっと続いき、イジメに加担する周りにむかむかしてすっきりしない展開が続いたからです。
その理由も佐倉に非があるならともかく、「伊東と同じ部屋だから」という理由がなんとも…。というか、伊東がそこまで魅力的で人気のあるキャラというのも理解できなかったです^^;
その伊東は伊東で、佐倉が自分のせいでイジメにあっているとは気が付かない。生徒会長なのに~。もっと平等に周りを見て!と言いたくなりました。
伊東はしっかりしているように見えて強がりで寂しがりな不安定な人物。
基本的にはわがまま女王様な性格です。
人をまとめるということがどっちかというと出来なさそうなタイプに見えたのですが、個人的にはこの子がなぜ生徒会長をしているのかも不思議でした。
以下は完全に最後までのネタバレを含んでいます。
副会長の天野は伊東が好きで、佐倉が気に入らず、佐倉が学校を出て行くようにに嫌がらせを仕掛けてきます。
天野にはシンパが多く、佐倉はナイフで脅されたり倉庫に閉じ込められたり盗難事件の犯人に祭り上げられ(盗んだ証拠が佐倉の持ち物から出てくるなど)、べただし、佐倉を懲罰室に入れたりとこのイジメにはムカムカしました。
伊東がせめてイジメに気付いて間にたってくれたらまだよかったのですが、伊東は完全に天野を信頼していまして、「天野がそんなことするわけない!」という態度です。
佐倉はイジメられるまま・・という性格でなくて強気で勝ち気な性格なのでそのあたりはとても好感が持てました。
しかしながら、伊東がなんだか守られているだけのお姫様のようなキャラクターに私には思えまして、佐倉がイジメに耐えて守るほどの魅力がどうしても感じられませんでした。
生徒のみんなが天野について佐倉のイジメへ加担する理由がわからず…実は何か大きな理由が天野にはあるのだとかいうオチを信じていたのですが最後は伊東への強姦未遂に佐倉に角材での集団リンチ…もはやイジメなどと生易しいものでなく犯罪レベルでは。
結局最後まで謝罪の台詞がなかったのもスッキリしませんでした。
佐倉の友人らは盗難事件でも佐倉を信じてくれて、恋愛部分というよりこんな友達がいていいなあ!という、むしろこちらに非常に感動しました。
個人的には好きな人も見方についてくれないというイジメものや、受けがツンツン女王様で全くデレないというタイプのお話が苦手だなあとしみじみ感じた作品でした。