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ookaitachi no yuugi
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
『狼たちの秘密』からさかのぼる8年前の
サディストでマフィアのボスの息子であるユーリと、被虐嗜好のある警官のソジュンの、警察学校での出会い編。
本編中でちらっと触れられていた、過去の事件について踏み込まれていると同時に、それがきっかけで彼等が、互いに監視するものとされるもの、愛するものと愛されるもの、そんな関係になっていたのが、この編でよくわかります。
特区と呼ばれる近未来な、独特な雰囲気をもった設定は、今作もやはり曇天と雨をイメージさせる重苦しいものですが、とても背徳な匂いも強く、一つの世界を作りだしているのがとてもユニークです。
ソジュンが所属する警察学校で、学生が次々と惨殺される事件が3件発生する。
日頃、目立たない様に誰からも関心を持たれないようにして生きているソジュンだが、彼のルームメイトが殺されたこと、そして、ソジュンが警察を目指した過去の出来事もあいまって、解決を見ないこの事件に自分で独自捜査を推しはかろうとする。
そんな時、殺されたルームメイトの後に同室となったのは、絶大な権力を持つマフィアの息子ユーリだったのです。
殺害された同期達に共通点を見つけたソジュンが情報を得るためにもぐりこんだクラブでチンピラに取り囲まれた時、現れたユーリ。
彼によってソジュンは手ひどく強姦されます。
この暴力的な面とうってかわり、怪我をしたソジュンをかいがいしく世話をするユーリ。
ユーリがソジュンに執着しているのを知り、ソジュンはマフィアが関係しているという、警察学校生の殺人事件の真相を知ることをユーリに頼むのですが、それはまたユーリがマフィアの掟を破ることでもあるのですが・・・
前作ではとても倒錯的な関係とエッチが目を引いたのですが、今回はその関係がどうしてつくられたのか?といった部分が大きな部分になると思います。
それぞれによって語られる、それぞれの過去。
ソジュンは、一件とても冷静でどうして警察に?と思わなくもない、ひょっとして安定を得るために警察だったのか?とも思える冒頭だったのに、それが事件に執着していくのは、この過去が大きく影響しているんだ、
そしてユーリが現れたからこそ、それが強くなっているのかもしれないと、
それがとても静かに淡々と現れるので、変化にちょっととまどったりもしました。
そんな情熱、どこにかくしてたの!?(w)
そしてユーリの過去。
彼が登場する時、美貌のその瞳はガラス玉のようで、感情がないように見えます。
しかし、ソジュンを犯して恍惚とする姿の反面かいがいしく世話をする子犬のような姿もあり、とっても複雑な人なんだな~という印象を受けます。
その過去はどうもあまりに壮絶らしく、想像するしかありませんがw
一体、ソジュンの何がそんなにユーリをひきつけるんだろう?
嗜虐と被虐のマッチングだけではない何かがありそうなんだけど、一目見た時から愛してるなんて言葉をラスト近辺でいけしゃぁしゃぁと吐かせているあたり、やはり謎なのです!
いづれにせよ、ユーリの嗜虐により、被虐が目覚めるソジュン。
しかし、彼は狩りをする狼の子でその片鱗を見せている。
ユーリとソジュンはその一対で、互いに公私ともに補いあう関係をこの場でつくるきっかけになったんだな、ということはわかります。
警察学校生の殺人事件は、ユーリのファミリーの掟を破った身を呈した働きと、ソジュンの強い思いで解決を見ます。
そんな事ができるのか!と驚愕でした。
前作程の倒錯的インパクトはなくても、彼らの関係が実にユニークなのは確かです。
前作の「狼たちの秘密」の続編で、時間的には8年程遡る二人の出会い編でした。
血なまぐさいグリさが苦手な人にはお勧め出来な内容ですが、興味深い話でもあります
常に血なまぐさい狂気の噂が絶えないマフィアの御曹司ユーリと悲惨な過去を乗り越え
将来の刑警を目指し、巡警試補生として警察学校で学ぶソジュンとの運命の出会い。
やっぱりかなり過激な出会いだったのだと理解出来るストーリーで、ソジュンの過去が
明らかにされている、でもユーリの過去は闇のまま・・・作者がグロ過ぎて書けない!
なんて言われると余計気になってしまうのですが、この本では随所にヒントがあり
想像して読むのも面白いかと思います。
好きで、大事なものは奪われる前に壊して殺してしまわないといけないなんて
ユーリの心の声ですが、純粋過ぎる狂気、幼い精神構造の残虐なあどけなさ・・・
ホント、ユーリは怖すぎて、びっくりしちゃいますね。
出会っていきなり半死状態にまで追い詰められ、犯されるソジュン、でも彼も
過去の呪縛から未だに解き放たれていないのも読み取れるのです。
究極のSとM、最悪な形での割れ鍋に綴じ蓋って感じがしちゃいます。
始めこそユーリに怯えてしまったソジュンですが、次第に猛獣使いのように飼いならし
狂犬病を患っているかのようなユーリを敏捷な狼のように手なずけて行く感じも
なんだかおもしろいですね。
ユーリがソジュンの後を付いて回る子犬に見えてしまう時があって狂気と無邪気が
混在してる哀れな10代のユーリが悲しくもありました。
ユーリに出会ったことで、ソジュンは色々な意味で成長している気がするけれど
ユーリもまた、ソジュンに出会ったことで本人も無自覚の空洞を埋めていように
思えるのですよ。
かなりハードで、グロくて、ユーリの精神のバランスの危うさが如実に伺える作品で
この二人は立場は違えど、決して離れる事が一生出来ない定めなんだろうって
深く思えるストーリーでした。
前作でも出ていた学生が殺された事件の真相なども推理的な要素を添えた内容で
暗めで、グロいけれど、何故か惹かれる内容で個人的には楽しめました。