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cigarette
タイトルに惹かれまして。『大人の恋』なのかな?と思ったんですが……
いやいや、主人公の飯田、全然大人じゃなかった。
仕事してボルダリングのジムに通って一緒に暮らしている父を看取って、とやっていることはちゃんと大人しているんですけれどもね。でも一皮むけば父親に愛されたいと必死で叫ぶ子どもなんですよ、この人。
ただ、飯田の様に感じる気持ちは解らない訳じゃない。
そりゃあ若い頃よりは減りましたが、私にも自分を一番に見て欲しいという欲求はありますもの。
歳とは関係なく『子どもの頃、自分は親に愛されていた』という確信は、自信を確固たるものとする様な気がします。
だから飯田は甘やかしてくれる大きな人を必要としていたのでしょう。
ファザコンそのものの飯田に、大様な牧はぴったりだと思いました。
ちなみにこの人、私は滅茶滅茶好みです!
どこかおっさんくさくて、正論をズバズバ言って、でもそのくせ結構気を使ってくれる。いやいや、恥ずかしながらこんな風に愛されたいと思いましたよ。
しかし、今は煙草がこんな感じの小道具に使われることもめっきり減ってしまいました。
ファザコンも減っているんでしょうかねぇ?
表紙絵に惚れて買った後、何度も読み返している大好きな作品です。
スピンオフ作品だと知らず、後で『チョコレート』も読みましたが、『シガレット』だけでも充分楽しめます。
ウジウジと悩む飯田がずっと心の中に抱えている不満、分かる。よく分かる。分かってしまうんです・・・
自分よりも親や周囲にも愛されている(ように兄には感じられる)弟に対する嫉妬、僻み、卑屈感。だけど、けっして弟のことを嫌いなわけじゃない。
「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」とか言われてきた人は、この不満に覚えがあるんじゃないのかなぁ・・・
選ばれるのはいつも自分じゃないことへの諦めと悔しさ、みたいなものも・・・
飯田の心情がとても丁寧に書かれているので、共感しやすいと思います。
終章で牧視点で語られる飯田との出会い。軽口で冗談めかしても、牧はずっと飯田に本気で惚れていたんです。この短い終章に、とても萌えます。
堅司に対して勘違いの嫉妬をする牧も可愛いですv
男前というにはお調子者感が拭えない牧ですが、強引だけど優しくて・・・やっぱりいい男です。
文字量が多めな印象でしたが、心情がとても丁寧に書かれているので苦になりません。むしろ、それが魅力的なキャラクターを生んでいるのだと思います。
作者さん自身がキャラクターを愛している。そう思うほどに、牧と飯田、二人がとても魅力的です。
読み終えて幸せな気持ちになれる一冊。本当に大好きな作品です!
家庭愛と恋愛を織り交ぜた心理描写の丁寧なお話。
作者さんのデビュー作のスピンオフとは知らず…。でも読んでいて特にわからない箇所はなかったのでこれ単品でも大丈夫かと思います。
主人公の真澄が、ジムで知り合った牧にアプローチされ、最初は断りながらも惹かれていく様と、ゲイの弟を受け入れず追い出した事を後悔しながら亡くなった父親への思いが描かれています。
恋人、弟、父親と、周りの男性への複雑なわだかまりを外に出せず、言いたいことの言えないは主人公はずいぶん頑固で意地っ張りだなぁという印象でした。
読んでいると主人公はすごくファザコンぽいんですが、というかファザコンですね。父親と恋人を重ねているとはっきり言う作品は意外に珍しいかもしれません。
もっとかまってほしかったとか、弟だけでなく自分にも言葉が欲しいとか、そこまで父のことをずっと考えているのはファザコンを通り越して可愛いですが、しかし父親愛がお話の多くを占めている気がして、恋愛としての展開はそこまで目新しくなかったかなぁという感じ。
父親に構われなかったこともあり、誰かの一番になりたいとずっと思っていた真澄。
牧が職場で問題をかかえていて、よくそれを理由にドタキャンを繰り返し、真澄は次第に浮気を疑います。しかしこういう場面で言い訳をしない男をいうのは不思議に感る。恋人が不安になってるのに、職場の事情といってもしゃべれる範囲でいいので理由を話してあげればいいのに・・・。そんなに話せない内容でもないと思ったのですが、何でナイショにして不安にさせるのか全くわかりません。
シガレットというタイトルと綺麗な表紙に惹かれましたが、タバコをスパスパ刷ってたのは最初のあたりで途中からはあれ?タバコは?て感じでせっかく印象的なタイトルと表紙なのに、そこまで引きずらなかったのがちょっと残念でした。
現実世界ではタバコは苦手ですが、コミュニケーションツールとして使っているのをみると素敵なアイテムに見えてしまいますね。
このお話、すごく好きです。いじっぱりな受け様がすごくかわいい。攻め様も、軽い感じにみせつつ必死だったっていうのがたまりません。攻め様が浮気していると思いこんで受け様が泣いてしまうシーンがあるのですが、その時の攻め様の「泣くな、どうしたらいいんだ」ってセリフがもう!キュンキュンしました。受け様を本当に大切に思っていて、大事にしたいのが伝わってきました。強引にぐいぐい来る感じなのに優しくて、強がってるけど本当はものすごく愛されたがりな受け様とは相性ぴったりなんじゃないかと思いました。最後、受け様の弟のことを元カレだと思って嫉妬しちゃう攻め様もかわいかったです。
キャラが私好みというのもあるのですが、ストーリー的にも無理がない展開で、最後までとても楽しく読めました。羽生先生、もっと作品を出して欲しいな~。
前作『チョコレート』の評価も萌でしたが、
今回は萌×2寄りです。(だったら萌×2でいいじゃんて話)
『チョコレート』で当て馬だったお兄ちゃん・飯田ですが、
ゲイの教師・牧に、タバ休の度に口説かれ(からかわれ?)ます。
井上佐藤さんの『SMOKER』もそうでしたが
一種のコミュニケーションの場なんですね、きっと。
(嫌煙家なのでわからない)
飯田は、父から受けられなかった愛情を
いつしか無意識のうちに牧に重ねるようになり、
一番に想って欲しいのに叶わなくて苦しくなります。
牧は、ふざけた様子でしたが内心は本気も本気。
必死になって口説いていたんですよー。ある意味健気。
こういうの、表面だけだとわからないものですからね!!
好意をもたれている相手に寄りかかりたいけど、
そうも簡単にはいかなくて…。
というすれ違いが切なかったです!
誰だって、自分を一番に愛して欲しいと願いますから…。
下ネタばかりで冗談にしか思えないような事言う相手が
熱いまなざしで見つめて来るって…。萌える。いい!!
飯田も、“まさか自分がそんな相手を好きになるなんて”と、
認めたくないのに上がる体温と高まる鼓動が証明してしまうという。
カラダは正直ですからね。うふ。
牧が元デブという設定もなんだか良かったw
努力したんでしょうね…。頑張ったね、牧。
という感じで、今作は飯田より牧が愛おしかったです。
絶倫なのもポイント高し!でした☆
湖水さーん!やっぱり素敵な挿絵でした!!
早めに次のコミックスお願いします!!
チョコレートのスピンオフで前作の攻め様の兄が主役のお話でしたが、
前作のショートの続きのような展開のストーリーなので前作のショートを読んで
この作品を読むのが解りやすいのではないかと思います。
前作では当て馬的な立場で登場していた真澄なのですが、今回はなんと受け様で登場。
前作ではバイなんて設定でしたが、実は男を好きになったのは弟の相手の後輩が初めて
それ以外に付き合ったことも無ければ抱いたことも無いって言うオチでした。
それも今回のお話を読み進めていくと、この真澄さん、両親の離婚からかなり捻くれて
しまっているのですよ。
それでも、見た目はそんな風な態度は感じさせないし、長男だからと一人で全てを
始めから諦めていたり、弟ばかりが可愛がられているって思い込んでいたり・・・
かなりネガティブで、甘ったれさんなのかも知れません。
この手の話は嫌いない人はいるだろうと思いながら、実は個人的には分かる気がする。
兄でも弟でも兄弟がいる人だと大なり小なり、兄弟相手に自分よりも可愛がられている
そんな風に思ったことがあるのではないだろうか?そんな設定なんです。
人間て不思議で楽しかった事より辛かったとか、苦しくて我慢したとかネガティブな
事の方が記憶に残っていたりすると思いませんか?真澄もそんな感じなんですよね。
馬鹿じゃないから本当は分かっている事でも攻め様に言われた正論に腹を立ててしまう。
でも、反発してる気持ちとは反対に納得もしてて、父親が死んで、鬱屈したストレスが
たまってしまい、気持ちが低下してる時に、自分だけなんて思うのは相手に伝えて
いないからみたいな事を言われて・・・
でも、攻め様の言うとおりにしたつもりはないけれど、少し肩の力を抜いて、
嫉妬していた弟と向き合ってみたら、意外に昔は仲の良い兄弟だったなんて事が
思い出されて来たりする、それと同時に攻め様に対しての気持ちも変化する。
始めはちょっぴり下品な口説き文句を言ってくる攻め様とのふれあいはストレスを
抱えた受け様にとっては楽しいひと時だったんです。
それが、次第にメールのやり取りや頻繁に交流するようになり、受け様は攻め様を
好きなことを自覚して、でもそうなると攻め様の冗談みたいな口説きを真に受け
失敗するのではと疑心暗鬼に悩める状態になってしまう。
でも、攻め様の本気だと言う言葉と止められない自分の感情とで一線を越えるのです。
そのままハッピー展開かと思えばここから始まる攻め様との擦れ違い&受け様の
亡くなった父親に対するこだわりと、自分が誰かの1番にはなれないのではと言う不安。
ファザコンでブラコンでちょっとこのお兄さんヘタレ過ぎじゃありませんか!
って思えるんだけど、兄だから余計にって事が分かる人には分かるお話なんです。
そして何度もデートや二人の時間を邪魔される攻め様の携帯での呼び出しに
受け様はとうとう爆発しちゃうのです。
結局は全てハッピーな展開になるお話なので、安心して読めるラブストーリー。
前作の弟編より個人的には兄の気持ちが分かる分、良かったと思える作品でした。
前作『チョコレート』で、主人公の小早川純に振られてしまった、彼の恋人・堅司の兄・飯田が主人公のお話。
前作の最後に、この飯田の相手になる牧とのボルダリングジムの出会い編があり、それから半年くらいの先の始まりになります。
この飯田、チョコレートではおしゃべりで人のよい面倒見のよい人の印象がありましたが、このお話では結構な意地っ張りでヘタレで、そして意外にも愛情欲求の強い感じの人の印象を受けました。
父親が亡くなり、その死の間際口にすることは弟・堅司への謝罪(ゲイであることを知り激怒してののしって追いだした)ばかりで、一緒に暮らした同じ息子である飯田の事は何も言わない事に、彼はこだわり悩むのです。
そこへ出会った時から飯田を口説いている牧が、それを口にして誰かに言ったのか?と言われ不快に思うのだが、それは図星を指された証拠。
それから少しずつ牧と近づいていき、彼にほだされるようになり、そして恋人になるのですが、
初めて遠出のデートの最中、男性の声の呼び出しの電話で、それは勤務先の学校の事であるのがわかっているのに、嫉妬にかられ、不安に思い彼を拒絶してしまう飯田。
その不安は、実は自分の父親のように自分が一番に愛されていないんではないかという不安だったという、かなり自分に自信のない飯田なのです。
飯田は寂しかったんだと思います。
小早川に振られても、一緒に暮らす父がいた。
まだその時は気持ちに余裕もあったから牧を軽くあしらうこともできたのに、
その父親が弟の事ばかり口にし、その死後の色々な雑多な処理事項も自分がやるものだと、誰にも言わず一人でやろうと背負いこんでしまう。
ちょっと弟に対して拗ねた部分が出ているのですが、牧の言葉によって弟に手伝いを頼み一緒に過ごして少し気持ちを口にしたことで軽くなった事実が牧への気持ちへ近づけたきっかけになるようです。
そんな愛情に対して、少しネガティブになっている飯田だから、強く押してくる牧の愛情は、飯田には必要だったと思われます。
割と、飯田の内面に重点を置いて綴られているために、至極ヤマ的には飯田の感情の一人相撲敵なところが目立ってしまって、盛り上がりにはちょっと欠けるような気がします。
牧の魅力は、特にはとりたてて目立ったものはなく、ちょっとエロい事を言ってみたり、やってみたり(台所で襲うw)は、けっこう普通っぽいかな?
自分には、かたづけ下手で散らかった部屋という設定が魅力です(笑)
そういう意味ではごくごく普通の、特に強く印象に残る程の話にはならなかったのは残念でした。
チョコレートでの前哨話がちょっとワクワクさせるものだったので、、、、
あとですね、誤字をみつけてしまいしたorz
それと初めてのエッチの後、”初めてそこに他者を受け入れた”という表記があったので、初めては挿入は指だけだったのにいつの間に!と思ったら、最後まではラストエッチだったという驚きが!?
現在大洋図書のHPで特設ページが設けられて、前作同様、湖水きよさんのマンガが♪(これはね、すごくいいです!!)それと短編が載せられています。
そちらは、汚い牧の部屋へ飯田が訪れるとキッチンが綺麗に片づけられていて驚くのですが、実はその目的は・・・(爆)
牧のエロ優先思考がモロに出た笑える番外短編になっています。
こういう愉快な進行のほうが楽しくていいな、、なんて思ってしまいました。