kirara
kin no saijiki
『千流のねがい』の番外編同人誌です。
タイトル通り、季節の行事に絡めた『歳時記』的な短編集です。時系列は結構バラバラです。
1編目『きつねの願いごと。』
七夕です。
笹に願いごとを書いた短冊を吊るすアレですね。
本編の途中、颯太が引っ越してたまに会いに来るのを待つ日々。
凜が何より願うのは・・・
そして、やっぱり信じられないような強運の持ち主としか思えない颯太と、鞘を思う征士郎。
2編目『こどもの日ときつねたち』
まだ鞘も健在で、凜が幼かった頃のこどもの日。
征士郎が作ったかしわ餅で、冗談には見えないまま凜を騙す(からかう)鞘。
まあ、こういうキャラクターだったよね・・・
3編目『きつねとあげ』
お稲荷さんは油揚げが好物だと言われていますが、それはともかく《きつね》は油揚げが好きなんだそうです。
お年玉であげを買って来たという颯太ですが・・・
『好きな相手に好物を贈る』というのはいいんです。素敵です。
でも、品だけでなく量も考えようよ、ってことなんですね。
特大ゴミ袋いっぱいのあげ・・・なんの罰ゲームなんだ。
当然、その日から征士郎と凜の食卓は、大変オソロシイ事態になってしまったわけです。
4編目『イニシアチブ』
颯太と暮らすようになってからの、凜の冬眠です。
冒頭に少し、鞘と幼い凜が。そして、(凜が来る前の)鞘の冬眠の様子も。
5編目『火曜サスペンス劇場と星。』
こちらも、凜が社を出たあとになります。
はじめての旅行で温泉旅館を訪れた颯太と凜。
《きつね》であり、人間とは外見も違う凜に変装させての旅行です。
人間ではない自分を気に病む凜、人間ではないことなどわかっているという颯太。
どうしようもなくすれ違っても、ちゃんとわかり合える。
とても可愛くて素敵な2人でした。
ほのぼのとコミカルかと思えば、意外に切なさもある短編集。
鞘を想う征士郎の様子が差し込まれるのも大きいかな。←まあ、私は鞘や征士郎×鞘はまったく好みじゃないので別にどうでもいいんですが。
本編が堪らなく好きなので、番外編は楽しめました。よかったです。
「千流のねがい」の番外編同人誌。
5つの掌編が入っています。
時系列は本編中のものもあれば本編後のものもあり、
凛の話も鞘の話も入っていますが、どちらかと言えば凛寄り。
おかげでほんわか読めます。
【きつねの願いごと】約8P
七夕の話。時系列は本編中。
鞘は亡くなっているけど、凛は社にいて颯太と遠恋中。
一応神様に願い事を伝えるという役割の自分がいる神社で
『神様に直接願いを伝える短冊を飾る行事』なんて…
と思いながらも、征士郎が用意してくれた七夕を楽しむ凛。
『しっぽの毛が長くなりますように』
『オムライスが食べたい』
などの可愛らしい願いごとの中に
『颯太に会いたい』と書いた短冊を見つけられ揶揄われますw
征士郎が書いた短冊は一言『逢いたい』とだけ書きつけられており、
叶わない願いでも願うこと自体が慰みだとは征士郎の言葉。(/_<。)
このあと颯太がやってきて凛とエッチw
『子どもごときに当てられそうだ』
…と鞘への気持ちを募らせる征士郎。
拝殿から戻り、居間にさしかかろうというとき
今までギリギリで通れていた鴨居が征士郎の頭を掠め…
と思った途端、上から滝のように降ってきた大量のどんぐり。
一瞬、凛のいたずらかと思った征士郎ですが、
どんぐりと一緒に落ちてきた鞘の蹟による
『月見団子と金平糖が食べたい』にいたずらの主が分かります。
逢瀬の日に鞘の名残と再会し、胸が詰まる征士郎の姿に涙が出そうでした。
【こどもの日ときつねたち】約3P
鞘と凛が一緒に神社で暮らしている時期のお話。
いたずら好きの鞘が、何も知らない凛に
征士郎お手製のかしわ餅を葉っぱをつけたまま食べさせ、
さらに、かしわ餅にはかしわ(鶏肉)が入ってるだとか、
柏手をよく聞くためにはかしわ餅を熱心に食べないといけないとか
嘘八百並べ立て凛を騙す話w
一見意地悪姑みたいな鞘ですが、
これが仲良くやってる姿なんですよ。
【きつねとあげ】約5P
ブログ掲載SSの再録です。
時系列は鞘は亡くなっているけど、颯太は引っ越す前。
凛はお稲荷様だから油揚げが好きだろうと、
お年玉で特大ゴミ袋いっぱいの油揚げを買ってきた颯太。
その後、来る日も来る日も征士郎お手製の手の込んだ油揚げ料理を
食べ続けなくてはならず、いくらあげが好物でも辛いと音を上げる凛のお話。
【イニシアチブ】約8P
時系列は本編後ですが、征士郎視点で鞘との思い出の回想が入ります。
鞘も凛も大好物の栗と銀杏のおこわ。
このおこわを餌にして《きつね》に言うことが聞かせられるよ、という意味のタイトル。
《きつね》が一生に一度入る冬眠の前には食欲が増し、
それが落ち着くと、抜け毛で繭を作るようにして眠ります。
鞘はシェルターの中で点滴&完璧な温度調節のもとで。
シェルターのないマンションに住む凛は研究所に戻って冬眠用カプセルの中で。
冬眠から目覚めた凛が、颯太の冬眠観察日記に描かれた自分のスケッチが
あまりに下手くそだと一水に泣きついて終わりw
【火曜サスペンス劇場と星。】約16P
時系列は本編後。
テレビ大好きっ子の凛が、
テレビに映ってる景色は本当に存在するのだと聞かされて
行ってみたいと、帽子をかぶり尻尾も隠して颯太と一泊旅行に。
凛は初めて見る旅館にも仲居さんにも驚いて喜びますが、
帽子を被ってない凛が仲居さんに見られないように緊張する颯太を見て、
自分が人に見つかったら颯太にも危険が及ぶのだと思い出し、
颯太の相手がこんな自分でいいのか…と不安になります。
旅行の後半はぎこちなく過ごす二人ですが、
『しっぽも耳も蜂蜜色の目も可愛い
本当はみせびらかしたいけど、自分だけの凛もいい』
と言葉にして伝えてくれた颯太のおかげで仲直り。
今度は颯太の行きたいところに一緒に行きたい
…と言って、連れて行かれたのはプロサッカーの試合。
スタジアムを揺るがす雄叫びや音楽はCDじゃないんだと驚きますが
みんなと一緒にぴょんぴょん飛び跳ねるのも辛くなってきた凛が
『もう家に帰りたい…』と言っても周囲が煩くて颯太の耳には届きませんw