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作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
長男と次男の喧嘩は、ほかの兄弟との喧嘩とちょっと違う。
秀も言ってたけど、手が出ない分長引くんですよね。
今回は、信の留学話から発展した兄弟喧嘩の話。
交換留学を断ったことを大河に言えない信の気持ちは、すっごくわかる。
そんで、そのことを知って、何が何でも留学させたいと意地になる大河の気持ちも、分かる。
大河は兄弟たちに、親がいないことで不自由な思いをさせたくない、夢をあきらめさせたくない、親がいればできたであろうことは全部させたい、そう思っています。
もちろん、「そうさせてあげたい」ってのが一番の気持ちなんだけど、そんな風に兄弟たちの人生を整えてあげることが大河のプライドでもあるんですよね。
これで信が大河に言えなかった理由が「お金がないこととかを大河が気にするから」だったら、このお話は私の中でたぶん普通の家族話だったと思うんです。
けど、違うんですよね。
ちゃんと考えて、納得して、自分の意志で行かないって決めたのに、それを家庭やお金のせいだと思ってしまう大河と喧嘩になることが目に見えているから。だから言えないんです。
この辺の微妙な感情の説明が、絶妙にうまいです。
こう、言葉にしにくいんだけど、胸の中でぐわっとなる感じとか、モヤモヤっと残るものとかを、そういうモワモワ感を纏ったまま伝えてくれる表現が凄く巧みです。
最後に兄弟たちがみんな立ち上がって正直に大河に気持ちを伝えるシーンに、ジーンとしました。
「大河兄だけが、いつもなにか足りないって思ってる」
それは、大河自身が不満を抱えているというわけではなく、ただ与え足りないと感じているってことです。
愛だよなぁ…。
そして、本当はちゃんと満足していて、ちっとも不幸じゃないのに、大河の気持ちを理解して「もう幸せだから充分だよ」と言えなかった兄弟たちもまた、とんでもなく優しいです。
本当は客観的に見ていた勇太と秀が一番双方の気持ちを理解していて、どちらの言い分も、どちらが何にこだわっているかもわかっていたのに、最後まで傍観者を決め込んだところが好きでした。
家族だけど、2人は新しい家族であって、これまで積み上げてきた帯刀家の歴史には口を挟まないんですよね。
そのかわり、気持ちのフォローはきっちりしてあげる。
秀と大河の関係も、すごく好きです。
チルドレンタイムスは…、痴話喧嘩ですね。
勇太は大好きだけど、いや、大好きだからこそ、このお話はちょっと「勇太…なにもそこまで真弓に付き合ってやらんでも…」と思ってしまいました。
真弓がホント、オシイよなぁ…。
他のキャラはみんな大好きなのに…、よりによって一番好きな勇太の相手だけがイマイチなんて……><
そういうエロ系統のシリーズじゃないと解ってるんだけど、この肩透かし感…!
邪魔しやがったうるさい弟たちをつまみ出したい気分ですが、そもそもの原因はそこじゃない。大河がヘタレすぎるのが悪い。膝つめて説教したい気分だわ。
でも、ストーリーが面白い小説の場合、こうやって焦らされるのも大好きです。これが面白くないストーリーの場合は「ケッ、もったいぶりやがって」と思うんですけどね。(なんかこれ、イイ女を相手にしてるときの男の心理と、どうでもいい女を相手にしてるときの男の心理の差によく似てるような気がする…笑。)
話の中身については先にレビューされてるしのさんが私の言いたいことをすべて書いてくださってました。
家族ってウザいな~と思いました。もちろんいい意味で。
このウザさが良いということを、若いうちはなかなか気づかないものなんだよね。まだ若いのに精一杯家族を大事にしてる帯刀一家を見てると、若いときの自分がどんだけ家族の愛情を浪費してたのか、それが思い起こされて頭かきむしりたい気分になりますです。
『チルドレンズ・タイム』はもうちょいコメディ寄りに話を作って欲しかったな~。オチは意外で笑えたんだけど、真弓のトラウマとやらがあまりにアホくさい。幼稚園児や小学生の恋のトラウマをまともに取り合うのってどうなのよと思ってしまいました。