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クラスになじめない悠は、図書室で出会った先輩、臣が気になり、目で追ううちに好きになっていく、という静かで透明感のある先輩後輩ラブストーリーです。前半の雰囲気がとても良く、ゆっくり読みたいと感じる丁寧なラブストーリーでした。
臣が気になって、心惹かれていく様子が最初の数十ページでえがかれてるのですが、それがとても自然です。
「あの人が好きだ」と気づいて、飼っている黒猫につぶやくところはとてもきゅんとなりました。
臣の悠に対する態度も、優しく頼りになる先輩という感じでかっこよく見えます。しかし、二人は両思いになったものの、その後大きなすれ違いが待っています。
前半と打って変わって、後半二人を襲う試練がかなり重たい感じで読んでいて辛い作品でした。
色んなすれ違いが誤解や悲劇が二人を襲い、最後はもう二度と会えなくなるところまでいってしまいます。
もやもやする展開で、レイプシーンもありますので苦手な方は避けたほうがいいお話かもしれません。
しかし、結局読んでいてこのすれ違いというものは、互いを本当に愛していたら起きないものじゃないかな?ともやもやしたのも確かです。
もやもやというか、悠に対しても、臣に対しても、相手のことを本当に思いやっていないんじゃないか、結局自分が傷つきたくないだけなんじゃないかと思いました。
ほんとに相手を信頼していたら、親の都合でアメリカに引っ越さないといけないのに黙って行ったりしないし、他の男の人と歩いてるのを見ただけで浮気だと決めつけたりしないし、レイプされたのを合意だったかのような嘘をつかない気もします。
何より、デートに来なかったのを、何かあったのか聞きもしないで浮気だと思いこんだり、誤解がとけたあとも何日もあったのに謝りにもいかないのって・・・最後の最後まで本当に悶々しました。
しかし、悠が「生まれ変わったら先輩の飼い猫になりたい」と本気で夢見ているところは何度もじんとなります。
痛々しいんですが、透明感のある作品でした。