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え、なんで評価もレビューもないの!?と思ってよく確かめたら前世紀の作品だったんですね(私のお気に入りは古いものが多いので全然気にしてなかった・・・)。
私はこれすごく好きなんですが、それでも特に『何か』というものはない作品だなあ、とは思います。
水壬さんのごく初期の作品は、決して悪くはなくても個人的に『ちょっと何かが・・・』というのが多いんですよ。まだ書き慣れてないぎこちなさのようなものかもしれませんし(失礼ですよね、すみません)、題材の選び方が好みに合わないのかもしれない。
そのあたりは自分でも具体的にはわからないんですが、これは逆に『なぜかわからない』けど、すごく好きなんです。
それでも何がというなら、キャラクターがよかったですね。特に公士(攻)が、一見軽くて調子がいいようで、その実とてもいい男です。その気のない久深(受)に一方的に付き纏うんですが、ただ自分勝手なだけではないんです。過去の恋愛の痛みを引き摺る久深を、きちんと見守ることはできる。
公士は、意外なくらい包容力があるキャラクターでした。超絶ヘタレなんですが、私はヘタレ攻は大好きなので問題なし。水壬さん、こういう『包容力あるワンコ』書くの上手いな~と思うんですよ。
久深は、属性としてはあらすじにあるように『クールビューティー(あるいはツンデレか?)』なんでしょうが、私にはあんまりそういう印象はなかったんです。傷ついて殻に閉じこもってる健気なイメージの方が強かったかな。←『健気』な描写はあんまりないかも・・・でもなぜかそう感じたんです。
久深の過去に関わるエピソードも出て来ます。公士と2人で旅行に行った先で、以前の勤務先での不倫相手が妻を連れて来たのと鉢合わせしてしまうんです。
この不倫相手がいかにもな『悪役』じゃなかったんですが、どう言い訳してもズルイことに変わりないですからね。しかも、最初から不倫じゃなかった(先に久深と付き合っていて、結婚した)のが余計に。
公士と付き合う中で、久深が不倫相手やその相手との想い出を、本当の意味で過去にできたんです。ようやく、解放されたんでしょうね。
取り立てて事件が起きるわけでもなく、静かで淡々としてるんですが、甘くて優しいストーリーです。読み返すたびに安心するような、個人的に大事な作品です。
大変面白かったです。表紙絵やあらすじから予想していた内容を良い方向に裏切られました。傲慢な男前攻×健気に耐える美人受…かなと思っていたのですが、年上の男前ワンコ攻×ややツンデレの美人受によるバランスの良いコメディーでとても楽しかったです。古い作品ですが、エピソード0的なお話や続編があればぜひ読んでみたいと思いました。
全部で三話収録されています。いわゆる"間"の時間がサクサク進み、ベッドシーン前後の描写も比較的あっさりしているのが私はとても好ましかったです。濃い描写も好きですが、全ラウンドを微に入り細に入り描写されると読んでいて疲れてしまうのでね…。
久深は、以前の辛い恋愛ではまさに「健気に耐える美人受」だったと思うのですが、公士と過ごすことで本来の自分を取り戻していることが伝わってきて微笑ましく感じました。なんというか…素直に応援したくなるカップルで楽しかったです。
評価では考慮していませんが、本文と整合していないイラストが2箇所あったのが少々残念でした。誤字脱字だけでなく、こういうチェックもちゃんとして欲しいな~。