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i miss you
ボンボンの大学生が、自宅近所の公園で知り合った子持ちの男と恋に落ちる話。「萌×2」と「萌」の間くらいかな?
ゆるーい学生生活を送っていた志田が根岸親子と出会って意識が変わっていく成長物語ですが、やはりそこは麻生作品。ラブがしっかりメインとなっています。
根岸は優秀なリーマンで、息子の凛は亡くなった兄夫婦の子供。平日は凛の祖父母に預けながらできる限り子育てしていますが、なかなか凛と一緒に過ごせる時間が取れないのが悩ましいところ。
志田は親が経営する企業に就職が決まっているので就活の必要がないうえに、一人暮らしのマンションも親がかりと、大学生とはいえ優雅なご身分。それも根岸と出会うまでは、でしたが…。
ノンケの二人が突然恋に落るのですが、不思議と違和感がない。恋の理不尽さだけでカバーしてしまう説得力って一体どこからくるんだろう。
志田の方は本能的に怖くなって、根岸と恋に落ちる前に逃げるんです。大学を卒業して親の会社に入社するまで一年が経ち、入社後に根岸と再会するとは思いもよらずに。
根岸がねー、もうねー、やらしいんだわ、煽り方が。活字だからシーンを妄想してキャーなんて一人騒いでいるけれど、これ映像だと白けるであろう自分がわかる笑
たとえば、根岸が志田の頭をクシャクシャッていい子いい子した後に手を離す瞬間、指先を首筋に滑らせるシーンとかさ。
二人が再会した時に放ったセリフとかさ。
仕事ではバリバリで昇進にも意欲的で、海外赴任も狙っているくらい男(しかも子持ち)が、年下の男に恋をするギャップがたまらんセクシーなんですよね。それも、志田が企業の関係者であることを度外視して。根岸が海外赴任を希望しているのを知っていた志田が裏で手を回したことに激怒して、志田の頬を張るくらいです。
本作でも年下の受けが攻めと対等になりたいと焦っています。ですが、自分が欲しいものは自分の実力で手に入れたい根岸からすると、たとえ恋人でも許しがたいパーソナルな領域を示せる関係は「対等」だと思っているからこそできること。当時、「対等でありたい」とは同性同士を描く上で外せないポイントだったんですね。
二人が凛に遠慮しながら男同士で初めてするエチシーンは、切実さと苦さが混じる不思議な色っぽさがあります(もちろん凛が祖父母の家に預けられている間のことですが)受けがケガを負っているのに、抱いて欲しいとせがむシチュがそうさせているのか…とにかく読者の気持ちを乗せるのがうまい。
エンディングのシーンにホロリとします。凛が二人の関係を幼いながらに気付いていたこと。志田が親子と出会った頃の、根岸に甘えたり、志田を慕う凛の様子がとっても可愛いです。そう、凛が立役者なんですよ、さりげなく!
あとがきに何を書こうかネタに困っていた作者様が、意外に編集さんや読者さんからエッチシーンが好きだといわれます〜と書かれていました。同志がいたんだなぁ笑。わたしもすごく好きです。