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過去に囚われた草が、麦と再開して少しずつ、今を生きていくことに理解。
何もかも諦めているようで、森のことだけ、固執していて、触れないことで忘れないとは、切なすぎる。
子供の拗らせのまま年月だけが過ぎて。
得体の知れない麦との暮らしで少しずつ草の心が柔らかくなっていくのにホッとして。
あと、金子と彼女が良い仕事したよ。
脇役ながら、金子の生き方はよく頑張ったと、褒めてあげたい。そして、なんて良い子なんだー!!
口は悪くても、弱っている人に気づくことができる優しいやつ。
じーんと良いものを見たなあ。
一穂先生の以前の作品では、「 」が続くあまり、誰が何を喋ってるのか分からないというのがあって、この作品もそうでした。
特に序盤では、草と麦と、名前が似ていることに加え、人物造形も似ていて(どちらも自由にふんわり生きている)どっちがなんだっけ、と何度か前に戻って確認する必要があり、とても読みづらかったです。
途中、草が兄との関係に悩んでいる描写が登場して、そこから少し理解できるようになりましたが、でも全体的には私はあんまり入り込めなくて残念でした。
(兄はキャラが全然違うので混乱はしませんでしたが、名前が森で、やっぱり字面が似ている)
イラストの金ひかる先生の絵も、あんまり作品に合っていないと思いました。イラストでは麦が随分大きくて、こんなに体格に差があるようには読み取れなかったです。
このレビューには盛大なネタバレがあります。お気をつけ下さい。
物語の前半部分、読みづらさに挫折しかけました。
今作のメイン2人が、話し方や考え方が似ているところがあり、どちらの台詞なのかわからなくなったり、出て来る名前が草・森・麦なので、脳内変換が厳しい所が多くあったりしました。
一穂先生のネーミングセンスが好きですし、いつも見ていて楽しめるのですが、今回の漢字は訓読みのイメージが強すぎたかな…
なんとなく始まって、なんとなく過ぎていく時間をとても上手に表現されていたと思います。
特に前半部分は、メイン2人が溌剌としていない所から始まるので、現在の自身の心持ちと合わなかったのか、少々退屈に感じました。
麦の心の動きをうまく追う事ができず、置いてけぼりにされてしまいました。
中盤から後半にかけて、なぜそうなってしまったのかの理由がわかってくるあたりから、褪せた背景に色がつき始めるような印象でした。色で言えば、草の部屋のベランダに、鬼灯の鉢が置いてある描写が印象的なのですが(表紙にもありますね)、ストーリーの平坦さゆえか、初めは鬼灯の色をうまく想像出来ませんでした。ストーリーに2人の感情が乗り始め、緩急がついてくると鬼灯のイメージが鮮明になってきて、不思議でした。小物の使い方は、流石一穂先生といったところでしょうか。
また、ぶっちゃけてしまうとメイン2人よりも草のお兄さんとの話が好みでした。草はお兄さんに長く、拗れた片想いをしていました。
草の幼少期の回想で、音を鳴らそうと口に含んだ鬼灯が苦くて、それを兄の手に吐き出した場面が特に強烈でした。
草はその行為を、家族ゆえの全てを許し受け入れる動作と認識していましたが、私は、細くも骨ばった少年の"男の手"と、幼気な舌、小さな前歯、唾液に絡まる赤い屑を想起して、鮮烈なエロティシズムを覚えました(ムッツリか)
他にも2、3、子どもの頃の草と兄の描写があって、その都度胸にキュンときました。
お兄さんの真面目な人柄も素敵で、草にもっと困らされて欲しい、この2人の話が読みたいと思ってしまい、読後は若干の失恋気分でした。
麦と草が幸せそうなので、まぁ良かった。これで良かったのさと諦めました。
非常に惜しくはありますが、前半の読みにくさ、お兄さんへの好意が大きくなりすぎたので萌評価に致します。はぁ…お兄さん…
浮世離れした二人の話。
他作品と比べると、大体自宅とその周辺で話が展開するので地味なお話かもしれませんが、ちゃんとそれぞれの人生を持った人たちが生きていると感じる作品でした。
他人を受け入れる方が、否定するよりも楽なんだ、という一文があって、なるほどなと思いました。
何事にも執着しない方が楽なんだけど、そうすると人を信用できなくなったり、諦め癖がついたりしてしまうような気がします。
私も気を付けないとな。
はっとするフレーズがあるのも一穂先生のよいところですね。
一穂ミチ先生の作品はイエスノーが初読みで主人公にドン引きした訳ですが、まあ他の作品も読んでみようと思いました。
出だしから雰囲気が一般小説ようです。
この作品の葛西草てどこかのアパートみたいですよね。
ひらがなにすると、かさいそう で、かさい荘。
そんなことを思ってしまったもんだから、そればかり気になってしまってます……。
で、会話や文章にも読みにくい所がけっこうあって……けっこう頭を捻りました……。
2人の会話なのに誰がどれを喋ってるのかわからなくなります……。
そして、前半……草が黒髪か茶髪か、麦が茶髪か黒髪かも分かり辛かった……。
BLかって言われたらBLでなくても良いような内容です。
一般小説でBLっぽい要素がある感じです。
面白いなと思う部分はありましたけど……淡々とし過ぎていて、特に何もない感じです。(見せ場がない)
なんか、読み終えるのに疲れました。
一穂さんは大好きなんですがタイトル、表紙ともにちょっと地味だったため、読んだのは最近です。
受けの葛西はバーを営んではいるが、惰性のようなあまりやる気を感じない男。
自分だけ時間が止まったような生活をしています。
攻めの湯浅は中学の同級生であった金子に連れられ葛西のバーを訪れ、流れで葛西と同居することに。
働いているようには見えない謎な25歳。
葛西は日々を淡々と過ごし、来るものは拒まず去るものは追わず。
今までも同居していた人間がいましたがそのスタンスは崩さず、湯浅にも同じように接している。
かなり草食な感じて流されているようではありますが、根底にあるものはドロドロした自分の感情。
それから目をそらせるために時間を止めているのかなと。
特筆すべきは、近所で古着屋を営む同級生の金子。
彼の外見とは裏腹の『普通』さが、主人公達の過去の自分から逃げて目を塞いでいる現実を浮き彫りにしています。
金子は現在を生きているけれど、ふたりは足踏みして進まない。
前半はこの進まないふたりがゆったり(それこそ話も進まない)描かれ、後半ふたりが目を逸らしてきた現実が徐々に見え始めます。
タイトルもあらすじ読んだ段階ではハテナ?でしたが、最後はなるほどーと。
挿絵が金さんなんですが、実際作品を読んでみると日常から切り離された違う空間という雰囲気の中で進むので、もう少し現実味の薄いレーターさんでも良かったかなあと思います。
表紙と内容がちょっと違和感ありました(汗
新刊のイラストが金先生だったので、同じ組み合わせのこちらを再読しました。
同人誌も精力的にお書きになっている一穂先生ですが、これは同人誌が出ていない作品。
比較的レビューも少ないですし、全体に変わった雰囲気の漂う地味な印象がある作品ですが、
読み終わってジワジワと沁みてくる、個人的には好きな作品です。
:
ふらりと出て行った前のオーナーから引き継いだバーを、商売っけなく細々と営む葛西草。
ある日中学の同級生で近所の古着屋に勤める馴染み客の金子が、
やはり同級生だったという湯浅麦を連れてくる。
「来るもの拒まず去る者追わず」、今までもそんな風な人との関わりで生きて来た草は、
それまでもそうやってきたように、行くところがないという麦を居候させることに……
草と麦、いかにも草食系な名前の二人。
彼らは、自分達も語らない秘密を持ち、そのかわり他人にも世の中にも興味を持たず、
大らかというよりは無頓着でいい加減、そんなもの同士だ。
金子曰く「ふらふらへろへろして常にかったるそうな」そんな二人は、ゆるい共同生活を送る。
働いている様子がない麦、
どんな家族とどんな生活をしてきたのか、興味はなくもないが草は訊かない。
一方の麦も、こんな得体のしれない自分をアッサリと家に住まわせる草を不思議に思いながらも、
訊かない。
お互いの事情を棚上げにしながらも、日々の暮らしの中で少しずつ馴染んで、
そしてお互いを面白く思い始める。
他の方もレビューで書いていらっしゃるのだが、この似た者同士の二人、
最初どちらが喋っているのか分かりにくい。
読んでいて、それはわざとなんだろうな?と思った。
彼らはとても似ている、似ているけれど、ものすごく違うところがある。
草が持っている、非常に熱い兄への想いだ。
誰に言われなくても、そこに居たことを察して走り出してしまう程の想い。
後半、まるでモノクロの映画にそこだけ原色で色がついたようにそれが明らかになる鮮やかさ!
そしてその熱と鮮やかな色に刺激されたように、
麦もまたぼんやりとしていた草への気持ちが発火する……
世の中から取り残されたような彼らの時間が、金子の仲立ちもあって動き出す……
(この脇役金子が、一見派手で強面なんだけれど、とても暖かくて真っ当ないいキャラ!
同棲している歩美もまた、生きて行くのにいつも損をしながら笑っているそんな女の子。)
それまでたった一つのことだけが色づいて意味を持って、
他のことはどうでもいいように生きていた草。
今までのことをちゃんとしてくる、と出かけていった麦。
一方の草も草なりの「ちゃんと」をしようと、行動をする。
10年も意固地に固まって身動き取れず、流されるまま生きてきた草が、自ら動いた時……
:
お互いに「葛西くん」「湯浅くん」と呼び合う、二人の会話がいい。
分かり合っているようでズレていて、まったりしていてでも鋭くて、
穏やかでそこはかとなく可笑しくて。
「底」というバーの名前、屈葬、ほおづきと土。
桃の棘、風呂屋に行けない金子への土産、指輪、地面に落ちたガリガリくん……
どのエピソードもさりげなく意味深く、そしてギクッとする程冴えたディテール。
こういう地味で難しい話を、こんなにも面白く描く一穂さんの筆の力に感服する。
想いが通じてから、抱き合うまでに勝手にハードルを設けた麦に、
今まで誰とも抱きあったことがなかった(!)草が持つ期待の仕方が可愛いけれど、
それ以上に、店を閉めたあと「とりとめのない話をしている時間が一日のうちで一番好き」
という草が微笑ましく可愛らしい。
ー どうして昔の自分は、誰とも関係なく生きていけると思っていたんだろう。ー
狭く恋に限らず、ひとと関わりながら誰かに影響されたり影響したり、
知らずに起きている営みの不思議さ。
夕刻の最初の燈のように、心の中にほのかな灯りが点る作品です。
読後最初の一言が「なるほどな~」でした。
くるもの拒まずさるもの追わず。
いつも誰かがフラッとやってきて、いつの間にか居なくなる
そんな長屋の主が受。
今回もフラっとやってきたのは中学のときの同級生だという男。
同居生活がハジマリ、いつまで続くともしれない二人暮らし。
そんな中二人の中で芽生えるなにか~みたいなお話ですね。
正直なはなし、途中までは、淡々と話が進んで
面白みがあんまり感じ無いなぁと思いながら読んでいたんですが、
後半にいくにつれて、受がなぜ、今こうしているのか。
叶わぬ恋を抱えたままでいること。
兄との確執云々から~。徐々に見えてくる背景と
攻との関係と。見えてくるほどに面白く読める作品だったかなと思うのです。
簡単にいえば、読み終えてみればいい話だった!
という感じですかねww
いろんな男たちを匿ってきたという話だったわりに
ついでに言えば、
過去いろんな男を置いていたと言っていたのですが
身体も心も初心なままなのには思わず悶絶(*´Д`*)ポポンッ
ハジメテとかwwハジメテとかwwハジメテとかww
終わりよければ全てよし。読後は気持ちいい作品でした
久しぶりに読み返しました。
一読目は、私も名前を混同してしまって、
「あれ?どっちのセリフ?」みたいに何行か前をたどったりして
なかなか物語自体を楽しめる余裕が無かったというか。
それでも、読後しばらくその世界に浸れるのがミチさんの魅力で。
余韻がすっかり冷めて、どんどん色んな作家さんの作品を読んだり
ミチさんのも読んだりしていたのですが、
同人誌がないのをあえて読み返そうと、この「アロー」。
二人とも何もアクション起こしそうにないのに、
だんだん、本当に徐々に意識していく様子が流石としかいいようがない。
所々のミチさん節がたまりません。
「薄い人生だな、と思う。金子がカレーならだし汁程度の。」
「性欲というものが身体の中で塊として存在するなら、
そこに小鳥がひらめいて止まった感じ。」とか。
ちりばめられた言葉達はもちろん大好きなんですけど、
ミチさんのお話のキャラは、みんなブレがない。
意外にもこんなことを、っていうギャップもたまにありますが、
全然ありえなくないし、むしろそのキャラをぐっとひきたてている。
どなたかは申しませんが、
「いや、この人はそんな事しないしそんな事は言わないだろうな」っていう
主人公を書く作家さんもいらっしゃいます。
(ただ単に私の解釈なので、どうってわけじゃないんですが
ちるちる内でもわりと高評価の作家さんだったので…すみません)
どうにかしたくてどうにもならない気持ちや物事、
草に感情移入して、読み返しなのに涙がこぼれました。
何事にも動じず、「あー、そうですか」みたいに生きていた二人が
お互いを変えてしまう程に、お互いを欲するようになるお話です。
そこまでがあまりにも自然で無駄なエピソードがひとつもなく、
登場人物皆が魅力的です。
あと、私は飲み屋が出てくるお話が好きだな、って改めて思いました。
きっと自分では無理だけど、草みたいに生きてみたいとも思ったり。
替えがきかないような愛する人がいれば、
そんな人と一日が終わる頃ささやかな幸せを感じられたら、
先がみえないような人生もきっと毎日素敵だろうな。
じんわり、じっくり進む物語、もっとたくさんの方に読んで欲しいです。
作家買い!な一穂さん、毎回わくわくなんですが、今回の新刊は登場人物というか主役カップルのふたりがどっちがどっちかよく分からなくなってしまい、うまく感情移入できなくて残念でした。
なぜかめちゃくちゃキャラだちしている脇キャラクター金子くんがすごくツボに入ったので、萌えはそこから(笑)
ただ、金子に牛乳差し入れにいくところでいろんな意図に気づき心が近づく描写はさらりとしていながらさすが一穂さん、でした。
この、「アロー」というタイトル。
日本語で「矢」。
カタカナで「アロー」だからまだ何とか格好付いているけど、実に素っ気ない。
主人公の葛西草は「来るもの拒まず去る者追わず」誰とも距離を置いて、時間に取り残されたような通りの裏のバー「底」を切り盛りしている。
そんな草の店にある日、同じ通りで古着屋をやっている中学の同級生だった金子が、やはり中学の同級生だった湯浅麦を連れてきます。
行くところがないという湯浅を、草はいつも通り家に居候させるのですが・・・
この二人、二人ともが、現実との関わりが曖昧で、生きているんだかいないんだか、
冒頭、二人の出会いのシーンにダーツが登場します。
このダーツに絡めて、二人の思いが矢のようにまっすぐぶつかる話なのかと思いきや、この二人、いつまで立っても、そんな熱量のある関係になりません。
それなのに、なぜ「矢」というタイトルなのか、
その理由は、だんだんに明かされる「草がここにいるわけ」と一緒に明らかになっていきます。
一穂さんの作品は、概して登場人物が少なくて、その二人だけの閉じた別世界で話が進む印象があるのですが、これもそんな感じ。
お話は面白かったけど、「萌」一つなのは、そんな少ない登場キャラなのに、「湯浅麦」と「葛西草」、この二人、どちらがどのセリフなのかが、すぐにわからなくなって、それを確認するのに、行きつ戻りつとなかなか難儀したため。
単に私の記憶能力の衰えのせいなんだろうけど、二人の名前が似過ぎなのか、それとも