誘惑なんてホストには簡単なはずが!?

純情不埒

junjo furachi

純情不埒
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神2
  • 萌×26
  • 萌11
  • 中立5
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
7
得点
72
評価数
24
平均
3.2 / 5
神率
8.3%
著者
高遠琉加 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
香坂あきほ 
媒体
小説
出版社
アスキー・メディアワークス(角川グループパブリッシング)
レーベル
B-PRINCE文庫
発売日
価格
¥660(税抜)  
ISBN
9784048705417

あらすじ

「ユイジにお願いがあるの。うちの旦那を誘惑してくれない?」
 上得意客から、年上の歯科医・佐倉を堕としてくれと頼まれたホストの唯司。首尾よく佐倉の自宅に入り込み同居生活を始めるが、不器用で繊細な佐倉に強烈に傾く自分を感じて!?
 なんでもそつなく器用にこなす、そんな仮面の下に隠れた自分が、本当の恋に揺さぶられて『好きだ』と叫ぶ――たくさん泣いたあとに幸せになれる、ふるえるような感動作登場!!
(出版社より)

表題作純情不埒

ホスト
歯科医

その他の収録作品

  • 純情とゲーム
  • 理性と落下
  • あとがき

レビュー投稿数7

恋とはもがくもの(その意味では王道)

高遠琉加さんの作品は、好きなものがたくさんあります。それは文体が好みであるという事や、設定が絶妙だという事にあるのですが、本作「純情不埒」も安定の「高遠作品」であると思いました。

「純情とゲーム」
好きな感じの文体に、お金のために男を誘惑するホスト(実は誠実な男)、といういかにもドラマの起きそうな設定。
攻めの森川唯司は根は誠実で、ゲイ疑惑のある受け佐倉和巳を陥れようとする事に罪悪感を抱き、大人で真面目な佐倉に惹かれていくんだけど、佐倉は唯司の思惑に気付いて一度は突っ撥ねる。
それでも佐倉に全身で向かっていく唯司と、年下の男の激流に流される男。ここはなかなか萌え。

「理性と落下」
佐倉目線。
唯司と通じ合えて良かった、と思えた佐倉だけど、彼の過去と、弁護士になった唯司と今は同居している状態なのに未来の別れを勝手に不安がってる姿がイジイジと描かれて、何とも読んでいてドキドキしてこない。
やはりネガティブすぎる佐倉の造形のせいだろうか。
ノンケの先輩にいいように利用?された10年以上。恋愛観が卑屈になるのも当然か…とも思うけど、ギクシャクした関係を打破しようとする唯司のやり方も、ショック療法すぎて私にはどうも納得できなかったな…下手したら佐倉の精神が崩壊一歩手前まで行っちゃうところだったよ!
「純情とゲーム」だけなら「萌」、「理性と落下」だけなら「中立」、一冊としては「萌」評価とさせていただきます。

3

ちょっともやっとする

続編とあわせて中篇2本が収録されています。シリアスタッチな、年下攻めホスト×年上歯科医のお話です。

「純情とゲーム」
雑誌掲載時は表題「純情不埒」でしたが、改題されたとのことでした。
唯司の目線で進みます。ホストの客である多香子から、有利な条件で離婚したいから夫をホモだと証明してほしいと依頼され、佐倉と接触することになります。思いがけず同居することになったものの、唯司は佐倉を思ったように誘惑できない。時間ばかりが過ぎていくうちに、多香子とのことが佐倉にばれて、出て行って欲しいと言われてしまい…。

「理性と落下」
佐倉の目線で進みます。
前作を佐倉目線で簡単に振り返ってから、後日談が始まります。弁護士になった唯司。忙しくモテる彼を見るにつれ、自分と別れて普通に女性と結婚した方が良いと考えます。元彼氏と誤解されたのを機に、別れを告げて…。

まず、続編は、せっかくだったら「純情」をつけた題名にして欲しかったです。理性が崩れ落ちた、という感じでもなかったので。

良くも悪くも女性キャラの活躍があっての作品だと思いました。佐倉の妻・多香子、佐倉の妹・瑞希、唯司の友人・ミキ。彼女達が何も行動しなかったら、二人は出会わなかったし、両思いにもなれなかったし。
彼女たちの姿がイラストに描かれていれば、もっと厚みが感じられたかもしれません。

二人だけであれこれ考えもだもだしている印象で終わったのが残念でした。ミキか瑞希が、仕事のできる豪快な女性だったら「何やってるの!」と背中を叩かれたかもしれません。佐倉は臆病な悲観主義者ですし、唯司も頼りがいがある男までは行きませんでした。どうにも迫力に欠けた二人でした。

続編で、唯司が佐倉の本音を引き出すためにとる手段も、いまひとつでした。瑞希を巻き込んだのはともかくとしても、食事会ではご両親の前で佐倉(兄)と付き合っています、と宣言をするのかと思っていたので拍子抜けでした。

佐倉と元彼氏(先輩)も、「2年で何度寝たのだろう」という表現が出ているのに、佐倉の挿入は唯司が初めてというのも違和感がありました。

女性陣をもっと強くしてコミカルテイストにするか、シリアスなら悪役を登場させて二人をかく乱させて欲しかったです。ほろりときた場面もあったので、なおさら中途半端に思えて残念でした。最後にラブな後日談SSででも緩和して欲しかったかな。

3

年下の彼氏

中立と趣味じゃないの間くらいです。
最初はよかったのですが、あまり攻めキャラが好きになれなかったのがネックだったかも。

前編後編からなる二編の小説。前編は攻めの唯司視点、後半は受けの佐倉視点です。
内容は面白くないという程ではないけど、わりとよくあるお話かなあ?と思い、けっこうあっさり読み終えてしまいました。

ホストの唯司はお金ほしさに、客である女性からゲイである旦那と離婚したいから誘惑してほしいと頼まれます。
唯司はその旦那である佐倉に近づくのですが、佐倉の純粋さに次第に惹かれていくというストーリーです。

人の依頼を受けて受けに近づくけど惚れてしまう…という展開はけっこうあちこちで見たことがあるので、少し物足りないかな?と思いました。
これで受け視点なら騙されていたことに気づいて深く傷つく展開になりそうですが、攻め視点なので代わりに騙していることに対する罪悪感があります。

でも、唯司がお金が欲しい理由なども途中から予想がついてしまうので、根っからの悪人ではないというオチも(悪人だと嫌だけど)ふくめて全体的にどこかで見たことある展開の域をでないかなぁ…と思います。

後半は佐倉視点のお話です。純情不埒の続編で、唯司が社会人になったお話。
こちらでは前半では理解しきれなかった佐倉の過去の辛い失恋や、何故好きでもない女性と結婚したのかなど、佐倉の健気さなどが辛くてじんときました。

佐倉視点のほうが個人的にはBLとしては萌えました。
弁護士になってテレビに出て有名になり、唯司が自分の手の届かないところに行くのではないかと不安になる佐倉。
自分の妹の瑞希と頻繁に会っていることも不安に拍車をかけます。

ここまでなら、わりとありきたりの域だとしても安定したBLで楽しめたと思わなくもないのですが、最後の唯司の行動が私は許せなくて読んでいて腹が立ってしまったというか…。

ネタバレになりますが、佐倉は喧嘩して出ていっていまった唯司から、しばらくして妹の瑞希と付き合ってると告げられます。
結婚の話になるかもしれないから、家族全員で食事しようと言われ、心が張り裂けそうな中笑って祝福をする佐倉。

もちろん嘘なのですが、勘違いとかでなく、はっきり「嘘に決まってるだろ」、とラストに言われ…これは自分がされたら死ぬほど傷つく…。

本音が知りたいからって、他の人と付き合っているところを見せるという行為があんまり好きじゃないです。というかかなり苦手な部類です…。
しかも唯司の、「あなたが本音を言わないから悪いんだ」みたいな姿勢って、ちょと酷すぎるのではないかと思いました。
カッコイイと思ってた唯司が一気に苦手に感じました^^;

ワンコ系でなく強気系の年下、健気な年上という組み合わせが好きで、作家さんも好きな方だった分最後のこの展開が少し残念でした。
けれど文章力は安定したせつない系のお上手な作家さんですので、強気年下×健気年上のスタンダードがお好きで、多少攻めが酷くても大丈夫、ならオススメできるかもしれません。

0

面白かったけど若干消化不良

久しぶりに高遠琉加さん読みました。
やっぱり文章が好きです。
でも内容は若干消化不良だったかな。面白かったんですけどね。

前半は攻め視点です。
ホストな攻めが、女性客に頼まれて、お金のために彼女の夫(受け)を誘惑するお話。
偶然にも助けられて、とんとん拍子&自然に受けに近づいて親しくなっていく過程はすごく面白かったです。仲良くなればなるほど、真相がバレたときのことを考えてハラハラドキドキ。
でも後半部分のポイントである「真相がバレる」という重要な盛り上げどころがイマイチだったかなァと思いました。
脇役の女性陣があまりに都合よく動いてお膳立てしてくれるところとか、攻めの「実はいい人」っぷりが強調されすぎなところとか。
後半の受け視点でも、脇役がお膳立てを整えてくれすぎなのが気になりました。
受け自身が踏み出す場面が見たかったな。

1

自分の嗜好を突きつけられた!

 はい。
 うじうじ浮け、好きですね。
 自分自身が卑屈でめちゃくちゃうじうじしてしまう人間なので、この手の登場人物には異常に共感してしまいます。

 頭の片隅では、思ってることを言うなり態度で示さなければ絶対に伝わらないし、現実にはこんなに相手の思いに気づいてくれる恋人はいないだろうし、普通だったら別れるだろっ! 
 って、頭では分かってるんですよ~~。
 
 頭では分かってるのに、攻めがうじうじを理解してくれた途端、涙がボロボロ流れるのです。

 あぁ~~これはどうしようもないな、と思いました。
 このスイッチは、自分の人格形成の上でのふかーいところに繋がってて、頭でどうこうというものではなくて、ポチッと押されちゃうみたいです。

 現実ではありえねぇよって、わかってるんですがねぇ~。

 BLを読むことって、自分の心の奥の方に繋がってるなーとつくづく思いました。

0

高遠先生なのに、霞み掛かっているような・・・

大好きな作家さんの1人の高遠先生の新刊にニッコリ^^
でも、何だかちょっと違う感じがする・・・
文章の雰囲気が違うって言うか、ストレートに伝わってこないと言うか、茶鬼さんと同様に何度も読み返していました。
それでも、高遠先生の心情語りの巧みさはサスガだと思います。
出版社さんの違いか?読み難かったのはあったけど。

攻め受け2人とも、仮面を付けて生活しているのですね。
唯司(攻め)は、
マジメで正義感が強いから、弱者を助けたいと法学部に進んだのだけど、実家の借金の為、大学を休学してホストをやっている。
生来のルックスと気働きと弱者になりたくない反骨精神とで、今風の売れっ子ホストな訳で。
佐倉(受け)は、
良家子息もあって、礼儀正しく穏やかな人。
だけど、高校時代の先輩との腐れた縁から、何事にも平穏にと諦め感が身に付いてしまっている。
自分が傷付きたくないから、先輩や嫁とも波風立てずなぁなぁでやり過ごし、自分の高ぶりは心の奥に閉まっておくタイプ。

この2人の同居で、素になって(ゲイの佐倉と同情心が強い唯司)、お互いの傍が心地良いと感じたのなら、絆され合うのも頷けますよね。
佐倉嫁と佐倉妹、唯司の女友達と、元気で素な女性陣のお陰で、この話は盛り上がってくれています^^

【純情とゲーム】は唯司視点。
【理生と落下】は佐倉。
其々の心情が「言い得て妙」なタイトルだと思います。
2人が素で好き合っていく過程が、2人のそれぞれの視点で分かり易くなってます。
どちらか1話では、消化不良だったでしょうね。

自分の中で惜しむらくは、2人が恋人同士になってからの、唯司が言う「ヒモ」期が、駆け足で書かれていた事。
研修で離ればなれになっている唯司に、諦めと希望を抱いている佐倉の大人だけど弱い部分を、もう少し表して貰いたかったかな。
もっと佐倉の説明が出来たのではないかと。
(おっ自分、編集さんみたい!?)

あらすじの「たくさん泣いたあとに幸せになれる、ふるえるような感動作登場!!(出版社より)」という程ではなかったけど、良い話でした^^
やっぱり好きだな、高遠先生の^^♪

1

面倒見の良さがヘタレを救う

高遠さんらしく、ぎっしりの中身の本です。
3度読みかえしましたが、読み返すほどに時間がかかったという(汗、、)
単純にこれに萌えたー!とかそういうお話ではないですよね、じっくり読ませるので。
最初のお話では、うんうん、そうか、よかったねと思える、でもそれだけでは物足りなさを感じる結末。
だけど後半のお話は受け視点になることで、受けの性格は何となく前半で見えてはいましたが、ここまでネガティブだと攻めにとって一体どこが魅力なんだ!?と放り出したくなるようなウジウジ受けに共感はできない。
かわいそうだとは思うけどね、過去の経験やゲイであることからあきらめきって生きてきた、卑屈な性格になってしまったことは。
そう考えると、もうこれは攻めの懐の深さというか、攻めの嗜好の問題!
彼は、困っている人不幸な人を見捨てておけない性格。
それが攻め視点で綴られた前半の話による彼の性格によって、このウジウジ受けを愛する理由になっていると、後半のお話の納得部分になるのです。
だからこの、攻め・受け視点の話が二つあることで彼等の人生がやっと一つに繋がるんだな~と思うのです。

店の客から旦那がゲイみたいだから離婚したいんだけど、それにひとやくかってくれと話をもちかけられて受けたホストの唯司。
運よくその対象・佐倉の家に厄介になることができるのだけど、そこで佐倉に接することで唯司に葛藤が生まれるのです。
ホストは客に恋をしろ、と言われたその手管を使おうと意識して最初はそれで接していたはずなのに、段々見えてくる佐倉の本来に、本当は自分もズルイはずなのに、佐倉を悪者にする周囲に腹が立ってきて佐倉に気持ちが傾いていってしまうのです。
唯司が世話をした元キャバ嬢のミキちゃんという存在が、唯司の本来の性格を示してくれます。
またこのミキちゃんの存在によって佐倉が唯司の誠実さをしることになるのですが・・・
唯司は、根はとてもいい人だったのです。
弱い人を放っておけない。
それがどうして佐倉への愛へ変わっていくか、それはきっと佐倉が一番放っておけない人だから、
そして、佐倉の好意を唯司が感じ取ってしまったから。
怪我によってずっと佐倉の部屋にいて一緒にすごしていましたから、そして恋愛をしかけるように彼をずっと観察してましたから、一種のつり橋効果を唯司にもたらしたと思います。

次のお話はその数年後です。
ここで、佐倉が実にネガティブで過去にひきずられてウジウジしている姿をこれでもか、と見ることができます。
よく、その唯司と一緒になった数年の間にそういう場面がなかったもんだと思うのですがw
この佐倉の超ネガティブ具合を見ていると、本当にこの人のどこがいいんだろう?と思わずにいられません!
超ネガティブを見せられるからこそ、唯司が佐倉を手放せなくなるのか?とも思ったりするのですが、いかんせん、受け視点なんで、そのあたりは前半のお話の唯司の性格から、こう推測するしか・・・
また、この後半になると唯司は前半の少し世間に諦めたズルイ姿勢の姿が全く姿を消して、年上の佐倉をリードする完璧ワンコに変身しているのも興味深い。
本来の唯司の姿に戻っているんだな、、と。

ハッピーエンドで終わりましたが、佐倉のいいところが全然わかりませんでした。
多分唯司限定なんでしょう(苦笑)
恋愛って、そういうもんかww

2

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