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樹朗は、全国に名を轟かす鬼柳会組長の息子だった。
けれど、それは最近発覚した事実で、それまでは母一人、子一人の母子家庭で、細々と生活していた。
ところが、その母親が亡くなり、母が樹朗の父と連絡を取り、樹朗は組長に引き取られることになったのだ。
けれど、「ヤクザの息子」と陰口を叩かれ、今まで「ヤクザ」にいいイメージを抱いてなかった樹朗は大反発。
一緒に暮らすことを拒み、月に百万もの小遣いを貰い、遊興三昧をしていた。
ところが、鬼柳会が抗争勃発寸前の危機に陥り、それから樹朗を守るために若頭補佐の政木が現れた。
ヤクザが大嫌いな樹朗は「しばらく出かけるのを控えろ」と言い、二十四時間ついて回られる生活にうんざりし、反抗的な態度を取り続ける。
そんな樹朗を飄々とかわす政木だったけれど、ある日ついに態度が一変し、無理やり縛って監禁されてしまう。
というような感じの話でした。
樹朗はヤクザの息子だとバレることを恐れながら、大学に通っていて、それでいて、父親から貰うお金だけはふんだんにあるから、そのお金目当てに友達じゃない友達が群がってきていて。
でも樹朗は今まで「友達」がちゃんとできたことがないから、その「友達」にでもすがっていたくて……
でもやっぱり、ヤクザの息子、というのがバレたら離れていかれちゃって、そんなこんないろいろあって、その八つ当たりで、政木に言っちゃいけないことを言っちゃって、縛って監禁されちゃって。
ぐちゃぐちゃになって逃げ出したところを、拉致されて……
自分をネタに脅しにかけられて、父親が助けに来て、その父親の代わりに政木が警察に捕まったけど、無罪放免……という感じで。
そのことが原因で、今までどう接していいのかわからなかった父親と和解する……
という感じの話でした。
えーっと、どちらかというと、樹朗が「ヤクザの息子」というレッテルをどうやって乗り越えていくか、という話がメインになっていて。
別に、政木との恋愛いらなくね? という感じでした。
というか、最後には二人くっつくんですが、この扱いでどうして、「感謝」を吹っ飛ばして、樹朗が政木に恋愛感情を持つのかよくわからない。
そんなこと言っても、最初から「続編ありき」で物語を書くのは難しいとは思うんですが、とりあえずこの巻は父親との邂逅をメインで書いておいて、その後なんとなく政木を意識するようになった樹朗がもじもじする話とかが読みたかったかなー……実際は難しいんだと思うんですが。
それか、父親との邂逅までの道のりをもう少し短くして、1/3くらいは政木に樹朗の気持ちが向かっていく過程を書いてくれたらよかったのかも……難しいですね。
なんで、個人的には、樹朗の気持ちが一足飛び過ぎて、ちょっと最後で「あれ?」となってしまいました。まぁ、BLである以上、LOVE要素は必要不可欠なのでしょうがないと思うんですが。
エロなしなんだ。
私の愁堂さんのイメージって、身体で始まる・・・みたいな
とりあえず、冒頭でガッツリまぐわっておいて、それはそれとして、事件が始まる。
みたいな
そんな、しっかりエロいれてくるイメージが強いんだけど、
この作品、珍しく挿入なしです。
お話のメインというか、肝は、親子の情愛みたいな感じで、反発していた父親の真の愛情に気付いて、同時に自分を見守っていてくれた政木への恋にも目覚めて、って。
エロのしっかり入った2時間サスペンスを期待して読むと、ちょっと・・・。
寧ろ、AK●とかの若い女の子アイドル主演の映画の感覚に近かったかな。
帯『優しいフリには騙されない!ヤクザに手なずけられてたまるかよ』
なんつーか色々イマイチでした。
全体的に陳腐な三文芝居っぽいんですよね~。
いっそ樹朗〔受〕を我侭なだけじゃなくアホの子にしたらまた違ってたかもしれない……様な気がしないでもない事はないです。
ヤクザの愛人の息子である樹朗はヤクザである父親を嫌っていて、億ションに住み毎月の小遣いは百万円、それでも足りない時には電話をかけて追加させちゃってます。
そのお金を樹朗は大学で友人達に奢る事で使いまくっているのですね。
友人というより樹朗の金目当ての奴らばっかりですが。
そんな樹朗に突然にボディガードが付きます。
文句を言う樹朗に対してボディガードの政木はひるみもせず、ワガママ樹朗のボディガードを続けるのですな。
なのに樹朗はまんまと対抗組に攫われてしまい、そこにたった一人で父親が助けにやってくるのですが何つーか、それでいいのかよ!組長が!!って感じでオーラが無かった。
その後の会話もなんか三文芝居っぽくてなんだかなー。
政木が昔から樹朗の事を見ていたというのは良かったんだけど、だったら政木視点のシーンとかが欲しかったところ。