ほんと、エロいんだよな もう、我慢できねえよ

哀しくて、愛しい

kanashikute itoshii

哀しくて、愛しい
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神15
  • 萌×25
  • 萌9
  • 中立1
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
7
得点
123
評価数
32
平均
3.9 / 5
神率
46.9%
著者
愁堂れな 

作家さんの新作発表
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イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
ムービック
レーベル
LUNA NOVELS
発売日
価格
¥857(税抜)  
ISBN
9784896017861

あらすじ

妻子を事故で喪った和也は現場を見下ろせる歩道橋でぼんやりと佇んでいた。
「飛び降りんなよ」
そう声を掛けてきたのは安っぽい身なりの若い男。誘われるまま自宅にあがった和也だが、目覚めると男に犯されていて――!?
(出版社より)

表題作哀しくて、愛しい

安原和美,21歳,AVスカウト
池田和也,29歳,妻子を事故で亡くした会社員

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数7

家族愛

なんだか、れなさん読んだの久しぶり。

愁堂さんの本は、BL読み始めの頃一時集中的に読んでいたけど、あまりにもアイテム数多いし、シリーズ物はどれ読んでももう区別付かないし、それより何より、他の作家さんを次々開拓するしで、ちゃんと新刊を買って読んだのは久しぶりかも知れない。

久しぶりに読んだこの本は、なんだか作風違って、坦々とした「ちょっといい話」でした。

全体の分量に対して、ガッツリセックスしているシーンの占める割合はかなり多いのですが、それがじゃまにならないっていうか、これだけセックスしていても、それはこの物語に対して最低限必要な量がこれだけあったって感じです。
お話の根底は、セックスより、恋愛より、むしろ家族愛ですから。

そして、エロい気分は本文より挿絵の方が担当。
ノベルスの大きな画面を活かした情報量の多い挿絵が素晴らしい。
元々小山田さんの絵って好きだったんですが、この作品は特段にいいです。
電車の中で挿絵隠しながら読んでしまったのは失敗だった。
家へ帰ってから、改めて挿絵をじっくり堪能しなおしました。

というわけで、挿絵の評価を足して「神」

14

愁堂作品で1番好き

作者のこれまでのイメージが覆った今までと全く違う作品でした。
そのイメージって“時間割通りの卒ない2時間推理ドラマ+BL”でして・・・。
辛口でごめんなさい。
既読作品の背景や登場人物の感情等の表現の平坦さもあって、進んで読まなくなっていたんですが。
でも、何でも大仰に書けば良いもんじゃない。
その平坦さがこの作品には深みになり味になっていました。

始まりは、家族を事故で亡くしたばかりのリーマン和也とヤクザな暮らしで尖った若者和美のひょんな出会いから。
生きていく目標や実感を欲する和也と、誰に執着もない夢も無い何も誇れない和美。
この水と油とも言える2人が、乳化というキッカケ(日常にある悲しいことや痛いことやありがたいこと)で、相手が自分の中でかけがえのない存在になってくる。
お互いが相手の愛しさや、家族として社会人として恋人としての気持ちを育てていくストーリーでした。

事件だ殺人だ監禁凌辱だーって、作者が好きな2時間ドラマみたいではありません。
でも、何でも無い日常に見えてみんないろいろと背負っているじゃないですか。
それの方が身近で親しみやすいっていうのもあるかも知れない。
お母さんの浴衣のくだりは、泣き入りました^^;
侮っていた訳ではないけど、愁堂先生の良さが発揮された良い作品だと思います。

イラストは大好きな小山田先生なのですが、ときたまページの美麗なイラストが邪魔に思えたほど、小説に気が入っていたこともありました。
愁堂先生のこの風味、癖になりそうです。

12

橘盾

茶鬼さん、コメ有難うございます!
ホントに愁堂先生を見る目が変わりました。
茶鬼さんはじめ皆さんのレビューを読んで気になっていたんです。
読めて良かったです(*^_^*)
それと、
答姐「BLよりゲイじゃない?」でご紹介頂いた『フェアゲーム』も楽しみ(月末に読める)♪
この『哀しくて、愛しい』も、自分の中ではその答えの中に入る作品だと思います。
いくつも重ねてお礼を。いつも有難うございますです♡

茶鬼

こんにちは橘盾さん。
まったくに同じです!!
自分も愁堂作品の軽さがどうも好きじゃなくて作品には手を全く出さなくなったのですが、これは別格でした。
こんな作品もかけるんじゃないか~!って。
なんか色々がもったいないと思いました。

ほんと、エロいんです。

帯に「ほんと、エロいよな」とあり惹かれました。
エロいです。

小山田あみ先生のイラストもハマってて良いです。
エロい雰囲気を醸し出しています。

愁堂れな先生の作品は数年前に読んだきりなので、あまり覚えてないんですが…乳首責め描写に萌えました!
いやもう、乳首責めに悶えてる男子が好きなんです。

タイトルも哀しくて、愛しい 読んでて心が切なく痛くなったりしましたが、タイトルのまんまだなって思います。

哀しいけど、愛しくて堪らないって感じです。



4

家族の「死」によって結びつく二人

今回のルナノベルスの愁堂さん、いつもと雰囲気が違いますよーー!!
すごく大人な、静かで深い物語なんですv
こういうのは好きです~、軽い感じがしなくて満足感がありました。

家族を失って抜け殻みたくなっていた男と、家族の縁の薄さに後ろめたさを感じて生きてきた年下の男。
この二人が偶然出会ったことで、年下の男が年上の男に「生」を思い出させ、
年上の男が年下の男に「家族」を教える。
どこかぽっかり空いた空洞をそれぞれの良さで埋めて、そして補いあった姿に、愛だの恋だのという柔な言葉はいらない。
そんな、ちょっと地味だけどイイお話でした。

和美は21歳の、職業にふさわしく、威勢を張ったちょっと感情の起伏の激しい人。
初めて池田と会った時、泊まらせる礼だろと無理にセックスしてしまうのですが、池田が帰るでもなく、毎日家にいてそれを期待して帰ってくるのに、たこ焼きをおみやげに持って帰る姿というのに、彼の今までの淋しさが投影されているような気がしました。
池田は、無理矢理犯られて、傷ついてもいいはずなんだけど、妻子を失ったことで自分が一体何者なのかとかわからなくなっているその苦悩を、和美によって救われる、別に死のうと思っていたわけではないけど、性交によって命を再び吹き込まれたっていうのは、変化が良く見えました。

和美には地雷があって、それが実家の母親のこと。
この母親が亡くなり、久しぶりに実家へ戻り兄とも再会するのですが、池田がいたからこそ兄弟がわかりあえて、和美も素直に母親を想うことをできるようになったんだと思います。
その流れはちょっと単純でスムーズすぎなくもないとは思いましたが、この兄弟の確執というものは具体的に表わされていなかったので、それぞれが自分勝手だったという、どっちもどっちな兄弟だったのかもしれません。

こんな静かな物語なのに、全般通してエチシーンが多いですw
和美が若さゆえなのか、池田がエロいのか、和美が感情を爆発させるモノが身体でしかないからかもしれませんが、通夜の晩、母の遺体の前で交わってしまうのには、もう驚愕!!
しかし!違和感も多すぎるとかとも全然思わないんです。
身体での会話、身体での心の埋めあい、そんな存在だったからかもしれませんね。
なので、読後感はすごくいい感じです。
久々に愁堂作品にヒットを感じました。

13

悲惨を越えて

全く違う世界で生きていた二人が、偶然出会い、関係を持つ。

愁堂さんの作品はそうたくさん読んでいるわけではないのだが、今まで読んだいくつかのとは違う作風。
妻子を一度になくし、この世とのつながりが危ういような状態で歩道橋の上にいた和也は
いかにもチンピラという若い男・和美に拾われる。
そのまま彼の家に泊まり、強姦のようなセックスをし……

家族の死、暴力もありセックスシーンを含めて悲惨な話なのだが、
それが淡々と描かれる出だしに惹きつけられる。

愛だの恋だの言うこともなく、狭く汚い部屋で二人の関係は続いていく。
二人心の傷とセックスでしか実感を持って埋めることのできない孤独。
そんな濡れ場は痛くてエロい。

後半が割に簡単に展開して、ホームドラマっぽくなった感じが残念な気がするが、
書かれている恋愛というのを超えた、家族の愛、人と一緒に生きる、というテーマは悪くない。

小山田あみさんのイラストが美しい。

6

お葬式

愁堂さんは平均点を超えてたまに心にグッとくる作品があるんだけど、これはその内の一つ。
この話は、身近な人を亡くした経験がある人が読むと凄く分かる部分があると思う。
自分的は祖父母も親も亡くしてるので、そういったシーンにやられました。
あとがきでも書かれてるけど、ホントに生きてる内に親孝行はしておいた方がいいですよ、しみじみそう感じてしまった。

セックスシーンも数回あってエロもあるけど、その部分より「身近で愛しい人の死」が書かれている描写が良かった。
それも派手な死じゃなくて淡々と書かれているその感じが読んでいて心に染みました。

3

愛が生まれる不思議

愁堂れなさんというと、2時間ドラマ的なエンタメ色豊かな作風のイメージがあります。
本作はそこから少し外れて、底辺に「死」の静けさ、寂しさを湛えた物語だと感じました。

2人の出会い編「声」。
2人の結びつき編「夏」。
攻め・安原の方にも転機が訪れる「恋」。
安原視点の短編「愛」。
…の4編で構成されています。

「声」の冒頭、いきなり妻子が事故死し、何もかも麻痺してしまったような和也(受け)が歩道橋の上でぼんやりしていた所に声をかけてきた安原。
乱暴でだらしない男だけど、彼のおかげで妻子の死を受け止められたように感じて、不器用に自分を待っていた安原に愛の存在感とでもいうようなものを見出す。
「夏」はかなり短い一編だけど、お互いの違いすぎる背景を疎ましく感じながらそれでも求める胸の痛み、それは失われた半身を求めるという愛のような。
「恋」ではずっと疎遠にしていた安原の母親が亡くなり、和也もなぜか安原と一緒にお通夜に参列する展開。
今度は、母親の死を受け止めきれず兄とも行き違う安原に和也が寄り添う。母親が遺した実家で地に足をつけてみたいという安原に、僕も一緒に暮らしたいと思う和也。
「愛」は、「声」部分を安原の視点から描く短編。
何もかも違う和也、それ故に離しがたくなる。

安原と暮らすという和也の決意を、和也の両親や死んだ妻の両親はどう考えるのか、とか、安原はいつから本気で和也を愛したのか、などは曖昧に終わっていますが、タイトルの「哀しくて、愛しい」そのものの2人の不思議な結びつき、愛の不条理のようなものを感じさせる作品でした。
小山田あみさんのイラストも素晴らしいです。

2

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