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is in you
香港からの帰国子女の一束は、
日本語をしゃべる事が心細く不安で、他人と殆ど交流を持っていなかった。
しかし、隠れ家にしていた旧校舎で2年先輩の圭輔と出会い、
「俺としゃべろう、これからたくさん。」と、2人の時間を持つようになります。
この高校時代が、ものすごく繊細で静かで、ほんとに良いです。
2人にとって、何よりもやさしい時間だったんだろうと思います。
そして2人が自然と惹かれあっていったのは、当然の成り行きでしょう。
でも、この幸せな時間は長くは続かず、
お互いが相手を特別な存在と気付いた時に、終わりを迎えてしまいます。
「好きだ」と自分の気持を一束にぶつける圭輔、
そして肌に触れられそうになった瞬間、一束は激しく圭輔を拒絶してしまいます。
一束には、自分の体に病気が原因の大きなコンプレックスがあって、
圭輔にどうしてもそれを知られたくなかった。大好きだからこそ・・・
若さゆえの、不器用さがもう本当に痛々しい。
お互いに本当に好き合ってるのに、上手く伝えあうことが出来ず、
仲たがいしたままになってしまう2人。
本当に読んでいてこちらが切なくなってしまいます・・・
ほんのちょっとの勇気が、言葉が、足らない為に、通じない想い。
でもまだ高校生だった2人には、伝える術がなかったんでしょうか。
13年後、大人になった2人は偶然に香港で再会します。
最初は普通に仕事仲間として接していましたが、
お互いに惹かれあう事を止める事は出来ず、感情をぶつけあってしまう2人。
一束の「死ぬほどあなたが好きだった」に、私まで心臓をぎゅっと掴まれました・・・
そして高校時代の誤解も無事に解け、2人はお互いの気持ちを確かめあいます。
ところで、一束には香港で恋人が居たんですが、
この佐伯がまた強烈なキャラでした。人が悪いのに憎みきれない。
妻帯者なので一束とは不倫の関係になるんですが・・・
「不倫」は私的にはかなりのNGポイントなのに、
佐伯は嫌いになれませんでした、というか、結構好きかも(笑)
美蘭もいいですね~!好きです、こういう女性。
香港の描写も魅力的でした。
こんな風に、風景描写等が綺麗で、想像しながら読める本は好きです。
まだ行った事が無いので、一度旅行してみたくなりました。
特に、まだ子どもの殻から抜け切れていない高校一年生は、
やはり絶品です。
高校一年生から見たらとっても大人な三年生も、やっぱり、それなりに充分子どもで、お互いに初めての恋に戸惑っている。
まず、自分の中にある感情が「恋」という物であると気付くところから始めなきゃいけない。
気付いても、それをどうしたらいいのか持て余す。
大人から見ればとるに足らなかったり、思いっきり見当違いな理由で逃げる。
そんな、うまくいきそうで、結局成就しなかった子ども時代の恋。
それが、10年以上の月日をおいて、場所も日本から香港に移して、偶然の再会から動き出します。
子ども時代のあの恋が、なんでうまくいかなかったのか、
お互いに大人になったからこそ、見える物、認められる物。
この作品、高校時代編だけでも充分一穂さんの作品らしくて、切なくて萌えますが、大人になってからの再会編があるからこそ神。
特に、弓削が変に意地を張ったりせずに、真っ直ぐ向かっていくところがいいです。
気遣いがさりげなく出来る素敵な人物を
こんなにもサラッと書けてしまう一穂さん。
これだもの、一束も弓削を死ぬほど好きにもなるよって
納得しすぎるくらい納得できる、細かい描写。
弓削が高校の時付き合っていた彼女と別れた理由とか、
一束が佐伯と付き合うようになったきっかけ(?)の
「ハイヒールのシャンパン」も、ホンコンフラワーも
とにかく上手い!!悶絶する!!
「ハイヒールのシャンパン」の話を聞いた弓削が
一束にまくしたてた所も大好き!
本当に、胸がきゅうきゅうします!!何度読んでも!
写真たての裏に紙片を入れておくって…どんだけ、弓削。
王道っぽい気もするけど、ここも良かった。
佐伯が嫉妬するシーンも、ぐっときました。
余裕がありそうでも、嫉妬するぐらいには一束を好きだって。
しかもちょっと意地悪する上司、いい味出してました。
挙げたらキリが無いくらい、素敵なシーン満載でした!
その世界にふさわしい、青石ももこさんのイラスト!!
今後も、要チェックです、青石さん。
先日ブログを拝見しましたが、絵が綺麗すぎだ…。
もちろん好みは人それぞれですけど、
私はもう文句なしの「神」評価です!!
『ステノグラフィカ』『off you go 』と世界観が同じ作品。
時系列にいっても、最初の作品です。
攻め、受けの両方の視点が楽しめます。
受けの一束は香港からの帰国子女。
高校時代はクラスに馴染めず、旧校舎の空き教室が唯一息抜き出来る場所でした。
現在は29歳。
堪能な中国語を使い、香港で仕事をしている。
攻めの圭輔は高校時代は水泳部。
世話好きで気さくな性格。
旧校舎で偶然出会った一束を気遣い、学年の垣根を越えて親交を深めた。
現在は31歳。
一束が働いている香港の支局に転勤でやってきた。
13年間ぶりに香港で、後任の支局長として赴任してきた圭輔と再会した一束。
高校時代、唯一自分を理解しようとしてくれ、大好きだった先輩の突然の出現。
ふたりの世界を特別視しているのは自分だけと感じ、さらに身体のコンプレックスによりその世界を自ら壊した一束でしたが、未だ圭輔への想いを捨て切れてはいませんでした。
一束は高校時代、本当の意味では圭輔へ殻を破って飛び出すことは出来なかったわけですが、圭輔はあの頃でも一束のコンプレックスを受けとめることが出来たのではないかと思います。
ふたりが心から想いを通わせるには、一束が大人になるための時間が必要だったのかな。
一束が圭輔へ気持ちを吐露するセリフがとてもキュンです。
そして、『off you go 』で主人公のひとりとして登場する佐伯が、あまりに濃く生々しく描かれているのも印象的。
賢く、先読みにも長けているにもかかわらず、圭輔へ嫉妬しなければならない現実。
佐伯については『off you go 』でくわしく描かれていますので、そちらを読まれると一層この時の彼の心情がわかると思います。
一穂さんの作品ではおなじみになりました、素敵系女性キャラも健在です。
青石さんイラストもとても素敵ですね。
読んだらきっと、一穂さんファンになります。
すごく綿密で丁寧な文章で書かれているので、なんだかあまりBL臭がしません。
萌えという観点から見ると微妙ですが、読書を楽しむという観点から見れば余裕の「神」でした。
高校時代、好きだった先輩をうっかり突き放してしまった一束(受)。13年後、仕事の上司として先輩(攻)と再会して…。というお話。
昔あんなに痛い思い出があったのに、再会後、一束の態度が普通すぎて、
しかもその部分の心情描写が少なかったので、ちょっと不自然に思いました。
でも、設定が綺麗で整っているので、スルー。
とにかく、丁寧に書かれているなーと、すごく感じました。
いたる所に痺れポイントが…。
特に「ホンコンフラワーだった。互いが、互いの。本物じゃないから枯らさずにすむ塑膠花。」というのは悶えた。
随所にこういう一穂さんらしい魅力的な文章が。
きっと物語を書くのが好きなんだろうなーと思いました。
挿絵も綺麗でしたし、文章も緻密で丁寧で、申し分なく「神」作品です!
もうタイトルからして、素敵ですわ!
香港から日本に移り住んで来てただ淡々と灰色の毎日を過ごすだけの受けに、ひとつの色が飛び込んで来た。
それは見る間に回りを色付けて、気づけば回りは綺麗な色で輝いていた。
自分にこんな綺麗な色を教えてくれる年上の攻めのことを好きになるのには、そう時間はかからなくって、告白されてキスされてでもそのまま抱かれそうになり、自分のコンプレックスである身体を見られるのが嫌で拒絶してしまい、
そのまま攻めとは別れてしまう。
そして大人になり攻めとばったり再開してしまい、昔の恋が動き出す。
そんなお話。
舞台が香港だからか、広東語での会話がでてきますが、読みにくい!というか、読んでいない…。すぐ後に日本語訳があるのでそればっかり読んでしまいます。
受けの取り合い?で上司と口論になるところがあるのですが、仕事に行かなくちゃなのに気になって気になってページをめくる手が止められなかった…。
途中、攻めが取材から帰って来ない!自分も動かなくちゃ!というシーンでは、結構あっさり攻めが帰って来たりして拍子抜けしました。
最近、一穂さんのエッチシーンが妙に濃くなったな、と感じます。前はさらっと終わる感じだったのに最近は一穂さんにしては書き詰めてますよね。
文章も挿絵もとても素敵なのでぜひ!
一穂作品は一年に一作品何故か強烈にツボります。まさにそれがこの作品。一束(受)もあまり好感持てるキャラではないし、(攻)圭輔も子供っぽいところがあり内面的に格好良いとは言い難いのですが綺麗事でななく、腑に落ちる感じが痛いけど気持ち良い感じでした。再会愛とかは割とよくある設定だけども、ずっと心中では慕い恋い焦がれて思い続けてきましたとかって場合に因ってはファンタジーがかかり過ぎて白けてしまう事もあります。この作品はBLにしては夢がないけども一束の佐伯との微妙な関係も、圭輔がかつて結婚を意識したくらいの女の子が居た過去のサラッとしたエピソードも、佐伯が奥さんを愛しながらも寂しさや弱さを脱却出来ず成長しきれない子供っぽさから不倫に走る愚かさや、圭輔と佐伯が互いに抱いてる男同士だからこそ生じる一束との一見だけでなく、仕事や経験値や年齢とか根元的な男の醜い嫉妬の件もこの作品の見所というか真摯な一面だと思います。皆、誰しもが弱い面を持っていて勘違いして遠回りしてだけどもちょっと馬鹿で愚かなんだけどもそこが愛おしいってこの作品を読んでる間中ずっと再確認してた様に思います。再会してやっぱり好きなんだ他の誰とも違うんだというのはやっぱりツボで大好きだ。甘い作品が好きな方にはビターだと思うかも知れないし、帰国子女や香港とかひねくれ者かうぜーと感じるなら合わないかも知れないけども、読んで良かったと心から思える作品です。
初めて読んだ一穂さんの作品でした。
まず驚いたのが、言葉の透明な美しさ。どこか不安定に揺らめいて、読者の感傷を揺さぶるような。
その言葉に乗せて綴られる高校生の二人は、本当に繊細です。傍からみれば些細なことで戸惑い、揺れて、どうしようもなく自分の感情に翻弄される。心地よい痛みに胸が締め付けられました。
そして十三年後。経てきた歳月に比例して、二人とも確かに変わっています。特に一束の、しなやかでいて何処となく脆い強さに引きこまれました。
本当に素敵です。もうそれしかありません。
新聞社シリーズ4冊と番外編のペーパー・バック2冊を読みました。レビューというよりは考察に近く、かなりネタバレしていますのでご注意ください。
あらすじは他の方も書かれていますし、長文になりそうなので書いていません。
個人的に、圭輔のような素直ですくすくまっすぐに育ちました的な攻めは好きなので、どうしても圭輔に感情移入してます。
一束視点のis in youを読み終わった後は「とりあえずよかったね」だったんですが、圭輔視点のis in meを読むと、嫉妬でぐるぐるしてるくせにそれを表に出さず、ずっと自分の中だけでぐるぐるしてる圭輔の心情が見えて、そこから色々想像してしまい、気づいたら嫉妬のループから抜け出せなくなりました。
佐伯がいた部屋に圭輔が移った時、無くなっていた家具はベッドだけです。ベッドが置かれていた床に寝ころんで、圭輔は佐伯と一束が何回ここでしたのかなと想像します。
ここが私が嫉妬に苦しむ最初のきっかけでした。
圭輔と一束が再会したのは10月中旬。再会した日と翌日、一束は佐伯と寝ています。1週間後も佐伯の部屋に来ているので、その日も同じでしょう。佐伯と一束の関係が圭輔にバレるのが10/28。圭輔と一束が初めて寝た日は10/29の早朝です。すんなり挿入できたということは、書かれていない日も佐伯と一束は寝たのかなと思ってます。
作中で一束はひんぱんに佐伯のマンションに泊まると書かれていますし、圭輔が想像した倍以上は佐伯と寝たのでしょう。
例えベッドは新しくなっても、座り慣れたソファ、シャワールームや電気のスイッチの場所を一束が既に知っていることを想像すると心がちりちりします。
でも、小さな嫉妬をたぶん圭輔は表に出さない気がしました。
それから、一束の一人称の使い分けに気づいてからもモヤモヤしました。プライベートで佐伯といる時だけ「俺」で、圭輔に対しては高校時代途中から「俺」、再会後はずっと「僕」でした。わざと壁を作っていたのかなと思いますが、圭輔が何度も叩いて叩いて壁を壊した時にやっと「俺」になります。
佐伯に対して結局「僕」に戻ったのかどうかが、いまいちわかりにくいんですよね。
佐伯と一束のセックスの描写がなく、読者も圭輔と同じように想像することしかできません。
一束は圭輔とするときはいつもゴムをしていないし、きっと佐伯ともしてないなとか。
佐伯が一束の傷跡に指と唇でいつも触れていたから、そこも性感帯のひとつになったのかなとか。
そうでないと、傷跡にキスされて下半身ひと擦りで射精しないよねとか。
やっぱりもちろんいろいろと「やってます」よねとか。
ぐるぐる考えるとあの「3年遅かったな」という台詞は、ほんとにむかむかする台詞なんだなぁとか。
個人的には、一束の圭輔と佐伯に対する気持ちの違いをもっと具体的に知りたいと思ったので、佐伯と一束のセックスの描写がもう少し欲しかったです。たぶん一束は佐伯としていた時は、圭輔とするよりもあっさりとしてそうだと思います。同じような感じだったりもっとすごかったら見たくないですけれど。
圭輔がセルドナに行ってあの出来事があったから、一束は自分の気持ちを自覚してやっと認めて、はじめて自分から動きました。
でも、できればもうちょっと早く認めて欲しかった。佐伯に対して「心苦しかった」と思う前に。
圭輔が2度目に一束を抱くことができたのが翌年の2月上旬、3ヶ月以上かかっています。しかも、香港のあのマンションではなく大阪の実家で。
嫉妬でぐるぐるした圭輔が少しだけ吹っ切れて「俺だけのだ」と思ったとしても、そうそう簡単には嫉妬ってなくならないものです。
一束と佐伯がただのセフレだったら良かったんですが、繰り返し読めば読むほど、一束の佐伯への愛情が透けて見えてきます。圭輔のことはもちろん一番好きなんでしょうけど、読後も佐伯の影が全くぬぐえず、すっきりできなかったので、続編の「off you go」ではなく、ペーパー・バックを読みに走りました!
で、やっぱりペーパー・バックでもやっぱり嫉妬することになります。
一穂さんの小説は、雪よ林檎、meet againの二つを読みました。
この二つの作品が心に残っていたので本屋さんでis in youを手にとったのですが……。
私が萌えたのは旧校舎。
こういう古びたものとか、誰も近寄らないところで愛を育むものに弱い。
学生時代の描写、広東語でまくし立てるところと、迫られて突き放してしまうところでは泣きながら読んでました。
大人より学生が好きなので、大人のときのことは他の方のレビューを読んでいただいて。
学生、その部分だけでも充分☆5評価です。
これを期に一穂ミチ作品に積極的に手を出していこうと思います。