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幾度となく読み返しても、時間を忘れ、読み終わった後もそのストーリーの中から自分を引き抜いてこれず、やっぱりいい!と思ってしまう作品は【神】なのではということで、この評価になりました。
この話の何がいいって、まずは大宮ですよね。
他の方もレビューで言っておられるように、自分の欲望に負けて中学生に痴漢するは、中学生の眞人に脅されいいように使われているは、そのため仕事も棒にするし、中学生の眞人に手を出そうとするし、その後の話では二股かける優柔不断男だし、挙げればキリが無いのですが、そんな大宮が実に人間くさくていいのです。
人間くさいも人間くさい。
見栄も張れば理不尽な状況でもどうすることも出来ず流されたりする。
しかし彼なりに頑張り、仕事に励み、まわりの助けをかりながら良い方向へと進もうとする姿は、木原さん魅せるなあ~、と唸ってしまいました。
眞人の心理描写、成長も良かった~。
難しい思春期、両親の不仲、離婚に対する眞人の心の揺れが何とも読ませ、彼の人間形成に大きく影響していて、そんな眞人と大宮がする恋愛模様に私はこれ以上ないくらい魅せられてしまったのでした。
もう、あの情緒不安定な思春期に受けた影響ってすごく深くて重いものですよね。
何度離れても眞人は大宮を好きになるんだろうなあ。
後悔したくない、だから大宮を取り戻しに行くと決めた眞人は本当に男らしい。
大宮も何度も眞人に傷つけられてもやっぱり好きになってしまう、もう認めよう、って堪らないですよ!
コンドームの使い方を知りたいとする眞人に、他に好きな人が出来たんじゃないかと勘繰る大宮もよかった!
「君に振られたら、僕は間違いなくストーカーだ」
って、その執着大好きですよ~。
同人誌にあったこの話の後日談も読めて、すっごい満足でした。
タイトルのB.L.Tは、ベーコン、レタス、トマト、マヨネーズ、パンというシンプルな材料で作られるサンドイッチのこと。ベーコンの質や焼き加減、レタスの種類、トマトの収穫時期、マヨネーズの美味しさ、パンの種類やトーストの有無等で、無限のバリエーションがあるのだそうです。
なんだか恋愛と似ているような…。恋愛は心と体と言葉があればできるシンプルな行為ですが、B.L.Tのように、ひとりひとりの恋愛観は実に様々な気がします。どんな恋愛が好きか、どんなセックスが好きか、どんな話をしたいか。タイトルの意味がすごく気になるたちなので、つい物語と結びつけて考えてしまいます。
表題作「B.L.T」のメインの登場人物は、書店の店長・大宮(ゲイ)と恋人の千博(ゲイ)、千博の前の恋人・高野(ゲイ)、大学生の北澤(ノンケ)。大宮は、5年前、中学生だった北澤に恋して、電車内で痴漢をしてしまい、それを盾に北澤に振り回され、挙句に失恋した過去がありました。
大宮は、ちょっとズルくて気が弱いけれど真面目。恋愛に関しては一途で、優しく触れ合うセックスが好き。
千博はプライドが高く我儘で自己中心的な美人。大切なのは容姿とセンスとセックスの上手さ。
高野はカフェを経営するスタイリッシュな40代。千博の良き理解者。昔は他人の恋人をとるのが好きだった。
北澤は中学生の時に親が離婚したため、セックスに忌避感があり。口が悪いけれど、明るく素直。
どう見ても相性がいいのは、大宮と北澤、千博と高野の組み合わせなのですが、ままなりません。北澤に振られた数年後、大宮は北澤の面影を千博に見て、同棲します。その恋愛にも疲れた頃、北澤と再会して、やがて再び北澤を好きになりますが、千博に阻まれて。4人の人柄と恋愛観の違いがとても興味深く、恋愛の甘く、切なく、時として苦く残酷な感情に、圧倒されました。
大宮が初めて北澤を求めるときの穏やかな言葉遣いと優しい行為に、彼の人柄が滲んでいて。そんな大宮だから、セックスに忌避感のあった北澤も体を預けることができたのでしょうね。回数を重ねるうちに、無邪気に素直に求めてくる北澤も可愛くて。大宮と北澤はセックスの前後も最中もよく喋るのですが、互いに心を開いている感じがして、その甘く楽しい雰囲気がいいなあと思いました。
対照的なのが、千博。乱暴なセックスが好きで浮気を繰り返していたくせに、大宮が別れたいと言うと、狂ったように大宮に執着し、自殺未遂を繰り返します。追いつめられた大宮は、北澤に別れ切れない恋人がいることを話せないまま、北澤と別れることを選んでしまいます。大宮が千博の恋人を演じ続ける虚しさを高野に吐露する場面が、この物語の一番の山場だと思いました。北澤との最初の出会いと再会を運命だと感じたこと、気持ちが壊れそうなほどの愛しさ、千博を殺したくなくて北澤と別れた自分の弱さ、北澤を失った辛さ…。不器用な男の涙に、胸が痛いほど、切なくなりました。
そんな大宮を助けたのが高野。大宮の辛い気持ちを聞いて心が動かされたのでしょう。北澤に大宮の事情を話し、自分が千博を引き受けるから待ってやってほしいと言い、そのおかげで北澤は大宮の元に帰ってきます。実は、高野のこのアシストに、本作品中で一番感動しました。いい男だなあと思いました。後日談の短編で、高野と千博が上手くいきそうな気配は、ずっと待っていた高野へのご褒美でしょうか。
B.L.T、自分で作って食べてみたのですが、人に食べさせるレベルに作るのは、結構難しいと感じました。材料がシンプルな料理なので、材料の扱いや仕上げにコツがいるのかもしれません。美味しいB.L.Tを作る高野は、きっと4人の中で一番人の気持ちに敏い人だった気がします。
一冊の作品の中に、大宮、北澤、千博、高野、それぞれの想いがあふれていて、胸がいっぱいになりました。
この作品のテーマは ずばり!「人間の狡さ」のみ。
最後の最後で題名の『B.L.T』の意味が分かるというオチが付いてます。
木原音瀬しか書けない作品の醍醐味が思う存分味わえて本当に面白かったです。
私が思わずうまいなと唸った箇所は 元彼・千博が主人公の大宮(攻め)をめちゃくちゃに精神的に追い詰めるところです。「人間の狡さ」丸出しなのです。
心の闇を大宮にぶちまける千博を 心の底から憎いと思わせてしまう凄さ。
主人公の二人よりも千博は目立っていました。
脇役の持って行き方がずば抜けて素晴らしかったです。
木原先生は人間観察が飛びぬけて上手い作家だと改めて思いました。
助演男優賞は『千博』に決定です。
タイトルだけ見るとどんな感じなのか分かりませんでしたが、歳の差ラブのステキな話でした。
攻めの大宮と受けの北澤は14歳差で、大宮が中学生の北澤に痴漢をしたのが二人の出会いです。時にドロドロでいて微笑ましいラブが「ライン」から「dessert box plus」の4編に渡り描かれています。
中学生に振り回される大宮と、不安定な中学生からいい感じの大人になっていく北澤と、美形なのに酷い役回りの千博と、マスター。登場人物全員に私は萌えました。
これまで、攻めは年下のが好みでしたが改めてオーソドックス(?)な年上もいい、と再認識。
大宮と千博のエッチシーンはたまりません!「君は僕以外、一生知らなくていい」とか、コンドーム初体験の酸っぱい北澤とか、とても心にきました。
木原先生の作品の中では、あまり知られていないのかもしれませんが、大好きな一冊になりましたよ。
そして、「BLT」とはそのまんまの意味、ベーコン・レタス・トマトサンドでした。
「僕はあの子以外の誰にもそんな、気持ちを壊されそうになるほど強い感情を持ったことはない。あの子だったら、あの子とだったら……もうどうなってもいいと……」
「わがままばかりで、いい加減で、口が悪い乱暴者で、人を脅すような性悪で……それでも君を愛してる。大事な仕事を放り出しても、首になっても、何を引き換えにしても欲しいと思うほど……」
歳の差のお話だと、年若い方がおぼこかったり、美しくてそっけなかったり、歳上が翻弄されたりするのがやはり典型的な面白い部分だと思いますが、この作品はそれ以上に運命的で特別でその人しか考えられない夢中さがひたすら甘くて可愛かったです。
歳下の北澤は中学生の時に痴漢に会い、犯人の大宮を突き止めます。お金をせびり、大宮の好意を利用して塾通いをサボる際の居場所を確保します。まず痴漢をしてしまった大宮には強い嫌悪感を抱く(「箱の中」を先に読めば、特に)のですが、それでもこの北澤の悪どいせびりはやり過ぎ感否めません。
そして北澤を嫌な奴と判断しそうなところで、親が離婚し自分が要らない存在なのだと聞かされ、彼に少し同情的になるのです。親に必要とされない寂しい心を埋める大宮の存在を、自分の好きなようにあしらいつつ(生臭いのは嫌いだからキスだけ)、好きなように愛を確認し、手離せない中学生の北澤が可愛かった。
大宮は堅実で地味な印象な男ですが、北澤に振り回され職を無くし宮崎まで車で走らされ、結局振られて(と思った)、5年後に突然再会し思いが通じればとにかく夢中で突っ走ります。コンビニであからさまなお泊りセットを店員の目も憚らず買い、彼のアパートに走るのがとにかく可愛い。その様がとにかく羨ましいくらいで。
この作品はとにかく台詞がどれも素晴らしいのですが、上記の台詞にあるように自分を破滅させる程の恋の相手に出会うって、なんだか久々に羨ましく感じちゃいました。
この作品では登場人物が一人として完璧な可哀想で同情を買う存在にならないよう、多少の残酷さも含めて配慮されています。
大宮と同棲していた千博は浮気性で奔放、高慢な男で、大宮が北澤と再会し別れる気でいると知ると自暴自棄になり、脅迫を繰り返し自殺まで図ります。もし彼がここまで激しい存在にならなければ、付き合っている人が運命の恋に出逢ってしまい別れなければいけない可哀想な存在になると思います。しかし千博にもセーフティネット(というとひどいですが)高野が張られていて良かった。
私はデザイナーも書店員もほんの少し関わったことがあるので、デザイナーの孤独で誇りある仕事も、書店員の社会性ある仕事どちらも理解できます。なので千博が大宮の仕事を馬鹿にするのは一番許せなかったです。大宮がレジでカバー掛けるのを心の中で面倒臭いと思っているのはあるあるで笑いました(笑)
小話は本当に甘々でいくらでも読みたかったです。恋人がいることや行為に慣れない北澤も可愛いし、丁寧で美しい挿絵の体格差も最高でした。
今まで読んできた木原さんの作品で一番甘かったです。また何度も何度も読み返し妄想したくなる、すごく好きな作品です。
わたしの木原さんデビュー作品です。
みなさまが面白いとおっしゃっていましたので、手を出してみました。
初なので、比較的痛さのなさそうなこちらをチョイス。
こちらは新装版ということで、同人誌からと書き下ろしが加えられた厚みのある作品です。
受けの北澤は、大学生。
攻めの大宮は33歳の書店店長。
かなりの歳の差カップルです。
中学時代、自分を痴漢した大宮を脅迫し、食事を奢らせ、欲しい物を買わせ、しまいには家にまで転がり込んでいた北澤。
そのせいかなあ、あまり被害者の様相がなかったです。
痴漢はもちろん言い逃れできないけど、北澤の方もかなりのものだなと。
でも、まあ、子供って意外に残酷で、自己の欲望に流されやすいからなあとも思うんですけどね。
この間のことは本編でなく、始めに収録されている『ライン』でえがかれます。
子供特有残酷さに最後までつきあっていた結果会社をクビになり、今は書店の店長をしている大宮。
そんな大宮の書店へ大学生となった北澤が、偶然バイト面接にきたことで五年ぶりに再会することになります。
わたしは大宮との方が歳が近いせいか、大人のずるい部分は比較的理解できます。
それでも中学生に恋人になって欲しいと言って、それを振られたと未だに恨むのは筋違いかなと思いますが(苦笑
魅力があるかと言われれば『わからん!』と答えたくなる攻めキャラですが、それがかえって後半の北澤を引き立ててました。
大学生となっても、北澤の性格はあまり変わっていないように見えました。
読み始めは。
同人誌よりの再録である『ライン』でのあまりの傍若無人ぶりに、北澤のイメージが悪くなっていたのかもしれません。
これがもし、『B.L.T』本編だけだったら素直に北澤に対して感動できたのにな。
いっそうのこと『ライン』は読まなきゃ良かったかと思ったくらい、本編の北澤は可愛かったです。
初めてしちゃった辺りからは乙女のようでしたし、大宮を最後許すさまも男前でした。
完全に大人と子供が逆転してしまっています。
ただ、ブツっと切られた本編のラストはどうなの?という感じでした。
後ろに二本、その後のお話が入っていたから良かったですが。
そう考えると、やっぱりこの新装版の方を買って正解だったんですかね。
『ライン』で受けに嫌気が差してしまっても、読み進めることをお勧めしたいです。
電子書籍で読了。挿絵有り(旧版の方のイラストも見たいなぁ)。
「木原作品にしては痛くない」という噂を聞いて気軽に手に取ったのですが、痛いよ。私がもう若くないからなのでしょうか?『ライン』と『B.L.T』の二作はかなりきつかった。同人誌と書き下ろし分が幸せ・あまあまなのはバランスを取ってなんじゃないかと。
『以前から気になっていた中学生に痴漢をしちゃう20代後半サラリーマン』と『それを逆手にとって欲しいものをねだる行き場のない中学生』の出会いって……一歩間違えたらコメディかドロドロ犯罪ものになっちゃうのに、木原マジックは『出会う度に心を奪われてしまう男』と『普段は意識していない寂しさを抱え込んだ子ども』の切ない恋のお話にしちゃうんです。で、読んだ私は「恋って何なんだろう?」と何度も考えこむことになります。
過去にこっぴどく振られたから近寄らない様にしていてもどうしても惹かれてしまう気持ち、好きなのか曖昧だけれどずっと自分を想っていて欲しいと願う気持ち、相手の心がもう自分から離れてしまっていると解っていても別れることが出来ない気持ち、自分以外の人に口説かれて心が動いた恋人を自由にさせてしまう気持ちetc.etc.主要な登場人物四人の心の動きは全部違うけれど、全部恋のなせる技だ。組み合わせひとつで、途方もなく幸せになることも出来るし悲劇に突進していくことにもなるのですねぇ。
と、またしても木原作品で考え込んでしまうのでした。やっぱり木原さんは巨匠だなぁ。
攻めが14歳年上の元痴漢男(笑)って凄いですよね。
助けた男性とかではないですから。
BLらしいご都合惹かれはなく、弱みをちらつかせ金だったり居場所だったり都合よく攻めを使い始める受けがいます。
どう考えても問題しかなさそうな組み合わせなのですが、目が離せないんですよね。
相手の容姿とかスペックとかそこまで重視されず、惚れてしまった心には自分自身ですら打ち負かせないどうしようもない感が見え隠れしているところが好きです。
木原先生の作品では惚れた相手が完璧には程遠くても好きで好きでたまらずもがく男たちがたくさん見れるので病み付きになります。
今回も最高の男に出会えました。大宮の元恋人、千博です。
もう好きしかない。
ずっとずっと彼のターンでいてほしかった(笑)
その後のスピンオフ切望しちゃうくらい。
我儘で自分勝手で自分の浮気はオールオッケーでも相手には絶対許さない。
冷めた空気が流れ始めていたのに、大宮が別れを切り出してからもう大変。
病的な執着、乱れようにドン引きしつつも美しい男の脆い部分を見るのが大好きな私はゾクゾクきてしまいました。
千博主人公の作品だったらきっと神評価にしてた(笑)
お話としてもメイン二人の出会いから落ち着くところまでたっぷりじっくり読めるので大満足です!!
またまた新装版です♪
今回は、旧版に同人で描かれたその後の話『dessert box』が付けられ、また新たに書き下ろしで『dessert box plus』が入ってますので、その後を同人で見られなかった人には是非欲しい構成になっているかと思います。
かくいう、アテクシも・・・嬉しいです♪
B.L.Tって、以前からベーコンレタストマトサンドの事よね?他に意味があるのかな?って、とても興味があったのですが、やはりそうでした。
主人公(攻め)大宮の唯一作れるメニューで、そして後関係してくる男のカフェのメニューでもあったのですね。
こんな、さりげない題名の作品は、その名の通り、痛くて痛くてどうしようもない木原作品にしては、余り痛くないお話でした。
・・・しかし・・・
冒頭、出会い編の『ライン』はちょっと痛かったかも?
何せ、出会いが痴漢、しかも28歳大人が中学二年生のまだ子供の少年に、しかも、以前からいいな~と思ってつい魔がさした、、、
という、そんな出会いだったからです!
そして、痴漢をされた学生・眞人が、本当にそこらにいそうな実在してそうなほどの見事な子供思考で、大人の大宮にたかるのですから。
大宮にしてみれば、脅迫の何ものでもないんですが、弱みを握られている部分もあるけれど、電車で見ていて好きだったという少年が、それでも自分に頻繁に会いにくるわけですから、ついつい甘やかしてしまう。
だから、個人の性的嗜好はおいておいても、彼等の言動はすごく納得のいく展開だったのですよね。
しかし、驚愕でした!
そんな子供のワガママに大宮が、仕事を棒に振って会社をクビになってもいいと思うほどに彼を優先させたこと・・・
そして、本編は大宮の視点に移り、書店の店長とバイトとして眞人と再会してからの彼等の接近、大宮の苦悩に移っていくのです。
ここでも、眞人は中学生の頃のままの様な、大人のような子供のような顔を見せ、その存在はこの話の中で唯一ゆるぎのない柱のような気がします。
逆に大宮は、それに迷い悩み、同居している恋人にも振り回され、大人であるのに、オロオロしています。
眞人、子供なんだけど男前だよ!!君。
そう思いました。
大宮も、眞人を選ぼうとしていると、今度は性格に問題のある大宮の恋人・千博が超我儘な干渉を見せます。
彼が、大宮と眞人の障害になるのです。
しかし、千博の性格描写もすごく理解のできるものです。
大宮があまりに人がいいから、居心地がいい。
もう飽きたけど手放したくない、
そんな姿は子供より、達が悪いです。
千博という障害を何とかして二人でやっていこう。
眞人は一年待つから、と約束した所で本編は終了しています。
その後があるのは嬉しいー!
大宮と眞人は甘いラブカップルになっているのは当然でしょうが、何より、壊れ始めていた千博が救われたのが、彼が自分で立ち直ったのがよかったです。
そしてさらに、さらに、大宮と眞人の甘い話を見ることができるのですが。
何だかこの二人、すごくすごく、ほっとできるカップルでいいなーと思ったのです。
始まりからは想像できない展開に、こういう木原さんもいいなと思うのですが、性格描写の優れているところが目につきました。
イラストが旧版は稲荷屋さんだったのが、元ハルコさんに変わっています。
彼女の細い線、大宮のヘタレに、中学の頃の眞人にはぴったりだったとは思うのですが、大学生になった眞人には、ちょっとショタすぎたかも?
もう少し男らしく描いてほしかったかな?と思いました。
萌萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)
喉から手どころか触手が出そうなほど読みたかったその後の同人誌&書き下ろし収録と聞き付け小躍り。いやもう万歳三唱。
ありがとう木原さん、ありがとうリブレさん。でも1000円越えって高いっす。そんなビンボー人のボヤキは置いといて。
中学生の受けに痴漢しちゃう攻め、という口が開いちゃうこの設定ながら(いやだからこそ?)木原さんがいかに過程を重要視して構成しているのかを改めて実感させられました。
基本的にBLは萌えの副産物なので、こういうシュチュエーションが書きたいんだーっていう作者のシュチュ萌えありきで話作りをされている印象を受けるんですが(そういうのも好き)、木原作品を読んだ時に感じるのは、まず人物造形ありきってこと。
“こんな設定の受けと攻めがこんな出会い方をして、二人がくっつくにはどんな過程が必要なのか”っていうのを念頭に置いて書かれている感触を、読んでいるとビシバシ感じます。
件の痴漢攻め。彼の名前は大宮雄介、28歳。痴漢男ですが変態さんってワケでもなく、中学生相手に本気で恋をするダメ大人です。
優しいっちゃー優しいけど、好きな子相手に思わず痴漢してしまうようなアホな恋愛脳の持ち主。そしてバレた途端に全力で逃走しちゃうような狡い面もあり、そのくせ財布を落してしまうような間の悪さというか要領の悪い人でもある。
恋するへたれ。終始、彼はそんな感じ。
そして痴漢をされた眞人は、当時14歳の中学生。
拾った財布から連絡先を突き止め、いい暇つぶし&八つ当たりの相手を見つけたとばかりに脅してこづかいをもぎ取り、ご飯をたかって、挙げ句には家に入り浸り好き放題のわがままっぷり。
大宮の中に自分への好意を敏感に嗅ぎ取った眞人は、子供であることを武器に28歳の大宮を振り回し、「愛情に飢えている14歳」というカードでむしろ子供の眞人こそが強者の立場を手に入れているのが実に面白いです。
といっても1話目だけですが。
このお話も例に漏れず、ラブのパワーバランスの逆転というか、優位に立っていた側が足元を掬われるハメになるわけですが、その辺がファンにとっては旨味でしょう。
ということで、2話目は大宮のターン。
彼のカードは「要領が悪い男」。
一度は途切れてしまった二人、しかし5年後、大宮は眞人と再会します。親の愛を求める子供ではなく、今度こそ対等な恋愛関係を築ける可能性がある相手として。
ここからがまた、読ませる読ませる。
木原作品の恐ろしいところは、受けだろうが攻めだろうが年齢や社会的地位や恋愛経験に関係なく、恋という制御不能で不合理な事象の前に、鼻面を引き回されるところではないでしょうか。
今回は甘めのテイストですが、そこはしっかり押さえてあります。
余裕なんてものは身ぐるみ剥がされ、恋する一人の人間としてのたうちまわることになる平等さ、いや理不尽さ?
そこにたまらないほどの魅力を感じるのでありました。
そうそう、再読してもう一つ分かったこと。
大宮は面食いの上に下僕体質なんだな。笑
それにしてもエッチシーンでの眞人の可愛さが半端ねぇっす…ハァハァ。