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aquarium no naka no koi
お互いが他の誰かじゃ駄目なんだというのがバシバシ伝わります。BLに限らずに古今東西の恋愛小説はの大概はそうなんですが、けども違うんですよね。ただの惚れたはれたのでだけはなくて、感情も情緒も未成熟な二人が出会って互いに成長して二人で外の世界に行くのがじれったいくらいに素敵でした。凪良ゆうさんの「真夜中クロニクル」もお互いが成長しつつの素晴らしい話でしたが、萌度指数はこちらの作品のが高いし擦れ違い加味されて狡いくらいにハマりました。どちらも文句付けようのない神作品なので、2作品とも読んで頂きたい作品です。椎名のツンデレ具合が可愛い、狂犬な椎名が沢田だけに見せる仕草総てが愛おしいし、沢田も椎名に恋していていく過程で初めて自分の心の底に眠ってた感情がわき出るだなんてヤラレました。キュンキュンきますよ、地味な作品ながらね。
デビュー作から順に拝読していて、とりわけこのお話が好きです。スルスルと読ませてくれるストーリーで惹きつけてくれる作家さまですが、本作はもう、挿絵効果も相まって一番好きな作品といってもいいかもしれない。吉田作品で北畠あけ乃先生の挿絵に出会えるなんて全く予期してませんでした。北畠あけ乃先生コレクターとしては嬉し過ぎる取り合わせです。
全体的にサラっとした印象なのに、ツボる作家さま。まるで癖がなくて飲みやすいのに、後から心地良い酔いがまわる上等なお酒のようです。先生の描くお話は基本、攻め視点ですね。個人的に好みの受けを描いてくださるので、どれを読んでもキュンキュンしちゃう。
他の方々のレビューにもあるように、このお話は「俺にはおまえ」、「君には僕」的な、互いにとって唯一無二の関係性を描いたもの。互いを求め合った結果、秘密の場所を築いて誰も寄せ付けない二人だけの世界を作ってしまう…みたいなカプが好きで、ジュブナイルものだと一層萌えます♡
中学時代の一時期、しかもほんの短期間だけ家を行き来するような間柄だった沢田と椎名が、大学生になってバイト先で再会。家庭環境も性格も異なる二人が、沢田が父親から譲り受けたアクアリウムをきっかけに、心を通わせ、時を経て関係性を変えていく物語。
中学生の頃の二人が純粋で可愛いくて、とにかく物語に漂う空気感が好きなんです。相手に抱く気持ちの純度を表すかのような透明感と、思春期のアンニュイさが同居しているような…。
バスケ部キャプテンで優等生の沢田は、クラスで浮いていてイジメの標的になっていた椎名を護ってやりたいと思います。けれど椎名は見た目によらず気が強くて、自分を貶める相手に正面からぶつかっていくような激しさを備えているんですね。←「狂犬」と呼ばれる。。
教室で暴れる椎名が色白の顔に作る傷に妙な気持ちを抱いていた沢田でしたが、椎名は煙草を陰で吸うような部員たちを冷静な顔で殴る沢田に高揚感を覚えていました。既にその頃から、二人は互いに特別な感情を抱いていたのかもしれません。
椎名はいわゆる美少年で、ある程度成長して以降も同性から迫られることが多く、子供の頃から知りたくもない母親や兄の営みを見せられてきたトラウマもあって、性に対してとても潔癖。寧ろ嫌悪すらしています。しかし沢田は友情を超えて椎名への欲情を自覚した時、卑怯なやり方で彼を抱くのですが…
身体を繋いでしまった後の二人の関係が濃い。エッチそのものもそうなんだけど、心も身体も欲してしまう沢田と、気持ちだけでは沢田を失ってしまう不安に駆られる椎名。両者のキリキリするような気持ちのせめぎ合いに切なくなります。不思議なのはこの局面に至ると、受け攻め両視点で読みながら萌えている自分がいるんですね。なのに混乱はしない。そういう読み方ができるのってなかなかないと思います。
沢田が椎名に自分のことを好きかと聞いた時、椎名が答えたセリフに新鮮な衝撃を受けました。あ、BLだなって。BLってこういういうことなのかなって。是非、物語で味わってください。同じように感じる方がいらっしゃったら嬉しいんだけどなぁ。
結構前に購入して一読した時、殴られるとか痛そうな描写があったので
苦手だわ…としまってしまいました。
それでも手放す気にもならず、
ずいぶん久しぶりに手にとって再読しました。
…こんなに切なかったわけ!!??
当時の私は何を読んどったんじゃ!!!!と
まさにセルフパンチくらわしたくなる程でしたよ…!!
大学生の沢田は、彼女のバイトを二週間だけ替わることになり、
訪れた先で中学時代、特に仲が良かったわけではない椎名と再会します。
そこから、当時の椎名に対する自分の不思議な感情や
椎名は誰にも懐かないのに、
自分には少しずつ歩みよる態度だった事など次々と思い出し
現在はCGの専門学校に通っているらしい椎名と
また交流を持つようになるのですが…。
中学の頃、“気に入らないと急に暴れ出す”とか
“あいつが来ると財布が無くなる”と噂が立っていた椎名。
それを耳にしても、信じなかった沢田。
「熱帯魚、飼ってるのか」
無口で誰とも仲良くしているのを見た事がない椎名に話しかけられ
驚きつつも家へ招くと
年相応の素直な瞳で水槽を眺めた姿に
懐かない猫が懐いてくれた気がして嬉しくなって
週に一度だけ(沢田の塾も部活も無い日に)「また来いよ」と誘います。
嬉しいと思う事があった時は
椎名が集めていたコインが水槽脇に置かれていたり、
自分にかまって欲しい時に何かものがなくなっていて、
次には元に戻されていたり…。
財布の件は「やりすぎじゃないか?椎名!」と一瞬悲しくなりましたが
転校してしまう前だったから
沢田の気持ちを試したかったんだとわかるといとおしくて…。
(ちゃんと返して謝ってましたし。勿論悪いことだけどある意味結果オーライw)
中学の頃、椎名が誰かに殴られて血を出していた唇や
腫れた瞼を見ると妙な気持ちになっていた沢田は
欲情していたんだと気づき、
今でもそんな目で椎名を見てしまう事に動揺します。
自覚して彼女とちゃんと別れるあたり、エライ!
“友達のふりを続ける”か“もう二度と会わない”か。
選択に揺れながらどちらも決められず
どうにもできなくなって強引に椎名に選ばせた、
“抱かれる”か“もう二度と会わない”か。
椎名が他に仲のいい友達も気持ちを明け渡す相手もいないのを知っていて
酷な二択を沢田は迫り、結果、椎名は抱かれてくれます。
恋人同士になれたかと思いきや、
抱くたび、椎名のカラダは快感に従順になっていくのに、
抱いても抱いても沢田は満たされない。
椎名の嫌々な態度は軟化される事はなく、
沢田は「もうしない」と宣言するのです。
椎名が色事に嫌悪感をいだいてしまう理由は、
そういう事にだらしない母親がいたらしいのですが…。
沢田は、椎名によほど我慢させていたんだと後悔します。
キスや快感の替わりに手に入れた安堵しきった椎名の笑顔に、
これでいいんだと自分に言い聞かせても傍にいると苦しい沢田。
服の下を知ってしまったからこその苦悶、
こちらもなんとも言えない気持ちになりました。
それから後の椎名の変化と
バイト先の佐藤というストーカー気質の男が絡んでくる出来事、
も───う、小説を読んで喉が渇いてくるのは久々でした!!!
(塩分摂りすぎたわけじゃないですよww)
男同士らしい且つ椎名らしい誘い方とか、
沢田の湧いてくる喜びとか…たまんないんです!!!
ここは何度も繰り返し読んじゃいます!!
ナツさんがご自分でお気に入りだとおっしゃるのが凄くわかります!!
はぁ………。(うっとり)
また、北畠さんのイラストも、シンプルで美しい!!
私的には沢田が格好よかったw
簡単に、告って付き合って甘々、じゃない。
沢田の今まで誰にも感じた事のない焦燥感、
椎名の沢田にしか開かない心、
きゅんきゅんしっぱなしでした!!
神に近い萌×2です!!!
面白かった。
本当に吉田ナツさんにハズレなしです。
同級生の再会ものです。
吉田ナツさん本人は、ご自身の作風を地味だと思われてるようですが、私はぜんぜんそんな感じがしないです。
確かにいろいろあるBLのパターンの中でストーリーづくりをされてるし、登場人物が情熱的なセリフを吐いて動きまくったりはしないんだけど、
心理描写が繊細で巧みで、伏線の生かしかたが上手くて、登場人物の性格と行動がぴったり整合性をもって描かれてるから説得力があるんですよ。
キュンとする場所が多いから、派手にも感じる。
攻め視点というのも好きです。吉田ナツさんには攻め視点をがんがん書いてもらいたいです。
で、この視点から見る受けの可愛いこと!
受けはひたすら無口だし、態度はそっけないし、何を考えてるのかさっぱり分からないタイプなんだけど、行動の随所で「構ってサイン」を出すんですよ。
寂しかったら何かを持ち去り、嬉しかったら何かを置いていく。
それに気づきながらも、一切言及しようとしない攻めが好きでした。
後半はひたすら、攻めにとって可哀想な展開になります。
「我慢する攻め」が大好きな私としては、切なくなりつつも萌え萌えでした。吉田ナツさん、なんでこう私のツボを的確についてくれるんだろう。
書籍化された吉田ナツさんのお話の中で
自分の中では一番かもしれません。
攻めはまわりからは大人で冷静な人と思われていて
人づきあいとかも器用にこなしつつ
でも自分では他人をちゃんと愛せてないみたいに思ってる
器用そうに見えて実は不器用(なのか?)な人。
ある意味今風な人なのかもしれません。
一見すごい上手く生きてるのに
そのことで幸せにはなれてない
好きの感情が簡単には持てない人みたいで
自分の彼がこれだったら確かに困る(笑)
友人に持つには悪くないけど
内心「めんどくさい」とか思われてるのは微妙だなぁ…。
受けは攻めとは真反対のタイプで
人づきあい苦手、色々不器用、無口、はぐれ猫みたいな人で
でも好きになっちゃうとまっすぐ
表現が不器用で言葉では言わないけど
心に嘘のない人…
これは攻めは惚れてまうわ~。
同級生時代のエピソードも
再会してからのエピソードの積み重ねも
なんていうか吉田さんらしい生っぽさがあって
キューンとくるドキドキ感たっぷりでした。
楽しかった。
とにかく受けの椎名(はぐれ猫ちゃん)のこまかい行動がかわいすぎでした。
これに気付く攻め(沢田)も偉いと思いますが、本当にかわいい。
そのサインの出し方が!
お互いに違った部分の欠けた人たちが
その出会いによって心を寄せあいながら
欠けた部分の違いゆえにすれ違ったり
苦しんだり寂しがったり愛したり…
王道的な魅力に溢れた作品だと思います。
ペーパーのSSがとってもかわいくて素敵に萌え満載なお話でしたので
ペーパーつきの方が絶対お薦めです~♪
吉田ナツ作品の登場人物達の重い雰囲気が好きなんです。
今回も、受けの椎名のもどかしい“好き”の感情表現や、攻めの沢田が椎名への劣情を後悔する場面、繊細に暗く書かれてありました。
若くてキレイな同級生同士の再会ものは好きなんだけど、悶着が片付いて両想いになってハピエンなのに、重いまま引きずっています。
椎名は、その家庭環境から「性がイヤラシイもの」で、そこの成長を止めてしまっているんです。
だから、椎名の「好き」の中に恋愛感情は無かったのに、椎名が唯一好きな沢田が、オレとセックスORもう会わないの選択肢を迫って・・・
自分には、沢田が元同級生の椎名ではなくて、ショタに無理強いしている絵に見えていました。
沢田がそれを後悔するまで、胃にずーんときていた!
でも、友人に戻ったら戻ったで、今度は沢田の葛藤が続くのです。
椎名は安心したかで無防備になって沢田の心を突いているのに、沢田は我慢一筋。
もどかしい恋心に、また胃がずーん!
なんかもう、拷問に近いモノがありました!
話は、小さい山があるものの訥々と流れて行きますが、この2人の心情が痛くて、読後も引きずってしまった。
でも、そこら辺、吉田ナツ先生らしいかな。
北畠あけ乃先生の、口絵「ケガしている椎名の頬に手をやる沢田」は、キレイで何度も見入ってました^^(このカラー絵、大好き!)
なんとなくタイトルと表紙から、せつなくて幻想的な感じのお話なのかと思ってました。
でも読んでみれば意外と普通で地味な(いい意味で)お話でした。
しかしこの普通を書かせたら、吉田ナツさんはすごく上手い。
いつも余計な調味料は入れず、文章の豊かさとキャラの心理描写だけで「いい作品だった」と思わせてくれる作家さんです。
椎名と沢田は中学の時の同級生。引っ越して疎遠になっていた椎名と、大学生になって再会し、家を行き来しあう仲になります。
椎名は誰かとつるまず、孤高で人から見れば不思議ちゃん…ともとれる人物で、沢田はしっかり者でリーダーシップも取れるけど、本当の意味で他人との境界線を引いている人物です。
きっと素直に素でいられる関係ってお互い相手しかいないのかもしれない…と感じます。
面白いけどせつないのは、2人は一度恋人になり、そこからまた友人にもどること。この境界があいまいなまま、2人は付き合いを続けます。
中学のときから椎名に劣情を抱いていたと気付いた沢田は、椎名に触れ合う関係になりたいけど、椎名が拒むなら触らないと決め、椎名のほうは好きは友情でも愛情でもなく、1つしかないので違いは無いと言います。
2人が2人であって最後に落ちつくところに落ち着いた、という感じでしたので、友達とか恋人とかっていう秤に乗せる関係でもなかったのかなぁと思いました。
それを表している、最後の1Pがとても好きです。
攻め視点の作品です。
イラストは北畠あけ乃さんで、カラーとは真逆の白と黒のコントラストの強い挿絵が大好きです。
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攻めの沢田は、彼女もいる普通の大学生。
整った容姿とリーダーシップでつねに人に囲まれているものの、自宅で熱帯魚を飼育し本来は一人でいるのが気楽な質。
受けは専門学校でデザインを学ぶ椎名。
中学時代から無口で人と群れず、外見の可愛らしさと正反対に密かに狂犬と呼ばれていたような青年。
当時沢田にのみ心を許していました。
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中学の頃ほんの一時一緒に過ごした二人が再会し、過去の回想を交えつつ進みます。
恋愛感情や劣情、性欲などを嫌悪している椎名と、椎名に惹かれていることを自覚してから彼が欲しくてたまらない沢田。
この二人の立ち位置の違いが関係を難しくしていき、そしてどのように折り合いをつけていくかというお話でした。
お話自体は好きなのですが、なんでしょう、読んでいて妙に文章が駆け足に感じます。
しかも学生時代の正義感あふれた行動が攻め視点であるために自身で語られ、自画自賛のように感じてしまいなんとも座りが悪かったです。
この辺りは読後もひじょうにもやもやさせられました。
もともと攻め視点は大好きなのですが、こういう行動の時は難しいのだなぁと思いましたね。
ただそういった中学時代のことが徐々に書かれなくなり、現在の二人の様子にシフトするとすごく良かったです。
特に沢田が椎名へ決断を迫る辺りから、沢田の出来杉君な姿が無くなり腹の中のドロドロしたものが出てきて、またその行動やその後の椎名の様子など、吉田ナツさんすごいなと素直に感じる展開でした。
先に書いたように北畠さんの挿絵がもう本当に良くて、二人の体格差もたまりませんし、椎名の時間を止めてしまった内面がひじょうに表れていました。
可愛らしくてたまらなく愛しくなります。
私の一番好きな設定はコレだ!
ってドーンと言い切れるお話。
同級生が、
お互いの感情がなんであるか、名付けられずにすれ違うけど、
これは恋だと気付いて
その感情を受け止めて
成就する。
私の一番好きなBLの醍醐味の、この、自分の中にある感情が、恋であり、欲情であるのを認めるのに葛藤するって所が余すところなく書き表されている。
エチシーンのバリエーションも濃度も、適度に豊富で適温の甘さ。
物語を象徴する小道具が「アクアリウム」っていうのもわかりやすいし、
挿絵のキャラもイメージ通りで、シーンも適切。
私の好きなのはコレですって、自信を持って紹介できる。
ただ、あまりにも好みにピッタリすぎて、逆に神評価にはしにくい感じ。
話自体は好きで「萌×2」相当なんですが、個人的地雷が埋まってた(地雷は通常は回避しますが、他の方のレビューでは誰一人その事に触れていない為に回避出来なかった)為、一段階落として「萌」評価です。
その地雷とは
「攻めが彼女持ち」
自分以外にもこの設定が地雷の人が絶対にいると思うんですが…
攻め・沢田が受け・椎名への気持ちを自覚した時点であっさりと別れるんですけどね。
その彼女も全く嫌なタイプではないのですが。
その彼女は彼女である必要性を殆ど感じなかったから(彼女設定ではなく数人のキャラに分担させれば良い役割だと思った)彼女持ち設定は邪魔なだけでした。
(彼女の性格が悪かったり、彼女である必要性があるような話だったら評価は中立以下になっていたのですが。)
あと攻めには「彼女」がいた一方、受けは攻め以外の「男」に狙われる、というのもちょっと苦手です。
攻めも受けも同じ「男」なのに…
話自体は攻め視点でさらっと読めました(個人的に攻め視点好きなんです)
結局すれ違いながらも攻めも受けもお互いがお互いを必要としている感じで良かったです。
それだけに地雷がなければもっと良かったのに…自分の我儘なんですけどね。
「攻め彼女持ち」設定が嫌いでなければお勧めの話だと思います。