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nesshou
どのようにして知ったのかは覚えていませんが、最近この作品を知り、
ヤクザとヤクザ嫌いな彫師という組み合わせが面白そうだったので、
読んでみたいと思い、古本で購入しました。
読んでみたら、受けの彫師としての職人魂が細かく描写されていて、
とても興味深く読むことが出来ました。
また、新しい世界を知ることが出来て勉強になりました。
読んでいて、「BLで、こういうヤクザ物が読みたかったんだ」
ということに気が付きました。
BLでのヤクザ物の作品は多数ありますが、攻めや受けとして
彫師が取り上げられることは滅多に無いように思います。
ヤクザ物だと、どうしてもヤクザ同士か、ヤクザと一般庶民、
ヤクザと警察などの公務員の組み合わせになっていて、
彫師は準主役ですら登場する作品も滅多に無いように思います。
受けである彫師の環さんは若いのに とても貫禄と色気があって、
独特で不思議な印象を受けました。
幼い頃からヤクザと接する環境にあった影響もあるかもしれないけど、
芯がしっかりしていて強く、拉致されても動揺を表に出さず冷静に
対応するところに好感を持ちました。
環さんの彫師としての考え方や、仕事に対する姿勢にも、とても好感を持ちました。
自分の体を使って刺青の発色を確認したり、追究したりするのは、
良い彫師だと思いました。
環さんは過去に、刺青を入れるのを嫌がっていた女の人に対して
断ったことがあり、その後、別の彫師の所でとんでもない物を
無理やりに刺青を入れられたことを知りました。
現実の世界でも、そのようなことがもし起こっていたらと思うと、
想像を絶するくらい恐ろしいと思いました。
その後の話を知って、どれだけ後悔したか、環さんの気持ちが伝わってきました。
それからは嫌がる人に対しても出来るだけ引き受けるようにして、
少しでも被害を食い止めようとしている環さんの思いがとても伝わってきました。
環さんは理想的な彫師だと思います。
読んでいて、環さんは高嶺の花というイメージが強かったので、
それほど深く考えずに、やることはやっているっていうのを知って、
少しショックに思いました。
堅物すぎなくて良いので、もう少し強い貞操観念を持っていてほしかったと思いました。
また、相思相愛になっても、環さんの宇和島さんに対する想いが
あまり伝わってこなかったのが引っかかりました。
攻めの宇和島さんは、頼もしくて、野性的というか、
いかにも漢って感じで、好感を持ちました。
幼馴染の崇之くんとは「親友」ではなく、「同志」として強い絆で
関係が続いていますが、本当のところ、崇之くんは「同志」以外の
感情もあったのではないかと思わずにはいられませんでした。
95ページの挿絵がとてもカッコ良いです。
普段の環さんも魅力的ですが、環さんの彫る姿はさらに魅力的で惚れ惚れしました。
また、彫られる痛みに耐える宇和島さんの顔の表情がとても良いです。
迷うことなく「神」評価の挿絵です。
この作品を読むまでは関西弁を使うお話だとは思わなかったので、
舞台が京都や大阪で、環さんが関西弁を話すお話だと認識した時は嬉しく思いました。
時々、関西弁を使う作品を読んだり聴いたりしますが、下手というか
大袈裟すぎるというか、違和感が大きい関西弁の作品も多々あるので、
もし事前にこの作品が関西弁を使うお話だと知っていたら、
読むまで不安になっていたと思います。
しかし、この作品は心配するほどの違和感はなく、
比較的に適度に適切に書かれているので良かったです。
今回の評価は「神」と「萌×2」と「萌」で迷いました。
物語の内容や人物設定、舞台設定、文章構成、挿絵は統一感があって、
読んだ後は、あまり迷わず「萌」評価でした。
しかし、やはり、もっと彫師にスポットを当てたBL作品が
たくさん発表されて、認知されて、もっと普及してほしい
という思いがとても強かったので、「萌」から一段階 上げて
「萌×2」にしようと思いましたが、「萌×2」でも、
彫師を主題にした作品が広まってほしいという思いが
まだまだ弱いような気がし始めて、最終的に「神」評価にしました。
この作品の主人公(受け)に関与する男性は二人出てきます。
一人は親友を貫く幼馴染の男。
一人は主人公の嫌うヤクザとして彼の目の前に現れた、何故か惹かれる男。
この二人に対しての主人公の気持ちの違い、ポジションの違い、そんな対比をしながら読めて、ちょっと趣深い作品でした。
環は有名な彫師の息子で、家にヤクザが出入りすることから幼い頃からいじめられたり、仲間はずれにされたりしてきました。
偶然、刺青の出張先で父について行った時に出逢ったヤクザの息子崇之も同じような境遇で、ウマがあった二人は互いに家を継がない!と約束してずっと友達でいました。
しかし、環の父親が病に倒れ余命いくばくかになってしまった為、環は彫師を継ぐことになり、崇之とその時以来ケンカ別れしたままでした。
8年後のある日、環はヤクザの宇和島に拉致され、10年前の先代との約束だから刺青を入れろと環に迫ります。
環にとって崇之と宇和島の違いは何だろう?
どう見ても、BL的目線で見てしまう自分には環を余りに心配している崇之は環が好きにしか見えないほどにものすごく親身なんです。
一度、環は崇之にそうゆう関係になってもいいと言いましたが崇之はそれを拒絶しているのです。
話の流れから、何となく崇之は自分が全く組と関係なく跡目相続の件からも解放されたら、その時に環と恋人になりたいと我慢していたんでないかな?と思えるのです。
環はヤクザは力を振りかざすから嫌いだと、ひとからげにして、ヤクザを嫌っているのですが、元来が人好きな性格と何度も書かれていましたので、その部分で、人を選んでいるのだと思います。
宇和島は強引で俺様な感じがするんですが、彼のひととなりはとても大人で世慣れていて、スマートで、
初めて環と寝た翌日でも、それを気にする環が、気が抜けてしまうようなうまい会話のかわし方をしていました。
環自身も、とても大人な落ち着いた人のようでしたので、大人対大人として、とてもスマートな二人の関係でした。
だた、そんな会話だけでは、環が宇和島に惹かれて「好き」と思えるまでには少し弱いかな?とは思いますが、よく考えてみれば恋なんてそんなもの。
気になって、それを好きかな?と思えば即座にそれが恋になってしまうんですよね。
宇和島の親組織のちょっとしたトラブルというのが、一応ヤマで設定されておりましたが、そこに出てきた陣という組長の息子がイイ!
崇之が宇和島を認めてアメリカに帰ってしまった後の、宇和島の新たなライバルとなったようですww
ヤクザの世界を舞台にしながらも、すごく柔らかく血なまぐさくなく、実にスマートな一作でした。
あらすじから買おうかどうしようか非常に迷った本。
あまりハードなヤクザものは好みではないので……でもレビューを拝見して勇気を出しました。
結果、ヤクザよりも彫師の方が話のメインだったのでこんな私でもスラスラ読めました。
お話の細かいところは他の方のレビューにお任せするとして、この本の後味がさっぱりしているのはやはり環(受)の性格ゆえでしょうかね。
継ぐのを嫌がっていた彫師という仕事ですが、やるからには自分なりの責任を持ってあたっていますし
理不尽には反抗する心意気もありますし。ただちょっと向こう見ずなところもある。
やわらかな関西弁(大阪らしいけど京都っぽいような?)で朗らかな感じ。
作中でもよく「あはは」と笑っています。
対する宇和島(攻)はどうでしょうねー……ちょっとキャラが弱かったかも。
BLヤクザにありがちな強引な人ですが、「悪い」という感じは全くしません。
あ、環の友人である崇之のキャラが立ってたせいで弱く見えるという部分はあるかも。
環周りは皆関西弁なので、その中で一人標準語だったせいかも?
ヤクザものとしての血なまぐさいシーンは発生直後に解決した、くらいの短さかつソフトさなので
暴力が苦手な人でも全然問題ありません。
それよりも彫師としての描写のほうに重きが置かれているので、そっち方面がなかなか面白かった。
彫ってるところの挿絵もあって、へー和彫りってこんななんだー! と感心したりもしました。
挿絵込みで好みなお話でした。