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基本は、元義兄弟の逸人と一の恋の話。
でも、離婚をした姉や父母との家族の事や、ずっと愛されないで育ってきた逸人の父親の事。
全てが丸っと円満にはならず、幸せになるために、ここから、自分たちで変えていこうという最後がとっても良かったです。
この作品の好きな所は、
逸人の気持ちは、読み進めていくとなんとなく分かってくるけど、相思相愛だからハイ!付き合う!という簡単なものではなく。
一は長男だし、姉は元嫁だし、男同士だし。。。様々な葛藤。
あとは、出てくる女性が二人ともサバサバしていて、気持ちがいい!
特に姉の真がかっこいい!こんな人になりたいわぁと思いながら読んでました。
そして、出てくる土地が自分の良く知っている所なので、現実にある地名を使ってもらえると、やっぱり嬉しい!
ぜひ、読んでみてください。
作者様が描く情けない大人としっかり者の年下カプがお気に入りです。前作にあたる「あめの帰るところ」も同じような組み合わせでしたが、この作品は二人の恋を通して家族のありかたを問うたお話だと感じました。
逸人は温かい家庭を作ろうと求めていたはずなのに、最終的に相手と相手の家族を騙すことになってしまいます。その罪の意識を一緒に引き受けていこうと覚悟する一の成長と二人の行方を、一の姉である真の心情に寄り添いながら見守りました。
逸人の営むお店が湘南にあったり、一が写真のプロを目指していたり、作中にお花や猫がでてくるところは、作者様ご自身がお好きそうなイメージをそのまま投影しているようで、ファンにはたまらない演出です。そういった一つひとつ、大切に選ばれたもののさりげない描写にいつも癒されます。
全体を通して、恋愛というよりは家族愛がテーマ。
家庭に恵まれなかった逸人と、家庭に恵まれてる一。
対照的なふたりですが、この家族愛がたまらなく切ないです。
なんといっても、脇キャラの女性陣が素敵。
桃色部分はきわめて少ないですが、逸人のセリフに激しく萌えました。
優しくするけど、手加減はしないよ
ヘタレだと思ってたら、とんでもない猛獣だった、みたいな。
個人的には絶対に逸人が受だと思ってたので、そこでもう仰け反るほど驚きました。
いや……性格的に、絶対に一の方攻だと思うんですけどね。
だから↑のセリフに余計に萌えました。
私はリバ全然OKなので、リバップルという形で読んでみたいとも思いました。
これは絶対しっとり系のいい話だ! と思って読んだら、やっぱりしっとり系のいい話でした。
こういうので当たりを引くとワクワクしますよね!
物語の主人公は岩瀬一。
一って書いて「いち」。
一には真という姉が一人いて、その姉は一度、二十歳の時に結婚し、その三年後に離婚した。
一は、その姉の元夫である元義兄のことが大好きで、元義兄の玖珂逸人の元に通い詰める日々だった。
逸人は、一の姉と離婚すると共に、今まで勤めていた大手企業を辞め、「夢」と言っていた海岸で喫茶店を営む日々をしていた。
けれど、一の目に映る逸人は何となく表情も冴えず、全てを諦め切った表情を浮かべているように見えた。
一はそれが悲しくて、なんとかして逸人を笑顔にしようとするけれど、逸人は二言目には一に対して「もう来なくていい」と言い、「バイトとしては雇わない」と言うのに、時給九百円のお小遣いを一にくれたりする。
一はそんな自分の立場を歯がゆく感じるのだけれど、同時に自分では逸人を癒せない事を強く意識していた。
そこまでして逸人を想う自分の気持ちを、一は家族や友人に感じる親愛の情だと、深く考えた事もなかったけれど、ふとしたことがきっかけで一は自分が逸人に抱く想いが「恋」であることに気が付いてしまう。
せめて本気で想っている事だけは知って欲しい、と思った一は、振られる事を前提に決死の思いで告白するけれど、結局、逸人に望まれたのは一が、逸人にもう会いに来ないで忘れる事、だった。
一は、自分に対して彼がそう感じるのは、まだまだ自分が子供で頼りないせいだと考え、自分がずっと思っている事だけは忘れないでほしい、と告げ、彼の前に姿を表さないようになる……
という話でした。
家族に恵まれなかった逸人と、家族に恵まれた一。
逸人は、一の家族を壊したくないと、ありきたりの幸せを一とその家族には手に入れて欲しいと願い、その手を振り払うけれど、真っ直ぐな一は、その逸人の想いまで踏み越えて、彼を手に入れる……という感じの話でした。
なんというか、一の真っ直ぐさと純粋さが、逸人には怖かったんだろうな……と思いますが。
こういうちょっと現実を噛みしめる感じの痛い系の話は大好きです。
そしてそれよりも何よりも、元妻・真がかっこよすぎる!
いやー、最初の数ページはオノマトペ多用、体言止め多用、
かなり強烈で独特なリズム感のある文体に感動すらしましたよ、小生。
展開が特別悪いわけでも、キャラ設定が弱いわけでもないんで、
これはシュミの問題でしょう。ウン。
義兄弟モノアレルギーでもないし。
いや、決して悪い作品ではないんですが、読み進めるごとに
変なストレスたまるんですよコレ。
銀色夏生さんとか好きな人はハマるんだろうなと(たぶん)
全編ポエム状態のトロットロした世界が……うぅぅ…。
たとえばですよ、一穂ミチ先生とか最近では尾上与一先生ですね
ああいう方々の世界観もどこか詩的なものありますが
それをポエムな文体で書かれると、
プリンとゼリーにクリームとチョコレートトッピングしました的な、
居心地の悪さを感じる……。
極端な話、このプロットでほかの作家さんが書いてたら
こうも「ウグググ…」とはならなかったかもしれない。
紙で作った星をためこんでるとかどんなポエム…orz
大筋では決して悪くないのに、付随するエピソードがいちいち中二病…。
さらに周囲の人々が結果的にものわかり良すぎるのもなんだかなー。
〉jimmyさん
あ~意外にいらっしゃるんですねぇ、朝丘作品ダメっていう方。
「あめの帰るところ」なんかは大絶賛の嵐だったので、正直なレビューがつらかったですw
パーツパーツでは「おぉ!」と思うところもあるんだけど、
それが連綿と続くとなかなか辛いものがあります(苦笑)
とくに「くち」とひらがなで書いてあるのにものすごいひっかかりました。
いや、どうでもいいことなんでしょうが、「くち」がなんで「口」じゃいけないのか
小一時間問い詰めたいぐらいなんですよ、えぇ。
「世界観」ですか、なるほど。
たしかに特殊な世界観ですよね…。
朝丘戻。さん特有(?)の切なさが出ていて号泣しました(>_<)
それに情景(多分)の描写がすごいです!!
でも私はもう少し展開が速くてもなーという気もします。。。
『長時間かけて恋愛を成就』という感じなので
もう少し早めに成就してHなのがいいです←
結論。
切なくて面白いです!!
文章が読み易くて、静かに流れる雰囲気が好みな作品でした^^b
恋愛を知らない一(いち)が、性癖を隠して結婚した義兄(逸人)に憧れから恋情の心を持ち続けている。
逸人は自分も一が欲しいと気付き離婚する。
その後も、一は逸人の元に通い続けるが、逸人は一定の距離を持ち続ける。
一の純粋な視線と、性癖・家庭のトラウマが滲む逸人の視線の、2人の生殺し的な執着を、作者は静かに切ない文章で表現しています。
自分がじんと来たシーンは、色恋じゃなくて、家族の中の立場。
ひいばあちゃんのくだり。
死に物狂いで5人の子供を育て上げたのに、結局他人に世話されていて、死を直前にして自分が何も適わない状態にいる矛盾。
そして、
逸人が一の家族に理想の家庭像を持ったから、自分の想いの通りに一を求めたら、一の家族に一の残さなければいけない血のつながりに、重い罪を犯す事になると悩むところ。
ひいばあちゃんと逸人の「自分」の望んだ人生ではない。
分かっているけど平素は目を瞑っている部分が、ほらっと見せつけられた様で本当に切なかった。
それでも、ひい孫の一に「誰?」と言いながらも笑い掛けてくれる、逸人には一が自分を強く望み続けてくれる、そこには救いがあったと思います。
他の登場人物もそれぞれがキャラ立ちしていて、暗い部分以外のエピソードも丁度良く感じました。
初読みなんです、朝丘先生は。
高評価作品が多いから何だか身構えてしまって積読いていました。
何だか昭和以前な性質を感じられ、読後感は純文の作家さん達と同じ感じ。
積読いた他の朝丘作品を読み始めようと思いました^^
まず、誰が悪いわけでなく、ここのところ「同性愛嗜好がありつつ結婚した」、という設定のお話をいくつか読んでいたせいで、わたしが食傷気味だったと思います、すみません…。
さて、(元)義理の兄が主人公のこめかみ(だっけ)にキスした…ってとこで、やっぱり?と思い、読みすすめてみて、やっぱそうかーと。
先が見えているお話を読ませるように書くには、「これからどうなるの?!」的に、もう少しひっぱって欲しかったです。
心情的にも、元・義理の兄への執着に説得力を感じなかったので、どうもひたれなかった…。
あと…絵のイメージで作品の評価が左右されるのもどうか…と思うのですけれど、やっぱり…。
カバー絵なんかすごく素敵とおもったのですが、同年代か髪の色の違う双子にみえてしまってました;
挿絵もどうしても年上が年上にみえなくて。それがけっこう、わたしにはキツかったです。決してヘタな絵師さんではないとおもうのです、ヘタかウマイかっていったらウマイ部類だろうとおもうのだけど…人物がみんな十代くらいにみえてしまって…。
元・義理兄弟という、設定としては好きなタイプだけに余計がっかりしたというか。
…文章にしてみたら、やたら批判的になってしまってすみません…。
なにかしら、詩情のようなものをもっている作家さんかもしれない?とは思いました。
胸の奥にじわじわと染み込む様に優しさや切なさや温かさや、そんな想いが響いてくるお話でした。
前半は一(いち)視点、中盤からは元義兄の逸人の視点、ラストが一、とまんべんなくそれぞれの視点を見せてくれたことで、ワンクールのドラマを見ていたように鮮明に場面が頭に浮かびました。
いい話だった・・・
この二人の共通キーワードは「家族愛」ですね。
一の家族は、絆が深いです。
曹祖母のエピソードや家族の会話や、親子の対応。
一と姉の真のやりとり。
つくりものじゃなくて、本当に実在している家族の会話のやりとりそのものでした。
だから一は家族の温かさとか、良さを知っているし、元義兄で他人にはなってしまったけれど一度絆が出来た以上、逸人を家族だからと考えている。
そこには、実は違う気持ちがあるのだけれど、それが恋だということを姉との会話で認識させていくところが、一がくったくのない人間だということがわかります。
一方、逸人がひとすじなわではいかない人間で。
彼はアルコール依存の父がおり、家庭内暴力なども経験して、ずっと我慢して生きてきた。
同性愛の嗜好があることに気づいた時も、我慢して病気と考え、抑え込んできた。
だから、愛される家族、愛する家族が欲しかった。
真の家族愛に、自分も中に入れるかもしれないと思ったのに、一を意識してしまった為に、また自分を抑え込む諦めの人生を選択しなくてはならなくなって。
実に、この逸人がネガティブなんではあるが、彼の思考に納得がいくのです。
一と、逸人が主人公ですが、逸人の脱皮が一番のメインなんでしょうね。
逸人視点の展開になってから、自分自身が逸人と同化して、一緒に胸の痛みや苦しみを味わっているような気持ちにさせられます。
ここには一の姉と、一の仲間の女子が登場しますが、彼女達が全然嫌な人達じゃない。
かといって、お綺麗でもなく、彼女達も本音をぶつけている。
だからこのストリーがウソくさくも、不快感も与えないのかなとも思います。
逆にそういう女子だったからこそ、逸人が一を渡してはいけない!って急に思い立つ行動を起こさせることになったのだと思います。
淡々としているけれど、決して飽きさせない。
逸人のお店は海沿いにあるのですが、何だかこの物語の余韻は波の音が遠くに聞こえるような感覚を残します。
元妻の弟、姉の元夫。2人の人間関係の始まりが義兄弟なので、
お互いが歩み寄りに元義兄の逸人は二の足を踏むと言うよりは『踏み込まない』と決めていて、元義弟の一は若さゆえに純粋で無鉄砲に突っ走る。
こんな風に、攻の義兄さんの方が悩んで冷たいまでに線引きするというのは(私が思うに)珍しいタイプのお話だなぁと思ったのですが、
恋愛に重きを置くというより、家族の在り様や内情からの恋愛が丁寧に描かれていたので不自然さや理不尽さは感じませんでした。
元義兄の逸人は、幼い頃から(飽くまで逸人の理想とする)良い家庭環境や家族関係に恵まれていなく、
一といういよりは先に出会った姉の真にそれを見出して結婚をした。
それでも性癖は変わるものではなく、一を好きになってしまう。
だから悩んでしまうんですね、自分の気持ちが真とその憧れた家族を裏切っていて、一の好意に応える事は一にもそれらを裏切らせてしまう事になるから。
実父の事も切り捨てられなくて、それでも理想を望んでしまうというのは切実で。
曾祖母の話なんかは、わたし個人に思うところがありまして
正直見たくないところ、暴かれたくない心情と感じるまでの描写に思えました。
でもその為に、逸人が憧れるような家族像になっている気がします。
恋愛面においては、当人同士というより女性キャラが魅力的で!笑
脇を固めるキャラが2人の関係を固めていくように思います。
真はいい女ですよね~ でも一も真と同じ強かさを以って似ている姉弟だなぁと思うんです。
だからこの姉弟は単純に逸人の好みのタイプなんだとも思える…。笑
とにかく読後は逸人に幸せになって欲しいし、一はちゃんと幸せにしてあげて欲しいと思いました。
そして余談ですがノーマルもすきな私としては加奈ちゃんと泉堂さんのその後の展開が読みたい処です(*′`)
神評価にしない部分としては、一を追い駆けた時の逸人にもっと強い衝動が欲しかったなというのと
挿絵の逸人と泉堂のイメージが私の中でどうしても合わなかったという悲しさです;