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Paris no hanayome
「不夜城の蜜愛」のスピンオフで、こちらがメインの主役たちのお話です。
2冊同時に読むと時間軸も交差しているのでより楽しめる感じでしょうか。
受け様は、美術館の管理人をしているのですが、受け様の一族は芸術家一族で
受け様のいる美術館も祖父の絵を管理しているのですが、美術品には目が無い。
自分は絵を書く才能は無かったのですが、作品を見る目とマネージメントには
才能がある受け様が、知人のパーティーに呼ばれパリに出向いた先で、個人所有の
絵画を一目で気に入り、売って欲しいと所有者である攻め様に願うが相手にもされず
そんな攻め様と偶然知人のパーティーで再会して、攻め様とその友人に遊びを仕掛けられ
更に攻め様を楽しませてくれたら絵をあげてもいいと・・・
攻め様の退屈しのぎだったのですが、次第に攻め様は本気になりますが、
受け様が絵を欲しいからと言う思いが、攻め様の本心を言えなくさせる。
また、受け様も既に絵の事より攻め様の方が気になりっていう展開です。
すれ違いカップルが分かり合えるまでのお話です。
宇宮さんは何気ない日常を上手く書かれる作家さんですが、この作品は初の海外モノ。前半はパリが舞台で、途中日本に戻ってきますが、最後はまた舞台をパリに移します。内容的には前後編にわかれた二部作。そのせいか全体的にいつもの宇宮さんの作品と雰囲気が違うかなぁという感じも。
主人公は日本の学芸員のヒロで、お相手はパリの実業家のアルマン。表紙をみて、割と強かな2人なのかと先入観を受けましたが、ヒロは日本人らしく健気で謙虚。アルマンはさすが海外実業家で強かですが優雅で気遣いに長けています。後半では思い切りやきもちやきだけど…。
絵がきっかけで知り合った二人が一度だけ関係を持って、はっきりした約束をせずそのまま分かれてしまう前半。後半は日本までヒロを追いかけてきたアルマンと恋人になり、その後従兄弟と一緒に再びパリを訪れます。
このヒロの従兄弟のユキと、アルマンの親友のジャン・ミシェルの展開に結構ウェイトが置かれていて、こちらのほうが先々に難あり…なカップルだったので興味がわいたんですが、スピンオフで出版されたんですね。これで終わらなくてよかった…。
あまり大きな事件が起きないけど何だか好きだなぁと思わせる作風の作家さんですが、この作品はちょっとあっさりすぎたかな?と思いました。
日本人が海外で恋をする設定のBLって、ラストはその国に残る、というのがセオリーかと思います。この作品のラストでは、ヒロがアルマンと分かれたら次の恋はもうないと決め、日本でしていた仕事の繋がりでパリで職を探し移住しようと決める…となるんですが、住み慣れた国を離れて見知らぬ海外に移住ってすごく決断のいることだと思うのです。なのでそれほどまでにアルマンが大事で愛しているっていう思いの深さをもっと作中で表現してほしかったなぁと思います。
割とよくあるタイプのBLファンタジーといった趣の作品でした。舞台はヨーロッパ、そして美術に関わる華やかな世界。
似たような設定の話をほかにも読んだことがあるような気がするほどの王道展開ですが、特に破綻や無理すぎるエピソードもなく、さらりと楽しめます。金髪で美形の伯爵と控えめで美しい日本人(だけど割と気は強い)の組み合わせはなかなかロマンティックですね。
盛り上がりポイントに乏しいのが少々残念ですが、少女漫画的なキュンキュンできる甘いラブストーリーです。空き時間などに気軽に読むのに良さそうな一冊です。