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この身体に、いろいろ覚え込ませたいな
勤めていたコンビニは店を畳むと言うし、住んでいた家は建て替えで追い出されそうになるし、と不幸続きの天涯孤独のソラの前に現れたのは、亡き祖父を恩人だという投資会社社長・高梁。
高梁は困り果てたソラに対して、同居を提案、働き先まで紹介してくれるという。
降って湧いた幸運に不安を覚えつつも、背に腹は変えられず、世話になるソラ。
だが、高梁はただ単に親切な紳士……だったわけではなかった。
「きみが誘ったんだろ?」
高梁は甘い声音で、今まで人と深く関わったことのないソラの身体に触れ、快感を教え込んでいく。
誰かに強く求められる感覚と、愛撫のひとつひとつに喜びを感じるソラだったが……
という話でした。
結局のところ、高梁は今までソラが存在すら知らなかったソラの父親のことが好きで、その人に対する人質の意味でソラを部屋の中においておいた、というのが真相だったわけですが。
えーっと、話の本編の内容はいいんですけど……。
なんていうか、文章がダメでした……。
せっかく物語にひたろうとしているのに、さっと救い上げられちゃうようなそんな感じがして、イマイチひたりきれませんでした。
例えて言うなら、おいしそうなご馳走を目の前に並べられて「わーおいしそう」って目で楽しんでるのに、ひょいとお皿を取り上げられて「おいしいからさっさと食べなよ」って口の中に押し込まれる感じに近かったです。
読んでて、「これはどういうことなんだろう……?」って文章を咀嚼して、少しずつピースを集めるように登場人物の心情を理解したいと思って次の行を読んだら、考える前に答えが出されてて、興ざめ……というところが、後半のネタばらしのところになったら、何回も重なって、大分げんなりしました。
答え合わせじゃないんだからもう少し、ゆっくりの方がよかったです。
というわけで、物語の設定は嫌いじゃなかったんですが、その持って行き方が個人的には合いませんでした。
そういうのが気にならない方にはそれなりに面白いと思います。
近々アパートを追い出されバイト先のコンビニも閉店することになって途方にくれている天涯孤独のソラのところに、亡き祖父に世話になったお礼と言って高梁という投資会社社長がやってきます。
彼は、遠慮するソラにたたみかけるように、自宅での同居や仕事の斡旋をしてきます。
戸惑いは感じながらも、背に腹は変えられずその誘いに乗ったソラは、高梁との同居生活を始めるのですが・・・
せめてものお礼に家事をこなすソラと、少しずつスキンシップが濃厚になってくる高梁。
次第にソラは高梁の手練手管に篭絡されていくのです。
ところが、ある人物に、高梁がソラに近づいた本当の理由は他にあると知らされて・・・
展開としては、シンデレラストーリーにちょっとS気味な攻というスパイスを効かせたお話なんだなと思っていたのですが、後半はサスペンス仕立てという、まるっきり違ったテイストの展開となりました。
拉致監禁あり、アクションあり・・・そういう意味では一冊で二度楽しめるお話ですが、私としてはどちらかに絞ってじっくりと展開していただいた方が嬉しかったなと思います。
ちなみに、投資会社の仕組みが垣間見られたのは勉強になりました。
1歳児の時に母に捨てられ母方の祖父母に育てられるも祖父母も死亡しちゃって高校中退で保証人もいない天涯孤独の身の上でフリーター生活をおくっているソラ[受]。
バイト先とアパートを両方失う事になり困っていた所に現れたのが若き社長な高梁[攻]で、ソラの祖父に恩があると言って彼の豪華マンションに住まわせてくれて美味しい物を食べさせてもらって似合う服も買ってくれて、就職先の世話まで紹介してくれます。
総てソラ視点の一人称で書かれているのでひじょうに読みやすく分かりやすい。
ソラは苦労して育っているので基本的に健気なのですが短気な所もあるし精神的なバランスがとてもいい感じ。
着実に幸せになろうとしていた時、真実が発覚してソラは精神的にドン底に落とされます。
急に立っていた床底を引き抜かれて落とされた、そしてその床底を引き抜いたのは高梁です。
義月さん作品なので途中で何かあるんだろうとは思ってたんですが、やっぱり来たかー!!
酷い攻や受を読むといつもそこでこいつのちんこもげろー!!って思っちゃうんですが(アホ読者で申し訳ない)高梁はそのちんもげ野郎です!
まあ最後はちゃんと想いが通じるのですけどね。
ソラの父親や高梁の逆手のひら返しとか多少気になる部分はあるにはあるんですが、そこはソラの一人称なのであまりそういった部分を感じさせないのですね。
これは一人称視点で正解でしょうなー。
挿絵のわかなさんは、いつも同一画面に2人出た時の対比が微妙に狂ってる気がするんですが、今回もそうで特に絡みシーンにかなり違和感が…。立ちシーンとかはいいんですけどね。
あと表紙の膝!尖ってて膝蹴りくらわしたら凶器になりそうな…。癖は無いすっきりした絵ではあるんですがそれだけに微妙な狂いが気になります。
ここ3作続けて義月さんの作品は苦労する受けちゃんに、金持ち俺様攻めというパターンが続いて、特に前作『呪文をかけるレシピ』とかなりかぶってくる。
しかし、その前作よりは本作はとても面白くワクワクして読むことができました。
苦労しているだけに勘が良く、頭が回り、またさっぱりした性格の受けというのがいいのかもしれない。
その前作で出てきた超個性的キャラがチラっと出てきているので、それを探しましょう♪
唯一の身よりの祖父母を亡くし、高校中退で苦労しているソラのもとに突然現れて、祖父の恩を返すといってソラと同居し職の世話までしてくれるようになった投資会社の社長・高梁。
今まで祖父母にも充分に愛されず、そして一人ぼっちで生きてきたソラに一緒に生活する相手ができたことで、それはソラに人を好きになる気持ちを植え付けていきます。
俺様傲慢な高梁に翻弄されるようなソラですが、その持前の洞察力の鋭さと学ぶ姿勢から高梁もソラを見直し、好きになっていくようですが、ソラが自分がどうして高梁の世話になっているのかその理由を知った時・・・
文章は、ソラの一人称で彼の視点で語られていきますので、彼の気持ちに入り込むことが容易で同調しやすいです。
苦労人なのにスレておらず真面目で前向きで男の子らしい性格がとても好感が持てます。
嬉しいことは素直に嬉しいと言うし、怒る時はきちんと怒って溜めこまない。
年上で傲慢な高梁にもきちんと意見するのも、自分が世話になっているからと自分の利益を追求せずに、正義を通すところが小気味がいい。
こういう受けの性格、大好きです!
それがまた、快感にも正直で否定したり拒否したりしないところがいいですね♪
決して流されているというわけでもなく、ためらいがちに積極的というほどほど加減、かといって女々しくない、まさにドンピシャ好みですv
そういう点で俺様の高梁、ラストのネタ明かしまで全く気持ちがわからん人だったんで見えにくかったんですが、ソラが思っているならいいや、って思えて、その不遜な態度も何気に許せてしまいます。
終盤の入院中のソラの見ている夢、どれが本当で夢なのか、ちょっと悲しくなってしまいましたが、
意外にこういう俺様タイプ攻めは、賢い受けが付くと思ったよりメロメロでヘタレに変身したりするのが面白いんですよねw
それにしても、ソラのお母さんは何処行っちゃったんでしょうね?
父親はわかったけれど、母親は・・・それが気になります。(ソラが気にしてないからいいか?)
それにしても、高梁は高校生の時は受けだったのかな?攻めだったのかな?
それが知りたいーーー!!!
イラストも、ちょっとマンガを思わせる動きのある絵で良かったですよ☆