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本心を嘘で隠し、束縛される悦びに酔う――セクシャル・ハードラブ。
2010年刊。
一冊で『束縛の呪文』『解放の呪文』の二部構成となっている。
最初読んでいて、喬一(受け)は元同級生の義隆(攻め)を持て余しているような印象なのに、それでいて日本とフランス間の遠距離恋愛となっても付き合いが途切れないのが不思議だった。
蜜月とは程遠い、愛を探り合っているカップルだなーという感じ。
喬一は何故義隆の姉に手を出した(という事になっている)のか?という疑問も含めて、喬一の心境が第一部の終盤で一気に見えてくると俄然面白くなった。
そこにある根底、常に義隆に追っていてもらいたいから焦らし切る、執着を向けられて悦びを感じているって、なんて屈折した一途愛なのだろう。
愛に執着しているのは喬一の方だったのね…
夜光さん作品らしい人物描写の捻りがいい。
しかし義隆だけが喬一との関係に振り回されていて、どうも彼一人だけが置いてけぼりを喰らっている感じがするのはちょっぴり気の毒かも知れない。
他の登場人物、喬一の父親とかエジプトから連れてきた助手の薫くんとかサバサバしているし、義隆の姉ちゃんも吹っ切れている。
この話を気に入るかどうかは、そんな喬一のキャラクターを受け入れられるかどうか次第だと思う。
自分は結構面白いと思ったな。
攻め受けどちらにしても執着持っている系ってどこかしら仄暗さが醸し出されるところがあるが、喬一自身もサバサバしているせいか後味悪さはない。
何でもソツなくこなせて飽きっぽい義隆の性格を見抜いたうえで仕掛けるって大概な策略家ではあるのだが。
二人の関係の締めくくり方も結構希望が持てる方向に行っていると思う。
うーむ、もぅそう思っちゃうんだからしょうがないよな〜というのが、読んだ後の感想でした。
もうこれは喬一の性格、
誰と恋愛してもそうなんだろうなぁと思いました。
好きって言われても何処か冷めた目で見てて、
「まだ今だからだよ」とか、
「騙されてるな〜」とか思っちゃう気持ち。
どうやったら騙し続けていけるだろうとか。
悲しいなぁー、きついなぁー。
そんな恋愛、付き合ってても楽しくないし、疲れちゃうし、何やってんだろーって思うけど、
でもそぅ思っちゃうんだからしょうがないよなー。
心のどこかにはそんな自分に嫌気がさしてて、飛び込めたらどんなに楽かって思うんだけど、
でも自分を信じられないから、もうどうしようもないんですよね。
報道カメラマンの事を義隆に言えなくて、自宅で悶々と考えてる辺りを読んでる時に
もう限界なんだなーと思ってたので、
1回別れるのかなと思ってたんですけど…ふむふむなるほど。
でもこの展開は好きでした。
一度別れて、リセットして、再会して、さぁ今度はハッピーエンドってのは、
うーん…面白くないので(読み手は勝手だなぁ)。
っというか、益々義隆を束縛してるし。
この先2人はどうなるんでしょうね。
義隆は駆け引きにとことん付き合う覚悟は出来たみたいなので、
義隆の根気次第なのかな。
最後の最後に「義隆は意外と情に弱い部分もあるから〜」とあったので、
もし続編が出来たら甘々じゃないもので、義隆を思いっきり悩ませて、どうなるか見てみたいと思いました。
別れちゃってもいいじゃん、たまにはそういう結末もっと思ってしまいました。
そう思う私、病んでるなー。
夜光さんの監禁もの…だと思ってたけど、そこまでではないこのお話。
見ず知らずの相手に!とか、誰が俺を?的なものではなく、愛し過ぎてというような感じなのです。
監禁シーンもあらすじで煽られているほど長くありませんし。
あらすじを読んでわたしなんて、同作家の『七日間の囚人』みたいなお話かと思っていましたが、全然ちがいました(苦笑
ただ、どうせいならそっち路線の方が面白かったかも…
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受けはカメラマンの喬一。
18歳からフランスへ渡り、三年前から有名なフォトグラファーのアシスタントに。
外見はぱっと見外国人。
攻めの義隆は喬一の高校時代からの同級生であり恋人で、売り出し中の新人俳優。
26歳の現在まで、つかず離れずの関係を保っていました。
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なんといいますか、高校時代の喬一の行動が後半理由がわかるまでは意味不明過ぎます。
性的欲求かとは、義隆とはもう体の関係であったからないかなーとも思っていましたし。
とにかくその昔の回想だけ読むと、かなり喬一は変な人です。
常人には理解し難いと言いますか。
刹那的。
なので、義隆の方が理解しやすいかなと思います。
両視点なのですが、喬一視点時は腹で思っている喬一の黒さがわかってしまい、共感できませんでした。
もちろんそれには彼なりの理由があるのですが。
夜光さんといえば執着攻めが代名詞ですが、こちらはその執着攻めの義隆よりも執着している受けのお話でした。
ただ、なよっとした可愛らしい『あなたがいなかったら生きていけないの!』という執着でなく、完全に成人男性受けが密かに執着しぶすぶすと心の中で燻らせているのがちょっと怖い…
イラストは香坂あきほさんですが、ひじょうに美しー!という感じです。
表紙が特に。
漫画家さんのせいか、挿絵も動きを感じます。
また、夜光さんの作品に描いてくださらないかなーなんて、仄かな期待をしています。
夜光花さんって、なんとなく監禁陵辱系っていう先入観があって、あんまり読んでいなかったんだけど、積み本の山からたまたま引っこ抜いたこの本は、カバーのあらすじで想像したのと、ちょっと違っていましたね。
帯のアオリ文句で、監禁されて縛り付けられて、メチャクチャに犯されていることになっている喬一ですが、、、
なんでしょうね、この、喬一は、
これが恋の駆け引きっていうなら、こんな病んだ関係はあんまり好きじゃないなぁ。
っていうより、後半の「解放の呪文」で、うまいことラブい方向へ収束させちゃおうとしているけど、それもなぁ。
エチの分量はかなりたっぷりあるけど、喬一があんな風に考えながらセックスしてるんだと思いながら読んでいると、萌え難いものがあるな。
これはまさに恋愛の究極の駆け引きですね。
初めは一方的に攻め様が執着しているお話かと
思って読んでいたら・・・なんだ、受け様の方が!!って
思えるストーリーですよね。
攻め様の飽きっぽい性格を分析した結果の行動。
受け様の方がかなり執着具合は激しいですよ。
お互いの気持ちが分かってこれからは駆け引き無しで
二人で・・・なんてのも無いです。
最後まで面倒な恋愛を選ぶ受け様。
でも読んでると攻め様の性格ならそこまでしないと
きっとダメかもと思わせるんですよね。
帯『おまえが俺を置いて出て行くなら監禁して縛りつけてやる!』
帯コピーは結構過激ですが、執着攻としては比較的普通位だったんじゃないかなあ。
まあ実際に拘束はしますが直ぐに開放してますし。
って、自分が執着攻に求める執着度数が高いからかもしれませんが!
読んだ感想としては面倒くさそうな恋愛だなーーって感じでした。
あ、それと夜光花さんの作品として読むとちょっと物足りないと思う。
夜光花さん作品にある捻り等が無いと感じたので。なんていうか普通のBLモノです。
高校時代からずっと続いている義隆〔攻〕と喬一〔受〕
フランス人とのハーフな喬一は、フランス人のカメラマンの助手としてフランスを拠点にして仕事をしていてたまに日本に戻ってきて、義隆と会って愛し合う、そんな生活をしている。
義隆は何事にも飽きっぽい性格だけれど、喬一だけには執着する。
けれど喬一は、義隆とは長く一緒に居たら飽きられると思っている。
そんな2人のすれ違いとなって展開されて行きます。
でもこの2人ってどっちもどっちだと思うんですよ。
付き合いが長いだけあって義隆の扱いが比較的分かっているだろう喬一が、義隆についてそう感じているって事は全くハズレているという訳では無いのかもしれないし、ハズレているのかもしれない。
最後は何となくまとまった様だけれど、きっとおそらく彼らはこれからも面倒くさい恋愛をずっと続けて行くんだと思う。
ある意味お似合いっちゃお似合いな2人だなあと。
夜光花さんだから期待してたってのもあるけど何かイマイチでした。
前半の『束縛の呪文』は、すごく好きです。
でも後半の『解放の呪文』でガッカリ。
「執着攻めに見せかけた執着受け」ってまさにその通りで、前半部分のラスト、真相が明らかになっていく過程で鳥肌がたつぐらいゾクゾクしました。
受けのねじくれた性格、好きだなって思いました。賢いアホ。前向きで行動的でマイナス思考。
でも後半はなァ…。
しつこいマイナス思考っぷりにウンザリしました。
「いつか飽きる」ってことばかりひたすら考えてぐるぐるうじうじして逃げてしまう受けより、
前半のときのように「どうすれば飽きさせないか」って考えて先回りして石橋をガンガン叩きまわってる受けの姿が見たかったんだよね。
どっちも要らん心配しすぎのアホには違いないんだけど、後ろ向きのアホより前向きのアホの方が私は好きなもんで。
攻めは最後まで真相を知らないままのほうが良かったなとも思いました。ぜんぶさらけ出してる場面、やっぱりそうやって結末に繋げたか…ってガッカリしてしまいました。
高校時代からの恋人であるはずの義隆と喬一の、俳優とカメラマンになってからも続く恋の駆け引き(?)のお話でした。
いい男で俺様で、よくモテて飽きっぽくて、知らないうちに俳優になっていた義隆。高卒と同時に義隆に告げずに渡仏し、時々帰国してはスルリスルリと義隆の腕から逃げてばかりいる喬一。
初めのうちは単に、美人でしたたかな喬一(受)に手のひらの上で転がされている、俺様な割に間抜けな義隆(攻)の、エッチ重視のお話なんだと思っていました。
そうでなかった訳ではないのですが、お話はもう少し複雑で、思いっきりひねくれている喬一に義隆のみならず、読者までもが振り回されちゃったと思えるくらいの展開になります。
喬一はよくもまぁ次から次へと“マイナス”なことを考え付くものです。
この頭の回転をもっと他に使えばいいのにって思っちゃうくらい、先読みして予防線を張り、それが破られそうになるとさらに次のことを考える・・・
Mが痛めつけて欲しいから、わざとSの気に入らないことを仕掛けるってやつです。
いたちごっこでしょうか?
まぁ、夫婦の倦怠期もマンネリから始まるのでしょうから、何かにつけ危機感を持ちながら生きていくのは結構なことじゃないかと・・・
夫婦喧嘩は犬も食わないって言いますから・・・
ちなみに、2話目の「解放の呪文」に出てくる薫くん。
いいひと過ぎるのですが・・・せっかくいいキャラなので、当て馬にするだけではもったいなかったなと思いました。
アンデルセンの「人魚姫」を彷彿させるようなお話だ。
―人魚姫は、海上にいる美しい王子に恋をした。嵐に遭い船が
難破した王子を救い出す。人魚姫は魔女と契約を交わし、声と引き換えに
尻尾を人間の足に変えてもらう薬を貰う―
喬一もある契約をきっかけに、素直な恋心を見せない代わりに、
義隆との関係を維持する事を選択する。
―王子は救ってくれた人魚姫を、偶然、出会った娘と勘違いする。
声を失ったので、人魚姫は真実を話す事は出来ない―
義隆は、ある出来事で、喬一に愛憎の感情を抱き苦しむが、喬一は
契約によって、真実を語ることはない
―やがて王子と娘の結婚が決まる。人魚姫は、最後に泡となって
消えてしまう―
喬一の恋は、泡となって消えなかった。ある出来事が魔女役の女性に
よって、真実が明らかになったからだ。喬一と義隆の恋は、光と影を
見せながら、「束縛の呪文」は、唐突に終わっている。
「解放の呪文」は一年後、喬一と義隆の関係性にテーマを持ってきている。
義隆と喬一の関係は、義隆がオレ様的な性格からくる、支配欲や
飽きっぽいところを、喬一がうまくかわす事で成り立っていると
言っているが・・・そうだろうか?と思う。
喬一は、「束縛の呪文」で義隆のとの関係を、「大切なのは、
追い詰めては、いけない」と言っている。
相手をコントロールしたい人は、このような関係を持つ、相手に
ジレンマを感じさせ、相手がそれについて、追求しようとすると、
はぐらかす。そうすると、相手は、2人の関係において、成長しようと
する機会を失ってしまい。相手は自分の価値を、コントロールする相手に
認めさせようとしたりして、未熟な状態から抜け出せない。
「解放の呪文」では、喬一は義隆の事を、批判ばかりしている。
相手の成長を摘み取っていて、昔から変わっていないと、批判するのは、
どうかと、思う。それでも、「束縛の呪文」では、喬一自身、義隆との関係も自分の選択でこうなってしまった。という、自責の気持ちが
感じられたので、喬一の気持ちに共感でき、喬一の切なさが
伝わってきた。喬一と義隆のような関係は、成長していないので、
困った時に太刀打ちできない事が多い。
第3者に頼るか、プレゼントやイベントで、乗り切るしか、術が
ないのであろう。
喬一はHの時は可愛いが、相手を成長させないという点で、怖い執着受だろうと、思う。
「萌」が70点前後なら、「束縛の呪文」が80点ぐらい、「解放の
呪文」が40点ぐらい、平均点60点、ギリ萌という、というかんじ
がした。
今までの夜光センセイの作品は、執着攻めが多かったんですが、今回は予想に外れて執着受け。
すごく難しい題材なのに、それをサラっと読ませてしまうのが、さすが夜光センセイだなと思います。
「束縛の呪文」だけでは、喬一が恐れていたとおり、結局は義隆に捨てられるんじゃないかな・・とちょっと不安だったのですが、「解放の呪文」を読んで、2人はうまくやっていけると思ったので、ホっとしました・・(私はハッピーエンドと受け取ったので。小説の世界だとわかってるんですが、やっぱり幸せを感じて終わるのが好きだー)
喬一は最初、すぐにフランスに帰ろうとするし、嘘はつくし・・いくら義隆を夢中にさせるためとはいえ、イカンだろ、と思っていましたが、途中から臆病なのにそれを隠そうと振舞うのがかわいく思えた。
もし続編がでたら、義隆がもっともっと喬一を追い詰めるくらい狂うようにして欲しい(笑)