条件付き送料無料あり!アニメイト特典付き商品も多数取扱中♪
公国の王子と秘められた関係に堕ちる
いとうさんの作品でも特に「健気な受けが不敏な目にあう」というタイプのものが好きです。
こちらもそんな感じの作品ですが、前半部分はイマイチ乗り切れず…何故かというと主人公は頑張りやな大学生なのですが、小悪魔ぽくて遊び人ぽくて、容姿がいい。そのせいで次から次へと男性に襲われてしまいます。
日本で留学生と刃傷事件を起こし、逃げるようにアメリカへ留学させられ、その先で同じアパートの弁護士に襲われ…
この後も主人公が容姿が綺麗だという理由で次々と襲われてしまう展開が続きます。さすがにそんなまさか!となるのですが…
この主人公が、遊び人に見えて本当は純情なところがこのお話の肝になっています。
私は襲われても襲われても「自分から誘ったんだろう」と誰も同情してくれないこの主人公が次第にかわいそうになっていき、最後がどうなるのか駆け足で読みました。
この不敏さと主人公の孤独感は読んでいて気の毒ながらもおもしろく読めました。
クラウスは金髪碧眼の王族で、クールで強引、海外セレブ攻めのスタンダードなタイプです。
このクラウスと透の視点が交互で入っていますので、一方的に透の辛い心情だけを見せられるということもなく、よかったかなと思います。
登場人物攻め・受け共に悩みまくり誤解が誤解を、勘違いが悲劇を、と全体的に感情がぐるぐるした話でした。
透の負のスパイラルがほんっとにぐるぐるぐるぐる渦を巻いて止まりません。
男と痴情のもつれをおこして刺されるなんて!家の「恥」と海外留学という名目で家族に厄介払い。
留学先の住居の佳き隣人と思っていた親切な男が、実は自分を虎視眈々と狙っていて、助けを求めに駆け込めば弱った所を助けるふりをして襲われる。
しかも男好きの体、と言われ大変傷つくトラウマに。
透との事件の一件で帰国したハズの…透を刺した王子ヘルマンが実は密かに国を抜け出し、透を探して留学先に向かっていると言われ震えたり。
攻めのクラウスとの出会いも最悪。
クラウスからしてみれば、透は近しい親族である真面目なヘルマンを誑かしたふしだらな男という印象しかなく、この男のせいでヘルマンの人生が変わってしまったと非難する。
透からしてみれば、ヘルマンと恋人関係にあったわけではなく、嫌がり抵抗する自分を勝手に(妄想の中で)恋人にし、友人宅に泊まれば浮気したと詰り迫ってくるストーカーでしかない。
しかも、わけのわからないことを言って迫ってきた揚句に刺されて、自分は被害者なのにまるで加害者扱い。
ヘルマン王子の言うことが正しく、自分の言い分や事実は全て否定され誰も助けてくれない八方塞がり状態。
追い打ちをかけるようにヘルマンから身を隠すため、クラウスの屋敷に匿われている間も使用人たちからはやはり、あの真面目なヘルマン王子を誑かした「ふしだらな外国人」という目で見られ、扱いは客人対応で丁寧だが義務的で冷ややか。
世話係の使用人には薬を使われ襲われ、抵抗するもメロメロに感じている姿をクラウスに見られてしまい、助かったと思えば今度は透のことを少なからず「純情で実は真面目な良い子」と、信じ始めていたクラウスにやはり純な振りは演技なのか!と犯され痛々しい初体験、新たなトラウマ…。
信じてと腕を伸ばしても、避けられてしまい絶望的な気分に陥ってしまう透に「うわぁ可哀想」と同情。
最終的にはヘルマン王子に攫われ、彼が思っていた以上に実はサイコっぽくて、殺されそうになったり。
もう、どこまで四面楚歌なのこの子!
しかしながら、そういった不運繋がりの中にも救いはあって、一緒に暮らすうちに透の本来の素直で真面目であるという「素」の部分を感じだしたクラウスの、透を無意識に愛しく思ってしまう気持ちや、歩み寄りで透の自衛の為に鎧で覆った心も溶け始め甘い雰囲気も漂ったり。
透にしてもクラウスが本当の自分を見てくれて、信じてくれているのかもしれない、彼はひょっとしたら味方なのかもしれない…と嬉しそう。
そういった、不幸の中にあるちょっとした甘い部分がけっこう萌えます。
だがしかし!
そうそうその甘い雰囲気が続くわけもなく!
クラウスに犯される→失意のままクラウスの屋敷から逃げ出す→ヘルマンに攫われる→剥かれる→貞操&生命のピンチ!
見事なコンボ!
その後無事に救出され、クラウスと晴れて両想いに。
しかも、今までのことを詫びるかのごとく甘やかされ、初体験からくるトラウマも甘く甘くしっかり解消してもらえて幸せになってくれて本当に良かった。
ひょっとしたらちょっとウザったく感じるかもしれませんが、この作品で良かったなと思った所は、透とクラウス両方の視点から「ふたりが動揺した」部分の話を読めることです。
透の視点からはこういう気持ちで、クラウスの視点からはこういう気持ちで、と。
よりふたりの苦悩と戸惑いと混乱が見えて凄く良かったです。
攻めがヨーロッパにあるハルテンフェルツ公国の第三王子ということで、日本、アメリカ、ヨーロッパと舞台は移動します。
丸ごと1冊表題作です。
透(受け)とヘルマン(攻め)双方の目線で話は進みます。
大学生の透は、留学生のヘルマンにストーカーされた挙げ句に刺されます。世間を気にする家族の指示でアメリカに来た透は、ヘルマンの従兄弟のクラウスに会います。行方不明になったヘルマンが透を狙っていることから、透はクラウスと共に暮らすことになり…。
私はちょっと端々がすっきりできませんでした。序盤は初対面のクラウスにキスの挑発をしたり強気だったのに、あとは大人しいという透の性格が統一なく感じました。
クラウスの執事・アロイスは二人の仲を反対していたのに、透が初めてだと知るといきなり態度を緩和させたのも唐突に思えました。エーリヒに襲わせておきながら突然いい人になるのが違和感ありました。応援したいけど、立場的に反対しなければならないとかが良かったです。
クラウスが金髪きらきらの王子様なので、年上王子攻め(でもちょっと短気なので大人とは言い難い)、不憫年下受けを好む方には良いかもしれません。
あらすじを読んだ時点で好みの設定だったので購入決定!
受けの透がとにかく不憫です。ストーカーのヘルマン王子に刺され、家族や友人に見放され、強制的に送られたアメリカで信頼していた弁護士のヘクターに襲われるなど。
攻めのクラウスもヘルマンのことで透のこと誤解してたときは嫌悪していますし。
でも透と一緒に過ごすうちにだんだんと考えが変わってくるんですよね。
クラウスの屋敷で共に過ごすうちに互いに心惹かれていく様にはニヤニヤします。
庭園で雪兎作っているところなんて甘すぎてもうカップルでいいよ状態。
ここでのキスシーンがこの作品で一番萌えました。
クラウスは透とのキスにハマるもこんなことをしてばダメだと思い、もう明日はしないと決心。その翌日またすぐキスしてました(笑)意外と理性が脆いクラウスに萌える。
終盤ではまたひと波乱ありますが、ラストは安心の甘々ハッピーエンドです。
透が結構散々な目に合ってますが、作品全体の雰囲気は重苦しくなく読みやすかったです。
両視点なので、透を嫌悪していたクラウスの心の動きが見えるのが良いですね。
嫌悪→甘々をご堪能あれ。