木原音瀬の幻のデビューノベルズ、ついに新装版で登場!

セカンド・セレナーデ full complete version(新装版)

セカンド・セレナーデ full complete version(新装版)
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神41
  • 萌×211
  • 萌7
  • 中立3
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
16
得点
273
評価数
62
平均
4.5 / 5
神率
66.1%
著者
木原音瀬 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
北畠あけ乃 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
発売日
価格
¥1,100(税抜)  
ISBN
9784862638076

あらすじ

「初めてだと言うわりには、まあまあよかったよ。相性も悪くなかったしね」一途に好きだった高校時代の先生に大失恋してしまった大学生の掛川。しかも先生の秘密の恋人は、自分の友人だった。なかばやけっぱちに誘った年上の男・橋本は、顔は極上だが性格は最悪。カラダで失恋の痛みを慰めてもらうには、うってつけの相手だったが…。商業誌未発表作など、すべてをコンプリートした、あの幻のデビューノベルズがついに新装版で登場!

表題作セカンド・セレナーデ full complete version(新装版)

大学生 掛川進・19歳
性格の悪い会社員 橋本道也・31歳

その他の収録作品

  • 水のナイフ
  • ONE NIGHT
  • その後のセカンド・セレナーデ
  • わがまま
  • いじわる
  • あとがき

レビュー投稿数16

デビュー作を読みたくて

初期作品を読もうとこちらを手に取りました。
なんというか、痛い、辛い、切ない、どーしようもない、の木原音瀬作品の原点なのかもと、神評価。

ただ、萌えられるか?というとそこはちょっと違うんだけど。純粋にBL文学作品として読ませるものを出されている木原音瀬さん、の根っこというか新芽というのか、それを思いました。

水のナイフでは、何故に砂原に惹かれるのじゃ?
とそこに疑問が残るものの、実際のところ恋に落ちるときってそうよね、と思う。
掛川の屈託のない砂原とのデートに喜ぶ姿とか高校生らしいし、その勢い?がセカンドセレナーデにもつながって掛川のキャラクタが確立されてる。

セカンドセレナーデの橋本は嫌な奴だろうけど、憎めない奴でもあって、きっと掛川と出会ったことでいいヤツになる可能性が開けてきたんだろうなぁ。
掛川の周囲にカムアウトしちゃうとこもらしいなって。映画と言えばリバーズエンドの監督と山岡監督がつながっているのかなとか。

この本で描かれている四人のCPはリアルに居そうな、紙面から動き出しそうな感覚になるのがね。

この本は新装版で(新新装版?)出てありがたいです。今の木原音瀬さんの作品達はもう少し深いし興味深く読ませる作品になってますが、なんだかニマっと口角が上がるような読後感でした。

0

はぴえん!

積読したまま年月が過ぎてて、、やっとたどり着きました。
木原先生の作品は、読みかかるまでには時間がかかるのですが(心の準備が…)読み始めるとあっという間です。途中でやめられないんです!
どうしても始まった恋を見届けるまで本を閉じれない、という感覚に憑かれて読み耽ってしまいました。

木原先生の描く”嫌な奴”、デビュー当時から研ぎ澄まされてますね。
魅力的な性悪たちが、恋に身を焦がす姿がたまりません。
ハラハラするくらい性格が悪いんですよ。優しくないの(笑)。

嫌いで見下したいと思っていたはずの相手(砂原)を、どうしても自分のものにしたいと思う明智の劣情にはゾクソクさせられました。好きな人をいじめたくなる小学生男子の心理が拗れきっている感じ。まさかの感情を受け止めきれずに混乱する明智の様子や、狡い男に絆されてしまう砂原の心の動き、甘さ全然ないのに、このモダモダな展開に萌えてしまうんです。これぞ木原マジック!
砂原に大失恋した掛川と美形な嫌味リーマン・橋本との身体の関係から始まる恋もパンチが効いてました。つか、橋本、そんなにダメな奴かしら(毒舌でわがままだけど、顔と身体がいいって相当な取り柄では…?しかも、最初のほうでは、掛川を相当好きなんでは?という様子がうっすらみえる)と、私はやや橋本寄りの視点でした。すったもんだの揚げ句、徐々に溺愛バカップルに変化していく過程が最高でした。本性を曝け出した果てに、互いを飼いならした感のある二人の仕上がりに、マイナススタートって最強だな、としみじみしました。

当事者同士にしか理解できない厄介で不可解なはずの恋心を、手に取るように、嫌というほど味わいつくせる作品です。



4

二度目の恋たち

最後まで面白かったですー!読む前はタイトルに「セカンド」と付くのと、説明に総集編的な感じ?に書いてあるので今までの作品の続きとかかな…と思っていたのですが、問題なくこれ1冊で完結です。同タイトルで2冊リストに出ますが、新装版と旧版が同じカバーデザインぽいですね。
セレナーデとは夜曲、セカンドは2つ目の恋だからです。

2cpどちらも学生×社会人です。木原さんの他作品ですとそういった歳の差の恋愛は「B.L.T」「眠る兎」等最高に魅力的な作品がありますが、この本にしかない面白さは好意が他者へ移っていく描写です。
登場人物全てが初めに好きだった人から他の人へ心変わりをするのです。本来であれば元々好きだった人から心移りするなんて許せないだとか、読んでるこっちが2人目についていけなくなりそうなところですが、そこを軽々と乗り越えさせ読み切らせる木原さんの筆力に感服です。

明智は好きだった女子から先生へ
女子は先生から明智へ
先生は昔好きだった人から明智へ
掛川は好きだった先生から橋本へ
橋本は冒頭彼氏と別れて(ドン底に落ちて)掛川へ

そしてこの本の主役は何と言っても橋本(3話目「セカンド・セレナーデ」〜)!
1話で先生に夢中だった掛川、あんなに一途だったのに…「一生を賭けてもいい」と言うくらい先生好きだったのに…泣。その掛川が失恋し、ちょうど居合わせた最低な性格の美形・橋本を引っ掛けます。「嫌な男なら少し位利用させてもらっても罪悪感が無くて済む」とか言っちゃって…どうしたの…泣。なんて混乱するのも束の間、木原ファンには堪らない(と思う)嫌な奴vs嫌な奴が始まります!最高に高まりました。「嫌な奴」の2人よりBLしていて行為もあり、清々しいクズさです。
そしてボロクソのドン底に落ちて(あ〜ニヤニヤが止まらない)掛川のところに落ち着いた橋本、それでも彼はブレずに高飛車なまま。嫌われようが無職だろうがこの安定感!なんて魅力的なキャラクターでしょう。
俳優を目指す掛川の監督やマネとのやり取りも全く奢らず悪びれず爽快です。ずっと読んでいたい…
最早バカップルな「一日中俺のこと監視して悪い虫がつかないようにすればいい。ね、そうしなよ」「もっと根性見せてよ。誰にも俺を渡さないって気合い入れてよ」恋人・橋本への掛川からの可愛い台詞が最っ高でした!

どちらのカップリングのお話にも映画が関わっていて、掛川の
「俺のディートリッヒ。ハンサムだろ」
にはくぅう〜〜っ!となりました。BL実写映画も増えてきている中、木原さんの作品で実写化するとしたら、どの作品になるのでしょうか(ワクワク)

初恋は実らないと言うし、現実的に叶わない人が多い(と思う)訳です。好きな人が自分の中に居座り、他の人も入ってきて混ぜこぜになり自分なりに感情を処理していく…そして相手と折り合いをつけていく。キャラクターの魅力だけでBL話に留めずそういった心の精算的な部分を描かれているので読後感も良いです。

4

性格悪すぎ…だが惹かれてしまう……


あーーーーー。
性格の悪い会社員こと橋本さん(受け)好き…。
顔と体だけが取り柄で性格に難ありすぎる。
口を開けば愚痴だったり嫌味だったり、頭の良さもあって言葉の暴力だらけ。
自分の価値観押し付けてばかりだしリアルにいたらいくらお顔が良くても…とまわれみぎしたくなりそうですが、妙に可愛さ感じて愛おしくなっちゃうんですよねこのクズ系ハンサムさん。

年下は趣味じゃないと言いながら、結果的にドボンしてるからね。
中出し嫌宣言もなんか、もう、全て可愛い…(末期)

ゲイでありながらも社会的立場を意識し結婚願望もある男が転落していくのを見るのって、どうして、こうも萌えてしまうんだ…。
自業自得なところもあるのですが、容姿に気をつかう余裕もなく、その身一つのボロボロ状態で掛川のところに転がりこんだところはとてもニヤニヤしてしまいました…。

この手のキャラの一人称「僕」にほとほと弱いです。好き。
珍しく?攻め受け二人とも顔良すぎる系カップルだった気がします。

ただ掛川のチケットトイレ流し事件は許せん…!!


性格悪かろうがなんだろうが、理屈抜きで体と心が惹かれてしまう…
言葉も理由もいらないシンプルな愛の形。

だってしょうがないじゃん、好きになっちゃったんだから…なかんじで嫌な男から離れられない男同士の愛…この作品でも光りまくっています。

0

恋の歌が聴きたくなる

前半の「水のナイフ」と「ONE NIGHT」は、高校生・明智(攻)と教師・砂原(受)の恋の話。文化祭の映画製作中、明智は自分が片思いする女子が砂原に告白するのを牽制するため、砂原に嘘の告白をします。恋人のふりをするうちに、やがて明智も、初めは取り合わなかった砂原も、本気の恋に落ちてしまいます。
後半の「セカンド・セレナーデ」と「その後のセカンド・セレナーデ」は、高校時代に砂原に恋していた掛川と、性格の悪い男・橋本の恋の話。砂原の恋人が友人・明智と知った掛川は、失恋の痛みを慰めるために、行きずりの橋本と体を重ねますが、やがて橋本との恋に落ちていきます。

二組の恋を読み、恋はしようと思ってするものじゃなく、落ちていくものなのだなあと思いました。
そして、「セカンド・セレナーデ」の前に、掛川が知りえなかった砂原の恋模様が描かれることで、掛川の一方的な片思いが、より際立つように感じました。恋愛関係になった明智だけが知る砂原の様々な顔。掛川はそんな砂原を知らないのに。教師としての顔しか知らないのに、誰かに慰められたいと思うほど、一途に砂原を好きで。片思いは、恋愛のほんの入り口。相手を深く知ることはできないというのが残酷で、だからこそ切ない感じがするのかもしれません。

それなのに、恋にどっぷりとつかってからは、掛川と明智は好きな相手に意地悪をするのです。
橋本を好きな気持ちに気付いた途端、裏切られた掛川は、偶然主演した自主映画がきっかけで俳優の道を歩き始めます。形勢逆転し、落ちぶれた橋本が頼ってくると、掛川は橋本が自分を好きなことを確信し、言葉でいたぶり、橋本を自分のアパートに住まわせます。明智も短編「いじわる」で、自分がいかにモテるか砂原に自慢して嫉妬させ、泣かせて、そんな姿に欲情するという…。
恋って、そんなものでしたか?!と戸惑いを感じながらも、意地悪は恋愛のスパイスなのかもと思いました。好みの辛さが人それぞれなように、意地悪で仲が深まるカップルもいるのかもしれませんね。砂原も意地悪に泣きながら、明智に夢中ですし、橋本もすっかり掛川に甘えています。恋は不思議ですね。そんな恋は経験したことがないので、羨ましいような、そうでないような。

映画の自主製作で、掛川を主演に誘った林田の彼女・高木さんが、すごく透明感のある魅力を出していました。掛川が体だけの関係の相手がいると話したとき、「そういうのってよくないわよ、多分…心に」と、控えめに諭すのですが、その一言があって、掛川は橋本への恋を自覚したと思うのです。彼女の生き方がすごく素敵です。

多少意地悪しても、明智・砂原、掛川・橋本のカップルは、心と体が一致しているのですから、幸せなのかもしれないですね。
セレナーデとは、音楽の形式のほかに、恋人や女性を称えるために演奏される楽曲の意味もあるそうです。セカンド・セレナーデは、二番目の恋の歌、という意味でしょうか。掛川の二度目の恋にかけたタイトルが、たまらなく甘いです。
作中、懐かしの映画のタイトルがいくつも出てきて、それらのテーマ曲を思い出しました。砂原の昔の恋には、「カサブランカ」の『As time goes by』が似合うみたいですね。二組の恋には、どんな曲が似合うだろう…と考えて、恋の歌をいろいろ聴いてみたくなりました。

7

揺れる乙女心ならぬ揺れる男心!--2CPとも ٩(ˊᗜˋ*)و

以前、雑誌デビュー作「眠る兎」を読んだ時、その文章力の高さに驚きと尊敬の念を禁じ得ませんでした。その後、12歳頃から小説を書いていらっしゃると知り、そうだったのか、さすが!と納得。本作も単行本デビュー作ということで、期待を胸に手に取りました。

目次
●水のナイフ(攻・明智拓磨×受・砂原先生)攻め視点:34%程
●ONE NIGHT(攻・明智拓磨×受・砂原先生)受け視点:2%程
●セカンド・セレナーデ(攻・掛川進×受・橋本道也)攻め視点:44%程
●その後のセカンド・セレナーデ(攻・掛川進×受・橋本道也)受け視点:6%程
●わがまま(攻・掛川進×受・橋本道也)割石友和視点:8%程
●いじわる(攻・明智拓磨×受・砂原先生)攻め視点→受け視点:6%程

上記目次からもお察しの通り、本書は2組のCPのお話しです。砂原を除く3人が、共に性格が悪いというのは私も同感です。でも、みんな許容範囲 ( ˆ◡ˆ )


●水のナイフ
・あらすじ
恋の四角関係です。分かり易く図式化してみました。
明智→大友(美少女)→砂原先生←掛川
ご覧のように明智は大友に片思い。また大友や掛川は砂原に片思い。肝心の砂原は、この時点では誰のことも眼中にありません。クラスで文化祭の出し物を「映画」に決め、映画作りをきっかけに4人+1人は急接近することになります。ある日、明智は掛川から大友が砂原を好きらしい、と聞かされます。明智は一計を案じ…。

・感想
面白かったです。特に明智が嫌いな砂原に愛の告白をするシーンが!もちろん砂原は信じません。そこでありとあらゆる手を使って信じさせようとします。そこのところが楽しくて。とりあえずデートを重ねる二人。さすがの砂原も、いつしか明智の演技力に丸め込まれ陥落。そして明智も徐々に砂原になびいていきます。少なくとも私たち読者にはそれが分かります。ところが明智自身は自分の本当の気持ちに気づけず…。考えてみれば砂原も明智もノンケ中のノンケ。自分の気持ちに気づけという方が無理。でも明智の揺れ動く心の内、それはもう恋なのです。

悲しかったシーンは、丸め込まれすっかり明智を好きになってしまった砂原が振られるシーン。イイ雰囲気だったのに…デートの帰り道、明智は砂原に別れを告げました。この時の砂原先生の何げない一言「ああ、ね」が、胸にズドーンと来ました。そして最後の会話。
明智「今日は楽しかった」(←社交辞令)
砂原「俺は最低だった」(←振られて凹む)
ズドーン! (๑T﹏T๑)

この後もいろいろありましたが最後はハッピーエンド。明智から「ごめんなさい」という謝罪の言葉が聞けて胸がスーッとしました (*˘︶˘*) にしても!砂原1人に対し、3人もの人が恋をしていたとは!モテモテやん…。


●ONE NIGHT
・あらすじ
「水のナイフ」の実に6年後のお話し。砂原の30歳のお誕生日を巡っての2人のハートフルストーリー。明智は意外にも几帳面で、砂原の誕生日を忘れたことがありません。そこいくと砂原は…。

・感想
明智がだんだんイイ男になっていくのが分かり、心温まります。


●セカンド・セレナーデ
・あらすじ
「水のナイフ」からは3年後のお話し。掛川は砂川先生に大失恋。傷心のあまり誰でも良いからと、第一印象最悪の橋本をターゲットに体の関係を築きます。昼間は大学に通い、夜は橋本のマンションに寝泊まり。大学では「映画に出演してほしい」と林田からのアプローチ。砂川先生との交流も続きます。そうした中だんだんと橋本を好きになっていく掛川。橋本の結婚話が浮上し…。

・感想
二人とも同じく性格が悪い。ただし掛川は外面が良いので一見良い人に思われがち。一方、橋本はズケズケと本音を言うので皆から嫌われるタイプ。正直者って美徳のように言われますが嘘も方便。人間関係を円滑に進めていくためには、事実でないことを表現できる力も必要なんです。正直者と言いましたが、橋本はプライドのため嘘もつきます。落ち度を人に知られたくないのです。でも…何となく気持ちがわかると思ってしまう私。最後には可愛く見えてきてしまって ( *´艸`)


●その後のセカンド・セレナーデ
・あらすじ
掛川は俳優への道を一歩一歩踏み固めている真っ最中。撮影現場に恋人の橋本を連れて行くのが日課となりつつあります。

・感想
受け視点です。どうやらやっと橋本の気持ちが少しずつ見えて来ました。攻め視点の時には、掛川は橋本の性格の悪さを嘆いていました。ところがどうでしょう。立場が変わると景色も変わるもの。橋本が掛川の意地の悪さを嘆いているのが妙にシュールで面白かったです。


●わがまま
・あらすじ
芸能事務所の社長がめちゃくちゃ惚れ込んだ俳優、それが掛川。マネージャーの割石は、掛川のことを何も知らないまま面接。掛川に悪印象を持たれ、部屋を出て行かれてしまいます。社長に怒鳴られた割石は、掛川に土下座して謝り事なきを得ます。ところが今度は掛川の恋人の橋本と接触。綺麗な顔の嫌味な男。割石の橋本に対する印象は最悪でした。どんな手を使えば円満に二人を別れさせることが出来るだろうか…。

・感想
映画俳優を目指す掛川の真摯な姿を拝めて幸せを感じました。ここでも橋本の毒舌ぶりは凄まじく、嫌われまくっていました。でも割石が安堵したように、橋本の毒舌は特定の人に向けてのイジメではありません。あくまでそういう性格の人なので許せてしまいます。それに可愛いと思える瞬間も沢山。


●いじわる
・あらすじ
明智は友人から合コンに誘われます。ドタキャンした別人の代わりとして。拝み倒され、仕方なく出席の返事をします。でもちゃんと「彼女いるけどいいの?」と断りを入れるのを忘れません。合コンを終え、砂原の元へ。そして合コンに出席したことを報告。砂原はムッとして…。

・感想
うん。二人のイチャイチャぶりがとても良かったです +。:.゚(๑>◡╹๑)(๑╹◡<๑):.。+゚

10

性格悪いの勢揃い

表題作よりも、1作目の【水のナイフ】が衝撃でした。
この作品、投稿作品で期待賞を貰ったそうなんですが、投稿作品でこの鬼クオリティって……と愕然とします。
もう先が気になって気になって、大事に噛みしめるように読もうと思うのに、それを許されずにぐいぐい強制的に引っ張られます。
読んでると周囲の音がなくなるくらい、夢中になってしまいました。

作品自体がかなりの昔になるので、携帯電話が存在しません。
そんなレトロな世界観がモノクロの映画を感じさせるようで、ものすごく胸に来ました。
痛いところはそんなにないです。痛さの後にしっかり甘みを用意してくれてるので、いい塩梅になっててたまらない。
書き下ろしでその後のエピソードもはいってるので二度おいしいです。
その後の話が大好きな身としては、凄くお得な気分になりました。
価格はちょっと高めで分厚いですが、木原作品導入にはもってこいだと思います。
いやぁ……いいなぁ、この話。
嫌な奴ばっかりだけど。

7

嫌な奴ばっかり(笑)

木原さんは嫌な奴を書くのが本当にお上手な作家さんだと思います。下衆キャラアワードにたくさんランクインするのは納得です。

悪役とか敵キャラじゃなく、攻め様・受け様というBLの主要人物の性格が最低っていうのは他では見られない大胆さだと思います。二組のカップルが出てくるのですが、その4人のうち3人が嫌な奴です。法に触れることをするわけじゃないけど、もう人としてダメだろ!っていう嫌な奴ぶりが丁寧に書きこまれています。これ後でいい人になったから許されるってレベルじゃないと思うんだけどな。普通、人があそこまで弄ばれたら精神壊れちゃいます。

そして「水のナイフ」の方の受け様だけはモテモテで性格のいい人ですが、4人の中で唯一見た目がパッとしない不細工受けっていう・・木原さんこれがデビュー作とのことですが、この頃から「普通」とか「予定調和」とかが嫌いな方だったのかなと思います。

「セカンド・セレナーデ」の方の受けは確かに嫌な奴ですが、愚かで自分のどこが悪いのか気づいてない可哀想な人という面もあります。でも攻めの方は悪いとわかっていながら色々やらかしてるのでこちらの方がタチ悪いです。いや、どっちも悪いか。

醜い部分もたくさん持ってるのが人間なので、リアリティーを追及するのはわかるんですが、BLには夢見ていたい所も多いのです。木原さんのお話は文句なしに面白いし、レビューも結構しちゃうくらい心にしばらく残る作品が多いですが、あのキャラクター達はどうにも愛せないです。私の心が狭いのか。BLの受け様って包容力あるなあ。あんな攻めの奴らを許せるなんて。

でも「薔薇色の人生」の受け様、ロンちゃんは大好きです。あのお話のレビューはしてないけど。神様みたいに心の優しい人だし真面目な刑事受け大好きなんです。

2

キャラ萌え!

キャラクターの言動が可愛くてキュンキュンしました。本気になった途端、好きだと言えなくなる青年達がかわゆい。

明智×砂原
自意識過剰な優等生が気さくな先生に惹かれていく話。

惨めな傲慢攻に萌え禿げました!年上教師受はやっぱり苦手です。普通にイイ人でつまらん〜私が年上教師受に萌える日は来るんだろうか・・・

掛川×橋本
美しい恋に破れてやさぐれた大学生が幼稚な大人とセックスしているうちに本気になっちゃう話。

年下わんこ攻は苦手だけど、ろくでなしの犬になる覚悟を決めるまでの苦しい葛藤がきっちり描かれていたので、面白かったです。苦しんだ末に腹を据えた年下わんこ攻はカッコイイ・・・ような気もします。精神的に幼い性悪受も可愛かったです!

ストーリーがどうこうというよりキャラクターに萌えました。

3

終わりよければすべてよし

なんでこんなにイヤな奴ばっかり?
って、感心するくらい、メインキャラの4人は、みんなそれぞれそれなりに人でなし。
そんな人でなしでイヤな奴のお話でも、一気に読んで、読後に満足感があるのは、それぞれ二つのカップルが、二人お互いにこれが最後の相手と、分かちがたく深く結び付いているから。
BLの結末って、この、「最後の相手」と「終わりよければ全てよし」に尽きるのだと、しげしげと再確認できる、
そんな、作品でした。

4

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