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同じ作者さんの「合鍵」のスピンオフで、あちらがすごくよかったのでこちらも読みましたが、こちらがもう輪をかけてよかったです。
「合鍵」は可愛く優しいお話という感じでしたが、こちらは波瀾万丈で、最後までドキドキしました。
「合鍵」のキャラクターも出てきますが、こちら単品でも読めると思います。
3歳差の先輩後輩で、今は社会人の茂光と大学院生の修平。
二人の出会いがとてもロマンチックなんです。ゼミの合宿にOBとして参加した茂光ですが、その時修平とは知り合いでも何でもない。しかし合宿中森の中で道に迷った茂光は、探しにきてくれた後輩の修平と真っ暗闇の中手をつないで歩きます。
その時はお互いの顔も知らず、闇で顔も見えない状態。
朝日が登って顔を見た瞬間、修平は恋に落ちます。
それから4年たっても二人はいい先輩後輩の関係のまま。
出会ったときから恋を確信していた修平と対象に、「これは恋なんかじゃない」とずっと自分に言い聞かせてきた茂光。
ずっとこのままでいたいと願っても、好きが募ればそうはいかなくなり、修平には海外へ研究にいく話が持ち上がり、茂光は仕事とプライベートでトラブルに巻き込まれ…二人はすれ違うまま、自分の行く道を選ばないといけなくなります。
ずっとこの関係のままでいられないのなら、ここで終わらせるか変わっていくしかないということが切々とかかれていました。
クールで無愛想に見えて、実は激情を抑えた自分を演じているだけの修平と、お人よしでおせっかいであぶなかしい茂光は、二人ともとても愛しく思えるキャラでした。
何をしなくてもいい、ただ傍にいたいだけ、変わりたくないというのに募っていく「好き」があふれそうになる様子が激情的で感動的でした。
最後、茂光から離れ、一人になって、だた好きで好きでたまらなくて、修平が涙を流すシーンにつられそうになりました。
修平が茂光を「先輩、先輩」と呼ぶのもよかった。歳下攻めとしてもすごくツボをついた作品でした。
「合鍵」は出会ってすぐに恋になるお話でしたが、こちらは長年の思いをじっくりあたためる、せつないけど「好き」が極まったときのこの苦しさやせつなさが作品に反映されていて、愛しく思える作品です。