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後ろ姿で人生を語る――それが男だ
yakusoku no kaori
香りの記憶が繋いだ縁を通して、癒す人と癒される人が運命の再会を果たして結ばれる、何とも甘いお話でした。
今回の主人公の職業は理容師見習いなんですが、美容院と違って理容師ってシャキっとしてダンディとかストイックとか、あの白衣のユニフォームも含めてちょっと萌えな職業ですよね♪
そんな見本のようなおじさまが理容院の店主で登場したりして、脇役なんですが、妙に好みだったりしたですよ(そこかいっ!)
篤季は高校生の時車内で痴漢に逢い、それを救ってくれた人が気になって、その香りが印象に残ったことから理容師の道を進みます。
バイト中の理髪店に議員秘書をしている和田がやってきて、その香りにひょっとしたら和田が救ってくれた人かもという疑惑を抱きます。
篤季の誠実な人柄や、癒される存在性に好感を覚えた和田は、安らぎの場所が欲しいと思い、引っ越し先での同居を篤季に提案し、二人の同居が始まります。
物語は、和田が議員秘書ということから、そういう権力や選挙絡みの問題があるものの、全般的にとても順調で、大きな波乱というはありません。
なので、一貫して甘い雰囲気が漂うラブラブ話のようです。
二人が関係する決定的な出来事は過去の痴漢。
篤季は、痴漢の記憶から和田に犯される夢想をしてしまうし、
和田もまた、自分が痴漢になって篤季を辱める夢を見ていて、
もう、なるべくしてなった関係。
最初のキスもびっくりしたものの、「この先が怖かったら帰っていい」という和田の言葉に次ぎはセックスともう期待しちゃってます!
その夜、ムダ毛の始末、排泄器官もきれいにして、裸のまま和田のベッドにもぐりこんでましたからww
どんだけ、期待してたんだよ~♪
理容師という仕事柄、人当たりがよく、癒し効果のある篤季ですが、やはり女性と違うのは、重くないところかもしれません。
でも、和田の希望が家をきれいにして、いつでも和田が帰ってきても休まるようにしてほしいという要望は、まるで嫁に対するものみたいで、ちょっと勘違いじゃない?とは思います。
ま、当人の篤季がそうしたいからいいんですけどね。
あと、政治家達や権力に群がる人々はとことん(でもないが)汚い・強欲な感じに書かれていましたが、これは無欲な和田と対比させる為でしょうか。
ラストの二人がずっと一緒にいる為の選択というのは、よかったと思います。
ということで、やはり全体的に甘めで起伏の少ない話はちょっとモノ足りなかったかも?
でも個人的な萌え=床屋 が舞台だったので、萌え評価です♪
議員秘書・和田と理容師の卵・篤季のお話です。
どこが楽しかったかといえば、床屋さんのお仕事と議員さんの裏話でしょうか。
こういったお話だと、議員秘書さんのほうが上を目指して、それを理容師さんが支えるっていうシチュエーションが王道かなと思いますが、いい意味で裏切られました。
当初はとにかく篤季が和田にあこがれている感じでお話がすすんでいたのです。
理容師の卵があこがれの人のために頑張る的な展開なのかな?
自分のことでは仕事の技術を磨くことが最優先で、あとはただひたすら健気に和田に尽くし、和田もクライムアップしていくのかな?
と思ってたのです。
しかし、意外と早く想いが通じちゃったなと思ったら、別の展開が・・・
そのおかげで、ただの勤勉アマアマカップルのお話から、ちょっとハラハラさせられる展開になったので、より面白くなりました。
中でも、ただの脇役だと思っていた永堀議員が、落選したときに言った言葉が印象的でした。
人ってやっぱりどこかで“やすらぎ”を求めていますよね。
そして、神山議員もなぜか憎めないのです。
この先も頑張って欲しいなって思っちゃいました。
一番の悪役・大鷹御前は常々こんな人本当にいるんだろうか?って思うような存在ですが、たまたまここ数日のニュースで、似たような存在のお方にご意見を求めに行ったある人の映像を見ていたので、ああ、やっぱりあるんだなぁと思った次第です。
こう書いてくると、「約束の香り」ってどこが関係しているの?って思いますが、お話の主軸は和田のまとう香りにあるのです。
二人が始めて出会い、再開し、想いが通じ、離れ離れになり・・・
その全てに香りが関係してきます。
で、そこにはどうにも抑えられないセクシャルな気持ちや行動も伴いますので、それなりにエロいですが、なんだか可愛かったです。
そして、気になるのがバーバー新橋の経営者・畑山さん。
大変人間ができた人で、尊敬しちゃいます。
残念ながらイラストが無かったのですが、この素敵なおじさまのお姿を拝見したかった私です。
今年の1月か2月に「思い出フレグランス」という題名で出版が予定されていたのが、「約束の香り」となったようです。
「匂い」というのは、人間の記憶に一番残り易いとか…
高校生の自分を痴漢から助けてくれた男の香りを覚えていた篤季、偶然助けた篤季を夢想していた和田。
和田の苦肉の策で同居することになって、和田からのキス1つで蕩けてしまう篤季の純な気持ちが愛おしいです。
篤季のアルバイト先である理容店に訪れるお客さんやスタッフ達、脇役に渋いオジサマ方が揃っていたのが、話に厚みを出しています。
和田の上司である神山議員も、最後は格好よく決めてくれた男っぷりが、goodでした。
理容店オーナーの畠山さん、貴方の背中についていきたい…
剛しいら作品の魅力は、キャラクターやストーリー展開の前向きさ。
そこが好きだと常々思っているのですが、この作品にもそんな魅力がいっぱい。
普通にぼんやり高校生活を送っていた篤季は、高校生の頃痴漢から救ってくれた男の人との再会を望んで、その人の香りからフレグランスに興味を持ち、高校卒業後の進路を、まず調香師、その後もっと堅実に理容師に定め、理容学校に行きながら自分のレベル向上のため、新橋の老舗バーバーで見習いバイトとして働き、そこで調髪のできない見習いなりにお客様にフレグランスや爪の手入れ、ファッションなどのアドバイスに心を配り、、、、と、実に前向きな良い子です。
そんな篤季が議員秘書の和田と結ばれて同居生活を送る話なのですが…
ちょっと篤季は良い子すぎかも知れません。
これがノーマルカプ物だったら、こんな女いる訳ねーだろ!って鼻白むでしょうが、それが成立するのがBLマジックでBLファンタジー。
「BLである意味」が味わえる作品です。
過去に痴漢から助けてくれた男性のことが忘れられず、その人のつけていたフレグランスを頼りに彼を探しつづける、という可愛らしいお話でした。
舞台はバーバーで、女性向けのヘアサロンと雰囲気が違ってほとんど馴染みのない場所ですが、お仕事ものとしても丁寧に書かれていたので、恋愛に関係のない部分も興味深く読めました。
主人公の篤季は美容系の学校に通いながらバーバーで見習いのバイトをしています。そこで、探していた人かもしれない、議院秘書をしている和田と知り合います。
結構再会があっさりと早く、彼が探していた人だとわかるのも早くて、その上両思いになるまでがトントン拍子だったので、恋愛が成就するまでをじつくり楽しみたい方には少し物足りないかもしれません。反対に、不安のない安心した幸せなお話を読みたい方にはピッタリだと思います。
早々に両思いになり、同居に至り、ベッドイン、という甘いお話です。
ずっと和田を探していた篤季と違って、和田の方が篤季を好きになりアプローチをしてくるのは早い気がしなくもなく、結ばれるまでにもう少し時間を費やせていたらもっとこのカップルに愛着が持てたかもしれないと思い、そのへんが少し残念かもしれません。
後半は二人の間に壁が立ち塞がりますが、それもそこまで大変なことにもならず…。甘くて幸せ感がたっぷりでした。
篤季が、初めて和田と寝る時にフレグランスだけつけて裸でベッドに潜り込んで待っているなど、この歳の男性にしては可愛らしい。あえぎ声もちょっと可愛いので、女の子ぽい受けが苦手な方はもしかしたら合わないかもしれません。
初めてのときにが和田を待ってる間、ベッドが眠る場所じゃなく特別な場所になるんだ!とワクワクしているところはとっても可愛いくて、こちらも見ていて幸せになるような雰囲気の作品でした。