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華藤さん、二カ月連続の神父ものですが、今回はヴァンパイヤ(正確にはダンピール)×神父という、世紀末ウィーンとローマを舞台にしたロマン溢れる内容になっています。
退廃的雰囲気にヴァンパイヤ設定はぴったりだと思いますが、何せ特殊な設定なため今一つ時代感や海外ものという部分の雰囲気が自分には伝わってこなかったのですが、お話の上手さはとても評価できると思います。
主人公マクシミリアンは13歳の時に訪れたハンガリーでテロに巻き込まれ両親を殺され、また自分も監禁されている間に皇室にゆかりの侯爵家は父の従兄に乗っ取られてしまいました。
居場所のない彼は神の道を歩むことにし、神父としてウィーンの教会の司祭をしていますが、その優しい人柄と美しい外見で人々の信頼を得ており、その頃発生したウィーンでのヴァンパイヤが出没事件の報告任務をになっています。
そこへ法王庁からの使者である司教のオズワルドがマクシミリアンの教会へやってくることで二人は出会います。
実はマクシミリアンにはハンガリーで拉致されていた時の悲惨な過去と共に義兄の憎しみからくる性的抑圧を受けているという、汚れた(自分でそう思っている)後ろめたさを持っており、またその場面をオズワルドに見られた負い目もあります。
マクシミリアンの気持ちがわかるように、接するオズワルドについムキになって反発するマクシミリアン。
そうして、オズワルドが数百年前にヴァンパイヤと人間の間に出来た子供のダンピールであることを知り、彼の苦悩と、マクシミリアンの苦悩は共鳴して、気持ちを近づけていくのです。
オズワルドが、邪悪のヴァンパイヤの正体を暴いて退治する使命をおびていることから、それに関係してくるマクシミリアンにも魔の手が襲いかかります。
二人が触れあうたび、危機に見舞われるたびに、この二人は不老不死のダンピールであることの違いを何とか乗り越えて、一緒にいたいという愛の気持ちで、それらに立ち向かっていきます。
最初はツンなマクシミリアンが、オズワルドを本気で愛し始めると、それはまさに神の道に仕えるものにふさわしいとても深い愛を見せます。
その愛は、オズワルドの父であり、人間に憎しみを抱き、その世界に君臨したいと画策するフェレ枢機卿と闘う力を与えます。
歓迎されない生を受け、それでも孤独と闘って真っ直ぐに生きてきたオズワルドは清々しいほどに優しく、強く、イイ男でした。
マクシミリアンも彼を助けるために命を賭して彼の為に身を差し出します。
一見、聖職者であり、異端であり、と禁断愛の感も受けるのですが、それも”愛”だと許されてしまいますね。
最後に挿絵のことですが、現代風のイラストの為、ちょっと聖職者に見えなくて、、、それが雰囲気を盛り上げるのに少し力がたりなかったかも?とそこが心残りです。