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narusawajunkyouju no saigo no koi
惹き込まれる美しい文章、思い浮かぶ情景。
とても好きなお話の1冊です(^∇^)ノ
受け様の蒼井は、文芸誌の新人編集。
攻め様の成澤は、フランス文学准教授。
成澤は退屈な毎日を過ごす中、蒼井が密かに報われない純愛を大事にしている事を知り、それが見たいと思う。
初めは興味本位な気まぐれだったはずなのに、気付けば蒼井のことでいっぱいに。
攻め様である成澤視点で進むので、成澤が蒼井をどんどん気にしていく様子がとても萌でございました(≧▽≦)
好きな人の身代わりだったと知って傷付く姿、受け様なら見てきましたけど、攻め様はどうだったかな。
成澤としても、遊び半分のスタートだったから、ある意味攻めザマァな展開ともいえるのだけど、それを楽しむお話じゃない。
成澤が恋の淋しさを知り、恋に振り回されるサマが、情感たっぷりでとても好きです( ´∀`)
受け様である蒼井視点の『春惜月』
こちらもとても好き。
大人だと思っていた成澤の、案外子供っぽい一面にふふってなっちゃいます。
独占欲が強くて子供っぽいワガママで蒼井を困らせる事もあるけれど、大人の優しさもあって。
成澤の魅力を再確認でした(*^_^*)
イラストは高永ひなこ先生。
口絵が肌色(//∇//)
『欲しいものはなんだって手に入る。』
大学でプルーストを論じ、気まぐれなベッドの中でヴェルレーヌを暗唱する、そして全てに退屈して…若く美しく、それゆえに傲慢なハイスペック男成澤恵。
退屈しのぎに、純愛を隠しているらしい平凡な編集者蒼井に興味を抱く成澤。愛も恋も夢も信じない成澤は「純愛」を見てみたいと思う。
大学出たてのガキで世界も狭い、と見下していた男を自分が誘惑したのだ、と思っていた。それでも絡め取られていたのは成澤の方。
いつでも自分の思うがままにその身体を抱きながら、薄々感じている違和感。
ある日ついに蒼井の純愛の相手を知る。「でも、死にました」
なぜ自分と寝たのか問う成澤に「彼と似ていたから」と答える蒼井。
誰かの代わりだったなんて、と打ちのめされて、それでも…
成澤が初めて知ったのはその感情。それが、恋。
『「俺はこんな淋しさを知らなかった」淋しさを知らないなら、恋を知らないのと同じことだ。』
「春惜月」
二人が恋人になってからの、受け視点からのエピソード。
初恋の彼のお墓詣りと彼の実家への訪問、そして囚われの冬から解放されて成澤と春を歓ぶ蒼井。
高遠先生の紡ぎだす言葉たちの美しさに萌え、その華やかな語彙となんの矛盾もなく並ぶ「ほくろ攻め」のエロさに大いに萌えました。
フランス文学准教授の成澤は、友人の葛城が副編集長を務める出版社で新米編集者の蒼井と出合う。
その時は何とも思っていなかったが、後日悪天候の中、非常階段から身を乗り出している蒼井を咄嗟に自殺だと勘違いして助けようとするが・・、
二度目の偶然の出会いから、成澤は蒼井に興味を持つようになり、やがて段々と周りが見えないくらい蒼井に惹かれていきます。
実はこの本、ちょっと衝撃的でした。
というのも、自分の乏しい読書歴では攻め視点の作品を読んだのも数少なかったし、ここまで攻めと受けに温度差があるのも珍しいなぁ、と。
成澤がスマートな大人の仮面を捨てて蒼井に嵌まっていくのとは対照的に、蒼井は昔好きだった人に捕らわれ続けていて、成澤との関係も最初は刹那的に終わる後腐れないもののように思っていたんですよね。
成澤が自分に執着をみせるにつれて、蒼井の方も段々と戸惑い、成澤自身と向き合うようになりますが、最後の最後までなんというか『成澤、頑張れ!!』と感じるくらい、蒼井は中々手強かったです。
個人的に面白い設定でしたが、自分の好みとはズレていたのが残念。
フランス文学が作中の要所要所で上手く引用されていたのは良かったです。
むしろ、もっとマニアック的にやって頂いても面白かったかなとは思いますが、綺麗に纏められた作品だと感じました。
攻め視点の作品です。
ちなみにSSの方は受けの一人称。
サブキャラの葛城副編集長(激しく好み!)が主役のスピンオフを読むために、本編であるこちらを読みました。
攻め視点は好きなのに、どうにも読み進めるのが苦痛な作品でした。
攻めの成澤は31歳の若さで、フランス文学学科の准教授。
端整な容姿で女性受けしながらも、どこか冷めた目で世間を見ています。
受けの蒼井は、成澤の友人である葛城が副編を務める文芸誌の新人編集者。
地味な外見で、空気のような目立たない存在。
成澤が蒼井絡みのトラブルで小指を骨折し、そのお詫びを兼ねて蒼井が身の回りの世話をすることになり、徐々に…というお話です。
成澤は、とにかく何もかも自分以外のものが下らなくてつまらない。
心の中では、かなり色々な対象を馬鹿にしています。
恵まれてるって良いよね、ふふーん…なんて、僻み根性丸出しなわたしの感想です。
だからスーパー攻って苦手なのよ!ってね。負け惜しみですけど(苦笑
そんな成澤が蒼井に興味を持ち、彼の笑い顔が見たいだとか、蒼井の友人に嫉妬めいた気持ちを持ったりだとか、けっこう最初から「あらあら、まあまあ」と言った感じなのです。
もちろんそんなの本人、認めてませんけどね。
ガードが見た目固そうなのは成澤なんですが、けっこう蒼井の方が頑なで、心をなかなか許しません。
そんな蒼井にジリジリしちゃうんですよね、成澤は。
蒼井の過去の傷についても悶々してて、もう少し焦らしてやれー!と思っちゃいました。
1/3くらいまであまり入り込めず、ちょっと読み進めるのが苦痛に感じられていたんですが、成澤が蒼井へ手を出し始めた辺りから普通に読めるようになりました。
蒼井が成澤へ「僕は物欲しそうな目であなたを見ていましたか」って自分を恥じ入りながら尋ねるのが、可愛かったー。
高永ひなこさんのイラストは、今まであまり意識したことなかったんです。
有名作家さんなのに、実はコミック読んだことがないもので…(汗
表紙のカラーはあまり魅力を感じなかったのですが(これはルビー文庫は毎度毎度ですが)、さすが漫画家さん、挿絵はすごく素敵で特に噴水のシーンが好きでした。
ただ表紙の記憶が残ってしまったのか、読みながら美しい挿絵の蒼井でなく表紙の蒼井が頭に浮かんでしまいまして…
脳内補正はききませんでした。無念…
ルビー文庫さんはいつも個人的好みで何かしら躓くので、本来避けています。
今回の作品もその概念を覆すことはなかったです。
遊びなれた攻が本気の恋に堕ちるという至極わかりやすいストーリー。
王道中の王道ともいえるこの領域でありながら、非常に面白かったです。
ルビー文庫だから…と躊躇している方がいれば、それは考えないで読んでみてほしいです。
ほかのルビー作品よりもしっかり読み応えがある印象(個人的な感覚ですが)
恋はたくさんしてきたと豪語する成澤ですが、実のところ、この出会いで気持ちが動いていくまで、それは「遊び」の領域でしかなくて。
駆け引きめいたことをしたりと、本当に「恋」と呼べるような必死にがむしゃらに縋りつくようなものではなかったんですよね。
今回も最初はちょっとした好奇心のようなところから始まって。
それが、恋とは知らないままいささか強引に距離を詰めていって。
それで相手が拒絶すれば終わりといえば終わりになっていたのですが、蒼井の方にもいろいろと思うところがあったから関係は成立したように見えて。
一緒にいれば一緒にいた分だけ抱き合いたくなったり欲しくなったりの成澤。
けれど、蒼井との心の距離は縮まるようで縮まらない。
どこか遠くを見ているような蒼井の心に深く根付いているもの。
その正体を告げられてからの成澤が、どうしても欲しくて蒼井を迎えにいったシーンのセリフがとても印象的でした。
「春悔月」では蒼井視点になります。
本編では結局語られることのなかった蒼井の過去への解答みたいなのがここで明かされて。
明かされたけれど、それは既に過去になっていて。
いつまでも抱えていくものではあるけれど、ちゃんと前を向いて「今」を生きていけるようになれているようでした。
成澤の子供のようなところとか淋しがりなところとかもかわいいです。
そんな淋しがりで独占欲も強そうな成澤が、蒼井の過去のことも知ったままちゃんと受け止めてくれるようなところもあってよかったです。
成澤恵、フランス文学部准教授と新人編集者、蒼井友也。
最後じゃなくて最初で最後の恋(笑)
なんかこう、鼻持ちならない男、成澤の成長物語?
最初は、なんとなく自分を見ない蒼井の目を自分へ向かせようというゲーム感覚で蒼井にアプローチしていた成澤ですが自分から蒼井に落ちました。
うん、落ちて良かったね。
頼りなさげに見えていた蒼井が本当はけっこうしっかり者でした。
蒼井の過去は辛くてせつないけれど成澤はけっこうしつこいと思うのでずっと抱きしめていてくれると思います。
お幸せに・・・。
正直なところ、キャラクターは特に好きなタイプではないのですが、作品としては結構好きですね。成澤(攻)が、最初の余裕綽々からどんどん蒼井(受)にのめり込んで、なりふり構わなくなって行くところがよかったんですよ。調子に乗ってまわりを見下してるような嫌なヤツが、おろおろ・あたふたするさまはホントに気持ちいいですね。
タイトルは直球そのままですが、厳密には『最初で最後の恋』だよな、と思いましたね、はい。
高遠さんのルビー文庫、結構好きなんですが(他レーベルよりルビーの作品が、という意味ではないです)、確かに高遠さんの他とはちょっと違う気もするものの、だからと言って『いかにもルビー』っぽくはないんですよね。特に受のキャラクターに『実は』があるあたりが。
最後に『ナルナルのナルは~』吹き出すかと思いましたよ。
面白かったです。
高遠琉加さんの小説って、なんでこんなに読みやすいんだろうな。
文字を見て脳内で意味を把握するまでの時間ってコンマ以下の世界の話だと思うんですが、高遠琉加さんの小説の場合、私、他の本の10倍ぐらいのスピードで意味を把握してる気がする。
(……ふうん)
ふうん、と思った。
それだけだった。
冒頭、実は↑この三行↑にヤラれちゃいまして、コレダ!と思いました。
うまく説明はできないのですが、この三行には私が高遠琉加さんの文章を好きな理由が凝縮されてるんです。
(……コレダ!)
コレダ、と思った。
それだけだった。
すいません、遊んで。
というわけで説明できないので、話の中身の話をしますw
主人公は成澤教授。
他人が羨むようなあらゆる高スペックを持ってる男なのに、人生に退屈しきっている。軽い変人です。
そんな男が平凡な青年に出会う。なぜか彼が気になり、やや強引に口説いて身体を重ね、いつの間にか囚われていく。
成澤教授にとっては、自分自身の感情を把握することも分析することも制御することもできないのは始めてだったんですよね。このあたりの心理描写が秀逸でした。
これこそ恋だな。
これこそ恋だね。
成澤教授がカワイイんですよ。抱いても抱いても足りない、会っても会ってもまだ足りない。簡単に墜ちてきはずの目の前の男は、実は心まで墜ちてくれてない。
三十路のオッサンの初恋だ。
成澤教授の混乱や焦燥がストレートに伝わってきて、キュンキュンしました。
萌萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)
どんなお話かと申しますと、まさに『成澤准教授の最後の恋』というタイトルそのものな内容でした。
ただし最後の前に「最初で」がくっつく恋。
恋愛を手軽に愉しんできた男が、初めて本気の恋に落ちる。
そんなありきたりなストーリー、そして遊び慣れた攻めと純朴そうな受けという組み合わせもセオリー通りなのに、どうしてこんなにも面白いのか。
それはやっぱり、一貫して攻め視点で描かれているという点が、最大に効果を発揮しているからだったと思います。
その張本人成澤は、31歳という若さで准教授という地位を得ており、恵まれた容姿も加わって、公私共に順調な人生を送ってきたスマートな男。
自分の魅力を存分に認識していたり、ナチュラルに上から目線の思考だったりと、何事も「出来る」側の人間だったというのがプンプン臭ってくる……そんなちょっと鼻に付く攻め様。
こんなに恵まれた日々を、なぜか時折つまらないと感じていて、彼の心はどこか色褪せています。
そんな成澤の目に入ったのは、懇意にしている出版社の新入社員の青年・蒼井。
凡庸な容姿とそれに見合った性格の青年で、強いて言えば泣きボクロがある所、笑顔が少ない所ぐらいが特徴の平凡な存在。
そんな二人の関係は、成澤の気まぐれな欲望のもと、身体先行で始まります。
何が良かったって、攻めの変化が見事なところです。
無自覚に蒼井に捕らえられていく様子、そして恋愛感情を自覚した瞬間から劇的に落ちてゆく様子。
その心情の変化が、あざとすぎず自然で、でもあざやかなんです。
成澤が恋を知り、彼の「つまらない」日々が色付いていく様が、ページをめくる毎に感じられました。
愛を信じていない成澤が、アムールな仏文学を仕事にしているという設定は、矛盾した彼自身を象徴しています。
巧みに言葉を操り、端麗な文章を作り上げる成澤。
友人の「お前の文章は、達者だけど血肉が通っていないのが欠点だ」という台詞は、甘くて綺麗なところだけをつまんで愉しむ彼の恋愛スタイルにも通じています。
恋愛を肯定していても、愛は頭から否定しているんです。
裏返せばそれは、否定することで傷つくことを防いでいるようにも見え、何より本当は愛を信じたいからこその矛盾に見えました。
身を捧げるような、永遠に続くような愛。
運命の相手なんてものを鼻で笑いながら、心のどこかでそんな純愛に憧れている成澤は、蒼井が見抜いたように、本来はとても純粋な人間なんでしょうね。
それが見え隠れして、最初はあんなに鼻持ちならなかった成澤なのに、後半からどんどん可愛く見えてきてしまう始末。
すっかりベタ惚れになって、子供っぽさ全開の後日談のSSにニヤニヤしてしまいました。
こんなにも攻めをほほえましく感じたのは久々かも。
あ~面白かった。
攻め視点の作品がもっと読みたくなっちゃっいました。
自分の才能にも容姿にも自信があり、恋なんて真剣にするものではないと思っているような男・成澤(フランス文学部准教授兼翻訳家)が、真面目なだけで美形でもない新人編集者・蒼井にどんどん惹かれていくお話しです。
ちょっと気になり、追いかけ、執着し、寂しがり、嫉妬し・・・大の男が「これで最後にしたい」くらいの恋に翻弄されるお話が面白かったです。
態度こそ優しげですが、けっこう俺様で子供っぽくて、ロマンチストで嫉妬深い成澤と、流されているようでいながら意外としたたかで、素がなかなか見えてこない蒼井の駆け引きのような関係にどう展開するのかドキドキしながら、純愛な部分にキュンキュンさせてもらいました。
歩道橋の上のシーンは、もう、胸がキュンキュンしすぎて涙が出てきました。
意外なところに伏線があり、なるほど納得なのでした。
また、成澤の気障と心の変遷を象徴するように、ヴェルレーヌの詩の断片がそこここに引用されているのですが、この部分を堪能するには詩の全篇を把握していなくちゃいけないなぁと、不勉強な私は思った次第です。
季節が梅雨時なので、何かにつけ濡れるシーンが出てくるのも印象的でした。(それには他にも意味があるのですが。)
今回は私立大学文学部フランス文学科の准教授と
老舗出版社の純文学文芸誌の新人編集者のお話です。
攻様視点で二人の出会いから恋人になるまでと
受様視点でラブな後日談を収録。
攻様は洗練された容姿をもつ
私立大学文学部仏文学科の准教授ですが、
翻訳者としての顔も持っています。
難解なイメージの仏文学ですが、
攻様の翻訳本は作者のイメージと相まって
同種の本より三割増しで売れ、
片手間に書くエッセイも
女性達にはすこぶる好評です。
中味より顔で売れているとしても
仏文学の裾野が広がれば結構とは思いつつも
浅薄なイメージに踊らされている様で
攻様も最近はすこし食傷気味。
知名度も収入も上がっている上、
人並み以上の容姿と頭を持つ攻様は
恋愛相手にも不自由ない生活なのに、
毎日がつまらない。
そんな攻様に変化をもたらすのが
攻様の悪友が副編集長を務める
純文学文芸誌の新人編集者である受様でした。
受様は地味な顔立ちのおとなしい青年で
攻様も編集部で悪友に紹介されても
特に気にもしなかったのですが、
有る事がきっかけで受様に興味を持ちます。
調べものの為に向かった
出版社の非常階段で
ずぶぬれになっていた受様は
まるで死を願っている様で…
結局ソレは攻様の誤解でしたが
その出来事で小指を骨折した攻様は
小説を書く事の条件として
彼を担当者にと指名します。
かくて受様は攻様の担当編集者になりますが、
受様が長く片思いをしていると知り、
更なる興味を惹かれます。
自分には縁の無い純愛をしているらしい彼に
好かれたらどんな感じなのだろう?
次第に彼の視線の先に
自分を映したいと思い始める攻様。
男は女の最初の男になりたがり、
女は男の最後の女になりたがる。
果たして攻様の恋は最後の恋たり得るのか?!
一人に縛られる恋愛など考えられなかった攻様と
たった一人を長く思ってきた受様の恋物語です。
高遠作品はどちらかと言うと
ちょっと硬いイメージが有ります。
今回のお話も仏文学の准教授と
純文学文芸誌の新人編集者のお話なので
文化や芸術に対するロマンを感じさせるお話です。
最初は単なる好奇心だったのに
受様の人柄を知る事で次第に彼に執着していく攻様。
彼に惹かれずにはいられない攻様の葛藤と
受様の過去の恋人が実は…という
最後のどんでん返しが見事でした♪
続編短編は受様視点の後日談。
受様の過去の恋に嫉妬する攻様の様子もまた
まとまった後ならではの甘さが良かったです。
今回は同じく作家と編集者のカプで一作、
和泉桂さんの『有罪』シリーズはいかがでしょう?
私大の准教授でフランス文学の翻訳家でもある成澤は、順風満帆な人生を歩んできた。
順調すぎて毎日がつまらなく感じるくらい。
恵まれた容姿を持ち、付き合う相手には不自由していないが、常に冷めていて恋に溺れたことはない。
フランス文学以上に彼の心を動かすものはなかったのだ。
そんな彼が恋をした。
お相手は真面目で地味な新米編集者の蒼井。
最初は気にも留めない存在だった・・・。
ゲームのような恋愛をしてきた成澤が、本当の恋を知って変わっていく。
そういうお話でした。
挿絵が高永さんのせいか、私の中では和泉桂さんの『有罪』シリーズとちょこっとだけかぶる部分が・・・。
それから挿絵には主役の二人しか登場しません。
別にいいんですけどね、挿絵買いじゃないし。
だけど葛城だけはちょっと見たかったかも。
いよいよ来月には評価の高い『好きで好きで好きで』の新装版が発売されますね。
高遠さんってうまいなーと思うのですが、ハマるところまではいかなくて数冊しか読んでいません。
でも1月はこの本の発売を心待ちにして過ごします。
評価は神に近い萌えでありますよ!
お話は、外見も才能もあり、それなりに順調な人生を歩んで、でも恋愛には今一つのめりこめないでいる成澤准教授が、何でもない印象の薄い平凡な青年と出会って、最初はからかいのつもりが、段々その彼の持つ影の理由を知りたくなり恋愛にのめり込むということを初めて体験するという物語なのですが。
ささっとあらすじを書いてしまうと、いつものよくある恋愛パターンの話よね、って思ってしまいますが、そこは高遠さんの文章のうまさ!
一つのフレーズ、引用、展開の持って行き方、どれ一つをとっても無駄がないように見え、そしてスマートに(かといってこじんまりしているわけではない)惹きつけ、納得させる。
最初成澤は地味な蒼井に対し、無関心の「ふ~ん」次が少し興味のある「ふ~ん」そして蒼井を手に入れて「何だこんなものか」こんな正直な表現あるでしょうか?
それが最後には「君といると淋しくなるんだ」「君がそばにいない時間が寂しい」に変化します。
蒼井の心を手に入れたい必死の気持ちが何気ない表現で、ものすごく大人を感じさせるセリフで語られる部分が惹きつけます。
蒼井に関しても、決して子供ではなく、真っ直ぐに成澤を見つめる黒い瞳、雨の日には消えたくなってしまう程5年もひきずる過去の想いを抱えているにも関わらず、決してネガティブではなく、むしろ成澤より分別のあるキチっとした青年であることが好感が持てます。
成澤はフランス文学なので、引用としてよくヴェルレーヌが出てきます。
ランボーとヴェルレーヌのあの破壊的関係をひょっとしてなぞらえたカプリングに持っていくのかと思いましたが、ある意味執着という点で成澤はヴェルレーヌだなと苦笑いたしました。
しかし、蒼井はヴェルレーヌを翻弄するランボーの小悪魔的部分は持ってはいないとは思います。
他にもコクトーなどフランスには優れた詩人や作家がいますが、BLではこの二人の詩人を出すことは、容易に関係を示唆しやすいのかもしれません。
ただ一か所、バーのBGMにゲーンズブールという引用はちょっと歌詞的にはあまりに淫猥で、曲としてはバーには不向きではないかと・・・
「春惜月」で恋人となった二人が本物の恋人として蒼井が亡くなった恋人との本当の決別をできるお話が追加されており、これがまた味があって雰囲気がお洒落なのであります!
しっとりした雰囲気と洒脱さも兼ね持つ本作品、大人な御姐様方にお勧めです。
またヴェルレーヌに興味を抱かれたかたもあればその生涯を知るとかなり萌えの半生ですわよ!(美少年と駆け落ちしてますから)
ランボーとヴェルレーヌはディカプリオ主演で「太陽と月に背いて」という映画が出ております。
高遠さんがルビー文庫?!
当初はカラーが違うのでは??と思ったのですが。
ルビーと高遠節の華麗なるコラボ。
なんだかとっても、面白かったです!!
厭世的で人との深い付き合いを避け、
刹那の恋ばかり経験してきた成澤准教授。
そんな彼が平凡だけど純粋で真面目な新米編集長に恋をし、
最初で最後の恋を手に入れるお話でした。
恋の駆け引きに手慣れた百戦錬磨な成澤が、
蒼井知らず知らずのうちに掻き乱されて、
オロオロする姿が可愛いです。
本気になればなるほど余裕がなくなる成澤が
とても魅力的だし、共感できます。
あと二人は職業柄、とても読書家で。
芸術や文学をこよなく愛しています。
「世の中が戦争や経済危機と騒いでいる時に、
悠長な学問をやっている」
と言った成澤に対して、蒼井がこう返します。
「本は食べ物や生活必需品を生み出すわけじゃない。
でも文化や芸術や思想は心の糧になって人を支えてくれるもの。
だから神様と同じようにどんな国のどんな民族の間でもなくならない」
この蒼井の言葉に、成澤はうっかり感動するのですが。
私もうっかり、ジーンとしてしました!
困窮した時代では、文化や芸術は真っ先に切られるものですが。
お金はかかるし、一見無駄に見えるものでも。
それは心の糧となり、人々を支えていくのですよ!!
だから私もお金がかかっても本を買うのはやめられないのだ!と。
BL本も心の糧となり、私を支えてくれているのです(笑)
蒼井の言葉は趣味に情熱を注いでいる人間には、
とても響くのではないかと思いました。