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愛と憎しみのクライムラブ!!
ai no houfuku
仔犬養ジンさん二作目。
前作『裏切りの夜』より展開がドラマティックで、甘さも大幅にUPしています♪
南フランス~イタリアを舞台に、
裏社会に生きる男たちの絆、愛憎がダークかつ甘美に描かれており、雰囲気としてはフレンチ・フィルム・ノワールに近いものを感じました。
鬼塚征士さんのモノクロ映画風なイラストも素敵です。
ストーリーの主軸は、褐色の肌をもつ美しき暗殺者ガエルが、自分を裏切った義兄オリヴィエ(金髪ナイスミドル)に復讐を企てるというもの。
それと同時に、かつて義兄へ切ない恋心を抱いていたガエルの子供時代が語られます。
南フランスに隠居した殺し屋の<ファミリア>に引き取られるまで、たった一人で生きてきたガエル。
優しい義兄オリヴィエに恋心を抱くが、オリヴィエは彼を弟としてしか見てくれない。
そのことが次第にガエルを蝕んでいく展開はとても切ないです。
特に恋文を鼻で笑われるシーンには胸が傷みました。
当時、義弟を子供と思っていたオリヴィエに悪気はなくとも、ガエルにとっては自分の存在を否定されたようなもので、そのせいで今も男に抱かれることで自分を罰しているようなところがあります。
暗殺者として強かに生きているのに、男に抱かれるときは従順で、オリヴィエには相変わらず弱い。
悪人になりきれず、未だ繊細な少年の面影を残すところが何とも色っぽく、魅力的なキャラです。
再会後、二人は義父の死の真相について話し、和解。
そして<ファミリア>との哀しい対決を経て、
会えなかった年月を埋めるように激しく抱き合います。
このラブシーンが一番の見所ではないかと思います!!
洋モノならではの、情熱的でロマンティックなセリフ、
行為描写の数々が素晴らしいですv
恥ずかしがるガエルと、ガエルを優しく攻め落としていくオリヴィエの攻防には思わずニヤニヤしてしまいます。
翌朝の手紙のシーンも含め、
オリヴィエのガエルへの愛をひしひしと感じました。
アクションシーンや脇役の描写は物足りないものの
(かつてのガエルを彷彿とさせる少年・ペドロはフェードアウトするし、ダビ以外の義兄も出番が少ない)
その分、ガエルとオリヴィエの関係に話が絞られていて
感情移入しやすく、和解後のラブラブな二人には
凄まじく萌&感動しました。
怒濤のラブシーン~映画的な余韻を残すラストまでが
格別に好きで、そこだけ何度も読み返していますv
初めて読んだ作家さんでしたが、なんとも男臭い!!(とてもイイ意味で)
ハードで全く甘くないのに、色気がムンムンして、こりゃたまらんです!!
ヨーロッパのアクションムービーを、リュック・ベッソン監督作品あたりを想像して画を思い描くと、頭に入りやすいかもしれません。
鬼塚さんのイラストがものすごくよくマッチして色気倍増させてます。
海外が舞台なのはわかっていましたが、その設定が異色です。
受けが攻めを殺そうとするのもすごいと思いますが、
裏稼業ということでアメリカなのかとおもいきや、義父はスペインの反乱分子崩れで南仏に住んでいるというヨーロッパが舞台。
そして殺人などヤバい仕事を家族(ファミリア)で請け負っている、マフィアのような、でも違うそんな稼業。
子供は全部で5人だけど全て養子で、全く血のつながりはない。
一番下のガエルは多分ジプシーの子で、ただ一人褐色の肌に黒髪。
読み始めて彼らの関係を掴むのに時間がかかってしまいました。
1/3辺りで末っ子ガエルの経緯が語られるにつれ物語の概要が見えてきます。
そうなると、あとは一気です。
途中で止めてはいけません、一気に読んでください。
そうでないと張り詰めた緊張感が溶けて、集中がなくなってしまいます。
(これは自分の場合だけか?)
読んで始めて解りました。
全く物語は複雑ではありません。
末っ子ガエルを巡るすぐ上の義兄ダビと、長兄オリヴィエの愛憎。
ガエルの早熟な愛を受け入れなかったオリヴィエに対するガエルの愛から憎悪への転換。
その引き金が、義父の殺し。
血の繋がりもないのに、まるでシチリアマフィアのようにファミリアにこだわるからこその、その執着。
このガエルとオリヴィエは『運命の男』だったという結末を下すには、まだ事件の起きた8年前はガエルはそうは思っていなくても、歳の違いすぎる大人のオリヴィエには犯しがたい子供だったということ。
読み終えてしまえば、たかがそんなことに、こんな大仰な・・・と思うかもしれませんが、そんな世界もあるのでしょう。
そういう意味での説得力は、サスペンスの中に上手く隠されてしまっているかもしれません。
しかし、エチシーンについてやけにリアル感があり、そこがゾクっとさせます。
二人の汗のにおいが匂ってきそうですよ・・・
この作家さん、外国物が主のようで他にも男くさいものを描かれています。
作者HPでこの作品の番外が読めるようになっています。
(ガエルの15歳の過去話でありますが)
初読作家さんで苦手な外国物カタカナ名で、置いておいたまま読めなかった1冊です。
冒頭のページから人物紹介は5人の義兄弟とその場のタロットカードの絵柄の組み合わせ(塔はオリヴィエ、運命の輪はガエル・・・)、憶えてなくちゃダメ?・・・いえ大丈夫でした。
読み進んでいくうちに主要人物が絞られて集中して読み進められました。
背景は、スペイン~フランス~イタリア、と言う事は、
紀元前から、地中海周辺の西アジアや北アフリカも交えての戦争多発地域で人種や文化が交わった所だなと。ワイドだね。
『~』ネタバレ枠
『主人公も、オリーブ色の肌を持つガエル。義兄弟の1番下。
巷で、窃盗や身売りをして稼いでいた擦れた野良猫だった。
地域の大ボス・ゾルバに引き取られた愛想が無い美童・ガエルは、最初に声を掛けてくれた優しい青い目のオリヴィエには警戒を解く。
それからは、ガエルがへまをしたり落ち込む度に、叱りなだめ最後には必ず抱き締めてくれるオリヴィエに小さな恋心を抱く。
ある日、出掛けたオリヴィエを尾行したガエルはオリヴィエと女性のデートを目撃、消沈したガエルは行きずりの“おじさん”と過ちを犯し、それを続けてしまう。
それが、ガエルの初めての義兄弟を巻き込んでの「報復」事件になり、血の繋がらないファミリアの強い結束を知っていく。
年長の兄達は外へ仕事に行きファミリアを守っていたそんな中で、引退した義父ゾルバが療養先で暗殺された!
オリヴィエが消えた!誰もが犯人はオリヴィエだと言う!
またファミリアの結束を守る時、ガエルが義父の復讐の為にオリヴィエを追うのだった・・・!』
↑鬼・ネタバレですね、ここからが大分ページ読みますから安心して下さい。
濡れ場は体臭や汗の淫猥感あるけど、ガエルの初々しさがあってかなりの高感度。
ベレッタやワルサーを使ったアクションシーンもあって、鬼塚征士さんの暗めな濃いイラストと見合わせると、本当に実写版を見ているみたいです。
ところで、義兄弟の残りの2人はいったいどうしちゃったのかなぁ~?
このキャラ達のそれからの説明がされていないので、冒頭の「覚えなきゃっ!」の意気込みは無駄だったのかと寂しい。
ま、いいか!仔犬飼ジンさんと鬼塚征士さんの名を憶える事ができたから(喜)。
女性っぽくないストーリーを読みたい時にどうぞ!